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五十三話「ラメリオス(要素は少なめです。)」

前回のあらすじ


酷い押し付けを食らった。

 




 [ドゴンッ!!、ドゴンッ!!ドゴンッ!!]


 『ーーッ!!!』


 [ガァン!]


 「こいつっ!。」


ラメリオスは紅月様の連射を避け続け、距離を積める。その右手にある大きな爪で紅月様の喉元へと食らいつきかけるが、相変わらずの反応速度、紅月様は瞬時に防御耐性を取り、距離的にいえば目と鼻の先、にらめあいっこになる。


 「炎拳フレイムフィスト!!」


 『ッー!!』


左拳が確実刺さり、ラメリオスは勢いからか、転んでいく。体はかなりボロボロとなっており討伐まであと一歩というところ、いくら学習力が高かろうと、いくら一撃が重かろうと、3対のであることに変わりはない。


 「『魔力砲マジックカノン』!!!」


ラメリオスへ魔力の光線がいくつも放たれる目の前は爆発の光に巻き込まれ、ラメリオスは煙の中へと消える。


 「ふふーん!。」


 『ッーー!』


しかし堂々と佇んでいたお嬢様へ大きくラメリオスは差し込んでいく、死に体であることに変わりはないが、なんという執念。しかし、


 [ザシュッ!!]


 「残念だが、」


 [キィィィィ。]


 「ここは行き止まりだ。」


 [バゴッーーーン!!!!]


ラメリオスの中腹部に機械的な槍が突き刺さり、紅月様の声に合わせる様に爆発し。

ラメリオスは腹を焼け焦がしながら、地に落ちた。


ラメリオスが再び動かないことを時間で確認するとやっとため息をつくことができた。


 「、、。勝利ですね。」


お嬢様を狙った時はどうかと一瞬思ったまのですが、、やはり紅月様がいると効率性が全てにおいて違う。

お嬢様と連携して行動することは珍しくなかったはずですが、紅月様の攻守共に隙がない動きはやはり目を見張るものがある。


 「危なかったー。」


 「普通、魔術師って前出ないからな。」


紅月様が注意するようにお嬢様へ言う。全くもってその通りなのだが、お嬢様のプレイスタイル的には、、


 「いやいや、前に出てからこそ張れるものがあるんだよ!。」


とおっしゃる、まぁもともとソロプレイヤーである以上、前衛後衛関係ないですからね。っと共感しつつもやはりここはチーム戦なのでお嬢様の言葉が微妙に聞こえてしまう。


 「それを人は愚かって言うもんだぞ、、。」


 「何おうっ!!」


紅月様はお嬢様のプレイスタイルを見ていたわけではないので、心のままに率直な意見を言う。しかしそれをうまく理解できないお嬢様、これはジレンマというべきなのだろうか?


 「とりあえず、この、、ラメリオスの死体どうしましょうか?。」


 「うーん、普通なら解体するところだけど、、。」


 「解体って、、ルルカできるのか?。」


紅月様が引き気味な態度でお嬢様へ問う。それはまるでいつそんなこと習ったんだ?お兄ちゃん聞いてないぞを体現している様だった。もっとも紅月様はそこまで深い顔をしているわけではなかったが…、。


 「いやいや、もちろんオートだよ。」


っと言い、お嬢様は懐からナイフを取り出す。一目でわかるほど洗礼されているそのナイフは俺おそらくミスリル製、かなりの強度と魔力を込めることによって真価を発揮する物、そしてそこからお嬢様がどれだけのモンスターを今まで屠ってきたかがわかる気がする。


 [ザキッ!]


お嬢様は腕が独立して動く様な感じでラメリオスの体に切り口を入れる。紅月様は平然そうな顔をしていた、もちろん私はならていたのでこのくらいなら大丈夫ですが、紅月様のこの異常とも言える精神耐性は一体どこからきているのか、私にはきっと計り知れないことなのだろう。


 (なんか、フレッシュトマト思い出した。)


当の紅月はそう思っていた。



 「解体するとアレか?素材が手に入るとかか?」


 「うん、モンスターは勝手に消えたりしないからねー。こうやって使える部分はしっかり使わないと、装備の大半はモンスターの素材で出来てるし、、。」


 「そうなのか。」


私はこの時、紅月様には縁がない話だと思った。なぜならその身に纏っているほとんど、いや全部が金属でできていて、手に持っている槍は明らかに未来の文明を想起させる様なデザイン性と性能。

ここだけ世界が違う、っという溶け込めているような溶け込めていないような、そんな気がしてたまらなかったがここはメイドなので言うのを我慢した。


 「にしてもこの装備、やっぱり。」


 「何か違和感が?。」


 「あー、いや。なんか対人戦を想定されている様な気がして、、」


言われてみればそうだ、紅月様の基本武装となる槍は確かに見たまんま槍なのだが、槍の先からレールガンを発射する様な形状となっているため、正直に言ってしまえば特性である貫通力にかけると私は思った。


そして話は変わるが、先ほどの戦いでアレだけ砲塔兼槍先部分を振り回して叩いて、突き刺していたにも関わらず傷一つつかない丈夫さに私はエズ様が巨匠か何かかと思った。


 「あ、ここの盾開くのか。」


そう言い、紅月様は開いた小型シールドの中から興味本位で一つの棒状の様なものを取り出す。


 「なんだこれ?」


 [カシャ、ブォン!]


それはビームの刃だった。棒状のものは変形し持ち手となり、青白い刃が曲線を描く様に出現した。


 「、、。最初からこれ出せばよかった。」


っと言いビームの刃をしまい、そっと盾に戻して自分の体を点検し始める紅月様。思えば設計者エズ様であり、ほとんど独断なので武装に関して説明されていない紅月様はなんだか可哀想だった。


 「追加装備もあるのか、。」


そうブツブツと独り言を言い始める。もはや私が付け入る隙はなさそうだなと感じた、、お嬢様はラメリオスの解体中、紅月様は装備の確認中。私はというと…特に何もなし。


 仕方ないので情報収集がてらニュースを開く。気になるニュースがないのだろうか?っと指を縦に動かす。


 「なんか、平和だな。」


 「、、もしかして戦場が良かったですか?。」


 「なわけですよウミさん。」


冗談混じりの言葉を紅月様は苦笑しながら、返してくれた。冗談は通じなくては意味がないため、こういう紅月様のユーモアさはお嬢様含めいいところだと思う。


 「この調子で、着きますかね?。」


 「まぁお嬢様が決めているので、私はなんとも…。」


これは本当だ、お嬢様が「私が作ったってことにしておいて」っと裏口を合わせたわけではない。ちなみに実際にやったことがあったがすぐに紅月様にバレてしまったことがある、理由は勘だそうだ。


 「ルルカが?」


 「はい。」


っとこの様に。紅月様はお嬢様を過小評価するつもりは多分ないのですが、しっかりその件が影響しているということがよくわかる実のところ結構大事になったことで有名であり、私としては、、


 「ふふふ。」


 「どうしました?。」


 「いえ、思い出してしまって、ここにきたことを。」


私がメイドになり、お嬢様の専属になって数日の頃の話だった。つまりはかなり懐かしい、あの頃の私はお嬢様との仲に若干の距離があると感じて、なんとかしようと考えていた。

主人とあまりいい関係じゃないとなると流石に仕事にも支障が出るものだ、なのでかなり焦っていたと思う。


そしてそんな心情知らずに、お嬢様が私にしてくれた秘密ごと、それが「私が作ったってことにしておいて」だ。

ルルカお嬢様は使用人との仲は私が来た時点でかなり良いため、一緒に合作を作ったそうだ。

そしてそれをあたかも自分のものにしようと考え、こう裏口を合わせていたのだ。


私は最初こう思った


 (私以外のメイドにもおそらく裏口を合わせているのでしょう。)


っと、正直当たり前だ。関係者をしっかり口止めしておかなければ、こんな裏口を合わせる必要はない。特にここに来てたった数日しかいない自分にも声をかけるとはそういうことだと。


 しかしながら作戦は失敗した。紅月様とご当主様の審議応答に対して私は確かにお嬢様に命じられた通りに返した。しかしその近くにいたもう1人のメイドは首を横に振った、。


なんとお嬢様は手伝ってくれたメイドに裏口など合わせていなかった、つまり私だけに事情を伝え、私だけに裏口を合わせてくれた。


 「なぜ?」


私はお嬢様へ聞いた?作るのを手伝ったわけでもなく、何か特別仲がいいわけではなく、確かに専属ではあるが、ご当主からも紅月様からも信用される様な人ではない私をなぜ?


 「だってナミはここに来てからあんまり時間が経ってないでしょ?だから私をもっと知ってもらおうと思って。」


呆れた、こんな1人のメイドのためにそこまでしたのか、っと。私は専属として不覚ながらそう思ってしまった、、


しかしそれと同時にこのお嬢様の凄さに私は驚かされたと思う。確かに呆れることに変わりはないが、裏を返せば、1人のメイドのためにここまでするということだ。


 私はそれがすごく嬉しかった。

そしてこの時しっかりと思うことができた、


 (私はあなたに一生付き従う、、と。)


 

 「解体終わったよー。」


お嬢様が血が付着したナイフを片手にこちらに向かってくる。顔に血でもついていたら紅月様が「誰を殺した?…。、」的な反応をすると思う。それほど普通の顔から繰り出される血付きナイフというのはインパクトが強い。


 「、、ハァ〜。」


 (あ、これ本当に思ったタイプですね。)


他人事みたいに私は紅月様の表情から読み取る。褒められた行動ではないが、、メイドでも気になるものの一つや二つくらいある。


 「?、どうしたのお兄様?。」


 「いや、なんでもない。しっかり手を洗ったら準備しよう。」


 「はーい、」


紅月様は頭を悩ませている様子でお嬢様へ言った。これだけ見ると教員が生徒に頭を悩ませながら指示をしている様に見える、、が実際はお嬢様が連れて行く側なので頭がこんがらがりそうになる。


 

 そんなことを思っている間に、紅月様は街道の先を見据えて、お嬢様は水魔法で手を洗っている。慣れた動きでアイテムボックスから石鹸を取り出し洗っているの見るにこれがいつものお嬢様の風景だということがわかる。


(SAMONNが悪影響にならなければいいのですが、)


ゲームがこういった類で悪影響というのはもはや世界的に前例がある。【SAMONN】は年齢制限こそあるものの、未だ世界で前例がないシステム的な面白さ、人気さにより、今やどの年齢でもプレイしているように見える。しかしながらこのゲーム性の自由は悪い方向でも働く、PKを受け入れられないプレイヤーは、簡単にPKを行おうとするプレイヤーは、どういった立場なのだろうかと考えさせられる。お嬢様にお嬢様に限った話ではないこともちろんのことだが、私はそれでも第一にあなたに幸せになってほしいと願う。


 「お待たせー。」


 「血は取れたな?、。」


紅月様は少し屈んでお嬢様の手を確認しながらそういった。お嬢様は驚きつつもなんとも言えない顔になっていた。恥ずかしいような、それでも真面目に取り組んだ方がいいような、そんな感じだ。


 「よし。」


 「別にそこまで確認しなくても。」


 「誤って、キレマシターなんてこと珍しくないからな。特に俺はプラモで切ってたから、こういうのは大事なんだよ。」


紅月様の迫真のボケに私たちは何も反応しなかった。決して滑ったわけではない、決して。問題は紅月様が軽くそういう冗談を言うタイプではないと無意識ながら思っていたことだ。


 「プラモで、、切る?」


お嬢様はすこし恐る恐るきく、声からでもわかることだった。


 「あぁ、たまにカッターとかで削ったり切り離したりするからな。気がつかないうちに、、。」


 「、、。」


紅月様がお嬢様の顔を見て話すのを止めた、ということは今お嬢様は。


 「、この話はやめるか、とにかく無事で良かった。」

 

紅月様はそう言うと、お嬢様のたまをなでながら立ち上がった。その顔は嬉しそうに見えたが、私は正直偽笑いのように感じられた。自分は大丈夫だからと模っているような、懐かしい。


 「元はといえば、お嬢様が前線に出るからですよ。」


この話の流れを変えようと私はあえてお嬢様に話を入れた。


 「え、だってー。」


お嬢様は、予想外に聞かれたように言い淀みながら、すぐには反論しなかった。


 「私たちはチームなんですから、互いに協力して、目標を達成しなければいけません。」


 「ムー、、。」


 「、そんな顔したってダメです。」


と言いつつも私はお嬢様から顔を背けた。なぜならお嬢様がいましている顔が可愛いもとい、何度も私が許してしまった顔だからだ、意図的にやっているか、それとも…。


 「、確かにルルカはもう少しチームプレイを学んだほうがいいかもな、少なくとも俺たちの為に。」


 「…。わかった、」


お嬢様は不貞腐れながらもこちらの意図を読んでくれた様に言った。これで少し悩み、、というか気が楽に戦えたりするのでしょうか?。


自問自答するわけではないのですが、本当にお嬢様わかっていますかね…。っと思わず言いたくなる。


 「そういえば、逃げていた方達は、、。」


っと周りを見ても私たち以外誰もいない。これは、、


 「逃げたな。」


 「逃げたね。」


 「まぁ、」


もうなんというか呆れるを通り越している気がする、しかしここで構っている暇はないので一時の台風とでも思っておこうと私は思った。

が次来た時はしっかり捕まえよう、なぜならお嬢様が怪我するところだったのだから、仮にしなくても可能性を押し付けた罪は重い。


 「とりあえず、先を目指そっか気にしてもナーンも意味ないし。」


無視をする様にお嬢様はそのまま道沿いに歩き出した。私たちはそれに返事をしてまた歩き出す、台風みたいに思っていたものは実際のところただのそよ風だったに過ぎないのかもしれない、お嬢様の切り替えの速さを見て心底そう思った大人気ない私でした。


道沿いに歩いていくうちに夜になった。なぜだかいつもより歩きやすく、なおかつ過ごしやすい日中だったと思う。もちろん移動面でであり、戦闘面は歩きやすいも何もまず止まるか走るかの話だったので。


 「今日はこの辺で終わりにする?あ、もちろん【SAMONN】内での話ね。私的わたしてきにはスタミナが続く限りいけるけど、、」


っと頃合いを見計らっていたお嬢様はそう口に出す。私たちに言っている様で最初は私を見ていた目線は紅月様に向いていた。


 「俺は特に、スタミナって概念がまず無いし。」


 「ウミは?」


 「私は全然、逆にお嬢様は大丈夫なのですか?。」


 「わたしはほら、いざとなったら飛行魔法あるし、」


それを大丈夫ととっていいのか少し悩んでしまったわたしだが、、


 「?」


本人が気にしてないならそうしよう。そう思いながら私はため息を吐き、


 「それじゃあ行きましょうか、。」


っと言い、私たちは止まっていた足を再び動かし始めた。向こう側にまで広がっている夜空がとても幻想的であり、道中は特には退屈しなかった、。


 「なぁ、プロイシーってどんなところなんだ?。」


 「あれ?説明してなかったっけ?。」


っという流れを組みながら説明へと持っていかれる雰囲気。ならばここは私が説明するところっという謎の使命感の下、私は口を動かす。


 「心海王国プロイシー、【SAMONN】の中で大陸の東側に位置しており、海を中心に構成された大国ですね。本城は海の中にあり、通常の方法で移動することは基本的にできません。海に関連する種族たちが多く存在しており、もちろんプレイヤーもいます。一見、鎖国的な一面が見られ、経済的には弱い方に位置する、、っと思いきや海の幸でそれを全てひっくり返しているのが現状ですね、海産資源を市場で独占できるくらいの影響力がある為、ほとんどの魚はプロイシーから取られたものです。」


 「ゲレームとは違った随分な大国なんだな。」


 「はい。ちなみに異種間交流に関しては上が熱心ですね。下はそれほどでもない様ですが、、。」


国力拡大を目指しているのか、それとも単純に他の文化を取り入れるべきと考えているのか、今のプロイシーの現状であれば特に積極的に取り組むべき事態ではないはず、。


 「それと国宝、《トライデント》も有名だよね。」


 「トライデントっていうと、あの神様の槍とかなんとか?」


 「はい、その神様の槍とかなんとかですね。トライデントは神説装備の一つ、海を司るギリシャ神話の神様ポセイドンが由来ですね。ちなみに【SAMONN】にはそんな歴史ありませんつまるところ、現実からの輸入ですね。」


 「神説装備?。」


紅月様が再度首を傾げながら聞いてきた。私はそれに対して答えようとしたがお嬢様が口を開くと予測してあえて開かなかった。メイドというのは時に気遣いが大事なである。


 「神説装備っていうのは、この【SAMONN】に最上位クラスの武器に与えられる、そうしょう?って感じかな?。ちなみに一個下で伝説装備があるよ。、ほら、第二公式大会で紅月様が戦っていた天使族が使っていたやつだね。」


お嬢様、流石の分析力です。あれは伝説装備の中で最近実装された『主神穿槍ロン・ギヌス』使っていたかの天使族がスキル発動時にそう言ったので正直間違いないと思っておりました。


伝説装備の弱点、それはスキル発動時に真名を言わなければいけないこと、このゲームはオリジナルの武器を作ることが可能で、なおかつ武器のレパートリーで言えば未知数にまで広がる、それゆえ見た目で武器を判断することが困難であり、相手が持っているのがどんな性能でどこで手に入れたのかわかりにくい、スタンダードな武器を持つ人プレイヤーは上位にいない、そのため公式大会では武器の探り合いですら戦略になっている。


 「、、なるほどアイツが…。」


 「なるべく、気をつけてくださいね。伝説装備でも、神説装備でも、私たちが勝てる見込みはかなり限られますから。」


 「あぁ。」


紅月様は難しそうな顔をしながら何かを考えている様子だった。実際に戦った紅月様はだから感じた違和感に向き合っているのか、それとも何かを懸念しているのか、勘が悪い私には見当もつかない。


 「最上位プレイヤー、、私も見たことはあるけど、戦ったことはないなー、、でも、一目でわかるほどとんでもなかった。」


 「へぇ、たとえばどんな奴を?」


紅月様がお嬢様の独り言に回答する様に興味を持った。言い方は悪いですがバトルジャンキーみたいだなと私は思いました。


 「えっと、チーム《ドラゴンデストロイヤーズ》の隊長、メルドさんとか、、。あの人が持ってたのは、えっと、バ、バル、、?。」


 「バルムンクですか?」


 「そうそれ!!、それを振り回している姿が本っ当にすごくてね。名乗れるだけの実力以上にドラゴンを一気に倒しちゃうんだもん!。」


お嬢様は伝説を見たかの様なキラキラとした目で私たちにそう語る。表情からでも察することができる様に凄まじい武人だったことがよくわかる、【SAMONN】の世界でドラゴンは無数にいるが、一気に倒す、お世辞にもこの様な言葉を言える人はかなり少ない、。

お嬢様がもしお世辞として言っていないのなら『位』がそのくらいなのだろう。今の私たちとは一線を画すほどの力があることがよくわかる。


 「ドラゴンデストロイヤー、か。一度会ってみたい気がするな。」


 「【SAMONN】にはドラゴンが結構いるから、そのうち会えるよ!。」


 「私的に『ドラゴン』には会いたくはないのですけどね。」


挟む様にそう言う私はドラゴンの脅威度をよく知っている。下位のドラゴンであれば苦戦しつつも討伐は可能、しかしながら一度ひとたび上位種に合ってしまったら大変、一帯が火の海になり、勝てたら奇跡程度。


 「ウミはもうちょっと遠距離戦対策した方がいいよ。」


 「いえ、マスターメイドのパッシブスキル『塵掃除』で本体から離れた遠距離攻撃は基本的に無効化されるので、。」


 「何そのチートスキル、、。」


 「マスターなので。」


ニコッと私は大人気なく少し自慢げに言ってしまった。


 「、本体から離れたっていうのは?」


お嬢様が脱力したと思えば隣の紅月様が私に質問をしてくる、正直いいところに目をつけたと思う。


 「そのまんまの意味ですね。例をあげるのでしたら、ラメリオスの攻撃は電撃が本体から出ているのでどれだけ離れてようと当たります。

ちなみに雷撃も設定上、ラメリオスの遠隔攻撃という感じなので当たりますね。」


 「ん、あれ?遠距離攻撃は無効じゃないの?。」


 「遠距離と遠隔は似ていますが意味合い的には違うんですよ。ここが一番難しいところで、」


どう説明しようものか、これはいわば同じ様なもので全く別物、紅月様なら「ビームソードとビームサーベルは違うだろ!!」っと言った感じ、私はいまだにどちらがどちらかわかりません。ソードとブレイドみたいな違いなのでしょうが、正直ゲームだと大きさ、長さ程度で制定される為、もっとわかりません。


 「えーと、間違ってたら言って欲しいんだが、例えば鞭なんかの遠距離からでも繰り出せる攻撃は、、」


紅月様が口を開き、こちらの回答を待つ様に止まっている私は考えていたことを一旦置いておいて、紅月様の言葉を冷静に、


 「当たりますね。」


っと返した。


 「なるほど、、なら銃弾の様な銃から放たれた弾自体は…。」


 「無効化レジストされますね。」


 「あー、そういう感じか。」


紅月様は納得してくれた様で、わかりやすい顔でそう私に向かって言った。それに対して私は小さくため息を吐いた、自分ですら理解するまで時間がかかったスキルなので他人へ理解ができなかった時が、なんかこう、一番悔しい。


そしてそんな中でもしっかり理解して最後まで話を聞いてくれた紅月様には正直嬉しい。


 「えー。全然わかんないんだけど、、」


 「あーと、そうだな。」


できればこの事実をお嬢様にも知ってもらいたいのが本音しかしながらことはそう単純ではない、お嬢様も地頭自体は悪くはないのですが、なんというか、発想力が乏しい為話を理解するのが少し遅れたりするので説明が先ほどとは日にならないほど難しい。


 「ルルカ、ここで気をつけるのは自分と攻撃が繋がっているかだ、。」


 「う、うん?。」


紅月様が吹っ切れた様にお嬢様へ人差し指を立たせながら説明する、それに対してお嬢様は少し戸惑いながらも紅月様の言葉を飲む。


 「例えばだ、適当なボールをウミさんへ投げるとする、しかしこれは無効化レジストされる。理由は簡単、持ち主からボールが『放たれはしたが繋がってはいない』からだ。」


 「うん、、。」


 「次に、ボールを魔法で操りながら当てたとする。これは無効化レジストされない。」


 「ん、あー!!。」


 「わかったか?」


 「えっと、物理的に繋がってるから繋がってないかってこと?。」


 「その通りですね。」


紅月様の説明は随分とわかりやすかった、物理的に自分とその対象が繋がっているかいないかによって私に攻撃は当たる。

相手が運動慣性を利用して放った攻撃は無効化レジストされる。が、相手が運動慣性を利用せず意図して操って自分に当てると無効化レジストされない。


問題は対象に明確な意思があるかないか、。

『当たる様に投げた』、のではなく、『当てる様に投げた』。


自分とその対象に『繋がり』があるかないか、魔法的、物理的に、私に攻撃が当たる。


 「必中スキルでもそれって、、。」


 「いえ、必中スキルはあくまで確実に当たるだけなので、無効化レジストされますね。飛び道具なんかは基本的に無効化レジストされますが、魔法や、誘導弾など、魔力を通して撃つタイプは当たりますね。理屈として魔力は自身から出ているので魔力を通したもの、=自分とその対象の間に『繋がり』があることを指すので、お嬢様が私に魔力砲マジックカノンを撃つと当たります。理由としてはお嬢様の魔力で魔法陣が出され、そこから魔力砲マジックカノンが撃たれるので、お嬢様は間接的にではありますが魔力砲マジックカノンと『繋がっている』状態になります。」


 「お兄様には難しいと思うけど、『魔力と人体の不思議』っていう公式が出しているヘルプがあるから、それを見ておくとわかりやすいかも。」


そう言いながらお嬢様はリンクを紅月様に送った、あの説明は長く途中で飽きてしまうかもしれませんが【SAMONN】という世界観をゲームシステム以外の関与で知れるので、戦略として知っていればかなり有効に使える。はず、、


 「なんか、いつのまにか俺の知らないところまで来ているな。」


そう言いながら紅月様はリンクを一旦閉じる。まるで『嫌いな物を最後に取っておく』人とかなり酷似している様子であった。


 「知ってしまえばだから、ファイトだよお兄様。」


 「ん、まぁいつかな。」


紅月様はお嬢様の親切心を無碍にできないからか、そう言い残しながら足を少し早めた気が私にはした。その紅月様を追う様にお嬢様は隣は歩いて行く、2人のその日常を見ていると私はこの輪に入れている気が…。


 「、、。」


した様な気がしなかった。




『topic』


【SAMONN】では職業スキル、クラススキルが存在しており上位のものほど扱いは難しく、ピーキーではある。下位のものでも使い様によっては面白おかしく強く化ける。





※次回は四十八・五話を投稿します。レギオン終息後の紅月とレナ、エズ、それとゲレームの話です。お楽しみに!!

(場所としては四十八話の次に投稿されます。)

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