表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏超えて  作者: うぃんどみるく
1/5

1.無伝招待

───生きているとは、何なんだろう。


友人と話をする?幸せを掴む?何かを探す?夢を追う?


一瞬考えるだけでも幾つか浮かぶ。


…だけれど、ボクの疑問はそうじゃない。


ボクはただ…生きている実感を、知らなかった。






目深にフードを被り、手元のスマートフォンを覗き込みながら、騒がしい商店街で歩を進める。


「…まだかな、目的地」


すっかり夕暮れとなった景色をチラリと覗くと、ボクはそう呟く。

今やっているのは、俗に言う”おつかい”。

特別商品を買ってこいだとかなんとやら……母親が、ボクを見上げながら押し付けて来た。


「って言うかこの時期にチョコレートって、誰に渡すのさ、あの人…」


父親は、ボクが今の高校に上がる前に、病で命を失っている。

あの時は悲しかったな…って違う、それだから、渡す相手が居ない筈なのだ。


「いや、まさか再婚…無いか」


…なんてことを考えた時、突然、スマートフォンが仕事をしなくなった。

地図は位置をまるで示さず、試しにネットを開こうにも、まるで返事をしない。

困ったな、地図を見ないとすぐに迷ってしまうのに…



なんて呑気な考えは、次の瞬間に吹き飛んだ。

膜のような何かが、身体を包んで通り過ぎる感触。

違和感を感じて、流石に顔を上げた時


「……えっ?」


…さっきまで、視界の端に映っていたはずの景色とは、全く違う。

石造りの建物が、黄昏色に染まりながら、視界の両脇へ立ち並ぶ。

所どころ損傷や、大きく崩れた場所が見える、その場所は…廃墟と形容するのに相応しかった。


前兆も出来事も無い、予測不能で唐突な…別世界への招待である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ