三途の川
「う・・・生きている?」
谷底に落ちて、死んだはずだが・・・
「んあ。目覚めたのかい。」
突然声をかけられ、後ろを見る。
えらく変わった服を着た女性が、椅子に座っていた。
「ああごめん。脅かすつもりはなかったんだけど・・・あたいは小野塚 小町だ。川辺で倒れてたけど、大丈夫かい?」
「ああ。あんたが助けてくれたのか、有難う。」
とりあえず礼を言う。
自身も名前を言おうとするが
「おしっ!傷も痛んでなさそうだし、私が地上まで送ってやるよ。」
「え?あ・・・ありがとう。」
そして小野塚と名乗った人物と、行動を共にすることとなった。
「なあ、ここはどこなんだ?」
「ん?あの世だよ。幻想郷の、あの世の三途の川。」
「じゃあ・・・私は死んだのか?」
「いや、んなこたぁないよ。さっきまで死にかけてたけど、このあたいの気まぐれで生き長らえたのさ。」
そういって胸を張る小野塚
私にそんな趣味はない。
「幻想郷とは?どこかの地名かなにかか?」
「あ~幻想郷っていうのはな・・・」
「・・・」
「ざっとこんなもんさね。ふふっ・・・長くて悪かったね。おっと・・・あそこに向かっていけば、地上に帰れるよ。」
いつの間にか、そんなに近づいていたのか。
「有難う小野塚。感謝するよ。」
「いいのさ。どうせヒマだったし。そういえば名前聞いてなかったね。なんていうんだい?」
「私は、ヘンリー・カタルトフだ。」
「ほいほい。んじゃ、もしまたここに来たら、外の世界の話、聞かせてね。」
「ああ。それでは、また。」
そう言って、ヘンリーは光に向かって歩いていった。