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創世記D0003

いやぁ~、危なかったぜぇ…ふぃっ、スッキリ、爽やかって感じだなぁ。

かなりギリギリだったからか、その分、非常に爽快感っと言うか快感って感じも…いや、その類の趣味はないからなっ!勘違いしないようにぃ、ほんとうだぞぉっ。


しかし、あれだけ我慢してからって言うのは癖に…ならんよ、うん、でも…世の中には居そうな感じがして恐いな…

なんて埒もないことを考えながらトイレから出る。


しかしユニットバスは当たりだったかな、風呂、洗面台、便器などの施設は当然なんだが…ボディソープにシャンプー、リンスにコンディショナーなどと体を洗うための各種小物類。

バスタオルにタオルが複数枚、トイレットペーパーもセットされている物以外に予備が数個ほど存在したんだよ。

風呂とトイレを洗うための洗剤や器具もだし、足を拭くためのマットなども完備されているほどの充実度だった訳だ。


無論、歯ブラシやコップもだが、髭剃りや洗顔フォームなども存在したよ。

鏡裏が収納となっていて、そこへ収まっていたなぁ…

トイレなどの天井近い場所へ扉付きの棚があって、そこへ色々と予備部品などを含み収納されていた。

雅に至せり尽くせりって感じかなぁ…


まぁ、俺的には満足な訳だけれど…ちと疑問も残る訳で…

ユニットバスは当然、プラスチックや樹脂で造られているしステンレスなどの金属も使用されている訳だ。

便器を構成する陶器も独自の工夫がなされていて容易に造り出せないって聞いたことがあるぞ。


此処の世界がどんな世界かは知らないが、ファンタジーな世界だとしたら中世ヨーロッパ的な世界だと思うんだよなぁ。

それは壷がトイレって出たことからも推測できる感じさ。

中世ヨーロッパでは正しく壷トイレだったらしく、部屋から道路へ致したブツを壷から放り出していたらしい。

その影響でペストなどが蔓延したって聞いたからなぁ…


そんな世界でユニットバスって…明らかにオーバースペックじゃないだろうか?

俺の記憶は消されたらしいが…色々と覚えているのは何故だろう?

そして、そんな記憶からはユニットバスなどが存在した世界で生活していたと思われる訳だ。


まぁ…全ての記憶を消し去ったら赤子のような存在となる訳で…そんな存在がダンジョンクリエートなど行える筈もないよな。

そう考えたら、記憶の削除じゃなくて封印系かと思われるんだが…さて、どうだろう?


しかし…使用したユニットバスに対しても不安はある。

室内を照らす明かりの電源は何処に存在するのか?っとかさぁ、水は尽きないのか?どな。

気になったからダンジョンブックを調べてみたんだよ、そうしたら…


『※水、光源、備品はマナより自動生成されます。

 ですがマナには限りがあり、1日に使用できる分量には限りがあります。

 御注意願います』って記述が見付かったよ。


取り敢えずは自動補給されるみたいだから安心だな。

まぁ…仕組みはファンタジーってことで無理やり納得したよ、いや…ユニットバスをコアで創り出した時点で科学的には証明不可能なんだからさぁ、そこは無理やりにでも納得するしかないよ。

考え過ぎはノイローゼになってしまうって、この世界は。


しかし…使用制限があるなら気を付けて使用しないとダメだな、注意しよう。


さて、落ち着いて来たのは良いんだけれども…そろそろ喉が渇いたし腹も減って来たなぁ…

ダンジョンブックにて食事部分を確認したんだけど…一番安い弁当で7百Pって…いや、ユニットバスより高い値段ですがなぁ~

そりゃぁないぜぇっ、お茶のペットボトルが3百ポイントって、どんなボツたくりやねん。


物によったら3千どころか万を超えるレベルにまで…現在料理ってお(たこ)ぅ御座いますねぇ~…って、阿呆けぇぇぇっ!

こんなん食ってたら、直ぐにポイントが底に付くわぁっ!


そんな暴利を貪るような食事を頼む訳にも行かないので、嗜好品たる料理は諦めることにな。

そうなるとだ、矢張り自炊するしかあるまい。


そう思い自炊するための施設を確認したんだが…いやぁ、薪を()べる形式の釜戸って…阿呆かぁぁぁっ!

いや、確かに安い、それは認めよう…だがな、現代人たる俺が耐えられつかぁっ!

そして見付けたのがユニットバスと同系類であるユニットキッチンなるものだった。

同じくお値段据え置きの5百Pですよ、奥様ってね。

では…早速…


『5百P使用してユニットキッチンを設置しますか?(Yes/No)』


間取り図にて場所を指定すると、先程と同じようにウィンドウが現れたよ。

無論、『Yes』を選択してキッチンを造り出す訳だが…部屋へスゥっと言う感じで隣接部屋への扉が現れるんだ。

いや、あれで造り出されるって、なんてぇお手軽建築ってね。


いやいや、あれが普及したら大工さん達が職を失うね、うん。

そんな埒もないことを考えつつ造り出されたユニットキッチンへと向かう。


ユニットキッチンには一通りの機材が揃っていたよ。

俎板(まないた)や包丁とかフライパンに鍋などなどの調理機材とかさ。

調味料なども各種揃っているし食器類なども揃っていたよ。


けど…冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器やトースターなんて便利機材は存在しなかった…

流石は低価格キッチンだよね、本当。


当然のことながら食材なんて存在しない訳で…取り敢えずは水をガブ飲みして一時を凌ぐことに…

世の中は、そんなに甘くはないってことなんだろーねぇ。


だからさ、食材を求めてダンジョンブックを調べたんだけど…いやぁ難航したよ、本当に、さぁ…

田畑や牧場で食材を育てるって試みは早くも断念した。

それは施設が高かったこともあるんだけど…「育つまで、待てるかぁぁぁっ!」ってぇ、思わずダンジョンブックを危うく破りそうになっ。

いや、俺程度の非力さんでは破損させることさえできなかったけど…ダンジョンブック、強しっ!


一番安い菜園レベルなら千Pだからギリギリって感じだったんだけれども…育てる種が高い!

しかも種から育てるレベルだから時間が掛かる訳で…いや、無理、待てないから…


それにさぁ、俺は若いんだよ。

ユニットバスに付随している鏡で確認した限り、10代って言う感じだったなぁ…

そんな俺が野菜で我慢できる筈がないだろ!肉を食わせろ、肉ぅっ!

っても…加工された肉は当然のようにお高い訳でぇ…全く手が届きませんね、はい。


生き物系は意外と安いんだがな、当然、自分で屠って解体して食材にしないとならない訳で…いや、無理ですからね。

しかも対象は鶏、兎は…それよりもなぁ、蛙さんや鼠さんてぇのはぁ何事ぉっ!

更に虫系は無いだろぉっ!虫系はぁっ!ゲテモノ系は勘弁ですたいっ!


そんなゲテモノ系の中で燦然と光って見えてしまった物が…いやスライムなんですけどね…

初めはクリチャーのスライムみたいなのかって眉を(ひそ)めたんだけどさぁ、ジェリービーンズやグミみたいな物体みたいなんだよ、これ。

その名もイートスライムって言うらしいんだけど…生き物らしいけど普段は全く身動きしない固形物ぽい無生物みたいな存在らしいんだ。

そして、そのお味は…


白米味とか食パン味って…主食かっ!更にはビーフにポークとチキンなどの肉類や各種魚介類などなど各種様々な野菜味も揃ってますってね。

数千種類のイートスライムが存在するんだが…召喚に必要なポイントはぁ…なんとぉ、なんとですよぉっ、1P、1Pなんですぅ!

しかも皆様、勘違いなさってはなりません、なりませんよぉ、良いですかぁっ!

なんとぉっ!1種類1Pで1種類に付き10体の召喚!そう、10体も召喚できてしまうのです!

どうですか、皆さん!お得でしょ~ぅ!


って、何処かの社長風味の感じで頭に響いてしまっていた…うん、後で考えたら空腹で少々朦朧(もうろう)ってなってたんだろーねぇ…

いや、ヤケにお得に感じてしまった訳でぇ…後から自分にさぁ「いや…だけど…スライムゥ、スライムなんだぞっ、俺ぇっ!」って叫ぶこととなろうとは…その時の俺は考えもしなかったんだよ、はぁっ。


この時は素晴らしい食材に思えてしまったんだよ、イートスライムってさぁ。

なにせ水を与えておけば自然に繁殖し続けてくれてお手入れも不要らしい。

環境も整えてくれてクリーンな環境を持続的に保つって言う性質まで兼ね揃えているのだとか。


しかも、人などが近付くと硬直して無機物のようになるから生き物を扱っているような気分になることは皆無なんだとさ。

そして一部を切り取り放てば自然と切り取った部位が癒されて元に戻るから実にエコロジーなのだとか。

食べ残しなどはイートスライムが存在する場所へ破棄すれば、イートスライムが処分してもくれるらしいぞ。


なんて素晴らしいんだ、イートスライム君はぁっ!って、テンション高々に思ってしまっている訳でぇ…

早速、俺はイートスライムを高くなったテンションに従い召喚することにな。


いや…問題があれば還元してポイントへと戻す方法もあるって言う安心感もあって行ったんだが…気付けよ、阿呆かぁ?


そして…

『3千6百P掛かりますが宜しいですか?(Yes/No)』ってガイダンスが…

いや、高いって気付けぇ、当時の俺ぇぇぇっ!


そんなことには全く気付かなかったっと言うか…飢えでトチ狂ったてぇ言うか…


「承認、Yesだ、Yes!」って…


いや、ねぇ…イートスライムって1体が一抱え程度のの大きさがあるんだよねぇ…

収縮したら多少は縮まるんだが…結構な大きささ。

ポヨポヨ、スベスベ、コロンコロで、ややヒンヤリと心地良い代物なんだけど…天井がある程度は高いコアルームって言っても20畳くらいしかない場所なんだよ、此処は。

そこへ3万6千体のイートスライムが現れて上から降って来た訳でぇ…


咄嗟に気付いた俺は…「ヤバイぃぃぃっ!潰れるぅ、還元んっ、還元だぁぁぁっ!」って叫ぶことにな。

いやぁ、次々に降って来る度に還元を叫び続ける嵌めに陥ってしまった訳でぇ…

早めに気付いて還元を叫んだから良かったのと、イートスライムの数が莫大だったために召喚が随時に行われ召喚スピードが遅かったから助かった訳だな。

あの時に還元することに気付くのが遅れたり、一度にイートスライムが召喚されていたら…ブルルルルッ、今頃、俺は…ねぇ。

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