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8/9

『精力が魔力に変換される世界に転生しました』

ついに来てしまった、私的には大好きなんですが人には薦めにくいこの作品(作者さんすいません)。

異世界転生ものを探していた時にタイトル一本釣りされたこの作品。読んでみたら本編自体がタイトル以上の威力を秘めていて良い意味で驚かされました。

 【あらすじ】

 気がつくと意識のみと思しき状態で不思議空間に居た主人公。

 そこに唐突に現れた神様っぽい老人曰く、主人公は他者を庇い死んでしまったとの事。しかも今回が初めての死亡ではなく既に12回も転生してきたのだという。

 何故そんなに転生させられているかといえば、「善き魂」を持つ者として神(仮)に見込まれた主人公はある使命を与えられたものの、転生の度に人を助けるために志半ばでその命を散らしてしまい、12回の転生を経ても使命を果たす事が出来ていなかったからだとの事であった。

 ちなみに転生に伴うチート的な物は一度もくれていなかった。それでどうしろと(素)。

 

 そしてその使命とは「善き魂の種を子に分け与える事」。平たく言えば子作り(直球)。

 しかし主人公は12回の転生で一度も子を成さず……というより性交渉自体を行う事が出来ず、転生含め累計約400年に渡り童貞を守り通して(捨てられず)来たとの事であった。

 このまま現代への転生を繰り返しても目的は達成出来ないと考えた神は、実験的に異世界への転生を試みる事にした。とはいえ本当に実験的側面が強い上に、次回転生関しては転生時に前世の記憶も保持したままにしてくれる事にはなったものの相変わらず転生チート的なものは無し。



 そんなこんなで13回目の転生をする事となった主人公。しかも今度は異世界へ。



 主人公(異世界転生後はユノと名付けられる)は特にチートも無く転生した……はずだったのですが、異世界がタイトルにもある通り精力が魔力に変換される世界だったため、400年童貞だったユノは規格外の魔力をその身に宿している存在だった事が序盤に明らかになります。

 ただし魔法使いはほとんどが女性で、男性の場合30年以上性交渉を行わない事で徐々に体内に魔術回路が形成され魔法が使えるようになる事があるくらいで男性の魔法使いは非常に珍しいとの事。

 しかも強力な魔法の使用時に魔術回路が耐えきれない事もあるため、小さい頃から魔法を使える人ほど短命になりやすいというおまけつき。


 しかし序盤から激動の展開に巻き込まれたユノは、それまでの転生時同様、大切な人達を守るため自らの身を犠牲にする覚悟で魔法を使う事になります。

 その魔法の影響で生まれ故郷から遠く離れた地へと飛ばされる事となってしまったユノ。

 そしてそこから遠い未来に伝説の魔法使いと呼ばれる事となる男ユノの激動の物語が始まるのでありました。




 ……というあらすじとなっています。

 



 あらすじの時点で割とシリアスな感じになってしまったので微妙に言いづらくなってしまった感がありますが、この物語においてまず語らねばならないのが物語全般に渡り展開され続ける下ネタでしょう。


 ユノは本家あらすじにおいて「人当たりが良く、勇敢で、優しく、礼儀正しい」と表現されています。

 確かにユノを対外的に見た場合においては正しい表現ではあるのですが、400年間に渡り童貞を拗らせ過ぎた弊害か、どんな事でも、そう、比喩や誇張では無くどんな事でも性的な事や卑猥な妄想に変換してしまえるという特殊能力(?)を身につけてしまっていたのです。

 

 そのためユノ視点で物語が進む場合、地の文含め 「 」 で括られている部分以外はほぼ下ネタです。といってもただ下ネタを並べるだけでなく下ネタを展開させる事で物語に関する思考・考察や現在の状況説明までしてしまう程の徹底っぷり。

 たまに作者さんの筆がノったと思しき時などは1話内の7割程(当社比)が下ネタで埋め尽くされる事もあるほど。人はここまで下ネタを物語に組み込む事が出来るものかと戦慄してしまいます。


 ちなみにそういった内面が外に出る事はほとんど無いため物語上の人との関わりは割と問題無く行えているので安心です。そしてシリアス時には徹底的に下ネタが無くなる事もありますのでその辺もご安心を



 ところで筆がノるって何かエロい気がしませんか?(唐突)

 気のせいですか。そうですか。


 しかしこの物語があらゆる事を下ネタに変換しているという特性上「つゆだく」や「手抜き」「栗饅頭」といった単語で何かを感じる事の出来る方々はこの作品への適正があるかも知れません。

 そしてそういった方々はこの作品を読んだ後、その程度の単語連想はまだまだ入口に過ぎなかったと言う事に気づかされる事でしょう……。

 気付きたくなかったと思うかも知れませんが。



 あ、下ネタといえば加藤くんを忘れていました(唐突)。

 解説しますと、加藤くんとはユノの前世(現代)における腐れ縁の友人でありこの作品の影の主役です(断言)。


 ユノは事あるごとに「そういえば○○といえば加藤くんだが~……」的に前世において友人であった加藤くんにまつわる思い出を語り始めるのですが、この男がとんでもない性豪?なのです。

 ユノとはまた別方向の下ネタが展開されるというか、性への探求に熱心過ぎる一人のおとこの生き様が展開されるというか。それが妙にクセになるのです。


 最初は「なんだこの変態は(直球)」と思うかもしれませんが、作品を読み進める内に、加藤くんのエピソードが更新されていく内に、徐々に「さすが加藤くん」「今回は何をやらかしてくれるのか」等加藤くんの登場を期待するようになってしまう事でしょう。ソースは自分(手遅れ)。

 





 そして……なんで下ネタ解説の後にしてしまったのかと自分の計画性の無さを呪いたくなりますが、実はこの作品、メインの物語自体は割とシリアスです。

 ガチです。尻Assではありません、信じて下さい。


 余計に疑われる茶番はさておき、物語の芯となる部分には確かにシリアスがあります。

 それこそ下ネタとコメディー的要素が7~8割を占めるであろうこの作品内でも確かに存在感を感じさせるほどのものが。

 特に度々本編に挟まれる序盤でユノと生き別れてしまった幼馴染の少女や実の弟視点の話なんかは別作品かと見紛う程のガチシリアスだったりします。


 あらすじの後に遠い地へと転移した主人公は、生まれ故郷へと戻るべく行く先々で様々な人と出会い、親交を深め、協力を得ながら各地を旅して行く事になります。

 獣人の森、ドラゴンの巣、魔族領、そして人領。


 この物語においては人族が最大勢力となっており、他の種族は人族との争い等過去の出来事から概ねその数や生きる領域を大幅に減らしてしまっている状況。

 そんなある意味人にとってアウェイとも言える環境を旅してゆくユノ。

 出会う人達や世話をしてくれる人達は概ね優しく、こと対人関係においてはそういったギスギスした空気にはあまりならなかったりしますが。

 

 しかしそんな優しい人達に降りかかる、行く先々や各地で発生する同族同士の争いや世話になっている地への他国の侵略等々様々な問題。

 種族など関係無い。優しい人達を、大切な人達を守るためユノはその力を振るう。

 実はあらすじで書いたユノの魔力に伴う様々な問題が序盤のとある出来事で解決していた事もあり、その規格外な魔力を活かして各地の問題自体は割と円滑に解決します。

 

 しかしその問題のきっかけとなった出来事や各人の思惑、過去の因縁。割り切れない事や過ぎ去ってしまった過去など魔力や力だけでは解決出来ない・出来なかった事が、問題解決後も余韻として読者の心に残ったりも。

 


 そして各地を旅する内に徐々に感じるようになってくるこの世界に蔓延る違和感や歪さ。

 前述したような各地の問題も実はそういったモノが影響していたりする事が多かったりするのですが、その辺の事情をユノが知り向き合う事になる辺りがこの物語の一つのターニングポイントと言えるでしょうか。具体的に言うと67話辺り。


 ここからの展開がまた怒涛で、ユノ自身にとっても周囲の人達にとっても大きな影響を与える事になります。この辺は今読みなおしてみてもハラハラワクワクします。

 途中「うわああああ!?」……という展開もあったりしますがネタバレになるので沈黙沈黙。

 ただ一つ言えるのは鬱は無いから安心して!という事です。(ややバレ)

 

 ターニングポイントまでが巻き込まれや受動的なストーリーだとすると、ターニングポイント後は能動的に目的を持って進んで行く形になるでしょうか。

 その辺りから展開もキャラクターの関係性もまた一歩踏み込んで描かれるようになり新たな魅力を醸し出す事もあったり。

 ユノの下ネタもリミットブレイク。限界突破して更に攻めに転じたり転じなかったり。その辺もぜひお楽しみに。





 最後にキャラクターについても触れておこうと思います。

 

 この作品には多彩な種族が登場し、ハーレムものなので嫁キャラ一つとっても幼馴染の少女にエルフ、竜人や獣人、精霊など多くのキャラが登場します。

 嫁勢は皆キャラが立っており各々違ったアプローチでのイチャイチャっぷりを見せつけてくれます。ユノの内面も絶好調です。ナニがとは言いませんが。

 嫁それぞれにユノと結ばれるまでのエピソードがしっかり書かれている事もあり、ハーレム特有の女性キャラが軽く感じるような事も無いです。嫁勢も皆仲が良いため全員で結託してユノを襲ったり(!)する事もあったり。その結末は……君の目でたしかみてみろ!



 あと男勢に関して。

 本家あらすじにもある通りユノはその魔力(力)により男女問わず好かれやすいのですが、この男にもという点が割と深刻というか、平たく言えば変態に好かれやすいです(直球)。

 内訳も実弟にユノの従者の獣人、舎弟ドラゴンやロリ○ン魔族にチ○ポに拘る鍛冶師など様々。

 

 ユノは女性に比べて何故か男に対してえらく当たりが強く、対外的な振る舞いや礼儀は問題無いのに内面では結構辛辣な事を考えていたりしがち。そんなゴミを見るような目で男勢を見るユノと、ユノに心酔し慕う男勢の温度差が妙に面白かったりします。

 

 ちなみに大体の男勢には嫁なり候補がいたりするのでその辺(意味深)は安心……とは言い切れないのがこの作品の恐ろしい所。いえ、今の所は大丈夫なのですがね。そう、今の所はね……(意味深な捏造)。





 


 物語の展開的には異世界に転生した主人公が強大な力でもって問題を解決していくという実に王道的なものながら、そこにウォッカのように純度の高い下ネタという劇薬を加えた結果どちらの特徴も併せ持つ唯一無二の存在が出来上がった。それがこの作品です。

 

 下ネタといっても酔っ払いやエロ学生がしているようなニヤついた物ではなく、例えるなら学会で教授が真顔&大真面目に聴衆に下ネタを解説するような崇高かつ高尚な下ネタです。(ぐるぐる目)


 とはいえ下ネタのみならずストーリー展開の意外さやユノと嫁ズのイチャイチャなど下ネタ以外の脇を固める要素(暴言)もとても面白いので、騙されたと思って70話位まで読んでみて頂きたいとも思ったり。(欲張り)


 そんなこんなで下ネタが苦手な人でも安心……とはとても言えませんが、下ネタだからと敬遠している方々にはちょっと目を通してみてもらいたいとは思います。

 そして加藤くんの傾奇者っぷりに戦慄してみて欲しいです。(鬼畜)

 


 そしてまだ完結していないながらも実は後日談的な他作品があったりするので、作品が気に行った方はそっちも読んでみると色々ニヤニヤ出来るかもしれません。






作品名: 精力が魔力に変換される世界に転生しました

URL:   http://ncode.syosetu.com/n1387dk/ 

作者名: 紳士 様

作品の特徴的に長所=短所になりかねない所のある作品なので、読んでみて合わないという方もいるだろうなあとは思います。

しかしもしノリが平気であれば病みつきになってしまうポテンシャルを秘めている作品でもあると思います。


あとこの作品の作者さんは活動報告が面白い系の方でもあるので、本編が気に入った方は(重要)ぜひ見てみて頂きたいです。

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