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メリトクラシア  作者: Lancer
第5章:希望の階段
70/88

【相談室RADIO 第8回】★彼女の笑顔と街に潜む陰

こんばんは、アイリスです。

今回は、ちょっといたずら好きなゲスト――デイジアさんをお迎えして、「街に潜む噂話」をテーマにお届けします。

夜の街には、楽しいことも、不思議なことも、少しだけ怖いことも……たくさん隠れています。

あなたの街にも、こんな影が潜んでいるかもしれませんよ?


それでは、どうぞ最後までお楽しみください――。

【SE:軽快なオープニングBGM】

 アイリスが、マイクの向こうに向けて明るく声を響かせた。

「皆さんこんばんは、『メリトクラシア・ラジオ』のお時間です。本日のテーマは――『街に潜む噂話』!」


「そして今日は、特別なゲストをお迎えしています。……ちょっと小悪魔で、いたずら好きな方――デイジアさん、どうぞ!」

 呼ばれた瞬間、デイジアは椅子をくるりと回しながら腰かけ、足をぶらぶらと揺らす。

「はーい、こんばんは〜。あんまり優しくしないでくださいね、MC泣かせちゃうかもですし?」

 にやり、と唇の端を吊り上げ、アイリスを見上げる視線に悪戯っぽい光が宿る。


「……ふふ、それは楽しみですね」

 アイリスは微笑んで返すが、少しだけ肩をすくめた。

「今日は、リスナーさんから寄せられた“街の不思議”を一緒に楽しんでいきましょう」

「ふふん、任せてください。そういう話、大好物なんですから」

 デイジアは肘を机につき、マイクにぐっと顔を近づける。その動きに、彼女の瞳がわずかにきらめいた。


「では、さっそく最初のコーナーに行きましょうか」

 言葉に合わせて、BGMが少しボリュームを増す。

 リスナーが笑顔になる空気の奥に、わずかな棘が潜む――まさにデイジアらしい幕開けだった。


【SE:ジングル/コーナー切り替え】


【SE:街のざわめき、夕暮れの鐘の音】

 アイリス:「さっきスタジオに来る前、少し街を歩いてきたんですけど……夕暮れの露店って、やっぱり独特の香りがありますよね」

 デイジア:「あー、わかります。でも、人混みはちょっと……ね」

 アイリス:「苦手なんですか?」

 デイジア(わざとらしく肩をすくめて):「ん〜……だって、あんまり近づかれると、匂いとか鼓動とか……丸聞こえじゃないですか」

 アイリス(少し目を細めて):「……それはまた、独特な理由ですね」


【SE:ざわめきが一瞬フェードアウト → 無音 → 再びざわめき】

 裏ネクサス(低く):「苦手、ねぇ……その理由は、聞かないでおこう」

 デイジア(くすっと笑って):「聞いたら、夢見が悪くなっちゃいますよ?」


 アイリス:「……さて、人混みを避けて歩くときって、景色が少し特別に見えませんか?」

 デイジア:「うん、隙間から見えるものって面白いです。たとえば――」

 デイジアは、マイク越しにわざと声を潜める。

「路地の奥で、誰かがこっちを見てたとか……そういうの」

 アイリス:「……怖い話のはずなのに、なんだか楽しそうですね」

 デイジア:「ふふっ、そういうのが一番ゾクゾクするんですよ」


【BGM:街の音が薄まり、次のコーナーの雰囲気に切り替わる】


【SE:紙をめくる音】

 アイリス:「それでは、ここからはリスナーさんから寄せられた“街の不思議”をご紹介します」

 デイジア:「おっ、やっと本番って感じですね」

 アイリス:「……本番って」

 デイジア(にやにやしながら):「MCさん、ビビってないですよね? 今から怖い話、いっぱいしますけど」

 アイリス:「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫ですよ」

 裏ネクサス(低く):「大丈夫、か……」


【SE:小さな鐘の音 → 静かなBGM】

 アイリス:「最初のお便りは……『夜中にだけ開く喫茶店』」

 デイジア:「あ、それ行きたいです。絶対行きたい。……で、MCさんも一緒に行きましょうよ」

 アイリス:「なんで私もなんですか」

 デイジア:「だって一人じゃ怖いでしょ? ほら、私優しいから」

 裏ネクサス:「優しさの刃は、切っ先を隠すものだ」


【SE:紙をめくる音】

 アイリス:「では二つ目のお便り。『赤い月の夜に現れる影』」

【SE:低音の弦、空気がわずかに重くなる】

 デイジア:「…………」

 アイリス:「……どうしました?」

 デイジア(わざとらしく笑って):「え、なに? 私、変な顔してました?」

 アイリス:「少し黙っていたので」

 デイジア:「別に〜……。あ、もしかしてMCさん、私が“影の正体”だったらどうします?」

 アイリス(即答で):「困ります」

 デイジア:「ふふっ、即答とかひどーい」

 裏ネクサス:「否定の速さが、逆に怪しいな」


 アイリス:「さて……お次のお便りは――」

【BGM:少し明るめに切り替え】


【BGM:軽快で少し緩いテンポに】

 アイリス:「では、ちょっと一息。甘い話にしましょうか」

 デイジア:「やったー。怖い話ばっかだと、MCさん顔が固くなってますもん」

 アイリス:「そんなことありません」

 デイジア(くすくす笑って):「うそ。さっき、赤い月の話になったとき、絶対まばたき増えてましたよ」

 アイリス:「……細かく観察してますね」

 デイジア:「観察は得意なんです。……狩りのために」

 裏ネクサス(低く):「笑ってるけど、甘い香りの中にも鉄の味は混じるもんだ」


【SE:軽い笑い声エフェクト】

 アイリス:「鉄の味って……例えが怖いです」

 デイジア:「でも印象には残るでしょ? ふふ、いい話ってそういうものですよ」

 アイリス:「いい話の定義が歪んでます」

 デイジア:「歪んでるほうが面白いんですって。真っ直ぐだと、すぐ飽きちゃう」


 アイリスは苦笑しながら、手元の原稿に目を落とした。

「……さて、そろそろ次の方からの投稿を――」

【BGM:徐々にフェードアウト→静かな間】


【SE:ドアが静かに開く音】

 アイリス:「……あら?」

 番組の空気を切るように、ドアの向こうから長い影が差し込んだ。

 ヴィオラ:「失礼。――あら、収録中だったのね」

 アイリス:「ヴィオラさん? どうされたんですか」

 ヴィオラは室内を一瞥し、その視線をデイジアで止める。

「最近、不穏な動きが増えているわ。……気をつけることね」


 デイジア(にやりと笑いながら):「……もしかして、私のこと心配してくれてるんですか?」

 ヴィオラ:「警告よ」

 裏ネクサス(低く):「心配と警告は、同じ扉の両側だ」


【SE:低音弦がふっと響く】

 アイリス:「……あ、リスナーの皆さんも、夜道にはお気をつけくださいね」

 ヴィオラは何も言わずにデイジアから目を離さない。

 デイジア(小声で):「……睨まれると、逆にゾクゾクしますね」

 アイリス:「デイジアさん……」

 ヴィオラ:「……その口、後で閉じさせる必要がありそうね」

 デイジア(わざとらしく頬杖をつき):「あー怖い怖い」


【BGM:緊張感を残したまま徐々にフェードアウト】


【BGM:やや落ち着いたエンディング曲】

 アイリス:「さて、そろそろお別れの時間が近づいてきました」

 デイジア:「えー、もう終わりですか? もっと話したかったのに」

 アイリス:「あまり長くすると、リスナーさんの夜が長くなりすぎますから」

 デイジア(くすっと笑って):「……じゃあまた、どこかの街角で」

 その言い方は、妙に含みがあった。


 アイリス:「ええ、また街で会いましょう」

 デイジア:「次は……もっと面白い話ができるかもしれませんよ?」

 裏ネクサス(低く):「深淵からの声が、すぐそこまで来てる」


【SE:軽い予告ジングル】

 アイリス:「次回は――『深淵の囁きと選ばれし者の決意』。お楽しみに」

 デイジア(マイクから少し離れて、囁くように):「ねえMCさん……そのときは、私の話もちゃんと聞いてくれます?」

 アイリス:「……考えておきます」

【SE:BGMフェードアウト/END】



























 







お聞きいただきありがとうございました。

デイジアさん、やっぱり自由すぎますね……。でも、そこが彼女の魅力でもあります。

街の噂話は笑いながら聞くのが一番ですが、中には本当に気をつけたほうがいいものもあります。

今夜はどうか、安全な夜をお過ごしください。


次回は【相談室RADIO 第9回】★深淵の囁きと選ばれし者の決意★。

……少し、真面目なお話になるかもしれません。お楽しみに。


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Twitter(X):Lancer(@BrcbGhpxvO660fL)


note:https://note.com/lancer_official







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