地底
若干シリアスになりましたけどいいですよね?
あの世から、帰還し、目の前に広がるのは、昔のニッポンのエドジダイという風景そっくりだった。
「寒いな・・・雪が積もっている。どこか宿でも・・・しまった、金が無い。」
これで本格的に困って来た。
私は今一文無しだ。その上この寒さ。
下手すればまたあの世行きだ。
「ふう・・・どうしたものか。・・・むっ?」
背後に気配を感じ、後ろを見るが、誰もいない。
「なんなんだ?誰かいるのか?」
呼んでも誰も出てこない。
不気味になってくる。
「早く宿を探そう。」
確実に誰かに尾行されているが、振り返ると、誰もいない。
恐怖と焦りが同時にこみ上げてくる。人気のない場所で、殺されるみたいに・・・
(ん・・・あれは?)
大きな館がある。
もしかしてホテルかなにかか?
違うくても、一泊ぐらいなら・・・
「邪魔・・・するぞ?」
これまた幼稚園児のような服を着た、少女と出会った。
胸元には、でかい目玉のようなものが着いている。
「こんな夜分遅く人間が・・・どうなさったんです?」
「すまない。宿を探しているんだが、部屋は開いているか?」
「開いてますけど・・・ここは宿じゃないですから・・・申し訳ないですけど、ヘンリーさんにはお引き取りお願いします。」
そうなのか・・・残念だ。
「そうですよね。しかし私としても・・・「待ってくれ」・・・はい?」
「どうして私の考えていることが分かるんだ?」
「私は、心を読む程度の能力を持っています。」
そうなのか・・・
「嫌ですよね。こんなの・・・私古明地さとりは、相手の心を口にしてしまうのは、よくないことと分かってはいるのですが・・・」
「私は・・・別に構わない。」
「え?」
「あ~・・・私は、心を読んで声に出してしまうのは、悪いことではないと思っている。流石に・・・命に変えても言われたくないことは、ちょっとあれだが・・・」
「優しいんですね・・・」
「え?」
「あの・・・その・・・普通人間なら嫌がるのに、あなたはそうは考えず、私の能力に肯定してくれた。」
そんなに嬉しいのか?
「はい。・・・ペット以外に分かってもらえると・・・ちょっと嬉しいです。」
涙を浮かべて微笑んでいるが、それは嬉し涙だろう。・・・多分
その日から、私はしばらく地霊殿に居候させてもらうことになった。せめてもの感謝の気持ちだという。
最後から三行目の文章は、天の声だったんだよ・・・