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四十六話「レギオン」

前回のあらすじ


目覚めた紅月はエズを探すべく、施設を探し回る。

エレベーター付近での叫び声を聞き、紅月はエズとレナを発見。


一緒に説教をし、紅月はレナと別れ、エズに詳しい事情聞き、フレームのことを知る。


エズはその場のノリでフレームを公表しようとした時、大きなサイレンが施設中へと響き渡る。




 [フォォォォォォォォォォーーーン]


 「、、な、なんと間が悪い!!」


 「?!、。」


部屋のライトが通常から赤い色に変わり、たどり着いた部屋や、なんならその外にも鳴り響くような空襲のサイレン音のようなものが聞こえてくる。


状況が全く読めない俺はエズに問うしかなかった。


 「エズ、これは!」


 「レギオンじゃ!!」


そう言うとエズはさっきまで乗っていたエレベーターに乗り込むと、ボタンを動かしエレベーターのフェンスを閉じる。


 「おい、レギオンって………?」


 「ぅぅむ、ヘルプでも見ておけっ!!。」


フェンスの向こう側でエズはとても焦った表情を見せながら、イライラを含む声で俺にそう言い放ち、エレベーターは動いていってしまった。


 (緊急事態ってことに変わりはないな。)


なら俺も出るべきか、っと一瞬悩んだが装備がなければなんの意味もない。近接格闘術で挑むにしても相手に関する情報は少なく、なんならそのレギオンとかいうヤツらに俺は戦い慣れていないどころか初陣。


ヘルプに記載されているであろうペーパーデータでどうこうできたら、どんなに楽だろうか。かの御大将も『「マニュアル通りにやっています」というのはアホの言う言葉だ、』なんて名言を残さないことだろう。


 (でも、ここにずっといるべきじゃないのは確かだ。)


武器がないなら、武器を探せばいい、装備がないなら装備を探せばいい。こんなだだっ広い施設だ、きっとあまりや試作品の一つや二つあるはずだ、勝手に使うのは少し気が引けるが、後でエズのせいにでもすれば問題ないだろう……


 「よし……!」


俺はそう心に決めると、整備室を手当たり次第に探す。生半可な装備で戦いに挑むつもりはない、戦うなら最大限の能力を活用する、そう新しい装備。




 ──ゲレームMk ~Ⅱ・司令部──




 「戦況は?!」


 『ただいま、第一防衛ラインにて交戦中です。戦闘部隊の到着まで5分ほどかかるとの連絡、。』


耳元の機械越しに聞こえてくる冷静沈着のように見えて、内心焦っている声。

上司としてやるべきことはひとつだ。


 「3分で到着させるようにしろ、彼奴等レギオンを一歩もこの国へご招待するな!。」


 『は!。』


ガシャと音を立て止まったエレベーター、扉が開いた瞬間には妾は飛び出し、迷いなく走っていた。


 「他のところとの連絡は一分に二回は最低行っておけ、戦場では何が起こるかわからないことを忘れるな、それと妾も準備が出来次第参戦する。」


 『しかし。』


 「妾が出るということだけ伝えろ!それ以外は伝えるな。」


 『は、は!!。』


 (全く、妾の心配をしてくれるのは構わないことじゃが、それで時間を取らんで欲しいもんだ。)


難儀なものだ、慕われるというのは…


通信機越しに聞こえたあの声を自分に言い聞かさながら妾は自分の装備の元へ全速力でいく。

前より最悪な展開にならないことを今はただただ祈るだけ、正直、祈ったって変わらないものがあることくらいはわかっている。


しかし妾もまだまだ人だということ。




 ──練鉱国ゲレーム外壁・第一防衛ライン──




国を大きく囲む壁、外側にはいくつもの人工遮蔽物が並んだこの場所は一言で言えば圧巻だ。エズ様の自動防衛システムにより前回の襲撃よりもある程度は防げている。しかしそれも時間の問題だ、、レギオンは人類の敵と呼ばれるだけあってその整体は謎であり、また常に人類の脅威となる力を獲得していっている。


ゆえに人と対等であり、ある意味同類に近いのかもしれない。


 「近接型にはパルス砲を喰らわせるだけ喰らわせろ!!出し惜しみするな!!、。」


 「左舷部、指揮ユニット含む敵機多数!!」


 「砲弾よーい!!」


最前線はエズが作り上げた人工オートマタ達で溢れかえっていた。用意された設備、用意された私兵、揃っていると言ったら揃っていた。だが、果たして人工オートマタの能力はNPCと同等レベルなのだろうか?。

答えはNOだ、


 [ドカーーン!!]


対地砲弾が固まっていた敵目掛けて放たれ目に見える爆発で着弾する。


しかし、それだけだ。


 [ヒュン]


一筋の光が1人の兵の脳天に直撃し、その兵士は次の瞬間動かなくなった。


 「っ!おい!。」


 「やめろ!次の的にされるぞ!!」


 [ヒュン]


目の前の事象だけを理解するだけならば最前線を抑えることができない。それはここにいる兵士たちが誰でも思い、わかることだった、、しかし目の前で倒される同胞を一体誰が見過ごせるだろうか?、仮に死んでいたとしても先ほどまで互いの命を守り合った仲間、それがただの一瞬で動かぬ体となる、コレほどまでに酷いものが未だかつてあっただろうか?。


いや、あるのだからここに彼らはいる。


少なくとも時間を稼ぐためという枠口に収まる程度には…。


 「怯むな!!なんとしてもここを突破されるな!!。」


 『は!!。』


司令官が同じ言葉を言っていることは全員理解していた、しかし司令官もきっと辛いのだろうと心の底で理解し、今は目の前の敵に八つ当たりをするのみ、もちろん鉛玉で。


 「このっ!!」


彼らが使っている武器は全てが実弾兵器だ。決して彼らにビーム兵器が提供されることは、恐らくこの後にも先にも決して無い。


彼らはこの最前線で、戦い続けなければならない。


 いつまで?一体いつまで戦えばいい?、


 [ヒュン]


そう、迷いがあれば断ち切られるように弾丸が自分に飛んでくる。

敵は冷徹なハンターだ、決して対等などの認識は持たない方が良い。


自分たちは勝っている。奴らに優れている。などの気持ちがあればそれはそれで良し、指揮向上の一柱になるのだから、だが決して現実の勝敗に影響はしない。どれだけ思いや気持ちが強かろうが結局、現実が一番強いのだ。


 [ドカーーン!!!]


敵の砲撃が防衛壁に直撃、全てを守らんとし、兵士たちの士気の支えとなっていた壁はもうそこにはなかった。


次の瞬間、奴らは先ほどがお遊びだったとまるで言っているように総攻撃を開始する。


1秒に1人死ぬか怪しかった戦場は、、


1秒に8人死ぬ戦場へ生まれ変わり。兵士たちの士気は轟沈した。


 「ぐあぁあ!!」


レギオン、奴らは人の敵であり、それ即ち世界の敵である。


奴らはまるで銀河系のような形をしたワープホールから現れ、無尽蔵にその姿を敵へ見せつける。


無防備なのか、はたまた自分達に死は存在しない、っという言葉を数で伝えているのか、


考え、受け取るのは自由だ。しかしそれを戦いの最中に考えている場合ではない、。


もし考えているものがいるならその者は、ただの愚か者か、


 「ー。」


 [ザシュッ]


今から死に行く者だけだろう。


人にとってレギオンは間違いなく天敵だ、だが同時にレギオンの天敵というのもまた、


 [バババババ]


"人"だ


 「遅れました!!加勢します!。」


背に技術の翼をつけ、瀕死の同胞を庇うようにその天使は舞い降りた。


手には技術の矢と、鋼鉄の盾を持ち、どう考えてもイメージしている天使と似ても似つかないことだろう。


しかしながら、敗退した兵士にとってそれは紛れもなく、天使であった。


 [バババババ!!!]


空から雨霰と弾丸の雨が降り注ぐ、天使は1人じゃない。そして天使は一つじゃない。

あるとあらゆる種を持ち、戦況においてそれぞれの特性を活かし押されつつある戦況に順応し、今反撃の狼煙を上げる。


 『司令部より、最前線部隊は戦闘部隊に持ち場を交代し、直ちに撤退行動へ移せ。繰り返す。最前線部隊は戦闘部隊に持ち場を交代し、直ちに撤退行動へ移せ。』


それぞれが持っている通信機から聞こえる指令は、撤退する兵士には希望を、戦闘に入る部隊には闘志を与える。


ワープホールから現れるレギオンは未だ未知数だ。もしかしたらこちらの戦力を圧倒的に上回り、戦闘部隊を壊滅させ、国へ攻撃するかもしれない。


ゆえに、戦闘部隊にとっては本当に引けない戦いである。この国誇る随一の戦力で彼らが突破されたら、一体誰がこの国を守ることができるのだろうか?、その責任を彼らは、背負い、感じる。


この国の重さを、この国に住む人を、決して弱気になってはいけない。決して負けてはいけない。


彼らに求められ、彼らを生かしてくれるのは勝利という言葉のみ。


別の意味での残酷性、常に自分は人を守ることができる力を持っている、ならすることは一つ。


 「全部隊!!敵司令ユニットまでの到達及び、敵性反応の殲滅!!」


 その言葉は一言で言えばビリビリしていた。まるで全身に何かが巡ってくるような感覚、不確かな負のイメージを払拭し、確かな勝利のビジョンへと変えて行く。


 「開始っ!!!!!!」


 『はっ!!!!!!』


戦いの火蓋は新しく斬られた、地を這う愚か者に教えてやれ、我らがいかに天の座を手にし、それ相応の力があることを。




 ──練鉱国ゲレーム・外壁上部──




 「やり始めたわね。さて、手厚いお願いされた以上、ただ黙って見ているだけってのは申し訳が立たないものだわ。」


ふぅ〜っと小さくため息をつき。私は武器を構える、カチッという音ともに外れた止金から銃身が移動。


 先ほどより重いカチッという音で延長された銃身が確かに固定されたのを感じた。それを確認したところで私は今立っている城壁の上から戦場を一望する。オートマタの戦闘部隊が抗戦を開始してまもないからか、こちらは押し気味だった、しかし場は戦場、これからどうなるかわからない以上このペースはいささか危なっかしい。


しかしスナイパーには関係ないことだ、私はただ言われた通りに相手の脳天に向けて弾を打てばいい簡単な仕事だ。


 [バン]


構え、引き金を引いた銃身は一回の反動と共に高速な弾を射出する。迷いなく、わずか1秒ちょっとの時間内に目標にたどり着く。それが何を意味するか、考えを理解する暇なく、敵は死ぬ。


命中。


気分は冷徹なスナイパー、しかし気分だけで止まってはいけない。ここは紛れもない戦場、周りの雰囲気が同調圧力のように私に降りかかる。ゆえにと期待警戒は解けず、止まるはずの気持ちは止まらず、私はまた敵を狙う。狙っている。


 [バン]




 ──ゲレームMk ~Ⅱ・格納庫兼カタパルトデッキ──




 「エズ様!」


自動扉が開き、格納庫にたどり着く。目の前のスタッフが早歩きで歩いている妾に付き添う形で並走する。


 「準備は?」


 「もちろん、あとは装備するだけでしたよ。」


その言葉を聞いて、改めて安心する。もし準備ができていなかったら最前線で今戦っているものたちに申し訳が立たないものだ。


 「あれか。」


カタパルトデッキ周りに装備のパーツがバラバラに分けられている。全体図を見なくてもわかるほどの完成度が、表面装甲の光沢から十分に感じられる。


 「はい。想定最大出力は110%です。」


妾がカタパルトに乗せられている底足装甲に乗る。チュイィンっと音がなりながら、底足装甲が自身の足としっかりくっついたことがわかる。、


 「………もし超えたら?」


 「残業代が出ない仕事のやり直しです。」


やれやれっとスタッフは苦笑しながら言った。申し訳ないことを聞いたなっと言いたくなったが、そんなことしている隙はないので後で言おうと決意し。装備の装着が間も無く行われる。


 まずは表面装甲の補助を行う緩衝装甲の装着、体全身のパーツに網目状の黒光しているパーツが重ねられるように装着される。

続いて外部装甲パーツ、ライトアーマのデータを少し追加し機動力と装甲の両面生にてバランスを確保、背部オプション専用小型ジェネレータ搭載格納式スラスター、重化装甲を一定部位に装着し、準備は万端。分断された2つ電子プロトコルバイザーを目と目の間でカチッと音を立てて連結させる。


 妾はそのまま天井を見上げ、開かれるシャッターを見る。日の光が遠いながらも目視できる。


 「発射誤差0.002。械上移動問題なし、推定速度、問題なし。」


 「発射準備、いけます!。」


 「エズ、アームゲレームで、出る!」

カシャンっと足場のロックが外れた瞬間、妾は上へ上へと持ち上げられる。それはまるでバネが限界まで縮められ今にも跳ね返りそうな瞬間を見計らって圧縮を解いたような感覚、単純な物理的移動ではなく、自然現状を利用した発射方法。


バネの勢いに乗せられ、機械は高速で移動。

しかしバネの力だけでも限界がある、それを元に今上へ上がっている妾と並走する形で機械同等にまで速度を保ち、勢いがなくなりつつあるところを、機械でバックアップし、さらに上へ押し上げる。


追加でかかるGが妾の外部装甲を抜け、緩衝材まで響いているのがわかる。気持ち的には魂が1秒遅れているような感覚だ、、しかしたとえそうであっても妾は呆けていてはいけない。


目の前が今光に包まれる時、バイザーは本格的に起動する。クリアリングされた確実な視界を妾に提供するべく、電子音が耳元でなり。

画面に映る光景を線で辿るようにサーチ、、


次の瞬間には目は光に包まれる、しかしバイザーが正確なデータを画面に出力し光景を一気に緩和し、太陽の光すら目視できるくらいの光度へと変えて行く。


空中へ放り出された妾は最前線へとスラスターを傾け、すすめる。


 (妾の国には指一本触れさせぬぞ。)




 ──練鉱国ゲレーム外壁・第一防衛ライン──




 [ババババババ]


一方その頃最前線ではレギオンと戦闘部隊による抗戦が続いていた。押し気味だった戦闘部隊は無尽蔵に湧き出てくるレギオンたちに押され気味の体制で戦っていた。


 [キン!]


 「この!」


 [ザシュ]


パタンとレギオンは倒れ、そのまま空中に布散し、消えていく。しかし消えたレギオンの後ろにはまた違うレギオンが存在していた。


 「!」

一気に距離を取ろうとして、下手な体勢を作ってしまった結果すぐにくるレギオンの斬撃をモロに受け、痛々しい音共に、その場に崩れる。


 「うっ。」


次の瞬間にはレギオンの斬撃がまた飛んでくる。奴らはまるで無機物の機械だ、体勢がどうだとか、敵を殺したくないなどのことを考えることはありえない。攻撃に一瞬の予備動作もなければ、飛んでくる斬撃には強弱関係なく、ただただ的に当てることを重視しているように感じる。


一撃で敵を葬るのではなく、敵が倒れるまで、攻撃を当てる。それこそがレギオンのプログラムと言った方がいい、もっとも奴らが機械なのか、はたまた別の惑星の生き物なのか、わかることはただ一つ、人類の敵である、ということだけ。


レギオンの敵が倒れるまで攻撃するという概念はとてつもなく不効率で、なおかつ技術点としたらそれこそマイナス100点はくだらない。

まるで何も知らない赤子が、ただただ持っている武器で敵を倒すということだけ、、


それはまさに凶器である。わかっていて、ゆっくり殺すよりも,何も知らなずに、ゆっくり殺される。


無垢なやいばが迷いなく、こちらに飛んでき、急所であろうがなかろうが飛んでくるのだ、いわば、『なぶり殺し』という表現の方が近い気がする。


どれだけ装甲を厚く盛ろうが、それは単に生存能力を上げるだけにすぎない。対レギオン戦では持久戦がメインになることが多い、なので装甲盛りは今や鉄板的な構成である。


しかし前述した通り鉄板盛りは生存能力を高くあげ、挙句には死ににくくする。

それが起こした悲劇がこれである、死ににくいゆえ痛み感じ続けながら殺されていく、


レギオンの弱った奴からやるという戦術的考え方は、人類にとってもはや脅威以外にあり得ない。


戦いを有利に進めるための戦術が結果的には兵の心を壊し殺すことになると、一体誰が予想できたか?。しかし彼らは頑張らなくてはならない、それは民を守るため、己が居場所を守るため、どれだけひどい結末になろうとも、目の前の天敵に立ち向かわなければ、仮にむごい死を迎えたとしても、それでも、ここに住む命を守っていかなくてはならない。


彼らが生まれたのはコレが所以であり、これ以外に彼らが作られた意味はないのだから。


 [シュン]


振り下ろされる寸前で刃は止まり、レギオンの体は砂のように空中に布散する。


 「ぁ、」


 「大丈夫?!」


 「っ、もし危なかったらあなたたちは下がりなさい。使えないやつはここには必要ないわ。」


非常なる言葉、それはまるで生まれた訳を完全に否定し、コレからの人生全てを無駄だと言い渡されたような感覚だ。


戦う様に生まれ、戦うことだけが目的、いわばキリングマシーンと大差はないのだが、彼らの心には確かに人格があった。


今自分のことを邪険に扱っている相手は、先ほどまで彼女と仲が良かった者だ、決して仲が悪かったりしたわけではない。

だから彼女にとってのこの言葉は自分を生かすために言った強くて、非常なる優しい言葉だとすぐ理解した。


そんな言葉をかけてくれる友がいて逃げようと思うのだろうか、否。


 「、いえ!まだやれます。やらせてください!。」


 「、、。わかった、足だけは引っ張るな!、」


 「っ!はい!!。」


レギオンとは違う。倒れた味方を見捨て、何もしないので無く、倒れた味方を救い、救う後にも先にも考える。


それが彼ら彼女らだ。



 『司令部より、全体へ、敵勢力に浮遊可能ユニットを確認!繰り返す浮遊可能ユニット確認!』


 司令部からの焦りある声が通信機を通して戦場にいる戦士へ届く、その言葉を聞き総員は警戒心を今以上に高める。


浮遊可能ユニットはこの世界では特に希少だ。技術による擬似的な飛行ではなく正真正銘翼を持った者たち。


いわばオリジナル。


 敵の遠く先にあるワープホールから、ソレは姿を現す。他の者たちとは明らかに違うことが、感覚を通してしっかりと伝わる。それはあたかも『気』に当てられたような感覚、オーラと言っても差し支えないソレはあまりにも格が違うことがわかる。


 総員は司令室が焦っている理由をその時理解し、そしてその瞬間体は一気に動き出した。


 『奴らに飛ばせてはいけない。』


言葉に出ずとも、見た目や、『気』で明らかにわかる。そして脳がそう判断する、奴らに飛ばせてしまってはおしまいだと、、


 目の前にいる敵は眼中になく、奥にいるただ危険物を処理するだけ、たとえできなくても邪魔だけはする。その意思が明確にも伝わる瞬間だった…


 しかしそれを許さんとする下級レギオンたち、戦闘部隊は数多にいるレギオンたちを退こうと、無理にでも行こうとするが、やはり数の暴力には逆らえず、下手したら全滅する勢いの突撃だった。


しかしそうでもしないと、止められない。止めないといけない。それほどまで危険な存在だと…




 ──練鉱国ゲレーム・外壁上部──



 

 それは壁の上にいるレナですら感じ取っていた。


彼女はリロードを一瞬で終わらせ、よく狙いもせずに、弾を撃っていた。

次の瞬間には飛び立つとわかっていたからだ、、


そして次の装填に確実に落とすために、貴重であるAPFSDS弾を装填する。本来なら対戦車用に設計された弾であり、銃に詰める弾では決してない、ゲレームの技術力によって特別に提供された1弾であり、チャンスは一度きりの弾倉だ。


レナに撃った弾の確認をする時間や、意識はなかった。外れようが当たっていようが、次で確実に仕留めるその心だけがあった。


 通常弾の装填とは比較にならないくらいの重量感を感じつつもレナは、テコの原理をうまく利用して装填した。少々強引であり、下手したらこっちか、銃本体が吹っ飛ぶレベルの弾だ。慎重にならない者はいない、、この一撃で相手も自分も死ぬ。自分の方は仮に死ぬと言っても銃や、腕のどちらかのはずだ、重症だが、相手よりもリターンが大きい。


 レナは覚悟を決め、銃身を飛行ユニットへ向ける。敵の健在さを見て、おそらくさっきの弾は外れたか、当たりはしたが、弾かれたのに択だろう。前者でも後者でも関係ない、この一発にかけるだけだと、レナはハタから思っていた。


 画面のロックが今にも飛びそうな標的に狙いを定める。もはや一刻の猶予もない。


 レナは気づいた時には引き金を引いていた。


 [ガキン]


銃身が弾け飛ぶかと思うくらいの衝撃が、走る。瞬間腕はビリビリと震え出し、銃身は無理に弾を詰め込んでいたせいで完全に使い物にならなくなっていた、恐らく次弾すら装填できないだろう。


しかしそれに見合う対価はあった。超高速で跳ぶAPFSDS弾はレナと標的をひとつの線で結ぶかのように飛んでいき、一瞬で敵の生を終わらせていた。


 [パリン]


っと布散されるはずのレギオンの体が、攻撃の速度に耐えきれず、ガラスが割れるような音が周りに響く。



 そこにいる全員が『やった』っと思った。浮遊可能な敵生命体の処理を完了した戦闘部隊のやることは一つ、殲滅だ。


 そう…、なるべきだった。なるはずった。


 戦場において、イレギュラーが起こることは当然のことであり、常に『あり得ない』という言葉は存在しないのだ。慢心していたというのは違う。


『誰も予想しなかった』というのが、ちょうどいい言い訳の口実なのだ。


 

 瞬間、二体の浮遊可能敵生命体がワープホールから飛び立っていた。その場にいたものはただ自由に飛ぶ鳥を見つめているような目で、飛び立って行った二体のレギオンに視線を釘付けた…それがどれだけの混乱を招くものか、理解したのは2秒後のことだった。



 『総員!!直ちに前線を放棄し、浮遊可能ユニットを叩き落とせ!!』


そこには司令の声ではなく、間違いなく感情がこもった声だった。そしてその声に反応し!戦闘部隊たちは脳の処理ができないまま、追っていく。


 

 レナはただただ呆然としていた、こちらに向かってくる浮遊レギオンの速度を見るからに10秒後にはこちらに辿り着くだろう、しかし自分には何もできない。使える武装はさっきのロングライフル一つだけ、一つで十分だと思ったからではない、一つしかなかったのだ。


 しかし、できることはあるはずだと理解していたレナは壊れた銃身を握る。


やることはひとつだ。 レナはこの銃身の先にナイフでもつけてあればと死ぬほど思った。しかしないので自分にできることをする、、


それは、得意ではない投擲!。


 [シュン]


風邪を切るように投げられた破損したロングライフルはオートマタの身体能力をもって、素早く飛んでいく。


目掛けるは二体のうちの一体のレギオン。


二体が街を崩壊させるよりか、一体に抑えるべきと、その時にしてはかなり冷静な判断をしていた。そう、足りなかったのは


 [バギ]


単純な力だ、レギオンにぶつかる寸前のロングライフルはまるで空中に壁があるかのように、目標へ到達する前に衝突し、砕け落ちる。レナも理解はしていた届くはずはないだろうと、恐らく障壁のようなものが存在するだろうと、出なければこの目の前からくる威圧感の一種をどう説明しようか…。


でも、レナは落とすつもりも、落とせるつもりもほとんどなかった。良ければ落とせて、悪くても


 (こっちに注意が向ければ、、ね。)


レギオンは、一言で言えば馬鹿だ。奴らの目標順序は『人類を多く排除すること』たとえ、目的がこれではなかったとしても、これに準ずることだと、奴らの行動を見るだけども理解ができる。


故にそこから考えつく行動がコレだ。まさに2回目の一発勝負だろう、『人類を多く排除する』の最上位目標の下なるものは何か?考えつくのは一つ、『人類を排除する』だ。


人類、つまり該当するのはレナだ。これが‘真っ先に地震へ攻撃してきたとなる。ならば最上目標から繰り下がるはずだと、レナは考えた。いわばこれは


 (身を挺した時間稼ぎなんて、冗談じゃないわ。)


プレイヤーであるレナは、倒された場合リスポーンがあるため、ここにいるNPCたちとは一線を隠している。、、が、


 (死ぬのって、死ぬほど痛いのよね。)


レナはこの【SAMONN】内でデスしたことがある、しかしそれはゲームとは思えないほどの激痛や苦しみを味わうことだった。死ぬのは一瞬ではあるが決して苦しみがないわけではなかった。痛みがフィードバックされるこの【SAMONN】では現実で死ぬのに遜色ない。もっとも実際に死んでいたら【SAMONN】はできていないわけだが、、。


これを現実と捉えた場合、恐らく精神はとっくのとうに砕け散っていることだろう。それはゲームでのプレイヤーキルは珍しいことではない、ゆえに何も考えずにキルする者だっている。そのものはいつだって無邪気なのだ、邪魔だったから殺した。気に食わなかったから殺した。実に命のやりとりが軽い世界だ、しかしそれがゲームであり、それがゲームの限界だった。ゆえに現実に近づけるこおは限りなく不可能に近かった…。

しかし【SAMONN】は擬似的にそれを達成して見せたのだ、圧倒的解像度を誇るこの世界は現実ではないのに現実だと思わせる魔性の魅力を無限大に持っていた。人々が神ゲーと称する理由はそれだったのだ、まるで本物同然の世界、しかしそれが死という概念と圧倒的に噛み合いが悪かった。


現実では、どれだけ楽しいことがあっても、反対に辛いことがあった。人はその苦痛から逃げるように死を選ぶことだってある。しかしゲームは違う、いわばここは理想郷、辛いことが何一つない、いわば人々の願いでできた世界だ。


死という苦しみも、それに準ずる、辛いことも何もない。ここまで完成された世界は他にあるのだろうか…。


ゆえに願う、現実世界と、ゲーム世界の融合を、現実にそっくりで、なおかつ欠点がなければ、それはパラレルワールドっという言葉で説明しても差し支えないのだろうか?。


そしてそれの具現化が【SAMONN】だ。しかしあまり現実に近づけようとした理想は度が過ぎてしまい、【SAMONN】は現実と変わらない死を提供する作品としてある種有名になった。プレイヤーからしたら「なぜそんなところに労力を使ったのか?」っという疑問だった。まだまだやれば現実と変わらないシステムだって作れただろう、なんなら【SAMONN】でデスすると持ち物が全て失うだとか方法はあるはずだ。


そこが問題だった。ゲームなのにゲームじゃない、。それがとてつもなく奇妙で昔も今もない、ゲームの形だった。


【SAMONN】のこのシステムはネットニュースでも取り上げられるくらい有名になった、なぜなら【SAMONN】は全年齢対象ゲーム、このままでは幼子の認識を破壊してしまう可能性が少なからずあったのだ、、しかしこれに対して運営は黙秘権を行使し、今でも発言はない。


結局世間から叩かれる前に、世間は【SAMONN】の魅了に囚われてしまい、結果誰も文句を言わなくなった。それはその一点を除いてあまりにも【SAMONN】が現実とゲームの中間をとっていた完璧な世界であったからだ。


 しかしそれでも死ぬのはやっぱり全員嫌なのだ、レナも含めて。


レナ自身もなぜこのような事に出たのかわからなかった。【SAMONN】を現実で見てはいけない、見てしまったら次の死はより自分に苦痛を与えることになると予測していたのだ。


 (なんで、私はこいつらのために。)


なぜ自分は蹂躙される予定のゲレームの街、国、。そこには多くの住民が今もいるのだろう。確かに私はリスポーンができる、しかしそれでも死は嫌だ。


しかしレナは確かに、注意を引きつけていたのだ。


一体のレギオンがレナの方へ向かってくる。レナは次に相手が出る行動は攻撃だと読んでいた。そしてその通りに動くようにレギオンは攻撃モーションをとりつつ、レナに近づく。


 (こういう時ってなんでか体が動かないものね。)


回避でもなんでも、目の前のレギオンの攻撃を避ける方法はあったはずだ。しかしレナは避けるそぶりすら見せなかった。それがなんなのか当のレナすらわからなかった。しかし未練は不思議となかった。


 [ドス]



 「避けんか戯け!!」


レナはハッと瞑っていた目を開け、目の前を見る。そこには金属手のような見た目をした背部ユニットをつけたエズがいた。レギオンの障壁をいとも簡単に突き破り、機械でできたその指先は深くまで刺さっていた。


 「エズ!。」


レナは驚いた、確かにエズは来ると聞いてはいたものの、こんなに早く来るとは思っていなかったのだ。


 [シュゥウ]


レギオンは布散し、消えた。


 「お主、なんでまたこんなところで。」


エズはレナを心配そうな目でジロジロ見ながら、壁の上に立つ。背部のユニットは向きを変え、エズの背中に収まる。


 「、あんたの部下が頼んできたからよ!」


 「、それはすまんかったな。ってこんな事している場合じゃないぞ!」


 [ドーン]


エズがそう言った次の瞬間露骨な爆発音が街から聞こえる。レギオンが攻撃を開始したのだ…


 「妾の街を、、お主はこれを使え!」


ポイッとビームスナイパーをレナに投げ、エズは背部ユニットの出力を上げ、空中で暴れ回ろうとするレギオンへ鬼の形相でつこんでいった。


 「、、。扱いが悪いわね。」


仕方ないっと、適当に割り切り。レナはライフルを自身のケーブルに接続し、先ほどと変わらぬ位置で前線を見る。


前線は撤退状態にありつつ、数名は時間稼ぎ要員となり、レギオンたちと既に交戦を開始していた。


 「、、。あんた達を生きて返したあげるわ。」


そつぶやくと、レナは武器をしっかりとかまえ、スコープを覗きレギオンの頭を見ていた。


 [バン]




 [パリン]




 ──練鉱国ゲレーム・城下町──




 「そいやー!」


背部ユニットをグーの字にして、浮遊しているレギオンの頭を叩きつける。


 [ボカン]


下にあった道に小さいクレーターができ、次の瞬間にはレギオンは布散した。


 「道の整備が大変になるから次からは潰すとするか、、」


自分のやった行動はいい事だが、もう少しは頭を使うべきだとエズは思った。何でもかんでもやりたい放題の精神は(戦闘では)捨てたはずなんだが、、やっぱり名残というのは強いなぁ〜っと感じた。

そして、エズは急いでレナのいるとこへ向かう。




 ──ゲレームMk ~Ⅱ・立ち入り禁止区域──




 「、、。どこだここ。」


俺は整備室をぬけ、施設内を彷徨っていたらいつの間にか自分でも知らない場所に来ていた。通路は暗く、あかりは最小レベル、どうやら誰も使っているわけじゃなさそうだが…。


 「もう少し進んでみるか。」


しかし進めば進んで行くだけ、通路は複雑化して行っていた。まるで迷宮だ、来たもの全てを惑わすようにできている、証拠に俺はもう何十回も壁に当たっている。いいかげん出口に辿り着きたいところだ。




 (にしても、こんな場所あったのか……)「お。」


考えていたら明らかなビンゴ、目の前に扉が見える。何か武器とかないものか…


 (ここにいる以上、何もできないのは情けない。)

せめているだけ分の仕事はしないとな。




 ──練鉱国ゲレーム・外壁上部──




 「ちっ数が多くなってきたわね。」


レナは未だ壁の上でレギオンを見下ろしながら戦っていた、しかしたまには見下ろされるものだ。


 [ボワァーン]


 「お主、少しは上からの攻撃に対してカウンターせんか!!」


浮遊ユニットはエズの参戦によってなんとか相当をしている状態、レナに集まってきたやつをエズが片付けるという構図が出来つつある。ちなみになぜレナに集まっているかというと、レナが武器を変えた影響で飛び立つ前の浮遊型のレギオンを倒すことができるようになったからだ、まぁなにぶんレギオンが読めないので実際のところ定かではないが、、。


 「あんたが片付けてくれるおかげでこっちは狙撃に集中できんのよ、少しは頑張りなさい。」


 [ビューン]


 「何おう!!」


エズは背部ユニットをうまく使いながら、対処している。手のひらからビームが発射され、集まったレギオンは次々と一掃される、しかし未だに勢いは収まるどころか、早まっている。


 「そういえば紅月は?!」


 [ビューン]

レナがビームを発射しながら、エズへ問う。紅月がいれば確実に今の戦況を変えられるとわかっていたからだ。


 「置いてきた。」


 [ドン ドドン!!]

殴り、殴り、エズは巧みにレギオンを落としていきながら答えた。


 「はぁ!?」


 「いやじゃって、装備がないもん!!。」


 「あんたねぇ、紅月は。。」


 [バーン]


そうレナが口を開いた瞬間、二人の背後で爆発の音が聞こえた。街からの音だった。


 「な!!?」


エズはもちろんコレに驚いた、なぜなら制空権を確保し、浮遊レギオンを1匹たりとも中に入れた覚えがなかったからだ。しかし背後で爆発が起こっている事実、コレをどう受け取るべきか…


 「チッ、さっさと行きなさいバカエズ!」


 「、言われなくても!」


エズは戸惑いつつも、レナの冷静な指揮を聞いてすぐさま、壁を降りていった。レナは壁に1人残され、数多にくる浮遊レギオンに照準を定める。


 「はぁ〜早く戻ってくて欲しいわ。」


送り出したのは紛れもない自分だが、エズなき今に広がる浮遊レギオンの数と起こりうる対処法で頭が埋め尽くされる気を感じながらレナは弱音をはいた。


しかし、はいたところでどうにもならないので、。


 [ビューン]


レナは大人しく射撃を続けた。




 ──練鉱国ゲレーム・城下町──




 (どこじゃ、どこにいる?。)


エズは背部ユニットの推力を生かしながら、街中を飛び回っていた、索敵のためである。

しかしどういうことだろうか、街には火の跡が上がっているのにも関わらず敵性反応が先ほどから見当たらない。


目視でしっかりと確認しているというのに、まるで最初から何もなかったかのような惨状、コレは一体。


 

 「ん、あれは、?。」


エズは燃えつつある街の中で2人の親子を見つけ、真っ先に向かう。


 「お主ら何をしておる?!、。」


 「エズ様!すみません。道が、、」


エズは周りを見た、確かに周りの道は瓦礫で塞がれている。差し詰め逃げ遅れたという表現が正しいだろう、、


 [ドン!!]


エズは何も言わずに、避難ルートへ続く道にある瓦礫を背部のユニットで蹴散らした。


 「このまま真っ直ぐ行けば、避難できるはずじゃ、今度は逃げ遅れるでないぞ!。」


 「っ!ありがとうございます。」

母親は我が子を抱えて、道の先に行こうとした。しかしその時、


 [シュン]


一筋の光が、まるで待ち構えていたかのように親子を襲った。しかし親子の首が飛ぶ前に、


 [ガァン!!]


エズが衝動的に飛び出し、危機一髪のところを間に入って攻撃を受け止めた。


 「邪魔じゃっ!」


焦りつつもエズはビームの出力を調整し、ユニットの手の平から中位のビームをレギオンの土手っ腹にお見舞いした。


 「ぁ、。」


 「大丈夫か!、」


すぐに目を離して安心し切っていたエズは、自分のことを不甲斐ないと思いながら現状を確認した。


 (今の今まで、なぜ適正反応が出てこないかなんとなくわかったわい。)


敵はステルス型であった、しかもこちらのレーダーにも引っかからないくらい精巧な。どうりで侵入を察知できないわけだ。っと納得している暇はなかった…


 「あの、」


母親は訳が分からず、エズに声をかけた。


 「ここからは妾が護衛する。」


 「で、でも前線は、、。。」


 「ちょっとやそっとでくたばる奴らではない。心配するなら『急がば』じゃ。」


 「はい、!、」


母親に少しの責任感が乗ったことをエズはどことなく申し訳ないと思いつつも、確実に護衛を果たすと決意した。




 ──練鉱国ゲレーム・外壁上部──




 「邪魔!!」


 [ドス]


レナはライフルの先についていたヒートナイフをレギオンの障壁を突き破りながら、刺す。続いて、浅いと判断したレナは近距離でもう一撃、引き金を引いてレギオン完全に壁から落とす。


 [シュン]


 [キン!]


レギオンの刃とレナのライフルナイフがぶつかり、火花が一瞬でる。しかし圧倒的に戦術レベルが違うので、レナはレギオンの足を引っ掛け、地面に落とし、確キルを決めるべく脳天にまた一発入れた。


 「くっ、」(さっきから何体も侵入を許している。地上部隊もかなり深傷を負っているし、流石に撤退したいところよ、エズ。)


 戦況は酷いものだった、戦闘部隊の半数はもはや戦闘不能状態になり、屍となったか、あるいは撤退したかのどちらかだいずれにしても乱戦に近い状態である今は味方の状況を把握しきれていない。司令部から飛んでくる指令も中身がなくなってきている、、それはいわば打開策がないということだ。決して司令部が無能とかそういう話ではなく、現状存在している戦力でレギオンを押し返すのはほぼ不可能に近いという訳だ…


 (よりにもよって、ラストスパートなのに。)


レナはワープホール付近にいるレギオンに意識を少し向けた。


そこには他のレギオンとは一線を画す姿をした、いわばボス的立ち位置のレギオンがいた。

他のレギオンとは違い最初から小浮遊していて、なおかつ私がボスだ。的なわかりやすいポージングをとっている、まぁそれだけではなく、もちろん浮遊タイプよりも強力な気迫を感じる。


レナが今手元に持っているビームスナイパーライフルでも堕とすことは容易ではない。少なくとも10発は入れなければ障壁すら貫通できない、それか本能でわかっていたのだ。


 地上部隊がほぼほぼ敗退状態なのはコレが原因であると見て違いないだろう。


対レギオンの防衛戦においては、ボスレギオンと呼ばれる個体を撃破すれば終了するが…


 (そんな余裕があったら、、っね!!)


怒りのこもった刺突がレギオンを空中から引き摺り下ろす。

バンカーボルトを決めるみたいに刺さったところから引き金を引き、内側から直接攻撃を与える。


相手がレギオンじゃなかったら、いや、なくてもえげつない技であることは変わりはない。


ここまでくると呑気に狙撃なんてしていたらいつのまにか死んでいました、みたいになってくる。


近接戦に切り替えて、できるだけテンポ良く相手を落としていく。


 [シュッシュンッッ!!]


レギオンの連撃を上手く交わし、隙ができたところに刺し、撃つ。


 [ドス…バン!!!]


 しばらくはこれの繰り返しだ。この壁を渡る者をなんとかして多く引き付け、あわよくば撃破まで持ってく…


 (早く戻ってきなさいよ。エズ!。)


レナはレギオンが固まる場所へと突っ込んで行く、ただでは死ぬつもりはない。一体でも多く、こいつらを道連れにする、その決して消えない志を持ったまま、レナは目の前のレギオンを刺し穿った。




 ──練鉱国ゲレーム・城下町──




 「こっちじゃ!。」


エズは布散したレギオンを通り過ぎ、親子を誘導する。


 「はい!。」


母親はそういうと、走って、エズの後を追う。

レギオンの数は増えるも、避難場所まで後少しというところだった。


しかし、


 「くっ。」


避難場所のシャッターの周りには数多のレギオンが集まっていた。想定するべきだった、レギオンが人類を排除することを目的としているなら、避難場所に集まらないはずがないと、、


残った3人に向かって、追ってきたレギオン、待ち構えていたレギオンの二段構えが襲いかかる。


 流石のエズも、射線上に親子がいる以上、ビームを撃つことはできない。背部アームの射程の長さは自分がよく知っている、親子と自分との間にある距離は手の届くようで届かない距離、背部アームが親子を守る前に、おそらくレギオンの刃が親子を切り裂くだろう。


初歩的な攻撃だった、エズにとってコレくらいは対処できる範囲だったが、、一言で言ってしまえば装備が悪かったのだ、、。


 親子が斬られそうな瞬間、世界がスローになった。手を後少し伸ばせば届くというのに、その手は無力にも届かず、今斬られる。


 実に無力だ。



…、、




……



……、



だからだろうか、ソレが上から降ってきたのは。


 [ドカーーン!!!!]


親子にレギオンの刃が当たる瞬間、何かが上から降ってきて、レギオンを潰しながら爆発のような着地音を立ててた、


 [ギィ、フィィン]


機械の調節音が煙の中の人影から聞こえてくる。その人影の体は角がきいており、ただの人ではないことがわかる。


 [ガギィィィン!!!]


レギオンの数体は煙を気にせず、目の前に存在する者を人類と見なし攻撃を仕掛ける。空を切る、ような無気力な一撃が人影を襲おうとした時、


煙から二つの青色の光と体を丸ごと押しつぶすくらいの大剣がレギオンに向かってつき出された。


 レギオンの胸部のプレートが弾け飛び、続いてプレートによってそらされた軌道はレギオンの頭の半分を圧倒的に質量で持っていった。


 [バタン]


っと倒れるレギオンは次の瞬間には布散していた。


 煙の中から姿を現したのは二つの青色の目を持ち、大剣をレギオンに構えたまま2人のオートマタを庇うように現れた。





         機人だった。


 


『topic』


レギオンの襲撃は基本的に国や、国レベルに発展した都市を狙ってでの事が多い。技術力が高ければ高いほど、レギオンにも影響し、強く、それに準ずる性能を持つ個体が現れると言われている。


また、襲撃に対応するプレイヤーの人数は30人以上を目安とされている。

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