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黄昏超えて  作者: うぃんどみるく
5/5

5.突破

…力を失い、ぐらりと倒れる化け物の身体。

彼の頭は既にここに存在しない、跡形もなく消えてしまった。


身を跳ねさせて立ち上がる。

早くこの場を去らなければならない…だけど、どうやら耳障りな呻きは、ボクを遠巻きに囲んでるみたいだ。

力では敵わない、さっきのようなものが出れば、速度でも敵わない。

次組み敷かれれば数に集られ食い千切られる、だから…


「…創造(エミュレート)


温かい力が右手に集う。

魔力は伸びて意識と同調し、反りを持って伸び、刃へ研ぎ澄ませた。

…思考を持って再現したのは刀、ボクはこれを扱える。


視界を上げれば隙間の多い壁の様に並び呻く化け物達、再び背筋を撫でる恐怖に、

武器を取り落として凍り付いてしまいそうになった。

けれど、アレは殺せるものだ。

此処で止まればどの道命は無い、身体の震えを硬直させ、硬直した心を震わせる。


一歩、踏み込むことが出来た。

二歩、進むことが出来た。

三歩、ならば最早恐れは要らない。


加速、身体を流れる魔力はボクに幾らか力をくれる。

まずは最寄りの一匹、斜め下から上へと刃を振り上げれば、何の抵抗も無く刃は腐肉を喰らい抜いた。真っすぐは振り下ろさずにもう一匹、虚ろな頭が宙を舞う。

背後から飛び掛かる俊敏な一匹、唸りを上げるならば不意打ちにもならない、刃で頭を穿いてやる。

両断、刺突、切断、射出、破壊、両断、切断、殺害、殺害、殺害……

一匹、また一匹と化け物を鎮める内、湧き上がる奇妙な高揚感、冷たい欲望に気が付いた。


動くものを動かなくする、人らしき形を持ったものを残骸へ変える、消失させる、声を発せなくする、あぁ何故だがそれはとても…とても


「──楽しいな(怖いな)




……いつまでそうしていたのかは分からない、ただ今気付けば、周囲は明るくなっていた。

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