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甘い珈琲にビターチョコを

【お客様ご愛顧感謝企画】

 勝手に抽選して勝手に当選!

 おめでとうござます。

 本日もお越し頂きまして、誠にありがとう御座います。


「いらっしゃいませ……あら、今日は見ての通り閑散よ、カウンターへ掛けたら?」

「――」

「何を遠慮してるのかしら。この店に指定席なんて無いわ。そこに座ってくれないと話しにくいじゃない」

「――」

「さて、ご注文はいかが致しましょうか? 今日はホット? それともアイスにしておく?」

「――」

「何よ、これ? これは駄目よ。少し甘く作りすぎてしまったの。とても商品とは呼べないわ」

「――」

「何よ、諦めの悪い人ね。分かったわ、じゃあ少し時間をくださらない? そのままこれをお出ししちゃあ、プロとして失格ですもの」

「――」

「そうそう。大人しくゆっくりなさい。――くれぐれもお行儀良くね」

「――」




「待たせてしまって悪いわね……って、何をカウンター席で正座をしてるのかしら」

「――」

「その請うような目は止めなさい。あなたはお客様なのよ? 歓待するのが私の仕事なんですから、恐縮する必要なんて無いのに」

「――」

「……ああ、その目は何て言っても無駄そうね。分かったわ、好きになさい。それより――はい」

「――」

「甘いものはもっと甘く、それでいてほんの少しの苦味を感じるようにチョコレートを溶かして、さらにミルクを加えてみたの」

「――」

「写メをとらない、慌てて飲まない。少しはゆっくり楽しみなさいな」

「――」

「何よ、何か不服?」

「――」

「なるほど、いくら美味しくても、確かにこれを珈琲と呼ぶのは無理があるかもしれないわね」

「――」

「別に構わないわよ。お客様の意見は大切ですもの」

「――」

「確かに、あなたの意見も一理あるわね。でも、こうは考えられないかしら?」

「??」


「珈琲も人と同じで色んな顔を持っているの。だから、これはあなたの見たことのない珈琲の一面。ほんの少し垣間見た、秘密の顔なのかもしれないわよ」


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