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01 『リアル』と『リアリティ』の違いなんてググればいくらでも出てくるけどさ


 次。『リアリティ』の意味について。

 別のエッセイの中で書いた内容だけど……これを読んでくださってる方にとっては知ったことじゃないので、繰り返すことになります。

 自分の別エッセイを読んでくださった方は、この節の最後まで読み飛ばしてくださっても問題ありません。内容は結構変えてますけど。


 まず、ひとつの結論として。

 『リアル』と『リアリティ』は、別物です。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 リアル【real】


[名・形動]

① 現実に即していること。また、そのさま。あるがまま。「現実を―に見据える」

② 表現に現実感・迫真感のあること。また、そのさま。写実的。「―な肖像画」「苦悩を―に描く」

③ 携帯電話を使ったコミュニケーションサービスの一。「リアルタイム」または「リアルタイムブログ」の略とされ、即時にメッセージを書き込んで公開する簡易的なブログ、またはBBSに似た機能を提供する。利用・閲覧できるメンバーを限定することも可能。プロフ、ホムペとともに、主に中高生を中心に普及。リアタイ。

④ 現実世界。実社会。オンラインゲームの仮想世界や、SNSなどで構築される人間関係に対していう。


 (goo国語辞書 デジタル大辞泉)



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 リアリティー【reality】


 現実感。真実性。迫真性。レアリテ。「描写に―がない」


 (goo国語辞書 デジタル大辞泉)



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 ですが、これを同一視してる人が多いのです。

 作品を批難する側もですが、「リアリティがなくてもいい」と擁護する人、かなりの割合で一緒くたに考えてます。

 『リアリティ=現実感・真実味=リアル』という形です。


 日常会話内であれば、同一視していても大して問題はありません。

 ですが、物語・フィクションを語る上では、これは差別化しないといけない大前提です。ここが噛み合っていないから、この手の議論は終わることはありません。



 リアルは、現実であり、真実です。

 見る人が信じるか信じないか、記された資料にどれほど信憑性があるかは別問題として、『事実は小説より奇なり』な嘘っぽい出来事だったとしても、現実に起こったと認めるしかない。


 対してフィクションの中にあるのは、リアリティです。

 嘘の中にある本物っぽさ。

 ということは、結局のところ、リアリティとは嘘です。


 リアルは現実(ノンフィクション)の世界にしかない。

 リアリティは架空(フィクション)の世界にしかない。

 リアルは現実。

 リアリティは虚構。


 昨今ゲームをはじめとする様々なコンテンツで使われ始めた、拡張現実(AR)仮想現実(VR)の違いみたいなものです。

 拡張現実(AR)は、虚構が混じっていても、現実(リアル)の上に重ねたフィルターに過ぎません。

 仮想現実(VR)は、どこまで本物っぽい(リアリティ)要素であっても、結局は虚構です。

 前者は現実を架空に近づけ、後者は架空を現実に近づける。方向性が真逆なので、一緒くたにすると詳しい人から怒られます。


 だから『リアリティ=現実感・真実味』だけで考えると、『リアル』との違いが理解できないのです。現実感はどちらにもあるのですから。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 作品が「リアリティがない」と批難される場合、その言葉に込められた意味は、二通りあります。



①批判者が超リアル指向


 魔法や超能力なんて存在しない。

 二足歩行の人型巨大ロボットが戦うなんて物理的に不可能。

 一途で貞操観念強くて気立てのいい幼馴染の美少女なんているわけない。

 小説はもっと現実に即して書くべきだ。

 だからこの作品にはリアリティがない。


 この意味での批判は、無視していいです。

 その読者は、フィクションというものを、根本的な部分から理解していません。


 一番近いニュアンスは、『非科学的』でしょうか?

 でも多くの作者は物語の中で、科学(リアル)を語りたいわけではありません。


 悪い意味で次元が違うので、話が合うことがありません。「だったら小説読むな」「アニメ見なきゃいいじゃん」と言うしかないレベルですので。

 だったら無視するしかありません。



②ウソとして出来損ない


 物語の舞台が二一世紀の地球ではないのはわかっている。

 法則なんてなくて「そういうもの」で流すしかないなら、それでいい。

 だけど、説明が前と言ってること違うけど?

 コイツ、こんな行動する性格じゃないだろ?

 だからこの作品にはリアリティがない。


 この場合、その作品の作者が悪いし、擁護する読者も事態を理解していません。

 ウソ(フィクション)は許されるか否か。空想と現実の照らし合わせだと誤解しているのです。


 そうではありません。全く別の問題として、「ウソ(フィクション)としてヘタクソ」と言われてるのです。

 「ウソを()くのは別にいけど、どうせやるならもっと上手いウソを吐け」と。

 この違いを理解できていないと、多くの人から生温かい目で見られることになるので、下手なことを言わないよう口を閉じておくのをオススメします。



 で。「リアリティなんてなくていい」という擁護が出てくる作品、大抵は②です。

 正確にデータ取りしたわけではありません。

 でもフィクションをフィクションとして読めない人間よりも、フィクションとしても看過できない事例、どっちが多いかといったら、どう考えたって②なんですよ。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 ここまでの内容だと、『リアリティ=ウソ』ということになってしまうが、実際のところそうではありません。

 というか、『リアリティ』という言葉の意味が広すぎて、ここ定義するのも大変なのですが。


 このエッセイではひとまず、『説得力』と『没入感』というふたつの意味で話を続けます。


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