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五十二話「プロイシーに行こう」

前回のあらすじ


シスコンがすぎる、いや?普通か??。



私たちは大衆を抜け出し、先ほどまで座っていたベンチへと戻っていた。しかし私たちの間にあるわずかな違和感は解消されることはなかった。


 「はい。お兄様、」


 「あぁ、ありがとう。」


お嬢様は水を取り出し、紅月様へ渡した。お嬢様を見る限り、それ以上のことを考えていないように見える。いわば以上様も私と同じく、『紅月様へどう接したらいいかわからない』状態という感じなのだろう、、。


先ほどの場面で紅月様がお嬢様を助けたのは事実、しかしながら紅月様が見せたその雰囲気は日頃からそばにいる私たちでさえ身を震え上がらせるほどの恐怖を感じた。大変申し訳ないと思ってはいるものの、他の言葉では表現しきれない…紛れもなくそれは恐怖であったことを私は嫌々に認めていた。


 「お兄様落ち着いた?。」


 「、あぁ、落ち着いた。」


紅月様はリラックスした顔をしながら私たちに言った。


 「いける?」


 「あぁ、いけるよ。」


紅月様は特に何の違和感もなしにそう言った、まるで先ほどのことを完全に記憶していない、もしくは気にしていないが如く。


 「それじゃあ行きましょうか。」


私はこの落ち着いた勢いをそのままにして運ぼうと思った。紅月様が気にしていないのならそれまで、こんなことを思うのはとても失礼ですが、『触らぬ神に祟りなし』っと私は思った。


 「何か持っていくものとかはないか?」


紅月様がベンチを立ち上がりながらそう言った。


 「うーん特にないかな、食料は全然あるし、最悪途中の街なんかにも寄れるから。」


お嬢様もベンチから立ち上がり、身だしなみを整えながら紅月様へ返した。


 「なるほど、。」


 「それに必要なものに関してはもう買ったもんね、ウミ。」


 「、はい、そうですね。」


お嬢様の笑顔と含みを入れた言葉に私は気づき、微笑みながら同意した。おそらく必要なものというのはおそらく水着のことを指している、確かに海に行くためには必要なものだなっと思ったと同時に紅月様は持ってきたのだろうかと思った。


 「?、そうなのか。」


紅月様は事情が読めないという顔をしながら私たちの会話にとりあえず理解を示した。私はその顔を見てさらに安心した気がした。


 「それじゃー行こー。」


お嬢様はひと段落ついたことを確認するとすぐにそう言い、手を上げる。次には元気に町の門へと向かって歩いていた。そして私たちは当然のようにお嬢様の後についていく…、私はこのたびが思った以上に重いものになるのではないかと、そう思うと胃が痛くなるきがしなくもなかった。



 『門』


 「ゲレームと違ってサイモンは人が少ないな。」


紅月様は門前をキョロキョロしながら言った。


 「サイモンは出るも入るも自由な町ですからね、他の町は流石にこう簡単ではありませんが。」


紅月様の呟きに私は加入するように答える。


 「入町料とか?」


 「大半はそうですね。ためにおかしな提示があったりしますが、いずれもクエストで開放だったりするタイプなので紅月様は、、基本的に気にしなくてもいいかもしれませんね。」


 「、それって俺がまるでそれをやらないみたいな言い方ですね。」


失言であったにも関わらず紅月様は苦笑いしながら私に返した。


 「まぁ、オートマタなので。」


 「、、不遇だなぁ。」


紅月様は前方を向きながら遠いめでそう言った、相変わらずの苦笑いを残したままであったが。

オートマタはいずれもこのゲームに適しているようには思えない、クエスト自体はできなくもないが魔法を使えないというデメリットを背負っている以上難易度が極端に高くなる、現在では結晶石の影響で少しはマシにはなったが、リリース当時は酷いものだった。


全然関係ないがそう考えると、オートマタというハードゲームであるのにも関わらずどんどん形として進化しているのは一体何故だろうと思ってしまう。エズ様のように熱狂的なオートマタファンがいるからだろうか、、はたまたある種のロマンなのか、正直私にはピンとこない話であった。


 「わー、懐かしぃー!」


お嬢様はそう言いながら門を小走りで潜り抜けて行った。私たちもゆっくりではあったが門をくぐり、その先にある風景を感じた。


 先に広がっていたのは向こうの丘まで一面緑色の、のどかの平原だった。


 「すっごいな〜。」


紅月様は驚きを隠さず本心からそう言った。


 「紅月様はそういえば初めてですね。」


 「、、っていうことは、、。」


 「はい。私も、お嬢様も、ここを通ってきましたね。」


お嬢様が少し幼く見えるみたいに目の前に広がる平原をかけていく、平原を揺らす風がお嬢様の服を靡かせているのが遠目でもよくわかる。


 「ここは初心者の狩場なんですよ。始まりの町から1番近くて、なおかつ【SAMONN】の中で1番平和なエリア。」


 見ていると本当に懐かしく感じてしまう、リリース当時では多くのプレイヤーで賑わっていたこの場所も、今ではここまで静かになっていることに、、いや正直リリース当時は本当の狩場とかしていたので今くらいが本来の形と言っても差し支えないくらいだ。


あの時はまるで血にうえた獣たちが平原に住む、スライムや弱小モンスターをリスポーンして最速で狩るという絵面が珍しくなかった。もちろん獣というのは比喩である、、あの頃は平原が血の海で溢れかえっていないのが不思議なくらいだった、本当に。


 「ウミさん、なんか顔色わるいですけど、、。」


 「いえ、今は穏やかだなぁ〜っと。」


これ以上思い出したら何かよからぬことが起こりそうなのでこれまでにしておこう。


 「とりあえず、お嬢様を追いましょうか。どこかに行かれたら困りますので。」


自由奔放のように平原を駆け回っているお嬢様を見るにどこかに行ってもおかしくはない、なぜならお嬢様だから、それがお嬢様なのだ。


 「そうですね〜。」


少しため息を吐きながら言う紅月様はまるで「いつになったら」と言う言葉がいつ飛んできてもおかしくはないような雰囲気だった。それを密かに感じた私は、苦労人だなぁ〜っと軽く思った。


 その後私たちはお嬢様と合流して、目的地に向かって前進していく。平原は広大に広がって入るものの、最近ではインフラ整備が進んでいるのでその辺を歩いているだけで街道が見つかる。おかげで、自由奔放なお嬢様が勝手にどこかに行かなくて助かるものだ。


以前と違って、今回はお嬢様がメインの旅。そのためお嬢様は心置きなく暴れ回れる、はしゃぎ回れる。もちろん、紅月様が見ている範囲でなのだが、基本的に紅月様が気をつけていうことは対人問題が多いので…。つまりどういうことかと言うと、、


 (私が今回しっかり手綱を握らなくては)


っということ、主人という動物をしっかり御さなければいけない、しかもそれが可愛い子犬ではなくケルベロスのような物なので尚更考えると頭痛が起きそうだ。


 「お嬢様、絶対街道を離れないでくださいね。」


 「え?、うん。」


お嬢様は当たり前みたいな態度をとっていますが、その態度に何度騙されてきたことか。本当に大事になったことがないのでとやかく言いませんが、心配で仕方がない。


 「ウミさん、今回は俺もいるので、、本当に暴走したら止めますよ。」


 「紅月様、できれば暴走前に止めてください。」


 「、、へい。」


紅月様を信頼していないわけではない、しかし若干爪が甘いのでここはしっかりと釘を打つかのように言う。そうでないと本当に困る未来が近いうちに訪れるかもしれないからだ…


もしくは、どうしようもなく取り返せない未来だって、、。


 「…本当に、俺が守りますから。」


紅月様は私が思っていることを読んだようにサラッと言った。それに対して本来ならば難癖つけて無理だと言いたい、しかし相手が紅月様だからだろうか、それともあの目を見てしまったからだろうか?、私はその言葉に何も返すことができなかった。


 「お兄様!!」


お嬢様が声を張り上げて、こちらにかけてきた。私は呼ばれたわけではないがハッとし、こちらに向かってくるお嬢様を見た。


 「どうした?。」


紅月様は至って真剣な声を出しお嬢様へ問いかける。瞬時にそれが良くないことだということがわかったのだ。


 「アレ、こちらに向かってきてますよね。」


 「きてるな、アレ。」


ちなみにアレというのは大型モンスターで、高難易度で、SS級の『ラメリオス』という狛犬のようなモンスターしかし実態は狛犬というより、雷鳴を操るとても厄介極まりない化け物。


そしてそれがなぜか街道に出ていてこちらに向かって前進している。


 「、、何か見えないか?。」


 「人だね。」


 「いや、人だねじゃなくて、、。あの狛犬明らかに、」


 「その人たちを追いかけていますね。」


私は目を細めてよく見てみるそうするとだんだんラメリオスの前に人が走っているのがよくわかるそしてそれはあたかも、、


 「逃げてるね。」


 「あぁ、おまけにこちらに向かってきているな。」


 「…プレイヤーにモンスターのなすりつけは、。」


 「同意がない以上、普通にマナー違反だね。」


 「、、相手さん、わかっている感じがないんだが、、。」


だんだんと砂煙と人と化け物と雷撃が近づいてくる。人の顔は逃げるのに必死という表現以外どうにもこうにも合わないような表情だ、こちらになすりつける気すら感じないのは確かだが…それでもこちらはこの街道にいるわけで、。


 「モンスターを街道にあげるのは?、」


 「もちろん、マナー違反だよ、お兄様。」


 「いいえ、下手ななすりつけよりタチが悪いですよ。」


そうして達観した様子の私たちですが、横にずれるか、あの化け物を引き受けるかの二択をそろそろ決断しなければいけない時が近づいてまいりました。もちろん私としては戦いたくないので横に避けるですが、、


 「、、ハァ〜。ダイイッシュセントウハイビー、、」


お嬢様はやる気のない声で機械のようにそう言った。私はやれやれとは感じたもちろんお嬢様ですはなく目の前で必死こいて走っている失礼ながらも輩に、、お嬢様はSSランク冒険者なので討伐対象者に含まれる、正当な報酬がもらえるほか、SSランク冒険者があたりにいないことを考えると、ここで止めなければならないことになる。


SSランク冒険者の数は普通に少ない、それに加えて今の時期だとイベント準備期間であるため、ほとんどの人が素材集めや、引きこもって装備を懸命に作ったいたりするため、尚更外に出る人が少ない。

そのためここで止めなかったら街に行く可能性だってある、わざわざ街道沿いに歩いているのも街に行こうとしているのがわかる。ここで止めなければ街に損害が出る可能性だってある。


 まぁ私は実際に戦ったことがないのであまり行動パターンなどは分からないわけですが。


 「俺戦ったことないんだけど。」


 「大丈夫です、私もですから。」


私は正直諦めがついている。ここで止めなければ誰が止める、も含めて、だから紅月様に対して何事もないような平然な態度で返す。『ナグリアイ』を装備すると同時に、、


 「…簡単に勝てる相手ってことで受け取っておくよ。」


そう言いつつも紅月様は装備を着用する。手には槍のようなものが一つ、あとは全体にスマートな装甲、バックパック、それと顔まで隠れるマスク。


 「スゥ〜、尻拭いは嫌だけど、、ここで止めるよ!」


 「はい!。」


 「、!。」



 [ドドドドトドド]


砂煙と狛犬と人と雷撃と、足音がこれでもかというくらい近づいてくる。地面の小石がカタカタカタと揺れる音を無意識に取った私はさらに身を緊張で覆う。


 (SSランク、私に。)


そう思った束の間、目の前の人達の内、1人が転んだのがよく見えた。大荷物だったこともあり、必死に走った結果そうなったのだということがよくわかる、。って達観しせずに!!


 私は走っていた、目の前の人を助けなければという名目の元だ、確かにお嬢様を援護するという役割が第一目標だが、流石に目の前で誰かが食べられるだの、倒されるだのは見ていてとても居心地が悪い。私はそういう人間であるので、走っていたと思う。


 


走っている中で状況を把握した結果二つの選択肢が出た。



 『間に合わないので見捨てる。』『ギリギリまでやってみる』の二つだ。

ラメリオスのスピード的に私が転んだ方に追いつくのはかなり難しい、なんならラメリオスが追いついた瞬間攻撃することもあり得る。


私は行動が無駄になることは嫌いだ、自分に嘘をつくことも嫌いだ、しかしこの場合立場が違うことに、進んでいった感性の心は様変わりしたように足は止まった。


 それはまるで助けることを諦めたような動きに見えるだろう。しかし、もう一度言う、立場が違うと…。

私の目的はお嬢様の身の安全が前提条件であり、間に合うかわからないことに首を突っ込むことではない。たとえ自分の心に嘘をついたとしても、、。


 転んでしまった人は間も無くして食べられる未来が容易に見られる。ラメリオスはすでに目と鼻の先にある獲物を打ちとらんと、前足を上げる瞬間がわかる。自分の正当性が取れる良い機会だったと、私は不意に思った。


 [フォン]


 [ドォン!!]


 『ーーーーーッ!!!!』


私の右側一つの槍がすり抜け、次の瞬間にはラメリオスに鋭い打撃音を残していた。槍は跳ね返り宙を舞う、ラメリオスは転んだ人を追撃する手を止め、こちらの方向を睨む。


 しかし、何かを感じ取ったのかラメリオスは上を向きながらバックし、転んでいた人から離れた。


 [ドゴン!!]


上から振り下ろされたのは全身が金属でできた槍、一眼見てそれが『突く』のも目的としたものではなく、単純な鈍器として運用するものだということがわかる。

なぜなら、今その槍を持っている者がそのような扱い方をしたからだ。


 「外れた、、。」


悔しそうな、意外そうな声が聞こえる。体が全身金属でできて尚且つ、その行動一つ一つはまるで正しく獲物を狩る狩人の如き動き。


相手の考えを先読みし、攻撃。

手のひらの上で戦況が回っている様な感じだ。


 「ウミ、前線張って!。」


 「!、はい!。」


私は後ろから聞こえたお嬢様の声を聞き入れ、最前線を膠着状態にしている紅月様の元へと向かう。


 「お見事でした。」


 「、当たると思ったんだけどな、、。」


紅月様は首を傾げながら目の前にいるラメリオスをじっと見ているご様子、。もっとも顔がマスクでわからないので実際のところ声のトーンでしか感情がわからないものだが、、。


 (それにしても先ほどはどうやって飛んだのでしょう、音すら聞こえなかったような。)


紅月様がの異常性を脳内で更新しているとお嬢様の足音が近づいてくる、どうやら本格的な支援がもらえるよです。


 「…。」


 「ちょっと、早く行って!。」


 「すみません!。」


呆けていた転んだ人にお嬢様は結構辛辣にそう言った。しかし目的としては成功、今から始まるこの戦いには正直荷物はいらないのだ。


 「『弱点索敵ウィークリーサーチ』、『攻撃増加範囲アタックドーム』、『電撃耐性エレクトリックガード』、『体制制御付与マニューバーアーマー』、『魔装マジックアーマー』。」


お嬢様が魔法を重ねていくごとに、体が軽くなったり、拳に力が入りやすかったりなどの高揚効果が出てくる。状態異常の効果欄に付与列を確認すると私は地面を蹴り上げ、正面から向かっていった。


 『ーーーーッ!!!』


声を張り上げ、大きく威嚇した後ラメリオスは私の方へと向かってくる。行動パターンが読めない以上、迂闊な攻撃はできない。なら、、


 [ジャッキン!!]


私は殴りかかる手をギリギリでとめ、相手の攻撃を誘発する、ラメリオスは右手をあげ私へと切り掛かる。


 [ザシュ!]


 「ウミさん!!」


 『反攻カウンター!!』


相手の攻撃を寸でのところで受け止め、感性に任せて右ストレートを頭部に思いっきり打ち込む。反応できないような鋭さだった故か、ラメリオスはこの攻撃を真正面から受け、顔を背けた。


 『ーーッ!!』


 [ジジジ]


ラメリオスはこちらに顔を向けず俯いたまま、動かない。しかしながらその周りには髪がピリピリするような電気音が流れる。


 『防御術シールド


 [バチバチバチバチ!!!!!]


体全体に微量な電気が響く感じがする、腕を防御体制にする。お嬢様が咄嗟にシールドを張ってくれたおかげでこの程度の感触で済んではいるものの、おそらく直撃だった場合はかなり不味かっただろう。


私はそう思いながら、息を整えバックステップで距離を置く。


 (攻撃→電撃)


攻撃パターンをできるだけ頭に覚えておきながら、私は再び身を構える。このままカウンターで好奇や、ダメージを狙いつつ、確実に攻撃できるまで粘ればいけると私思った。


 「あ、『麻痺耐性エレキマニューバ』」


 「、、お嬢様忘れてましたね。」


 「、、ほら!くるよ!!。」


 『ーーーーーーーッ!!!』


再度ラメリオスはこちらに向かって突進してくる私はカウンターに集中するべく、少し進んで後方の二人の邪魔にならないようにする。、


 (隙ができたら紅月様に、、)


 [ドコーーーン!!!]


 『ッ!!!』


電気の一線がラメリオスに当たると爆発し、こちらに向かってくる勢いを一気に削いだ。そしてこれを私は明確な援護であり後期だと受け取った。


 「炎拳フレイムフィスト!!っ」


 『ッ!!』


ラメリオスの崩したバランスに合わせるように私は熱気がこもった拳を叩きつける。燃える毛並みにラメリオスはもがく、電撃がくることを警戒し、すぐにバックステップすると放出するかのように乱暴な電気が散らばる。


電気の塵がこちらに飛んでくるものの、お嬢様の魔法でレジストされるため、身にあたることはなかった。


 電力を放出するとラメリオスはすぐに体制を整え、私たちに対してかなり距離をとっていった。そしてすぐに悪雲が空に広がるのがわかった。ゴロゴロと雷が鳴り響き、先ほどまで天気が良かったのにも関わらず肌はどこかひんやり…いやこれピリピリしてますね。


 「散開!!!」


 『ーーーーッ!!!』


お嬢様の掛け声と同時に反応すると同時に、集まっていた地点に雷が一秒ずれで落ちたいった。地面に焦げと電撃の残留が残っているのを見たところや、お嬢様が防御ではなく散開命令を出したところから、かなり威力が高いことがわかる。ラメリオスは一撃だけでは飽き足らないようで、何発も何発も雷を上から降り注いでくる。

しかし着弾タイミングと、ラメリオスが叫んタイミングでなるので、回避は容易だ、問題はめんどくさいという話だが。 


 「お兄様は特に気をつけてね!、当たったら弱点補正と必中スタンがくるから!!。」


 「このくらいなら、、!。」


紅月様は槍を相手に構え、またもや、雷の砲撃を飛ばす。よく見てみればそれはレールガンであり、物理と射撃を兼ね備えた、紅月様、いやオートマタならではの化学兵器だと言うことがわかる。


 [ドゴーーーン!!…、。]


 「弾かれたか。」


レールガンの砲撃はラメリオスが纏っている電撃によって阻まれてしまった。それはまるで、銃弾が磁石に吸われているような感じだった。おそらく紅月様の他の武装も金属系統の物を使用している以上、今のラメリオスに決定打を与えることはできない。


 「『魔力砲マジックカノン』!!」


お嬢様が走りながらラメリオスへ杖を向け、、魔法陣を形成、魔法陣から扉が開かれるように溢れんばかりの魔力の塊を放つ。


 [ドドドドーン!!]


お嬢様の装備の影響で着弾時に魔力属性の爆発が起こる。もちろん効果は広い、が追加攻撃なのでダメージの伸びに問題があるところを、お嬢様は『追撃の指輪』で追撃ダメージを増加、さらに最大強勝ちに達していることでもう一撃追撃が飛ぶので単純火力で計算すると、約3倍近くのダメージが出せていることとなります。


お嬢様のダメージソースと言える『魔力砲マジックカノン』通常なら貫通力に優れているだけで他に明確な利点があるわけでは無い。魔力の消費はかなり高く、魔法属性と言っても炎魔法属性、や水魔法属性のような、魔法属性+〇〇という二つの属性効果はない。『魔法防御』系統のスキルの対して大きくアドバンテージは取れるが、それであれば、『弱点属性+魔法属性+状態異常可能性』のコンボの方が結果的にダメージが伸びやすい。


故に『魔力砲マジックカノン』とは、使い手が少なく、なおかつ他より威力がなく、系統進化魔法も存在しない兵装と認識せざるおえない、しかし伸び代はあるとかつてお嬢様は言っていた。


お嬢様はサポート寄りの攻撃型のため、攻撃魔法的に言えば『魔力砲マジックカノン』が彼女の中で1番強い。


最低限の属性攻撃よりかは汎用性と適応性において使える『魔力砲マジックカノン』の方が扱いやすいのだろう。


ちなみに、適応力と汎用性が『魔力砲マジックカノン』より高い魔法があるため、『貫通力』という点以外はその魔法に全てを持っていかれている。最も修得は苦難を極めるそうな、、


 『ーーーッ』


 「スタン入ったよ!!」


 『了解』


私と紅月様は同時に走り出し、ラメイオスへ向かっていく立ち上がれそうで立ち上がれないモーションを繰り返すラメイオスは怒りの目でこちちらを見つめてくる。ここで臆してはならない、高ランクのモンスターは知能が高いゆえ、奇襲は漁夫の利は日常茶飯事だ、そのため引き気味の姿勢を見られた瞬間飛びかかられて

GAME OVERなんてこともあり得る。


 「お先にどうぞ。」


 「、じゃあ遠慮なっっく!!。」


紅月様は槍を大きく回して、慣性をつけたままラメリオスへ突き刺す。


 [ドゴッン!!ドゴッン!!ドゴッン!!ドガァァァァァァァン!!!!!]


 『ーーーーーーーーッッッッッッ!!!?!!?!!!!』


 (うわぁ。)


紅月様は刺した状態で何発も何発も至近距離でレールガンを放ちそのたびにラメイオスは疲れた体に鞭を打たれたように跳ね返る。ここまでくると紅月様の容赦のなさがよくわかる。いや確かに敵であることには変わりはありませんけれども、だとしても酷いと思ってしまう。


 [ジジジ]


 「紅月様!」


 [バチバチバチバチッッッッ!!!!!]


 「危なかったー。」


落ち着いた様子で離れている紅月様、槍を抜く際にラメリオスを思いっきり蹴ったおかげでかなりの距離が稼げている。いわば仕切り直した、


 「ごめんウミさん、独り占めして、、。」


 「えっ、いや、。では次は私が、。(といってもまたスタンするまで殴るしかないのですが…)」


 『ーーーー。』


こちらを鋭くみるその瞳はいつだって怒りで満ち溢れている。しかし臆することなしに進まなければ、私たちは勝てない。


 「大胆不敵ですね。」


 「はい、確実に行きましょう。」


 「変なこと言うけどお兄様の敬語なんかピリピリする。」


 「今言う?それ、」


 「とりあえず、とりあえず!いまはあとでにしましょう!!。」



『topic』


ラメリオスはSSの中で上位に位置するが、SSランク冒険者=SSランクモンスターという形にはならない。

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