序話:夢
全体的にほのぼの系のちょいちょいコミカルを挟む恋愛モノです。
(暗い…………ここは、どこだろう…?)
何も見えない空間に僕、緘森 月夜はただ1人立っていた。
周りには誰もいない。どこか現実の世界から引き離されたかのような感覚さえ覚えてしまう。
ここはどこなのか、そして僕はこの世界で何がしたいのか…。そう疑問に思いながらも自分の頭の中で早々と答えは浮かび上がってきた。
(あぁ、いつもの夢か…)
本当に夢の中でそんな事が考えられるのかどうかはわからないが、不意にそう考えた。この暗くて何も見えない光景は夢の中で何度も見たことがある。
だが、ただ暗い所で立ち尽くしたまま、何の状況の変化も無く覚めてしまう。その夢が自分にとって何の意味を成すのかも、覚める頃にはもうどうでも良くなっているだろう。
“孤独感”……そんな言葉から僕の体は打ちのめされていた。自分はただ前一方向を向いているだけ…。あとは思いのみで、脳から体への『動け』という命令は、伝達の途中でぷっつりと途絶えてしまうかのようにどこも動かない。
何故だ?この体は僕の体ではないのか…?
ただ、そう考えていると、あっけなく、突然に周囲に変化が訪れた…。僕の目の前にスーッと何かが闇から姿を現した。
空間が、水面に刹那の衝撃を与えた時の波紋のように揺れ、その揺れに反応したかのように闇色が人の形に着色されていった。
(女の子?…同い年か?)
現れたのは僕より少し背の低い、白くしなやかな肌、また、腰元まで伸びる黒くしなやかな髪の少女だった。彼女は後ろ向きで、何故か素肌をあらわにしたままたたずんでいた。
(君は誰…?どうしてこんなところに…?)
声に出ない思いが、頭の中で闇に溶けて込んでいった。そして何故だか、僕の体が勝手に動き出して、彼女の後ろから腕をマフラーのように首元にまわし、抱きしめた。
「君を守るのは俺の使命だ」
体の次に口までもが勝手に動き、僕自身はその状況変化に流されるままにしていた。
「それは運命ですか?それとも…あなた自身の望みですか?」
僕自身はわけもわからずに、そのやり取りを眺めていた。
少女の問いに答えるように、僕の体は彼女をその体勢のまま…キュッと抱きしめた。
初投稿です。
文章的にも内容的にもまだまだ未熟者です。広い心と長い目で見てくだされば幸いです。感想をくれればさらに嬉しいことこの上ないです。
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