こいしへの道
「あれ?ここは・・・神社か?」
さっきまでは森にいたのに・・・
森から出たのか?
「あれは賽銭箱か・・・。確か金を奉納すればいいんだよな。」
しかし今は一文無しだ。
「誰かいるのかな?」
きっと巫女か住職がいるだろう。
「おーい・・・」
返事は・・・ないな。
境内は綺麗に手入れされてるから、誰か住んでいるんだろうが・・・
もう少し大きな声で呼んでみる・・・か。
「おーい!」
むっ・・・裏から音がした・・・
「誰かいるか?」
「楽園の素敵な巫女がいますよ~っと・・・」
裏から声が聞こえ、変わった巫女服らしいものを着た女性が出てきた。
「私は博麗霊夢よ。それで、参拝にでも来てくれたの?」
「いや・・・そうじゃない。古明地こいしを探しに来たんだ。ちなみに私の名前はヘンリー・カタルトフだ。」
「ヘンリーね。私はさとり妖怪の妹なんて知らないわ。あ~・・・文なら知ってるんじゃない。」
「文?誰だそれは?」
「妖怪の山に住んでる天狗よ。うわ・・・噂をすれば、ね。」
空からこっちに向かって何かが飛んでくる。
人らしいが・・・
「うわっ!!」
すごい風圧だ・・・!
「清く!正しい!幻想郷の伝統文屋!射命丸文参上!」
「・・・」
幻想郷に来てから久しぶりにテンションの高い奴と出会えた・・・
「あなたがヘンリー・カタルトフさんですね!私は射命丸文と申します。文ちゃんとでも呼んであげてください!」
「え・・・?あ・・・ああ。あの・・・」
「古明地こいしのことですよね?それなら先日見かけましたよ。」
情報網が広いな。
しかし古明地こいしを見たのか・・・
案外すぐに見つかるかもな。
「どこで見た。」
「確か紅魔館の潜入取材をした時ですね。レミリアさんと何か話してましたけど・・・?」
「紅魔館?」
「霧の湖の傍にある真っ赤な館よ。言っとくけど、悪魔が住んでるわよ。」
悪魔か・・・
「あそこのメイドはすぐ襲い掛かってくるからね。武器も持たずに行くのはあいつに血を吸われて、吸血鬼になるのがオチよ。」
「それは恐ろしいな。」
「信じてないでしょ?」
「そんなことはない。妖怪ならいくらでも見てる。」
「そう・・・これを持っていきなさい。」
霊夢に渡されたのは、手紙だった。
「あやや?霊夢さんが手紙なんて、似つかわしくないですね。」
「なんなんだ?」
「プレゼントよ。」