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3/9

『勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした』

続きましてはモーニングスター大賞を受賞し最近書籍も発売されたこの作品。

確か自分が読み始めたのはまだ200話に行ってないくらいのタイミングだったと思います。

作品自体やキャラクターの魅力はもとより作者さんの作品愛が溢れる素晴らしい作品だと思います。

 【あらすじ】

 ある日突然異世界へ召喚された主人公(男子大学生)。

 近くには男子高校生が一人と女子高生が二人。

 召喚者曰く、勇者召喚という儀式が行われたものの対象であった男子高校生の近くに居た主人公と女子高生二人も何故か巻き込まれてしまったとの事。

 戸惑う召喚者をよそにこの手の召喚モノの王道たる展開に気付きこの先辿るであろう苦難の道を想像し身構える主人公でしたが……


 魔王=1000年前に異世界から召喚された勇者により倒されている。魔族とはそれ以来良好な関係を保っている。

 争い=戦争は800年以上起こっていない。

 魔物=大量発生は滅多に無くギルドや騎士団といった組織で十分に対処可能。


 ……と、説明内容からは危機のカケラも見当たらない。

 

 じゃあ何故喚ばれたのかと聞けば、1000年前に魔王を倒して以降今後の平和を願い10年に1度世界を挙げての大きなお祭りが行われており、祭りの都度主役である勇者役として1000年前に召喚された勇者と同じ世界(現代)から一名呼ばれているとの事。ちなみに辞退も可。

 役目を受けても受けなくても1年間の間は異世界の貴族が責任を持って親切に衣食住の世話をしてくれ、祭りが終わった後はノーリスクで送還してくれる。しかも現実世界とのタイムラグや自身の成長などは問題無く、換ばれた状況に換ばれた時のまま戻れるとの事。

 

 あまりの至れり尽くせりっぷりに逆に戸惑う被召喚者一同。

 果たしてこの後1年間、主人公はどう過ごして行く事になるのか。




 ……といったあらすじとなっています。

 ちなみに勇者役の男子高校生はこの後260話くらい経つまで本編に登場しなかったりします(え)。

 

 

 この作品の特徴はなんといっても優しいキャラクター達に支えられたストレスフリーな展開が多い事が挙げられます。

 主人公自体は頭脳、身体、魔力(ちょっと変わった能力はあるけど)面では特筆すべき事も無い所謂凡人と呼ばれるレベルの存在です。戦闘面では登場人物中おそらく最弱です。

 ですが作品キーワードに「交友チート」という文字がある通り、主人公が本編開始数話で出会うとある魔族の少女が只者では無く、それを皮切りに人族・魔族・神族など異世界の有力者達と出会い交流を持って行く事になります。


 過去の出来事から色々な事を諦めていた主人公が前向きになり成長していく姿。

 主人公と関わる事で良い意味で変わって行く人々。

 読み進めるに伴い主人公を応援したくなっていく事でしょう。


 そもそも魔族の少女が主人公に興味を持ったきっかけはある「可能性」を感じたからなのですが……それは本編を読んでのお楽しみという事で。

 多分一般的な異世界召喚モノ基準で考えると大分想像と違う理由になるんじゃないかなとは思ったり。




 登場キャラクターはメインヒロイン(断言)たる魔族の少女やお世話になる貴族やその従者・メイド、一緒に召喚された女子高生、人・魔族・神族など各種族の有力者、果ては魔獣など皆個性的で魅力的。

 読者それぞれに好みがあり推しキャラは違うとは思いますが、かといってそれ以外のキャラに魅力が無いという事では決して無くむしろ嫌いなキャラがいるという人の方が少ないのではないでしょうか。


 そして出会う人(?)達は皆優しい。それも自分の立場と相手の立場を推し量り相手の事を考える事ができ、それでいて独りよがりにならないような優しさ。個性と優しさは両立できるんだなあと思ったり。

 そんなキャラクター達に囲まれて物語が展開していく様が、優しい空気感がたまらなく心地良いです。


 もちろんトラブルというか物語を動かすためのイベントは多々発生するのですが、すぐ解決します。それはもうサクッと気持ち良く解決します。

 鬱展開も無く、嫌な予感を感じる展開やフラグっぽい出来事や発言があったとしても大丈夫です。

 何ならその都度作品の後書きで作者さん自身が否定してくれています(え)。


 とはいえ先が気になる事には変わりないため緊張感が無いかと言われればそんな事は無いです。

 物語の節目となった、主人公が多くの人(?)達の助力を受け一人の少女と向き合おうとしたくだりなんかは一体どう解決するのかとハラハラしたものです。


 


 あ、そういえばこの作品はハーレムものです。

 前述した通り魅力的な女性が多く、それぞれのキャラクターと結ばれたりまだ結ばれていなかったりします。多分今後既婚者等でない女性キャラとはほぼ結ばれるのではないでしょうか(!?)。

 とは言えある一人の女性と結ばれるまでは親交は深まれど誰かとくっつく事は無く、そこからが本番と言った感じで増えて行く事になるのですが。

 

 異世界的に一夫多妻制は制度的にも住人の認識的にも問題無いという設定なのですが、主人公は現実世界の価値観により二人目の女性を受け入れて良いものかと思い悩みます。

 そして今まで出会った様々な人に相談し、最終的には一人目に結ばれた女性にも自分の想いや悩みを吐露し結論を出す事になります。

 この辺の描写がしっかりしているうえ結ばれる前後を問わず一貫して主人公は相手に対して誠実であろうとしているため、ハーレム化に対する悪い感情は全く湧きません。

 なのでハーレム系が苦手という方にもぜひ読んでみて頂きたいです。


 それとこの作品、序盤はともかく親しくなってきてからの主人公と女性陣の絡みが砂糖吐くほど甘いです。ゲロ甘です。

 結ばれる前の交流ですらそんな有様なのに結ばれた後のデートなどはもう甘さ倍プッシュです。

 優しい世界、あまあま。最初は戸惑うかもしれませんがハマってしまえばもう並の甘さでは満足できない体になってしまうかもしれません。

 用法・用量、ご注意を。自分はもうこの甘さ無しではダメになりました(手遅れ)。


 


 上記のように魅力的要素の多い作品なのですが、作品自体はもとより作品の前書き・後書き・活動報告などから作者さんは本当にこの作品を、そしてキャラクター達を愛しているんだなあと感じられるのも作品の魅力を高めている要素だと思います。

 真剣に物事に取り組んでいるのも良いのですが、楽しそうに物事に臨んでいる姿を見ているのも読者的にはまた楽しいと言いますか。

 

 その最たるものが番外編で、クリスマス番外編として1日に6作(+本編1作)をアップしたり(!)、バレンタイン番外編として1日に17本(翌日と翌々日に各1本ずつで合計19本)をアップしたり(!?)と、

 「ありがとうございます!ありがとうございます!でも休んで!」

 とむしろ読者が心配するレベルのサービス精神を発揮してくれていたりします。本当にすごい。

 一体何が作者さんをそこまで駆り立てるんだ……。

 

 あとは感想欄がこの規模の作品にしては荒れていないのも特徴かも知れません。たまに何言ってるんだ的な書き込みがあっても圧倒的砂糖ジャンキー(読者)達の感想に押し流されて全然目につかないというか。身内ネタ的な感じと言われてしまえばそうかも知れないとも思いますが、排他的にならないなら荒れるより良いんじゃないかとも思ったり。



 

 これを書いている時点で閑話や番外編含めて441話。しかし作中でのタイムリミットとなる1年の終わりはまだ先。

 作品でもリアルでも優しい気持ちになれるこの作品、最近書籍化もされたこのタイミングで読み始めてみてはいかがでしょうか。

 そして一緒に砂糖吐きましょう。






作品: 『勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした』

URL:  http://ncode.syosetu.com/n2273dh/

作者:  灯台 様

作品を見返しながら書いていたんですがやっぱり面白いなあ。

アイシスさんの手を取る所とかクロへの告白とか何度見ても胸が熱くなります(後書きだと思って遠慮無くネタバレしていくスタイル)。

書籍2巻も期待できそうですしこれからも楽しみだあ……。

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