【相談室RADIO 第8回】★彼女の笑顔と街に潜む陰
こんばんは、アイリスです。
今回は、ちょっといたずら好きなゲスト――デイジアさんをお迎えして、「街に潜む噂話」をテーマにお届けします。
夜の街には、楽しいことも、不思議なことも、少しだけ怖いことも……たくさん隠れています。
あなたの街にも、こんな影が潜んでいるかもしれませんよ?
それでは、どうぞ最後までお楽しみください――。
【SE:軽快なオープニングBGM】
アイリスが、マイクの向こうに向けて明るく声を響かせた。
「皆さんこんばんは、『メリトクラシア・ラジオ』のお時間です。本日のテーマは――『街に潜む噂話』!」
「そして今日は、特別なゲストをお迎えしています。……ちょっと小悪魔で、いたずら好きな方――デイジアさん、どうぞ!」
呼ばれた瞬間、デイジアは椅子をくるりと回しながら腰かけ、足をぶらぶらと揺らす。
「はーい、こんばんは〜。あんまり優しくしないでくださいね、MC泣かせちゃうかもですし?」
にやり、と唇の端を吊り上げ、アイリスを見上げる視線に悪戯っぽい光が宿る。
「……ふふ、それは楽しみですね」
アイリスは微笑んで返すが、少しだけ肩をすくめた。
「今日は、リスナーさんから寄せられた“街の不思議”を一緒に楽しんでいきましょう」
「ふふん、任せてください。そういう話、大好物なんですから」
デイジアは肘を机につき、マイクにぐっと顔を近づける。その動きに、彼女の瞳がわずかにきらめいた。
「では、さっそく最初のコーナーに行きましょうか」
言葉に合わせて、BGMが少しボリュームを増す。
リスナーが笑顔になる空気の奥に、わずかな棘が潜む――まさにデイジアらしい幕開けだった。
【SE:ジングル/コーナー切り替え】
【SE:街のざわめき、夕暮れの鐘の音】
アイリス:「さっきスタジオに来る前、少し街を歩いてきたんですけど……夕暮れの露店って、やっぱり独特の香りがありますよね」
デイジア:「あー、わかります。でも、人混みはちょっと……ね」
アイリス:「苦手なんですか?」
デイジア(わざとらしく肩をすくめて):「ん〜……だって、あんまり近づかれると、匂いとか鼓動とか……丸聞こえじゃないですか」
アイリス(少し目を細めて):「……それはまた、独特な理由ですね」
【SE:ざわめきが一瞬フェードアウト → 無音 → 再びざわめき】
裏ネクサス(低く):「苦手、ねぇ……その理由は、聞かないでおこう」
デイジア(くすっと笑って):「聞いたら、夢見が悪くなっちゃいますよ?」
アイリス:「……さて、人混みを避けて歩くときって、景色が少し特別に見えませんか?」
デイジア:「うん、隙間から見えるものって面白いです。たとえば――」
デイジアは、マイク越しにわざと声を潜める。
「路地の奥で、誰かがこっちを見てたとか……そういうの」
アイリス:「……怖い話のはずなのに、なんだか楽しそうですね」
デイジア:「ふふっ、そういうのが一番ゾクゾクするんですよ」
【BGM:街の音が薄まり、次のコーナーの雰囲気に切り替わる】
【SE:紙をめくる音】
アイリス:「それでは、ここからはリスナーさんから寄せられた“街の不思議”をご紹介します」
デイジア:「おっ、やっと本番って感じですね」
アイリス:「……本番って」
デイジア(にやにやしながら):「MCさん、ビビってないですよね? 今から怖い話、いっぱいしますけど」
アイリス:「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫ですよ」
裏ネクサス(低く):「大丈夫、か……」
【SE:小さな鐘の音 → 静かなBGM】
アイリス:「最初のお便りは……『夜中にだけ開く喫茶店』」
デイジア:「あ、それ行きたいです。絶対行きたい。……で、MCさんも一緒に行きましょうよ」
アイリス:「なんで私もなんですか」
デイジア:「だって一人じゃ怖いでしょ? ほら、私優しいから」
裏ネクサス:「優しさの刃は、切っ先を隠すものだ」
【SE:紙をめくる音】
アイリス:「では二つ目のお便り。『赤い月の夜に現れる影』」
【SE:低音の弦、空気がわずかに重くなる】
デイジア:「…………」
アイリス:「……どうしました?」
デイジア(わざとらしく笑って):「え、なに? 私、変な顔してました?」
アイリス:「少し黙っていたので」
デイジア:「別に〜……。あ、もしかしてMCさん、私が“影の正体”だったらどうします?」
アイリス(即答で):「困ります」
デイジア:「ふふっ、即答とかひどーい」
裏ネクサス:「否定の速さが、逆に怪しいな」
アイリス:「さて……お次のお便りは――」
【BGM:少し明るめに切り替え】
【BGM:軽快で少し緩いテンポに】
アイリス:「では、ちょっと一息。甘い話にしましょうか」
デイジア:「やったー。怖い話ばっかだと、MCさん顔が固くなってますもん」
アイリス:「そんなことありません」
デイジア(くすくす笑って):「うそ。さっき、赤い月の話になったとき、絶対まばたき増えてましたよ」
アイリス:「……細かく観察してますね」
デイジア:「観察は得意なんです。……狩りのために」
裏ネクサス(低く):「笑ってるけど、甘い香りの中にも鉄の味は混じるもんだ」
【SE:軽い笑い声エフェクト】
アイリス:「鉄の味って……例えが怖いです」
デイジア:「でも印象には残るでしょ? ふふ、いい話ってそういうものですよ」
アイリス:「いい話の定義が歪んでます」
デイジア:「歪んでるほうが面白いんですって。真っ直ぐだと、すぐ飽きちゃう」
アイリスは苦笑しながら、手元の原稿に目を落とした。
「……さて、そろそろ次の方からの投稿を――」
【BGM:徐々にフェードアウト→静かな間】
【SE:ドアが静かに開く音】
アイリス:「……あら?」
番組の空気を切るように、ドアの向こうから長い影が差し込んだ。
ヴィオラ:「失礼。――あら、収録中だったのね」
アイリス:「ヴィオラさん? どうされたんですか」
ヴィオラは室内を一瞥し、その視線をデイジアで止める。
「最近、不穏な動きが増えているわ。……気をつけることね」
デイジア(にやりと笑いながら):「……もしかして、私のこと心配してくれてるんですか?」
ヴィオラ:「警告よ」
裏ネクサス(低く):「心配と警告は、同じ扉の両側だ」
【SE:低音弦がふっと響く】
アイリス:「……あ、リスナーの皆さんも、夜道にはお気をつけくださいね」
ヴィオラは何も言わずにデイジアから目を離さない。
デイジア(小声で):「……睨まれると、逆にゾクゾクしますね」
アイリス:「デイジアさん……」
ヴィオラ:「……その口、後で閉じさせる必要がありそうね」
デイジア(わざとらしく頬杖をつき):「あー怖い怖い」
【BGM:緊張感を残したまま徐々にフェードアウト】
【BGM:やや落ち着いたエンディング曲】
アイリス:「さて、そろそろお別れの時間が近づいてきました」
デイジア:「えー、もう終わりですか? もっと話したかったのに」
アイリス:「あまり長くすると、リスナーさんの夜が長くなりすぎますから」
デイジア(くすっと笑って):「……じゃあまた、どこかの街角で」
その言い方は、妙に含みがあった。
アイリス:「ええ、また街で会いましょう」
デイジア:「次は……もっと面白い話ができるかもしれませんよ?」
裏ネクサス(低く):「深淵からの声が、すぐそこまで来てる」
【SE:軽い予告ジングル】
アイリス:「次回は――『深淵の囁きと選ばれし者の決意』。お楽しみに」
デイジア(マイクから少し離れて、囁くように):「ねえMCさん……そのときは、私の話もちゃんと聞いてくれます?」
アイリス:「……考えておきます」
【SE:BGMフェードアウト/END】
お聞きいただきありがとうございました。
デイジアさん、やっぱり自由すぎますね……。でも、そこが彼女の魅力でもあります。
街の噂話は笑いながら聞くのが一番ですが、中には本当に気をつけたほうがいいものもあります。
今夜はどうか、安全な夜をお過ごしください。
次回は【相談室RADIO 第9回】★深淵の囁きと選ばれし者の決意★。
……少し、真面目なお話になるかもしれません。お楽しみに。
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