表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
訪雲の記  作者: 万々万々
9/10

第8話 終戦

平八郎、丙吉、豪七らは関所へと駆け込んだ。関所の人たちは驚いていたが、平八郎らは事情を説明した。関所の人が調べたところによると、日の國も月の國も、非人道的な行為を行ったという報告は一切受けておらず、葉形覆三郎、そして葉形覆三郎の補佐が単独で行ったことがわかった。日と月、計9人が犠牲となったこの戦いは、こうして幕を下ろした。


関所の前にて、3人は別れの挨拶をしていた。

「日の者よ、そなたらの仲間を斬ったこと、深く詫びる。」

豪七は深々と2人に頭を下げた。

「豪七……と言ったかな。頭を上げてもらいたい。元々、覆三郎の策略によって我らは殺し合ったのだ。どちらにも非はない。こちらこそ、大事な友を斬ってしまった。」

平八郎も頭を下げた。それにならい、丙吉も頭を下げた。数秒経って、3人は同時に顔を上げた。

「先ほど小耳に挟んだが、今回の戦いの原因となった葉形覆三郎……は死亡しているな、及び補佐は、どうやら斬首刑となるそうだ。関所の奴らが話していた。」

「丙吉、いつの間に聞いていたのだ。」

「俺は耳がいいからな。」

「そうであったな。」

平八郎と丙吉の話を聞いていて、豪七は思わず笑ってしまった。

2人は怪訝な顔で豪七の方を向いた。

「いやな。さっきまで首を切り落としていた者たちが、こんな和気藹々とした話をするとは、面白いなと。」

「ふむ、確かにそうだな。」

平八郎もはにかみながら言った。

「そういえば2人とも、腹の傷は大丈夫か?」

豪七が2人の様子を見ながら言った。2人とも、先ほどまで治療を行っていた。

「腹は多少痛むがな。この分だと早くに治りそうだ。」

「全くだな。」

「そうか、それは良かった。」

「ところで平八郎よ。やはり『寅』の効果は持続したままか?」

丙吉が平八郎の顎を見ながら言った。丙吉も、『寅』のことは聞いていた。

「ああ、残念ながらまだ効力は残っている。もしかすると、これは胃から直接取り除く以外、治す方法はないだろうな。」

平八郎は、治療を受けている間にふと関所の人間と目が合ったのだが、彼もまた、固まってしまった。

「國へ戻り、医者に聞いてみる。胃を裂くぐらい、医者ならば簡単だろう。」

豪七は笑いながら、ふと空を見た。太陽が沈みかけていた。

「平八郎、丙吉。時間が迫っている。我らも別れの時よ。」

「ふむ、それもそうだな。」

「丙吉、我らもそろそろ帰るとするか。」

「そうだな。」

「それではな、豪七。」

平八郎は豪七に手を差し出した。豪七は、驚いた顔をしていた。平八郎の顔を見ようとしたが、直前で思い出して目線を手に戻した。豪七は平八郎の手に自分の手を差しだし、固く握手をした。丙吉も握手をした。

「ではな、平八郎、丙吉。次会うときは、茶でも飲もう。」

そう言って豪七は2人に背を向け、歩き出した。

「ああ。」

平八郎と丙吉もまた豪七に背を向け、國へと歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ