【番外編1】★背中合わせの月夜に★(モノローグ追加|宣言)
ジェイドは屋敷の一室に通された。
ーアイリスはどこだ?ー
彼女のことが気になって仕方なかった。
今夜は冷え込むし、風邪をひいたら大変だ
使用人から彼女は別室にいると聞いたがどこか、不安気な感じだ。
-アイリスになにがあった?
こっそり彼女が居るであろう部屋の隙間をそっと開けると
薄い毛布にくるまって小さくなっているアイリス。
ー寂しそうな目をしていた。
彼女はオレの様子に気づいた。
アイリス「:::::::ご主人様が来てくれるとは思いませんでした」
ジェイド「風邪ひくぞ。一緒に暖を取ろう。な?」
さっきまで不安げな彼女の顔が一瞬きょとん・・・
目を大きくし最初は戸惑うアイリス。
二人の距離が少しずつ近づき やがて背中合わせになる二人。
ジェイド「この部屋、寒いな。オレのせいじゃないけど、……ごめん」
彼女は慌ててい―「え……いえ、あたたかいです。……今は」
ー沈黙だけが支配する空間
窓辺に 照らす月明りだけが二人を照らしていた。
雨音だけが響く空間
アイリス(……このぬくもりが、壊れないように。
ご主人さまが……ずっと、ここにいてくれますように)
(……こんなふうに、背中越しに誰かの体温を感じたのなんて、いつ以来だろう)
(あの夜……「ありがとう」って言っただけだった。何がどうなったかなんて、わからなかった)
(でも、今ならわかる。あの時、胸の奥が……ぽかぽかしてた)
(きっと、あれが――はじまりだったんだ)
役者になれなかった。
声優にもなれなかった。
だから、書いた。
誰かの胸に、ちゃんと届くように。
それだけです。
──この想いの続きを、語ってください。
あなたの言葉で。あなたの視点で。
僕は、語りません。
でも、君たちならきっと、伝えてくれると信じています。