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メリトクラシア  作者: Lancer
★【第4章】《学園編》★ テーマ:階級を超えた友情と成長
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【第25話】★ノウス近衛の影★

【決闘の影、動き始める審問庁──】

前話で描かれた決闘の余波が残る中、ジェイドはついに“特例昇格”の承認を受けます。

しかしそれは同時に、彼が「監視される側」の人間になったことを意味していました。


今話は、ロータス直属近衛たちが水面下で動き出し、ジェイドの進む道に新たな緊張が生まれるエピソード。

光と影が交錯する、学園編本格始動前の“静かな波紋”をお楽しみください。


王都の空気は昼よりも冷えていた。

決闘が終わってなお、街の空気にはどこか張り詰めた緊張が残っている。


ジェイド・レオンハルトは、黒い馬車の中で膝の上に置いた両手を見つめていた。

指先にまだ、あの戦いの余韻が微かに残っている。


(……勝った、のか。けど……)

勝利の実感よりも、背筋を這い上がる冷たい感覚が強かった。


「この先、君が進む道は平坦ではない。」

向かいに座る銀髪の女、ユミナが口を開いた。

彼女はロータス直属の近衛であり、審問庁への窓口を兼ねる存在だ。


「試験の“特例措置”として、君には早期進学が承認された。」

「……」

「だが同時に、君は『功績認定』と引き換えに監視対象となる。」


ジェイドは小さく頷く。

受け入れる以外の選択肢はなかった。


---


屋敷の会議室には、さらに二人の近衛がいた。

黒い外套をまとい、冷徹な目を光らせる男。

その名はグラウス。

そして隣に立つユミナの気配も、いつもより厳しさを増している。


「……決闘での魔力暴走は未然に防がれた。しかし潜在値の異常は隠しきれない。」

グラウスの低い声が部屋を震わせる。


「認定対象は保護の価値がある。だが、同時に脅威にもなり得る。」

「……」


ジェイドは視線を上げる。

その双眸は、まだ揺れていない。

けれど、拳は無意識に握り締められていた。


「この先は審問庁も動く。覚悟しておけ、レオンハルト。」


---


【記録官ヴィオラ視点】

「対象No.134、特例昇格承認。功績評価:適正。潜在値:観測継続。」

「ロータス直属近衛により進学措置処理中。引き続き監視。」


---


「……ありがとうございます。」

ジェイドの声は小さいが、確かだった。


彼はこの瞬間、正式に“選ばれる側”へ足を踏み入れたのだ。

まだ見ぬ階段を登るために。


---


審問庁ファイル:No.134 - J・レオンハルト

分類:要監視対象

- ステータス:特例昇格候補

- 魔力量:潜在異常値観測中

- 備考:功績認定により早期進学承認済




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この第25話は、ジェイドが“特例昇格”の承認を受け、士官学校編への橋渡しをする重要回でした。

物語はいよいよ学園・派閥・そして「審問庁の影」が色濃くなる第26話へ。

次回からはアイリス視点も交えて、よりキャラクターの心情が深堀されていきます。


また、補足情報や伏線解説は【NOTE公式アカウント】で公開中です。

https://note.com/lancer_official


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