表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/66

損得勘定と粋な計らいについて話をしよう

「……貴方、いつもお任せを頼むわね」

「それが何か問題でも?」

「いいえ、別に問題ってほどじゃないんだけど……味はちゃんと分かっているのかしら?」

「まさか……僕を試す気かい?」

「あら、試されて合格するとでも?」

「前提条件が間違えているよ、マスター。僕にはそもそも、合格する気がない」

「随分と居直るわね。あまりにも真っ直ぐ過ぎて心地がいいわ」

「その割には頭を押さえるジェスチャーは取るんだね?」

「ええ、貴方と話してるといつもこうなるの」

「マスター、これでも僕はお客様だよ?」

「ええ、ええ、そうね。そうだったわね。貴方はお客様ですものね」

「さりげなく僕から伝票を取り上げるあたり、これは出入り禁止でも言い渡されるのかな?」

「あら、そこまで貴方は悪い事をしたのかしら?」

「まさか、僕にはそこまでの自覚はないね」

「それなら良いじゃない。……っと、追加でケーキを注文ですね、お客様?」

「悪辣なマスターだ。改竄ならせめて、もう少し分かりにくくしたらどうだい?」

「あら、私には追加注文の声が聞こえただけですもの。後ろめたいことなんて、何もありません事よ?」

「ああ、分かったよ。そこまで言うなら僕の完敗だ。追加でおすすめのケーキを頼めるかい?」

「……何よ、本当に甘い人ね。貴方、損な生き方をしているわ」

「損得勘定で生きてはいないよ。……まあ、得はしてないんだろうけどね」

「それが損してるって事なのよ。まったく、呆れてものも言えない」

「経営を一手に担うマスターからすれば、許せない生き方かい?」

「馬鹿ね、私がお客様に対してそんな事、思うわけないじゃない」

「ははっ、確かに。それはお客様に対して言える事じゃないのかもね。……ところで」

「何よ?」

「僕はこの店の大体のメニューは頼んだけど、このケーキに苺なんて乗ってたかな?」


「さあ、どうでしょう? 何せ、この店のマスターは気まぐれですから。お客様に等価以上を与える事もあるのかもしれないわよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ