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季節のよって魔法に変わる飲み物の話をしよう

「不思議なものだね。熱い珈琲を口に運んだだけで、世界が暖かく感じられる」

「自己陶酔も程々にしなさいな。私の珈琲にそんな魔法みたいな力はないわ」

「なるほど……実にマスターらしい言葉だ。……夢も希望もない」

「な!? ……その言い回しは癪に障るわね。訂正なさい」

「それじゃあ認めるんだね? マスターの珈琲には魔法の力がある」

「その言い方は嫌ね。それじゃあ、私が魔法使いみたいじゃない」

「確かに、言い得て妙だ。マスターは悪い魔法使いだ」

「即刻熱湯をぶちまけてやりたいところだけど……いいわ、我慢しましょう。それで?」

「そう睨まいで欲しいな。これでも僕は褒めているつもりなんだ」

「あらあら、人様に対してそんな褒め方があったなんて知らなかったわ。続きをどうぞ?」

「そこはかとなく恐怖を感じるんだけど……。とりあえず、その右手のポットは降ろそうか」

「お客様、残念ですけど、その注文はお聞きできません。さあ、早く続けなさいな」

「やれやれ、あまり結論を急ぐような会話は好みじゃないんだけどね」

「あら、貴方に主導権があると思って?」

「ああ、わかった。降参だよ。つまりはこういう事だ。マスターが悪い魔法使いだからこそ、僕はこの店を選んだんだ」

「はい? 今更また初来店の話を蒸し返すの? なかなかに陰湿な趣味ね」

「違うよ。いや、根本的には違うことはないんだけど、要は僕がこの店を気に入った一つの理由さ」

「それが私が悪い魔法使いって……貴方、頭の方は大丈夫なのかしら?」


「いや、残念ながら大丈夫じゃないんだろうね。結局は逃げられなくなってしまったんだよ。この温かい魔法から」

「……長い前振りだったわね。でもいいわ、そこまで言うなら堪能しなさいな。絶対に、体の芯まで温めてあげるんですから」

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