トラックに跳ねられたら異世界転生…と思いきや、トラック側が異世界転生して俺が魔王に誤認されたので、とりあえずステータスをバグらせて、ついでに文字数を
稼ぐためにスキル名をクソ長くしたら、なんか聖女様が「くっ、殺せ!」と言いながらバフをかけてくる件について』
俺はどこにでもいる、ごく普通の、本当にどこにでもいるただの高校生。……だった。
「おいおい、嘘だろ……?」
俺がそう呟いたとき、目の前にはヘッドライトをギラギラと輝かせた、親の顔より見た「あのトラック」が迫っていた。
キキィィィィィィッ!!!なろう小説の第1話で世界一よく働くと言われているホワイトトラック。通称・転生トラックである。
俺は思った。あ、これ死んだわ。
そして異世界に行って、なんか女神的なアレに会って、チート能力をもらって無双するやつだわ。
よし、心の準備はバッチリだ。
いつでも来い、ステータス画面!――ドゴォォォォン!!!ものすごい衝撃。視界が真っ白になる。
しかし、俺の意識はなぜかハッキリとしていた。
「う、うお……? ここは……?」
気がつくと、俺は青い空と白い雲、そして見渡す限りの大草原に立っていた。
土と草の匂いが鼻をくすぐる。
間違いない、異世界だ。だが、何かがおかしい。
「おい、ちょっと待て」
俺の目の前には、ベコベコに凹んだフロントガラスと、謎の魔力(?)でプスンブスンと黒煙を上げている『あのトラック』が、横倒しになって鎮座していた。
「なんでお前も一緒に来てんだよ!!!」
通常、トラックは現世に残り、跳ねられた人間だけが魂として転生するはずだ。
しかし、どう見てもこのトラックは質量を持って俺と一緒に異世界の大地にランディングしている。
その時、頭の中に直接、妙に機械的な声が響き渡った。
『ピピピッ。対象の異世界転移を確認しました。なお、転移の衝撃によりシステムに致命的なエラーが発生。跳ねた側と跳ねられた側の因果律が逆転しました。これより、トラックを【主】、佐藤太郎を【付属のアクセサリー(車載フィギュア)】として登録します』
「扱いがひどすぎるだろ!!!」
俺はアクセサリーかよ。
しかも車載フィギュア。
さらにアナウンスは続く。
『エラーの修正を試みます……失敗しました。これにより、トラックは異世界において【伝説の魔導鉄獣・イセカイトラック】に進化。佐藤太郎には、トラックの排気ガスを浴び続けた副産物として、バグ能力が強制付与されます』
「副産物って言うな! あとイセカイトラックって名前そのままだろ!」
『なお、周囲の魔族からは、あなたが【トラックを降臨させた未曾有の魔王】として認識されます。健闘を祈ります。ピピッ』
「いや説明雑ゥゥゥゥッ!!」
こうして、俺の異世界生活は、史上類を見ない「トラックのオプションパーツ扱い」から幕を開けたのだった。




