表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「いらない」と言われた万能スキル、俺が本気で使ったら世界最強でした  作者: 一ノ瀬咲
第一章 追放と覚醒──万能の力が世界を変える時
3/102

第2話 『ユークがいなくても余裕? ……のはずだった』

 一方、その頃――


「俺たちだけの最強パーティで、初戦を飾るぞ!」


 勇者レオナールは自信満々に剣を構え、目の前のオークを睨みつけた。


「どうせ雑魚だ。サクッと片付けるぞ!」


 目の前のオークは三体。緑色の肌をした巨体が棍棒を振り回しながら唸り声を上げている。

 以前なら、こんな連中に苦戦することはなかった。


「グオオオォォ……!」


 リーナが不敵に笑い、呪文を詠唱する。


「フフッ、ユークがいないと戦いやすいわね。ファイヤボルト!」


 赤い火球が飛び出し、オークの胸に直撃する――


 はずだった。


 だが、オークはびくともしない。


「……え?」


 リーナの顔が引きつる。


「おいおい、リーナ。何やってんだよ。仕留めろよ」


 ガルフが軽く笑いながら剣を構え、オークに全力の一撃を叩き込む。


「オラァッ!!」


 金属が肉を裂く音が響く――


 はずだった。


 しかし、剣はオークの肩に浅く食い込んだだけで、すぐに弾かれる。


「なっ……!? こんなはずじゃ……!」


 まるで、オークが別の生き物に変わったかのようだ。


 ニヤリと口を歪めたオークが、棍棒を振り下ろす。


「ぐぉっ!!」


 ガルフは衝撃で吹き飛ばされ、地面を転がった。


「いってぇ……! なんだこいつ、こんなに強かったか!? エレナ! 早く回復を!」


 エレナは焦りながら回復魔法を詠唱する。


「ヒール!」


 聖なる光がガルフを包み――


 しかし、傷は完全には癒えなかった。


「……回復が足りねぇ……?」


 普段なら即座に全快するはずの魔法の効果が、今日は半減している。


 その間にも、オークたちは唸り声を上げ、じりじりと迫ってくる。


「グガァァッ!!」


「くそっ、囲まれる!」


 レオナールは剣を握りしめながら、ようやく異変に気づいた。


 (まさか……いや、そんなはずはない……)


 (ユークがいなくなったせいで、俺たちが弱くなっている……?)


 バカな。そんなはずがあるか。


 しかし、冷や汗が背筋を伝う。


「ねぇ、ユークって戦闘に直接関わってなかったわよね? なのに、なんでこんなに戦いにくいの?」


 リーナが震えながら問いかける。


「アイツ、確か『万能適応(オールマイティ)』とかいう変なスキル持っていたよな。でも、戦闘には関係ないだろ?」


 ガルフが困惑気味に答えるが――


(……本当にそうなのか?)


 エレナの手が、小刻みに震える。


(まさか……ユークがいたからこそ、私たちは強くなれていた……?)


 オークたちは容赦なく迫ってくる。


 レオナールは剣を構えたまま、歯を食いしばった。


 (おかしい……おかしい……! なんで、俺たちはこんなに弱くなっているんだ!?)


 以前はどんな強敵でも勝てる自信があった。


 だが、今は――


 (まずい……このままじゃ、負ける……!)



読んでいただきありがとうございます!

この話が面白かったら、ぜひブクマ&広告の下にある評価(星マーク)をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ