episode6 解決へーー
柏木さんと一緒に奥に進んだ。
進んだ先は、不良集団が捨てたゴミの山であった。
「なっ……、なんで来んだよ! 用があるのは、アイツらじゃねーのかよ!?」
怯えるような口調で飯田が言う。
「ふざけるな! 元々、あんたがこんな所に入らなければ、柏木さんがあんな目に合わなかったんだ!!」
―――
正直、頭に血が登っていたので、ここからの記憶は、覚えていない。
ここから先は、柏木さんたちが話したことだ。
―――
「あんたはなんでこんなクソみたいな所に入った!? あんたはなんで柏木さんと付き合った!? あんたはなんでその彼女をいじめるんだ!?」
私は怒鳴るように言ったらしい。そして彼は、泣き始めたそうだ。
「俺は……、強くなりたかったんだ」
「……えっ……?」
私と柏木さんは驚いたようだ。
「俺ん家は、親が大企業を経営してて……。しかも両親共にエリートで……。俺はそんな二人に比べたら全然駄目で……」
彼は、涙を拭い、強い口調でこう言ったそうだ。
「でも俺は一度も二人みたいになりたいとは思ったことない。でも、周りがプレッシャーをかけるんだ。そのプレッシャーに勝てる程の強さを手に入れたかったんだ。
だから……」
「だから!? ……だからって、人を傷つけちゃ、駄目でしょ!?」
「……!!」
「元々、苦しんでいたあんたが、苦しんでる人の気持ちが分かるあんたが、人を苦しめたら、駄目じゃない……。この、バカ!!」
その言葉と共に、彼は私の右手により大きな衝撃を与えられたらしい。
「……ごめん……なさい……。柏木……、……ごめん」
飯田の身体が地面へと崩れて、やがて土下座したようだ。そこに彼女がしゃがみ込んだらしい。
「いいよ。……もういい。……また、付き合ってくれる?」
彼女は泣きながら笑顔で聞いたらしい。
「あぁ。ありがとう、ありがとう!!」
彼は涙を流しながら二人は抱きしめ合ったらしい。
その後、(私を含む)生徒会メンバーは、不良集団のリーダーに飯田の解雇を要求したらしい。
結果はOKだったらしい。
そして、柏木さんによると、もう一つ質問をして、最後に私はこう言ったらしい。
「――この質問をした事は内密に――」
―――
次の日の放課後。
私は屋上の網の前で風景を眺めていた。
「……会長、呼びました?」
田所さんが来た。
「うん。ごめんね、急に呼び出して」
「……それで? 何ですか? ……話って」
「二年前って言って、分からない訳ないよね……?」
「……。会長、今日の生徒会の会議の時、記憶がないって、あれ、嘘ですよね?」
「……やっぱり見抜かれてた?」
「見抜いてました」
「……やっぱり、田所さんだけは、嘘はつけないな〜」
「……で? その二年前のことについて、何か分かったんですか?」
「……うん。ちょこっとね」
そう呟くと、後ろから走っていく足音が聞こえた。
誰かがいたのだろうか?