厄日は続くよどこまでも
本当だったらおやつをつまみたい時間の3時半過ぎ。
「ふうあー、きつかったー・・・・・!」
「お昼今だったんですか、お疲れ様です」
待望のお弁当を片づけて、休憩室で毛布にくるまりごろんと横になる。
ようやくとれた休憩時間。
遅番の一部がもう徐々にあがってきていることに若干のいら立ちを覚えるが、膨れたおなかがささくれた気持ちを静める。
後の30分は昼寝するぞー。
そしたら今日はあとすこしだけ仕事すれば終わりだ。
さすがに疲れた体がうと、と睡眠を取り始める。心地よいまどろみ。
ふっと意識が落ちて包まれ・・・たその時に、急に携帯がバイブ振動。
「・・・あぁ?なに・・・・」
いいところだったのになんだよ、とさすがにぷちん、とくる。
見ればメール通知。
誰からだ、ふざけんな。さすがに今のタイミングは無い。というか今日はそんなことだらけなんだが。
確認したないように、思わず目を細める。
「・・・本気で厄日だったか」
やっぱりあのカフス、なんか憑いてるんじゃないのか、と疑いたくなっても仕方ないように思う。
素直にひいさまにでも視てもらうべきだったろうか、今更後の祭りだけど。
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送信者:雛
件名:お久ぶりです
本文:ご無沙汰しております。
突然で申し訳ありませんが、近日中のご予定の方は如何でしょうか。
旦那さまがお会いしたいと申しております。
用件のみで申し訳ありません。
お手すきになりましたら折り返しのご連絡をお待ちしております。
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静まり返った夕闇のなか、電子音が響く。
ピ、ピ、ピ、ピ。
幾度かのコール音、通話相手が出るのを待つ。
―ただいま、電話に出ることができません。発信音の後にメッセージを・・・
軽い舌打ち。
確実に居留守だろうな、と見当がついているから余計に腹が立つ。
「私です。連絡は受けました。そちらにお伺いするのは知っていらっしゃるでしょうが空いている今週末でしたら。・・・わざわざ周りくどい手をお使いにならずご自分でご連絡ください。では」
眉間の皺がとれることはないまま、携帯の通話を切る。
不愉快な男だ。
が、一番不愉快なのは最後のツテとしてもはやこの男に連絡を取らなければならないこの状況だろう。
ぎり、と歯噛みして彼女は手を握り締めた。
静まり返った夕闇のなか、電子音が響く。
ピ、ピ、ピ、ピ。
幾度かのコール音、通話相手が出るのを待つ。
―はい、もしもし。連絡を待っていたよ。
思わずイラっとくる発言に軽い舌打ち。
その反応すら相手を楽しませるものでしかないことに余計に腹が立つ。
「雛経由で無くて自分で連絡してきてください、この暇人が。というより雛に電話してなんで貴方が出るんですか・・・え?週末?確かに空いてますけど・・・迎えを寄こす?ちょっと?!」
眉間の皺がとれることはないまま、携帯の通話を切られる。
相変わらずのなんたる傲慢。
それに何を考えているのかよくわからない。
・・・週末になれば判るのだろうか。
「・・・なんだってのよ」
ああ、やはり厄日だ。