姉妹 前編
目が覚めた。
昨日部屋を貸してもらってから、ベッドに横になっているうちに、寝てしまっていたようだ。
しかし、やけに息苦しい。何かが私に乗っかっている。
確認の為触れてみた。
「なんだこれ?かなり毛が生えているが・・・うわ!!」
突然私に乗っかっている生き物が、体を起こし、ベッドから飛び降りた。
「犬か・・・?」
謎の生き物は、私に構うことなく部屋を、出ていってしまった。
その後ホールに出てみたが、まるで動物園のようだった。
犬、猫、虎、鳥、さらに幽霊までもが、私を囲んで、匂いを嗅いだり、すり寄ってきたり、頭が混乱しそうだった。
しばらく歩いていると、ようやく人の姿をした女と出会えた。
その姿もやはり動物のようで、猫の耳と尻尾がついていた。
「ん?お兄さん誰?」
「ヘンリーだ。」
「ああ~お兄さんがさとり様が言ってた、ヘンリーさんだね。」
少女は、手のひらを拳でポンとたたく。
「あたいは火焔猫燐っていうんだ、お燐でいいよ。よろしくね!」
「ああ、よろしく。」
そういうと、火焔猫燐と名乗った少女は、私の手を握ってきた。
「っと・・・あたいはそろそろいかないと。怨霊は幻想郷のどこにでもいるからね~」
怨霊?
「さとり様に用があるんなら、ああ行ってこう行ってこうだからね。」
「ああ行ってこう行ってこうだな。なんとなくわかったよ。」
「うん。それじゃあね!」
お燐は走ってどこかに行ってしまった。
途中派手にずっこけてたが大丈夫だろうか・・・
さとりの部屋についた。すぐにわかった。
壁に大きく「さとりさまのへや」と掛かれていた。
「さとり、いるか?」
「・・・」
いる気配はするが、出てこない。
昨日会ったとき、疲れた顔をしていたので、部屋で休んでいるのかもしれない。
「入るぞ。」
悪い気はしたが、入ることにした。
「・・・」
やはりさとりは部屋にいた。
しかし、ベッドにうつぶせで、身動き一つしなかった。
「あの・・・大丈夫か?」
声をかけても起きない。
寝てはなさそうなのだが・・・
「おーい・・・」
熱でもあるのか?
そう思い、仰向けにしてみると、威圧感がある目で、ジロリとこっちを見られた。
「どうしたんだ?」
「今は一人にしてください。」
あっけなく答えられた。
絶対に何か隠している。