さあ、帰ろう
ギイイィィ・・・と重々しい音が響く。
「邪魔するぞ・・・!?」
扉の向こうには、不思議な光景が広がっていた。
壊れた玩具や新品のぬいぐるみ、壁は削れている部分もあればまだ新しいものもある。
部屋の机にカップが置かれ、鋏むように二人の少女が椅子に座っていた。しかし顔はこちらに向いている。
「やあ。お楽しみ中に悪いけど、ここに古明地こいしって子・・・いるかな?」
「私がこいしだよ。お兄さん誰?」
私から見て右の子が古明地こいしか・・・
「私はヘンリー。こいしちゃんに用があってここに来た。」
「用ってなあに?」
こいしとはまた別の子が寂しそうにこっちを見ている。
とりあえず話かけておこう。
「そっちの君は?」
「やっと聞いてくれた~・・・私はフランドール・スカーレットって言うの。」
「わかった。それで用件だが・・・」
私はさとりが心配していることと何故地霊殿に住んでいるかをを話した。
すると彼女はさとりの心配など気にする素振りも見せず、反論した。
「別にこいしは帰りたくないもん!」
「どうして?」
「だってお姉ちゃんは・・・」
「ん?」
少し間をあけ、こいしは泣きそうな顔で言った。
「お姉ちゃんもお空もお燐も遊んでくれないんだもん!」
フランドールは驚いた顔をしている。
「なあ・・・その話詳しく教えてくれないか?」
「やだ・・・だってみんな「忙しい」とか「また後で」って言ってごまかすじゃん!皆、私となんか遊びたくないの!」
「こいしちゃん・・・きっとそんな事ないよ?」
フランドールが慰めている。
彼女、古明か地こいしは、誰にも構ってもらえす、今日も一人でそこら辺を散歩してたようだな。多分。
フランドールは友人じゃないのか?
そういえは彼女は無意識を操れる力があるお燐が言ってたような・・・
それで気づかれなかったんじゃないのか?
「誰も遊んでくれなかったのか?フランドールは遊んでくれてるじゃないか。」
「地霊殿の皆が遊んでくれないの・・・」
「遊ぶだけなら私ならいつでも付き合ってやれるが・・・」
その途端こいしの瞳に微かに光が戻った。
「ホント?」
「ああ。」
「あ・・・ありがとう。」
どうやら機嫌がよくなったらしい。急に笑顔が戻った。
「じゃあ・・・帰ろ!」
無邪気に手を繋いでくるこいし。子供と手を繋ぐなんて久しぶりだ・・・
「さあ、帰ろう。」