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「いらない」と言われた万能スキル、俺が本気で使ったら世界最強でした  作者: 一ノ瀬咲
第一章 追放と覚醒──万能の力が世界を変える時
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第3話『気楽な田舎暮らし……のはずが』

 長い戦いを終え、ユークは決意した。


「もうのんびり暮らすんだ」


 静かな田舎の村で、気ままな生活を送る。それがユークの望みだった。


 夕暮れの空の下、小さな村へ足を踏み入れる。風は心地よく、鳥のさえずりが響く。村人たちは穏やかに暮らし、ここには戦いや陰謀とは無縁の時間が流れていた。


「よし、この村で適当に仕事を見つけて、のんびり暮らそう」


 そう呟きながら村の広場を歩いていると、壮年の男――村長が声をかけてきた。


「おや、旅のお方か? すまんが、ちょっと手を貸してくれんかね」


「手伝い……?」


 村長の話によると、畑仕事の手伝いや薬草の採取をしてほしいらしい。軽作業でいいと言われたので、ユークは気楽な気持ちで引き受けた。


「まぁ、このくらいなら楽勝だろ」


 だが――


 ユークの”普通”は、村人の”普通”ではなかった。


「は、速すぎる……!!!」


 ユークが軽く手を動かすと、畑の雑草は一瞬で抜き取られ、土は綺麗に耕される。薬草採取を頼まれれば、驚異的な速度で希少な薬草まで揃えてしまう。


「うそだろ……!? これ、いつもの何倍の量だ?」


「普通にやっただけだけど……?」


 村人たちは目を丸くし、畏怖の視線を向けてくる。


 その夜、村の小さな酒場。


 ユークは静かに食事を楽しんでいた。

 すると、一人の冒険者風の男がじっとこちらを見つめていた。


「おい、お前……まさか……!」


「?」


 男は緊張した面持ちで、ユークの隣に腰を下ろす。


「さっきの仕事、見てたんだが……お前、ただ者じゃないだろ? どうだ、ギルドに登録しないか?」


「いや、俺はのんびり暮らすつもりだから……」


「いやいや、冗談だろ!? その力ならS級冒険者も余裕だぞ!」


 気がつけば、話はどんどん大きくなっていき、気づけばユークはS級冒険者として認定されてしまう。


「なんでそうなるんだ……」


 そして翌日――


「ちょうどいいタイミングだ! お前にぴったりの依頼があるぞ!」


 ギルドのマスターが、嬉々として依頼書を差し出した。そこには、


『ドラゴン討伐』


 と書かれていた。


「……は?」


「S級冒険者になったばかりの腕試しにちょうどいいだろう?」


「いや、そんなつもりじゃ――」


 だが、ギルドの熱意に押し切られ、ユークは仕方なく依頼を引き受けることになった。


 そして翌日――


「……あ、倒しちゃった」


 目の前で、ドラゴンが崩れ落ちる。


 ユークは軽く剣を振るっただけだった。


 ドラゴンは反応する暇もなく、一撃で絶命していた。


「本当に……こんな簡単でよかったのか?」


 困惑しつつギルドに戻ると、マスターが震えながら駆け寄ってきた。


「嘘だろ……!? まさか、本当に一人で討伐を!?」


「普通にやっただけだよ」


 その言葉は、もはや伝説の始まりだった。


 この日を境にユークは『最強の冒険者』として認知されていくことになった……



読んでいただきありがとうございます!

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