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訪雲の記  作者: 万々万々
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第0話 序幕

時は戦国。

各地で様々な戦いが行われていた頃、訪雲という場所では二つの國があった。

日の國、それは訪雲の西に存在する集団であり、太陽を崇め、活動している。

月の國、それは訪雲の東に存在する集団であり、月を崇め、活動している。

日と月の者は価値観の相違から相容れられず、東西に聳える山を境にそれぞれの生活を送っていた。

また、訪雲の真ん中には関所があり、日と月が争いを起こさぬよう監視をしていた。

関所の管理役である葉形覆三郎(はがたおおざぶろう)は両國に出向き、

日の國には「月の者は日の者の女を連れ去り、弄んでいる。」と伝え、

月の國には「日の者は月の者の子どもを連れ去り、過酷な労働をを強いている。」と伝えた。

日、月は双方憤慨し、両国は戦闘準備を行い、臨戦態勢であった。

そこで葉形覆三郎は、両国の伝達役を呼び寄せ、

「このまま全面戦争をしても崩壊するは必須。ならば自国で選りすぐった人を戦わせ、それで優劣をつけるがよい。さすれば、被害も最小限である。」と言った。

伝達役は國に帰り、各々の代表に葉形の申しを話し、両国代表はすんなりと受け入れた。両国はそれぞれ集まり、話し合いの場が設けられた。参加することで死ぬということに、参加を拒否する者もいた。しかし、各々身体と精神が強き者6人が集まり、関所へと向けて出発した。場所は東西を挟んだ中央にある訪雲関所。


関所には日の者6人、月の者6人、そして葉形覆三郎がいた。

「皆存じているとは思うが、今一度確認しておく。参加する者はそれぞれ6人。お互い東、西それぞれの門から出発し、先に全滅した方が負けとなる。途中で怪我、病に冒されたとしても、離脱は不可能である。」

葉形覆三郎は淡々と告げた。

「また、それぞれに武器を支給する。」

葉形覆三郎は横にいた補佐に目で合図すると、目の前にあった風呂敷をどけた。そこには日本刀が積まれていた。

「各自、1つずつ持って行くがよい。」

補佐が1人1人に配り始めた。

日、月の者は強面でそれぞれ受け取った。

「そして今回刀だけでは少し詰まらぬであろうと思い、関所全体に石を設置しておいた。」

一同は困惑した表情を浮かべた。

「その石は飲み込むことにより、少し人間離れした技を使えるようになるのだ。それぞれ効果は違うが、石のおいてある場所に一緒に説明書きをしておる。また、石は胃の中にとどまり続け、死んだ人間からはもちろん、生きている人間からも搾取できる。石は一人複数個持つことができる。まあ、基本的説明はここまで。あとはなにをしても構わん。では、それぞれの開始地点に行くから、付いてくるがよい。日の者は俺に、月の者はそこの者に連れて行ってもらえ。」

それぞれは睨み合うと、開始地点に向けて歩き出した。一番若い、日の者の青年は思った。手を伸ばせば届く距離にいるあの者らと、次にあったときは刃を交えばならぬのか、と。

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