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入学式前日と、それに纏わるエトセトラ(2)

 



 結果的に、魔力含有量計測機に何の異常も見られなかった。

 つまり、この美少女ーー佐々木なろみの持つ魔力は、数値化すると、たったの1ということになる。


 当の佐々木なろみは自分の後ろに並んでいた男子生徒と話していた。恐らく一緒に検査を周ってきたのだろう。先ほどから長い列に不平を漏らしたり、佐々木なろみを見るために列を乱したりしていた男子生徒たちの羨望と憎悪の視線がその男子生徒に注がれる。


 しかし、こちらの男子生徒も非常に容姿に恵まれていた。

 眉にかかる程度の金髪、鼻筋がよく通っている。目は大変細いが、瞳は澄んだ碧色であることが伺える。身長は高く、こちらも目測ではあるが、180センチ後半ほどであろう。足が長い。白衣を着たら様になるだろう、と自分の着ている薄汚れた白衣を見て思った。


「検査終わるまで、ちょっと待っといてや」

 

 その金髪碧眼の容姿からは予想もつかない、独特の訛りを含んでその男子生徒が言うと、佐々木なろみが頷いた。


「ここに居ると迷惑だろうし、ぼくは外で待っとくよ」


 ぼくっ娘かよ、と男子生徒たちが騒いだ。なろみと話していた男子生徒が眉をしかめたが、彼女は特に気にした様子もなく、検査室の外へ出て行く。

 私は、その男子生徒に、名前を言うよう伝える。


「サーラ。サーラ・クリストフ」

「そこの機械に、魔力を込めて手をかざして」


 はあい、と気の抜けた返事をして、サーラという名の男子生徒は計測器に手をかざした。

しかし、魔力を放出することはしなかった。手をかざしたまま、動かない。


「どうかしたかい?」


私が声をかけると、彼はこちらに顔を向けた。


「ここの学園の平均って、どれくらいなん?」

「魔力含有量の、ってことでいいかな?」

「そう。ここの学園の生徒の、魔力含有量の平均」

「全生徒の平均は大体5000くらいかな」

「あ、ほんなら、春から入学する奴らの平均ってどれくらい?」

「毎年、入学式前日に検査が行われているのだけれど、どの年も大体2000くらいに落ち着くよ。多少変動はあるけれどね」


 おおきに、とサーラは言って、改めて魔力含有量計測装置に向き直る。鈍色の光。 映し出された彼の魔力含有量を表す数値は、2000。


「ちょうど平均やね」


 彼が私に笑いかける。


「まるで狙ったみたいだ」

「そんな器用なことできひんよ。もう行ってええんかな、これ?」

「あ、少し待って」


 私はサーラ・クリストフの魔力含有量の欄に2000と書き込む。それから、お疲れさま、行っていいよ、と声をかけた。おおきに、ともう一度言って、彼はその場を後にした。

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