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好奇心と止まらない興味について話をしよう

「例年の事ながら、この暑さには参るね」

「あら、珍しく弱気じゃない。熱でもあるのかしら?」

「マスター、これでも僕は極々平凡な人間なんだ。自然の悪戯には心も折れるというものさ」

「そうじゃなくて、誰も貴方の事を超人だなんて思ってないわよ」

「なら、何だって言うんだい?」

「だから……貴方の思考回路なら、この暑さも楽しむべき、受け入れてこその夏の良さ、なんて巫山戯た事を考えるべきなんじゃなくて?」

「ははっ、これは驚いたね。まさか自身の思考批判を他人から受けるとは思っても見なかったよ」

「あら、でも当たらずとも遠からずってところじゃないかしら」

「そうだね。ニアピン賞を上げたい程には的を得ている。でもだからといって……」

「正解と不正解の間にはどれだけ近くても埋まらない溝がある。だからニアピンっていうのは……」

「あー、もう大丈夫だ。言葉の先読み程恥ずかしいものはない。認めよう、今回は僕の完敗だ」

「ふふっ、なら満足よ。いよいよ貴方お得意の言葉遊びも底が見えたかしら」

「今のマスターは以心伝心よりもさらにタチの悪い。そうだね、これじゃあまるで長年寄り添った番のようだ」

「つがっ……!? なるほど、そうやって揺さぶるの。相変わらずいけしゃあしゃあと」

「ゆくゆくがどうなるのかなんて誰にも分からないものだよ。ひょっとしたら、そういった未来も……」

「ダウトよ。貴方、私に言ったじゃない。もしもなんて仮定の話は嫌いなんでしょう?」

「おっと、今日のマスターは本当に手強いね。やれやれ、どうしてこうなってしまったのか」

「人は成長するものなのよ。って、冷静に考えたら、こんな事で胸になんて張りたくないのですけど……」

「それこそ僕に言わせれば、それも一つの立派な成長の形だ。今日という日はマスターに完敗だね。でも、おかけで暑さも感じないほどに楽しめたよ。これは改めて礼を言わないとね」

「別にいいわよ。お客様に満足頂けましたらそれで結構。……で、ところでなんだけど……」

「うん? なんだい?」


「ところで……ところで、その貴方の嫌いなもしもの話なんですけれど……。その……貴方が言った、そのもしもの未来っていうのは、どんな感じなのかしら? 参考程度に、本当に参考程度に話してくれないかしら? 興味が……無くわ無いものですから」


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