表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(没案)錬金術師の物語  作者:
幼少期編
2/2

プレゼント大作戦

エルシア暦479年

〜ペヤード・フリーゲン視点〜

今日は雲ひとつないとてもいい天気である。久しぶりに家に帰って来たのはいいものの息子と妻を眺めるくらいしかすることが無い。今日も妻と息子は愛おしいな〜〜。


我が息子の誕生からはや3年。3年も経つと大体の子供が歩き回り、言葉を話し出す頃だろう。やはり自分の子供だからだろうか、周りの子よりも可愛く見えてしまう。仕事の関係上家に居ることはあまりないが、それでも帰った時には、うんと可愛がるようにはしている。


しかし………多分俺、実の息子に嫌われている。

何故だろうが家を開けすぎたのか?それともマリアードとの営みでも見られてしまったのだろうか?

下の方の息子はわかりやすく助かるが、実の息子になるとそうはいかないらしい。


俺はカッコよく威厳のある父親を目指してはいるが子供に嫌われるなどの事は断じてあってはならない。そして俺はある作戦を思いついたのだ。


そう…プレゼント大作戦である。

しかしこの田舎では子供が満足できるような物は売ってはいないだろう。そこで俺の魔力の出番である。俺の魔力「製作者」《クリエイター 》は自分の体内にある魔素を使い。どんな物質でも好きな形に変えることができるのである。

この能力を使って息子にプレゼントを送りキャッキャッうふふ、しようという作戦である。


どんな物を作れば良いのか妻に聞いてみることにした。

「なぁ聞きたいことがあるんだが。」

「どうかしたの?ペヤード。」

「ペルセウスにプレゼントを作ってやりたいんだが…何がいいと思う?」そう聞くとマリアードは顎に手を当て考え始めた。1分ほどたっただろうか。

「あの子最近フォイアス君と一緒に英雄ごっこしてるのよ。本に出てくる道具とか作ってあげたらどう?」


フォイアスと言うのはこのアルト村の村長の息子である。

ペルセウスと同じ歳に生まれ2人ともとても仲が良いらしい。

フォイアス君は生まれた頃は色々あったが、普通の子に育ってくれて良かったと思う。

「しかし英雄ごっこか〜、うん〜、剣とかはどうだ?」

「あなた馬鹿なの?ペルセウスはまだ3歳よ。危ないに決まっているじゃない。」

マリアードが少し不機嫌になってしまった…。


じゃあ何がいいのだろう、そういえば昔呼んであげた絵本の中に「光の勇者と魔術士の英雄」とかいう絵本を気に入ってたな。

「ペルセウス、魔術師の英雄に憧れてるんじゃないか?」

「そうなのかしら〜たしかあの子杖が欲しいって言ってきたわよ!杖にしたらどうかしら!」

さっきまで不機嫌そうな顔がパッと明るくなっていく。女とは単純な生き物である。


「杖か、作るには木材と、魔石とかでいいか。腕がなるぜ!」そう言って腕をブンブン回そうとするも肩が思ったように上がらなかった。

「やだあなた、四十肩?まだ20代なのに…可哀想な人ね。」

さすがに24で四十肩は笑えないまさかね…。


魔石は倉庫にあったはずだが木材がないな、街で買ってくるとするか。身支度を済ませ家を出る準備をした。

「行ってきま〜す。」

「あなた〜夕飯までには帰ってくるのよ〜。」

「了解しました!」

俺は意気揚々としながら馬に乗り家を出た。


〜〜移動中〜〜


村の雑貨屋には木材も売っているので雑貨屋に行くことにした。いい感じのがあると良いのだが。

「よう、ペヤード久しぶりだな。」出迎えてくれたのは180は超えるであろう獣族の男である。こいつは学園時代の同期でカナトラ・キウリマスという。

「カナトラこそ、1年ぶりくらいか?」会うのが久しぶりだからだろうか、少し声音が高くなる。

「そのくらい経つかな。ローリア国軍ってのはそんなに忙しいのかい?」

「そんなにだよ、敵国の様子を見張るだけでいいからな。」

「羨ましいもんだぜ。」

それから小一時間ほど談笑をした。田舎なので他にお客そんもいなかったしね。


「ところで今日は何をしに来たんだ?」

そうだ会話に夢中で目的を忘れていた。息子のために木材を買いに来たんだった。

「ペルセウスの為に杖を作りたくてね、木材を買いに来たんだ、あるか?」ないと言われたらどうしよう。ほかの店を探してたら夕飯に遅れてしまう…マリアードにドヤされてしまう。


「いいのがあるぜ、特別に安くしといてやる。」カナトラの前には黒い丸太が置かれていた。とりあえずあるようだ安心安心。

「これは、トラントの木か。」

「そう、魔素濃度の高いトラントだからちょっとやそっとじゃあ折れないぞ。」

「よし買った。ありがとよ!」そうしてカナトラと別れを告げ帰路についた。


あと10分もすれば家に着く。夕飯には間に合うだろう。ドヤされなくて済んだとほっとする。

そんなことを考えていると草むらか物音がした。驚いた馬をなだめて、草むらを見ていると1人の男が出てきた。自分よりも少し年上だろう。30代くらいだろうか。頭から何か布のようなものをしているので詳しくは分からないが…。


俺は馬から降りて男に近ずいた。

「あんたこんなとこで何をやっている?」男は黙ったままこちらを見ようともしない。男を観察していると風が吹き頭の布が少しめくれた。その瞬間を俺は見逃さなかった。


「あんた泣いているのか?」そう言うと男は俺を横切り走り去って行った。男は横切る時に小声で、「ごめんなさい。」

確かにそういった。

俺は奇妙なこともあるものだと馬に乗りそのまま愛する息子と妻のいるスイートホームに帰るとした。」


〜〜帰宅中〜〜

「ただいま〜。」

「おかえりなさい。ほらペルセウスもおかえりしなさい!」ペルセウスはこちらを向いたまま様子を伺っている。

昔倒したゴブリンと同じ反応だ。警戒しているのだ。

「おか、えり、なさぃ。」出したくない声を振り絞って出した感じがする。心が痛いな。

「ご飯の前に少しすることがある。夕食まで少し部屋に籠る。」杖を作るだけならそう時間はかからない。俺の「製作者」《クリエイター 》はそれだけ便利なのだ。


2階にあがり制作を始める。家から出る前は明るかったのにもうすっかり暗くなっている。あの男は一体なんだったのだろうか。「こんなこと考えてないで早く作らないと。」ブンブンと首を振って雑念を払った。


魔力「製作者」《クリエイター 》の操作はそう難しくない。

対象の素材に触れ、そこに自分の魔素を流し頭で設計する。だいたいそんな感じである。この魔力のおかげで国軍に入れたと言っても過言では無い。魔術はからっきしだし。

「出来た!」

我ながらに見事な出来である。町で売るとしたらエルシア銅貨5枚くらいにはなるだろう。倉庫に行き魔石をはめ、縦長い箱の中へと入れておいた。

「ご飯できたわよー」タイミングよく夕食もできたらしい。

〜〜〜〜〜〜〜

食卓には3人。マリアードの隣にペルセウス。対面に俺が座っている感じだ。

「今日もこうして生きていけるのはローリア様のおかげ………

いただきます。」

「いただきます。」

「いただきましゅ」まだ舌が発達していないからか少し噛んでいるところがとても愛らしい。


夕食を終えた。他愛もない話で盛り上がったのは久しぶりな気がした。ペルセウスも話をしてくれたあまり目を合わせてくれなかったが…。しかしこれでプレゼントも渡すといい感じなのではないだろうか?!

木箱を持ちペルセウスの方へと近ずいた。


「ペルセウス」

ペルセウスはこちらを向き。「なに?」と言いたそうな顔をする。

「今日はプレゼントがあるんだ。」プレゼントと聞き顔を喜ばせる。マリアードも微笑んでいるようだ。

俺は木箱を開け杖を出した。絵本に出てくる魔術師の英雄を参考に作った杖だ気に入ってくれるといいな。いらないとか言われたらお父さん泣いちゃう。


「生まれてきてくれてありがとう。ペルセウス。」

ペルセウスは杖を受け取りジロジロ観察している。

「ありがとう、おとうしゃん!」

「あぁもちろんだとも!」

「良かったわねあなた。」

ペルセウスが俺に抱きつき、俺も思わず抱きしめる。その後にマリアードも抱きしめる。

喜んで貰えて良かった。

次回は3月7日に投稿致します。


魔素とか魔力とか色々出てきたと思いますが、後々紹介していくのでお待ちください。面白かったらブックマーク、評価お願い致します。


キャラ紹介

ペヤード・フリーゲン

魔力「製作者」クリエイター 》

触れた物質を自由に操ることが出来る。物質を生み出すことはできない。

職業 ローリア王国軍

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ