表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/57

突然の終わり

 ──ああ、これが死ぬって事なのかな。


 僕の名は高崎蓮(たかざきれん)

 とある地方都市の公立高校に通う17歳の男子高校生だった。容姿も頭脳も普通、何かのめり込めることも、これといった特技もなく自分を代わり映えのない人間だと自覚していた。

 そしてこれまでもこれからも普通の人生を歩むと思っていた。


 そう思っていた……


 現実では一瞬の出来事だった、しかし僕には数秒にも数十秒にも感じられる時間だった。

 いつものように学校を終え、季節がらそれなりに早い時間でもかなり薄暗くなってきた下校の途中、横断歩道で信号を待っていたところトラックが突っ込んできたのだ。

 そのほんの数秒前、向こうから一台だけ来るトラックの様子がおかしいと感じていた。速度の緩急があったり、ふらついた動きだったり、おそらく居眠りでもしていたのだろう。


 しかしそう感じてはいても、突然急カーブをしたその車体を当然避けられるわけもなく僕の体は宙を舞った。

 跳ねられた瞬間、自分の骨が割れる鈍い音をはっきりと耳にし、地面に叩きつけられた体から絨毯のように血が広がった。不思議と痛みはなく、意識ははっきりしていたが指先ひとつ動かせず、ただ横たわるのみだった。


 やがて冬のアスファルトの冷たさも感じなくなっていき、自分が死にゆくことを予感した。家族や友人、今までの人生がかすかに脳裏に浮かぶ。

 

 ……もうそのことを考える気力もなくなってきた。もやがかかったようだった視界が徐々に暗くなり、自分の体が浮いていく気がした。


 何か特別なことをしたわけでもない。ただ生きていただけの……僕の人生はここに終わった……はずだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ