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四十四話「反転」

前回のあらすじ


カチカチゴーレム討伐RTA




 ──遺跡ダンジョン隠しフロア──



 

 グランドオリハルコンゴーレムを最速で破壊するした俺たち一行は、奥に続く部屋の探索に身を乗り出していた。(俺を除いて。)


ゴーレムがこのダンジョンの裏ボス的な存在だったのか、部屋の入り口は入り口まで戻る魔法陣が設置されていて正直なところここだけは親切設計だと思った。


が、物事はそう単純じゃないと俺は静かに感じていた。それは今、奥に続いている部屋のあちこちを探索しに行ったレナ、ルルカ、ウミさんの雰囲気がどうにもそういう感じではないと俺の勘が認識したからだ。


 (なんか、こう怒っているわけじゃ無いがピリピリしていて、いつになく真面目というか。)


真剣な眼差しもとい雰囲気で奥へ行ったことがなんだか引っかかる。おそらくこの奥に何があるのか、俺以上にゲームに詳しいあの3人ならもしかしたら気がついたのでは無いのだろうか、何かとは言わないが俺が知り得ない新たな謎に。



…機械兵のことを振り返ってみれば、確かに物事がこんなに簡単だったらいいなと、当の俺までもが影響をくらっているほどにその『違和感』は拭いきれないものとなっていた。


 (さて、少し休憩したしみんなを探しにいくか。)


そう思い俺は壊れかけていた柱から立ち上がり、3人を探すため、明るくなったを探す。


 (帰るにしても、このまま1人で帰るわけにもいかず、かと言ってここに残るのも時間の無駄だからな。)



ゴーレムを倒した影響で部屋の明るさは人が物を余裕で認識できるくらいまでになっている。

もっと噛み砕いて言えば部屋がわかる程度だ、、


奥の方に続いている道、いわば通路が一つある。恐らく先ほどのゴーレムはそこを死守していたのだろう、もっとも死守ではなく俺は『アレ』をある種のトラップの一つだと踏んでいる。


なぜかって?、理由は簡単。ゴーレムの大きさに対して道が小さすぎるからだ…


もし本当に守るならゴーレムは扉と同じ大きさにする筈、そうでなくては通り過ぎたやつをどうやって倒すわけか、、。

 

 (仮に、この先トラップがあるならルルカやレナ、ウミさんなどが危ういはずだが、、。連絡は何も届いていない、つまり危ない目にはあっていないのだろう、かと言って俺を呼び出す必要なし、、。)


ルルカのテンションなら、、


 『お兄様!お兄様!!こっちにすごいのがあるよ!!。』


の、一言くらいメッセージで届くはずだがなぜだか来ない。、俺の妹は何でもかんでも俺に報告する癖があるので、逆に来てないと不安になってしまう、ここまでくれば筋金入りだろうな。


もしも、メッセージが届かないことに第三者の加入があったとしたら?。…


 (もしかしたら今この瞬間、ルルカは襲われているかもしれない。)


、、どうしたものか、、兄として妹を信じるなら、何も言わずもがな。


俺個人としてはルルカを心配するべき…。




 ──遺跡ダンジョン(?)──




結果葛藤の末、俺は部屋の奥へ続く通路に入っていくことにした。


入った通路は、いつぞやの地下通路が如く若干のカビ臭い匂いと、埃っぽさで充満していた通路、どこも同じだなぁ〜っと達観せざるおえない。


しかしながら照明は汚れていて入るものの、依然として通路を照らす役割を全うしている。、


 「?、照明。」


俺は真上を見た、確かに照明だ。壁にかけてある松明だとかそんなしょぼい物じゃなく、間違いなく照明。光が大きくなったら小さくなったりと、辛うじて機能はしているが順風満帆とまでは言えない、そんな雰囲気だ。


 俺はなぜ照明があるのか、少し疑問に思ったが、足を止めている場合じゃないと思い話を一旦置き足を進める。


 (ゲレーム地下通路ですらランプなのになぜ?。)


 狭い通路を超えた先には大きな部屋があった。さっきの部屋の様に大きな柱が部屋の四方に立っておりまるで同じ部屋に来た様な気分になるが、よく観察してみると、先ほどよりも部屋が綺麗だ。何より柱は無事だ…、


そういった意味も含めて、部屋の損傷率が比較的低いとなるとここで戦闘は起きなかったという考え方ができる…まぁ、この理屈もルルカ達がここに来ていないとダメな話なんだが、、。


 (レナから隠し部屋のことを聞いている以上、否定はできない。)


もしかしたら、さっきの通路のどこかに別の部屋に通ずる道があったりしたかもしれない。最も、バイザーによる探知が効かなかったため、俺は入れないと思うが、、。


ゆえに俺がルルカ達と合流するのはおそらくまだまだ時間がかかるだろう。

向こうはルルカがいるので、魔法的な罠や隠し部屋などはかなりスムーズに、なおかつ楽に進められる、対してこちらは単騎、魔法は使用不可。


隠し部屋なんかを手当たり次第に探すほどバカな真似はしたくない。



 「まぁ流石に、な。」


謎の安心感が込み上げてきたので、ルルカ達もここを通って行ったと信じて、俺も広い部屋を探索しようと思う。



部屋の中央に向い周りを見渡す。目視できる範囲で扉がいくつかある、どれもダンジョンには似合わないオープン鉄でできたゴリゴリの扉だ。鋼鉄と表現するのがいいのかもしれない、そしてその扉から感じる感想は一つだけ、


 (絶対何か中にある。)


いや、誰でも思いつきそうなことなのだが、本当に『何か』ありそうだ。そしてその扉が、見渡す限りでもこの部屋に6つくらいある。


 (ルルカ達との合流が先になりそうなことを考えると、これを全部調べに行った方がいいかもしれない、下手な隠し部屋探しよりもよっぽどシンプルだ。)


速戦即決という言葉が存在する、ので俺は自分から一番近い扉を開けに行く。早ければ早いほど終わる、、


 [ガシャ]


重々しい重厚を感じる扉を開け、部屋を見る。

照明はつけっぱなしで、部屋は一言で表すなら。


 「不気味だな。」


別に死体が転がっているとかそういうホラー的な意味じゃない、ただただそうミリタリチックなホラーまるで捨てられた近代技術たち、。


昔ながらの緑色のブラウン管、管制室の様になっている接続式の端末、地面に散らばっている紙、、。


 「、、レナ達はここにきたみたいだな。」


下に落ちている紙の中には人の足跡と、妙な潰れた感じがする紙の後があった。

潰れた紙をよくみれば、機械の様な足跡だ。


 (人の足となるとルルカ,ウミさん、、機械となるとレナか、)


そう確認しながら俺は足元に落ちている紙を一枚拾い上げる。


 (これが単に足跡を見るためだったら面白いだろうな。)


だがそれを考えている時間は終わっている。今はルルカ達を探すことと、持っていける情報を持っていくことだ。


ルルカ達がここに来て、ここの場所を探索したのなら、きっとここの資料にも目を通しているはず…、。通しているよな?ルルカ。


少し不安になりながらも大雑把に紙を見る。


 「ご親切に、わかる文字で書いてくれる。」


もっとも、ゲームの仕様であると思うが。

ちなみにわかる文字というのはもちろん日本語って意味だ。

たまにこういうのをゴリゴリの英語で書いてくると翻訳が死ぬほど面倒くさい。


 (まぁ、万国共通で英語のほうが楽なんだろうが…。)


で、肝心の内容はざっくりとしていて、なんだか研究結果のようなものだ、しかし何を研究しているのか、専門用語が多すぎてわからない。


仮にわかったことがあるとすれば、


 「タルタベース、、。」


俺はその言葉だけを探すかのように、他の紙にも手を伸ばす。


どこもかしこも紙にはタルタベースという文字が必ずある。それは単にここの場所での記録を指し示すために名前に添えてあるタイプではなく、必ず名詞として使われている。


 「そういえば、あのゴーレムの名前いや、二つ名にもタルタベースって書いてあったか。」


ここと、やつの二つ名の相違点は一つ、ここの研究レポート的なものは殆どが『研究施設タルタベース』っと呼称している。


 しかしながらあのゴーレムは地底遺跡、っと表記されていた。時の流れによってゴーレム「研究施設」→「地底遺跡」にでも名称が変わったか?、それとも。


 「不気味なことには変わりないな。」

部屋の雰囲気共に不気味で謎だ。


俺は紙を適当な棚に置き、俺は真正面にある端末へと手を伸ばす。


 [チッチッチチッ。]


電子音を鳴らしながら、辛うじて生きているように表示する機械。


 「、お前はどうしてここにいるのかなぁ〜?」


まるで小さい子に質問するかの如く優しい声で機械に問いかけける。、機械に詳しくなるとたまにこういうことを言ってしまうのは良くない。なぜなら一回ルルカに見られ、少し引かれたことがあるからだ、、あの屈辱は忘れはしない。


 「さて,」

この世界に機械は存在しない、あるのは天才が作った世界の形に順応した紛い物。

エズが築いたあの施設にある電子機器は殆どが基礎設計が現実の機械と異なる。


いわば【SAMONN】版、電子機器っと言ったところだ。しかし、、


 「本当に気持ち悪いな、、。」


運営がなにを考えているかまったく持って理解できないが…。

この端末は恐らく、現実と同じ仕組みで作られている。


それ即ち、プレイヤーが作ったと考えるのが妥当だが、、わざわざ遺跡の中にこんな高度な施設を用意するバカがいるだろうか?、さらにいえば最近発見された遺跡とエズは言っていた。詰まるところリリースからそんなに時間が経っていない、現時点でこのタルタベースを作る事は不可能、いやエズが仮に作ったとしても、作る必要性も需要性もわからない、何なら俺たちに攻略依頼を出す必要すら無い。


っとつまりNPCが作った、ってことになる。


運営が作ったといえばメタイので却下、何なら運営はそんなにメタイことする奴らじゃ無い。特に【SAMONN】の歴史などについて運営はかなり力が入っている。それこそユーザーを惹きつけている要因にもなるほどだ。


 「だとしても、ここまで、、。」


もはや気味が悪くなってくる、。見慣れたキーボード、壊れかかったグリーンスクリーンに映っているのは現実でも使われるプログラム。


 「仮に運営のいたずらにしても、、度がすぎているな。」


世界観を大切にしている運営、その証拠にエズはいまだに現実レベルの電子機器を作れずにいる。

それなのに、この端末の作りは現実とほぼ同じ。


しかもプログラムの見るにここは管制室、。いや、というよりも、監視室という表現の方が似合っている気がする。


プログラムに書かれてある、カメラとの連結回路プロトコルがそれを何よりも表してある。

そしてわかりやすく、ボタンが多く、ブラウン管の個数も仮にゲームをやるにしては多すぎるくらいだ。


 「ここまで似せる必要、あるか普通?。」


完成度云々に関しては今更だが、、だが、なぜここは正確に作る?。いや、実際に管制室、監視室自体を見たことはないしかしながらゲームなどの媒体でよく見る形をとっている、一眼見れば誰でもどちらかわかるレベルで。


しかしそれゆえにの疑問が俺に残る。


 何を、どうして、ここにある?、


 何を監視するために?


 何を研究するために?


 なんのためにそれは必要なのか?、


 なぜ、ここまで精巧に作る?。


【SAMONN】の世界に落ちていく感覚の中俺が真相について考えていると。


 [トン。]


足音がした。


 「っ!」

俺は腰部に携帯していたビームサブマシンガンを瞬時に取り出し、音がする方向に構える。


ここにいるのはルルカ,俺,レナ,ウミさん,それだけだ。、いやもしかしたら原住民がいるかもーっと思ったがなおさら警戒を緩めるわけにはいかない。


それに加え不気味な部屋、疑問だらけの内容、情報、それらによって俺の不安はかなり深くなっていた。

ので決して警戒せざるおえないのだ、特に今は一人で行動している。なおのことだ。


 [トン、トン、。]


足音が近づいてくる。確実にこっちに気がついてやがる。で、なんで俺がまるで敵を見ているかのような態度をとっておるかと言うと、、。


 (レーダーは敵性反応。)


ここはダンジョンの中、自然にスポーンしたと考えるのが妥当?、いやにしては知的すぎる。確実にこちらの動きに警戒しながら距離を縮めてくる、なんだ、何がいるんだ。もしや原住民??。


 [トン、トン、]


足音が近づく、レーダーは俺が武器を構えている扉の方向を向いている。どんな奴が扉を開けようが確実に頭をぶち抜く…


 (こい。)


扉の向こう側、いるのは敵、相手が動く前にこちらが殺す。


 […。バンッ!]


扉が破られたと理解した次には俺は引き金を引いていた。


 「わあぁぁぁ?!」


物理障壁、魔法障壁を展開し。その生物は頭を守った。姿は、、


 「っ、ルルカ?。」

俺は扉から入る光に照らされた妹のすがとをこの目で捉えていた。


 「もー!お兄様!!」



、、ハァ。俺はため息を一回、緊張した俺が馬鹿みたいだ…不安に駆られていたとは言え、ルルカを撃つなんて、、。


 「す、すまん。ちょっと、警戒してて。、にしてもどこに行っていたんだ?。」


 「え?、えっと、少し探し物。」

一体何を求めて深くまで来たのやら、。いや、ここはダンジョン、もしかして宝箱が目当てだったとかか?。


 (別に隠すことでもないと思うが、、)「はぁ〜」


 「?、大丈夫?。」

優しい気持ちが心に刺さるな、ルルカは、、。まぁ、たかが宝箱だしルルカは無事だし、問題ないか。


 「あぁ。大丈夫だ、」


 「なら、一緒に行こう。二人ならもう外に出たから。」

ルルカは手をそっと出し、俺に手繋ぎを求める。ルルカらしいと言ったらルルカらしいな…


 「、そっか。」

俺はその行動に甘えて、出された手をそっと握り、ルルカと共に部屋を出た。

 部屋を出て、先ほどのゴーレムと戦った場所に戻る通路…


 「、、ルルカ。質問してもいいか?、」


 「何?、」


 「俺はお前のお兄様だよな?。」


俺は引かれていたルルカの手を離した、俺は置いていかれる形で距離を少し置く。


 「?、そうだけど、。」


 「そっか、。なら、、」


……お前は偽物だ。


 「死ね。」


 [ビュンッ!!!]


一瞬、俺が腰部に携帯していたビームサブマシンガンを単発モードに入り変え、『紛い物』の脳天を一撃で撃つ。


脳天を撃たれた『紛い物』は血を出しながら、倒れる。まるで死体が如く、しかし俺は、、


 [ビュッンビュッンビュッン!]


頭だけでは飽き足らず、体にも数発攻撃を入れる。


 「がァァっ!!」

姿には似つかわしくない声で痛みをあらわにする『紛い物』。人の肉体をガクンっとしながら、まるで本物のように動く、、


 「、な、、ぜ?。」

『紛い物』は倒れたまま口だけを動かし、俺に問う。


 「、簡単だよ、ルルカは二人きりの時は基本的にお兄ちゃんって言う。、、もし次まねるならそこまでしっかり調べてこい。、もっともその時はお前の最後だがな、、」

ビームサブマシンガンの銃口を、奴から下げ。

少しずつ、『紛い物』に近づき、顔を思いっきり踏み躙る。


 「ぐっ!」


紛い物は似合わない姿をとり続ける。同情を誘っているのかどうか知らないが、俺からしたらただ怒りを増幅させる要因にしかならない。

いわば自分の首を自分で絞めているようなものだ、


 「お前個人自体には大した戦闘能力はないようだな。いまか、いまかと待ち侘びて握りしめているそのナイフが証拠だ。」

しれっと体の裏からナイフを取り出そうとしているところを俺は決して見逃さない。


 「俺の指示に従え。従わなかったらその頭、完全に吹き飛ばしてやる。」

ガシャンっと音を立て、背部に搭載されているゲィザーは俺の肩部に銃口を置く形のキャノン形態で、目の前の『紛い物』に対して狙いをつける。


 「、わかった。」

致し方なしと言わんばかりの顔でそう言う。

立場わかっているのか、こいつ。


そう思いながら、体から出たナイフをもう片方の足で蹴飛ばし、遠くへ追いやる。「く」っという声もセットで。


 「とりあえず、その姿をやめろ。」

いつまでもルルカの姿をとるのはこいつの寿命を縮める要因になる。今、かろうじて怒りを抑えている俺に感謝して欲しいものだ。


 「、。」

『紛い物』は不服そうな声を出しながら、体を泥で覆い、姿を変える。頭が本体なせいか、人型だった姿が縮み、俺の分付けている足元に泥たちが集まり、『紛い物』は水色のゼリー状の物体に形を変えた。


 「スライムか?。」

にしてはタチが悪くて頭がいい、恐らくただのモンスターじゃない事は確かだ。、それとRPGの代名詞と呼べれるスライムに今初めてあった。俺の【SAMONN】生は一体どうなっているのやら。


 「けっ、あいつらと一緒にする、な。」


 [カチャ]


 「!、」


 「言ったろ、頭をふっ飛ばすって。」

俺はビームサブマシンガンを目の前のスライムに押し当て、引き金に触る瞬間まで来ていた。

ゲィザーの脅しはどうにも効きが悪そうなので、こっちにした。ま、確かにゲィザーの凄さは見た目からじゃ明らかに想像できないことは確か、ちなみに見た目が貧弱とかではなく、見た目以上に物凄く強いと言う意味だ。


さて。今、こいつに許されているのは俺の指示に従うという事、それ以外を許した覚えはないし、なんなら異議を唱えるなら瞬間に頭をパーにする。物理的に…


 「っ、。」

スライムだから、顔がどこについているかわからないがとても不服そうというのが、このプルプルした物体から感じる。


 「質問に答えろ、」


 「。。」


 「その姿の持ち主は今、どこにいる?。」

ルルカは大丈夫なのか。、、今はこいつが唯一の情報源であることは変わりない、脅している立場からだが、、少しでも情報が欲しい。。


 「、喰ったって言ったr、[ジュギィンッ!]」


瞬間、俺は腕部に内蔵されてある[超振動ブレード]を出し、スライムの体の端を縦に切る。


 「ぁ、ああああああああ!!!!。」


綺麗な断面するから想像できないくらいの悲鳴と抵抗が足と耳に伝わってくる。


 暴れるスライムがうるさすぎた為、俺は見せしめとして切った部分をもう一度切り伏せ、蹴り飛ばし本体から遠ざける。


 「うるさい。」


 「っー。」

悲鳴を恐怖で押し殺したスライムは、痛みを我慢するように声を抑える。

最低限の恐怖と、知識は兼ね備えているようだと、少しばかり感心した。


 「で、どこに行ったんだ?。」


 「ぁ、はぁ、。、知らない、本当に知らない、ただ道中見つけて、使えそうだなっと思ったくらいで、他は何も!」


 「喰ったのか?、」

ぎゅうっと、足の先ほどよりも深くスライムに押し付ける。場合によっては三枚おろし程度では許されない、、。


 「喰ってない!。」

、、嘘か、どうかは定かではないしろ。こいつは食ってないと来た…


 「本当か?偽装にしてはかなり精巧にできていたぞ。」

こいつの言葉から推測するなら、おそらく『見ただけ』でも対象とほぼそっくりに偽装することができるが、捕食した場合、もっと確実に偽装できるということか、、。

しかしそれを差し引いたとしてもこいつの偽装は、声帯、見た目、血液、振る舞いにおいてはかなり完成度が高い、振る舞いに関してはこいつの技術面だと思うが…。


それに加え、ルルカの口ぶり、「お兄様」という言葉から俺がその人だと予測、レナ、ウミの二人の名前まではしっかりわからなかった為、「二人」と言っていたところ。素でこれをやっているのなら化け物みたいな脳みそしている、いや、コイツの場合バケモンだし、第一スライムだから脳は無いか。


 「本当だ!、信じられないかもしれないが本当に食ってない!。」

生きるのに必死なのか、踏んずけている足場がよく動く、。

…、嘘かどうかはこいつのこれからの行動次第で決めたほうがいいかもしれなと思い、少し考える。



 「おい、道案内はできるか?」

頼む態度じゃないことくらいは理解しているが、コイツは俺を怒らせた。それに加え今主導権を握っているのはこちらだ。このまま質問攻めにしても俺としては問題はないのだが、本来の目的はルルカ達との合流だ。ならここにいても何も変わらない、、。


 (コイツのせいで余計にルルカのことが心配になった。)


 「、できる。」

疑問と、不安が混じった声でそう言うスライム。


 「なら、案内しろお前が。」

断られても別に構わなかったが、案内を頼んで進めばより早く進めるだろう。

もっとも逃げたら殺すつもりだ、これは単純に怒りを買っているからというわけじゃない、ただこの高度な偽装機能を持った奴が俺から逃げた後何をするのか、、ナイフを持って俺に近づいた時点で分かりきったことだった。


 「、足を退けてほしい。」


 「、逃げるなよ。」

俺が釘を刺すようにそう言うと目の前のスライムは、ただただ黙って黙認する。自分の立場くらいはわきまえられる脳みそを持っていたとは恐れ入った、とでもいえばいいか。、まもう一度言うがスライムに脳みそがあるかどうか知らないが。


とりあえず俺は警戒しつつ、足を退けてやる。


スライムはプルンと一回動き、切り離された(俺が切り離した)部位の方に向かう。それに対して俺は特に何とも思わず、ただただ警戒の視線を向けるのみ、。そしてやはりスライムだからだろうか、切り離された部位が本体と接触した際、まるで傷跡がなかったかのように綺麗な円型に戻った。


 「、、こっちだ。」

スライムは憎んでいる、と言うより若干恐怖心が混じった警戒を見せながら俺から一定の距離を保ちつつ、進み出した。先ほど俺が漁っていた部屋があるちょうど向かい側の方向にある部屋の扉が少し開いている、スライムはその隙間を巧みに入っていく。


俺はもちろんドアを蹴飛ばして、開けて入っていく。別に切れているわけじゃないが、ちょいちょいで木々を刺さないとな、逃げられたら冗談じゃない。


 (迷いなく進んでいるな。)

っと思い俺はついていく。

正直ヤツと距離を近くして移動したい、深読みしすぎかもしれないがまだ俺が知らなくてヤツが知っている罠が存在しているかもしれない。距離がこうも遠いと、罠にかかる可能性はとても高い、ナイフでただただ刺してきましたーだけだなんて信用できない、切られた部位がすぐ治る特性だとしても痛みの恨みは大きいものだ。

用心に用心を重ねた方がいいことに変わりはない。


 「、、お前はここに住んでいるのか?」

気になって聞いてみた。あれほどの知能を持ったモンスターは初めて見る、少なくとも出会い頭にしゃべってくるタイプは、、。のでコイツの知力はどこからくるものなのか、、このタルタベースから来ているのか確実だが、迎撃にしては芸が凝りすぎているあの偽装を見た後にはどうにもここに滞在する感じがしない。

そのため、俺は聞いた。、真意を探る為だ。


 「は、誰がこんな廃墟に。、、住んではない。」

調子が戻ってきたのか、スライムはそう軽くこの場所をあしらう。しかし自分が置かれている状況を再度理解したのか、軽い口調はやめ、ただただ質問に答えた。


 (廃墟、か。俺からしたら現代技術が眠る気味悪い場所のように見えるんだが、、。)

恐らくこのスライムは、このタルタベースがどれほどの価値になっているか、理解していない。いや、この際理解しなくて良い、。


 「、お前はどこから来たんだ?。」


 「、、ここだよ。」


なるほど、っと小声で声に出しながら俺は考える。

つまるところ住んではいないが、来たのは『ここ』。

あれか?生まれたのは病院で育ったのは家って感じか?、、ン?でもそれって至極普通なことだよな、ン??


 「、お前の種族はなんだ?。」

何者なんだ?っという質問もあったのだが、これじゃあ正確に意図がわからないと思い、あえて種族と言う。

こいつはさっきスライムじゃないと言っていたが、、う〜ん。どこをどう見てもスライムだと俺は思うんだけどなぁ〜、仮に亜種だとしても、『けっ、あいつらと一緒にする、な。』なんて普通は言わないはずだからな。、、


 「俺は、、何なんだろうな?。」


 (なんかこいつ一人で語りそうの雰囲気出してきたな。)

俺直感的にそう思う。、そしてどうかコイツの話が長話にならないことを願う。だって長話ってつまらない上に決断を遅らせて結果聞いてる側が暇とか、雰囲気を読まなければ拷問だ、、特に聞きたくないのに利かせてくるタイプのやつはもっとだ。


 「悪いが自分でもわかんねぇ」


 「そうかい。」

ホッと静かにため息をつき安心する。


 「ここがどんなところかわかるか?。」


 「、廃墟、としか言えねなぁ」

そう言えばさっき言ってましたもんねってか、。どちらにせよ聞き出せないか。



話をまとめると、コイツはスライムじゃないが近い生物、しかし自分ですらその全貌がわからない、そしてこのタルタベースと呼ばれる場所。、これに関しての情報が少なすぎる、何ならここから来たこのスライムもどきですらこの場所を知らないときた。正直生まれたの場所なんだから自分で把握してほしいと思うが、。もしかしたら。、、な。

ルルカたちが今どこで何をしてどうしているか、心配だ。


 「つ、、きました。」

スライムもどきは丁寧語に切り替えて、止まる。


 「、、。」

考えに集中していたせいで辺りの風景を確認していなかったのは俺だが、、さっきといるところが別なくらいに世界が違う、何というか、遺跡っぽさがゼロになり、イメージ的には昔見た廃病院のイメージが1番近い。


それ故に不気味な雰囲気は先ほどより増している。


 (嫌な感じだな。)


 「、、えっと。」

スライムもどきは、俺の態度を見てからか、どうしたらいいのかわからない感じでそう口にした。


 「もういいぞ、さっさと好きなところへ行け。」

正直これ以上一緒に居ても、面倒なだけだ、こいつがこの場所についてもっと詳しかったら話は別だが。

そんなふうに思いながら俺はこの先に続いている世界へ足を踏み出す。


 「あ。」


 「ぶった斬って悪かったな、でも次からは偽装の相手をよく選べよ。」

そう俺はスライムもどきに言い、歩く速度を早める。

ルルカ達がこの先に居ると考えるといてもたっても居られなくなってものだ、、

バイザーのライトが暗くなっていく道を揺れながら照らす。


歩く速度を早めていた俺はいつのまにか走っていた、ルルカや、ウミさん、癪だがレナも気になる。その為にはたとえ真っ暗闇で不気味な世界でも進んでいかなければいけない。

そうでなくては越えられない気がした、自分の『何か』を。





しばらく細い道を進んでいくと、


 「…。」


前方に広がっている道、しかしその道中には左右に赤いランプがついている扉がズズズーっと並んでいる。

その光景はまるで外国の囚人室のようなものだ。鉄格子の代わりに見るからに硬い剛鉄の扉、内装は確認できないが、最悪の想像だけは浮かぶ。


 (何を監視して,何を研究しているのか、わかった気がする。)


よく映画である展開だ、ここからゾンビやら変な生物やらが扉を突き破って出てくる。

しかしながら空いている扉が一つもない、ということは中には何も入っていないか?以前として扉が機能しているかの二択だろう。

ルルカ達がこのルートを仮に通ったとなると、俺もここを進んでも問題ないという事だろう。

そう思い、俺は足を一歩出す。


 [ガコンッ!]


 「っ!?」

音がした方に向けてビームサブマシンガンを構え、警戒する。

しかし帰ってくるのは沈黙…。


 (っ、心臓に悪い。悪すぎる。)


お化け屋敷に行った事はないが、恐らく行ったらこういうことが起きるのだろう。向かって来ないとわかっていても二度と行きたくない気持ちになる。


、もしや本当に動いたりしないだろな、。っと警戒する。。しかし、後にも先にも、音が鳴るだけで本当に襲いかかってくる事はなかった。、


 (警戒しすぎて気疲れした、そろそろルルカは会いたい。)

心の支えっとまではいかないにしても、俺にとってルルカは本当の妹同然だ。1兄として妹を心配しないで奴がいるだろうか?いや、いない。

アニマルセラピーという精神を落ち着かせるヤツがあるなら、こっちはルルカセラピーとでもいうべきか、ルルカには悪いが一緒にいると精神が安定する都合上、利用させてもらわないわけにはいかない。


 (まぁ、当の本人はそれはそれでとても喜びそうなんだが。)

そんな後のことを考えながら,長く続いたホラーゾーンを超え、またホラーゾーンへ、いつからここはアミューズメントパークになったのだろう。もやは観客を恐怖によって帰らせることを目的にしているように見える、いや案外そうなのかもしれないが…。

 して,今度のホラーゾーンは古典的、っというわけじゃないが、、。病棟だ、、


 窓があるのに、全く見えない。土で埋もれているからというのが間違いない事実として、。

もしかしたらここは昔地上だったのかもしれない、っと俺は考えるが、下へ続く階段は作らないはず、っという思考になる。


 (…それ言ったらエズも同じか。)

エズが半年で築き上げたあの地下コロニーも、窓はあったりしていた。そのことを鑑みてしまうと、どうにも地面に窓、っという形に否定という文字が組み入れられなくなる。


しかし、あれはエズがおかしいだけだ。


そう一掃してしまいたくなるが、どうしてもできない自分がいることに驚く。


 (勘がそう言っているから。)

今まで外れたことのない勘が俺にそう囁いてくる。「ここはアソコと同じだ、故に注意しろ。」っと、言われなくてもっと返したくなる。


病棟を歩いていると色々なものが見かける。とっくのとうに賞味期限が切れているであろう食べ物だった物、ちなみに存在が終了しているせいか、虫すら寄っては来ない。

水色の手術着のような物、破壊されて薄汚れたテーブル…崩れた壁の破片と土。

まるで整備がするのが面倒になって廃棄した地下通路の様だ。


 「ルルカ達はここも通ったのか?。」

自信が持てなくなってきたわけでは…いや正直持てなくなってきた。なぜなら,ルルカ達がここまでの長い道のりを経てたどり着くものがわからないからだ。

なぜ?なぜこの道を通る?、なぜこの場所を通る?。



 「なぜ?。」


その疑問が口から出て,この病棟、この世界にこだましている気がした。

仮に宝箱が目当てならば…。いやそれはないか…。


 どちらにせよ、進み続けなければならないそう俺の直感は望んでいる。

足を動かし病棟を進んでいく。


 「、、。」


病棟には終わりがあった。壁だ、ここが終点と言わんばかりにきれない壁が、そこにはあった…なるほど、、ここで終わりですか。

じゃあ帰りますね、


 「って、なるか普通?。」


 [ビィィィィィィ!!ーバコン]


ゲィザーが放った光線は壁にぶつかり、次の瞬間には熱された破壊後の壁に置き換わっていた。


破壊した壁の奥にあったのは、黒くとても黒く、強いていうならベンダブラックのような黒さを誇った。


 「なんだコレ?。」


まるで暗闇と直面したかのような反応。嫌でもその反応になるくらい、この泥のような『何か』はそう、不気味で不思議だった。


 慎重にいくべきだと、誰しもわかる物だ。未知との遭遇は人を行き着けると同時に一番の罠でもある、、俺こと若葉暁はそれをとうに頭の中で理解していた。


が…


 「。。。」

気づいた時には俺は沼に浸かっていた。、正直言って気持ち悪くはなかった、まるで真横にある水に突っ込んでいくような感触、、安心はしなかったが逆に危険だとも感じなかった。


そう、とても不思議、まずまずゲームにこのような変なギミックがあるのだろうか?っと考えた事は無かった。まるでその泥に魅了されたごとく、俺は好奇心を纏うだけで、他には何も考えず、いつのまにか泥に浸かっていた。


 こんなにも不気味であったのに。



 「暗い。」

バイザーのライトが機能しない、、ここはどこで自分はどこに立っているのか、エフェクトのエの字もない虚無の空間。方向感覚が今にもバグりそうになりながら、確実に一歩をゆっくりであるが踏み出す。


足の感触はまさに泥、水っ気が多い泥、足を汚す元になる泥、しかしこの先にルルカがいる筈だと思い。進む、いつも成否を判断するはずの勘が何も言っては来ないという事は、恐らく問題ないという事なんだろう。


勘に従い、勘を逆手に取って進む。


しかし見える先も歩く先も、泥の中、、。


一体この先に何があるのだろうか?。ルルカ達を探すという目的よりも、案外魅力的なのかもしれない。。


そう思ってしまうほどに…、。






いつしか、歩き続けていると色々なことを忘れてしまいがちになる。


 「あれ?、ここどこだ?。」

無論泥の中だという事はわかる、わかるのだが、その中でも自分が入り口からどのくらい歩いたのか、本当に方向感覚がバグった。それと、不思議と泥の外の世界がどうなっているのかも、想像がつかなくなってきた。


 「まぁ、いいか。」

進むべき道は一つだけ,真っ直ぐ進んでルルカに合う。それだけだ…






いつしか歩き続けていると色々なことを忘れがちになってしまう。


 「あれ?、俺なんでこんなところにいるんだ?。」

無論、泥の中だということになんら変わりがない事はわかる。しかしながらどうして自分は一人なのか?、普通はこういうものは複数人で行動するものじゃないか?、なぜ俺はわざわざソロプレイなんてやっているのだろうか?、


、、まぁ考えたところで仕方がない。


結局のところ、進めばルルカに出会えるならなんら問題はない。






いつしか歩き続けていると色々なことを忘れる。


 「あれ?、何しにきたんだっけ?。」

無論泥の中で何かを探していたことくらいは思い出せるのだが、その肝心の物が思い出せない。いわば「なんで言おうとしたのか忘れた」や、「何をしようとしたのか忘れた」にとでも類似する状況だと思うが…。


 まぁ、進めばルルカに会える。って、ルルカに会いにきたんだった、この先に居るルルカに、、。






 いつしか歩き続けていると色々なことを忘れがちになってしまう。


 「あれ?、」

なんで俺は泥の中にいるんだろう、っていうか泥ってナンダ?


 わからなくなってきた。でも進めば…進めば?…あれ?


とりあえず進めばいいことがわかっていたので、足を動かす。






 いつしか歩き続けていると色々なことを忘れてしまった。


 「…、。」

考えることを放棄したつもりはないのだが、考える理由もわけも、きっかけもない。この暗闇の世界は俺に虚無を与えてくれる、前に虚無は悪いことだと俺は言っていた気がするが、実際そうでもない。虚無になれば考える事は少なくないるし、なんにせ、楽だ。


敷かれたレールに乗っても文句が飛んでこない世界。平和が一番というのはまさにこの事、、






…、、。


 「あれ?自分って誰だっけ?。」

流石に忘れるはずない、のに、何故だかその名前が頭の中に浮かんでこない。


 『〜〜〜〜〜』


遠くから声が聞こえてくる。誰の声だろう、全くもって見当がつかない、しかしこちらを読んでいるように聞こえる。行ってみよう。


 『〜〜〜〜〜』


…真っ暗闇で何も見えないはずなのに、あちらはこちらを認識しているようだ、言ってしまえばこちらも相手の大体の位置がわかるが、真っ暗闇のため、不安になる。


 『〜〜〜〜〜』


声が近づいてくる。もう少しだ…


 『〜〜〜〜〜』


きっと多分これだ、目は見えないが形だけは認識できる。外郭がはっきり描かれていると言ったらわかりやすいかもしれない。、


 「君は誰なんだ?。」

俺らしくない、実に俺らしくない口調で目の前の人に話しかける。


 『〜〜〜〜〜』


 「え?俺は誰なのかって?。俺はー、、。」


 「、若葉暁。」

自然とその言葉が出ることに驚くとともに情報量がなぜか頭の中で増えていく。


 『〜〜〜〜〜』


 「え?なんて?。」

なんで自分はこの『少女』の声がわかるんだろうか?


 『〜〜〜〜〜』


 「え?、ごめんもう一回。」

なんで自分の勘は何も反応しないのだろうか?


 


 『〜〜〜〜〜』


 「お、お兄ちゃん?。」


なんで自分は…どこまでも醜くて愚かで、恥晒しで、惨めで、哀れで…、。



どこまでも…過ちを繰り返すのだろう?。


 『ねぇ、許して、お兄ちゃん?。』


 「な、何を?。」





 《私を殺したこと。。。》















 「ルルカ,そろそろ撤退するわよ。」

私はいまだに面白い物がないかなぁ〜っと適当に箱の中を探しているルルカに対してそう言う。


 「えぇ〜だってまだお兄様のお土産決まってないもん。」

ぶーたれた声を出しながらルルカは私たちにそう言う、しかしながらアイツのためを思っての行動なら、せめて通信の一つくらいしたらどうなのかと私は思う。わざわざサプライズにする必要はないはず…、


 「時間がかかった分だけ、おそらくあのバカ心配になるわよ。」

ハァ〜っとため息を吐き、なぜ紅月の心配を私がしなければならないのかと、心の中で思いながらも、ルルカのために一言いう。


 「むー、わかったよ。」

ルルカは納得してくれたようで、箱から体を出し、紅月のお土産袋をアイテムボックスに詰めた。


 「やはり、あかつき様には一言いうべきでしたね。ただの『探してくるよー』の一言は本当に一言ですし、、。」


 「そうね、まぁアイツは何がきても確実に追っ払いそうだけど。」

そういう意味じゃない事はわかっている、しかし私がアイツの心配をした暁には何か嫌なことが起こりそうな気がしていた。

ただの気のせいだと思うし、それ以上でもそれ以下でもないのだが、だからと言って紅月を心配する理由にはあまり当てはまらない。


 「、そういう意味じゃ無かったのですが、、。」

残念そうな顔をしてそう言うウミさん。わかっている、紅月はただ腕っぷしが強いだけの人間じゃない、なんならメンタル的に言えば紅月は強くない方だ。


実際に見たと言うわけじゃないが、たまに出すアイツの雰囲気がなぜだか心にすごく刺さる。

アイツはそんな顔する必要はないはず、アイツはそんな顔しない人間だと、いくら紅月の評価を昔に戻そうとも、あの顔は忘れられない。

もう戻れない、一言で表せばそういう顔。


気に入らない、アンタがそんな顔するなんて,。


 「ハァ〜、ルルカ、さっさと戻るわよ。アンタの大好きなお兄様がもしかしたらルルカのこと嫌いになっているかもしれないしね、」

冗談半分で軽々しくそう口にする。やっぱり私にはブラックジョークが一番似合う、自分で言うのもなんだかけどね。


 「やだー!。」

露骨に残念そうな顔をして、駆け足でこちらに走ってくるルルカ、今のがノリだとわかってくれなかったら、紅月に続く鈍感かもしれない、ある種で…。


 私達はそのまま、何事をさも無かったかのように、不気味な通路を歩いていく。、扉を開けて、また歩いて開けて、


こう考えると随分の離れにきたものだと、自分を讃えたくなる。


 (この先は確か。)


病棟、あの気味が悪い病棟だ。ホラーは全くもって好きじゃない自分からしたらあんなのただの拷問だ。


しかし帰らなければいけない以上背に腹は変えられない。

覚悟を決めて、ドアノブを捻り、私は扉の奥に広がっている病棟に足を踏み出した。


しかしそれは一歩で終わった。


 「ー。」


目の前に真っ黒な泥のような影が居た、無論自分の影なんかではない、ソイツはただただ突っ立っていて、こちらを向いている。いや俯いている。


目,口、耳、鼻、シルエットはわかるのに、それ以外の情報がわからない。


そして見るからに敵だ、しかし、そうしかしながらなのだが、、。


 私のレーダーや、索敵機能は何をとち狂ったか、ソイツを


 【紅月】


っと認識していた。


 「レナ?」


どうしようどうしよう、私の頭の中でそう繰り返される。

ルルカにとってこれは一体どう反応すればいい案件なのか、最悪のケースを考えるだけでも、頭痛がする。


第一、私自身も目の前の現実を受け入れられない、いや、受け入れられたくない。


それは単純に紅月が心配っというわけでは…、、決してない。



 「レナ、、。」

しまったと思った時にはルルカは私の体と壁の僅かに空いたスペースを強引に通り、ソイツをじっと見ていた。

信じられないような目と驚きの表情をしながら。


 「ー。」

ウミさんもルルカに引き続き、私を追い越しながら前へ出る。


狭い病棟を横三列、病棟自体は横五列分くらいの広さがあったが、ソイツを目にしているとどうしてだろうか?。空間がどんどん閉じていっている気がする。

 

 …


 「──お兄さ。」


 [ピビュッンーーー。]


 「っい!!」

私は一瞬のうちにビームサーベルを抜き、紅月の見よう見まねであったビーム弾きを行う。

結果は成功、、咄嗟にとった行動だったせいかは私は酷く動悸が激しかった。


何が起こったのか、今ビームサーベルを手にして、たまを弾いて、一秒経った。


しかし私は何が起こったのか正しく理解できなかった。ただ、紅月がルルカが話すタイミングと同時にビームサブマシンガンを1発、脳天に向けて撃ち、それを私が間一髪のところで弾く、行動として理解できるのはそこまでだった。

しかしながら、行動として理解したならそれはそれで十分のはずの現実は、とても、死にたくなるほどに吐き気がした。


動悸が止まらない、止まらない。体がまるで自分の思い通りに動かないみたいだ、さっき咄嗟に動けたのは奇跡で、本来の自分は今みたいに動けない物だと。


目の前のソイツから、言われているような感覚。まるで催眠術にかかってしまったようだ、でも、、そんなチャチな物じゃない事は、わかっていた。


 (だって、次動ける。という考えが私には無かった…。)


 「ー。」

 [pppppppppー!!!]

紅月が片手撃ちだったビームサブマシンガンを両手持ちに、有無を言わさず、こちらに向けて撃ってきた。



 《自動迎撃システム作動》

その音共に、私の背部に搭載されたAIは動けない私の代わりに動き、肩部を含めた発射可能なミサイルを全弾前方に向けて発射していた。

ミサイルは黄緑色の弾にあたり、爆散する。他のミサイルも同様に爆散、だった1秒間だけだが、射撃の山は爆風によって遮られた。


もっとも、体が動かなければ意味はない。おそらく次までに装填は間に合わない、次にやられるのはミサイルではなく

 

 (私だ)

そう思った次の瞬間


 「お2人方!!」

ウミさんがたった一秒間の間に、私たち2人を抱えて、元いた部屋へ引きずり戻す。

体が宙にふわっと浮く感じと、まるで満員電車に乗っている圧迫感が同時に来て、いつのまにか私は壁に体を寄せていた。


 [バンッ!!]


ウミさんによって強く締められた扉は、数秒の内に風穴だらけにあり、ジューっと鉄が溶けた音が出てくる。

射撃はいつのまにか止んでいた。そして気づいた時にはウミさんは私達の隣にはいなく、


 「くっーッ!!」


 [ジュュュュュ−。]


舌を噛み締めるような声と、明らかに体の一部が溶かされているような、地獄の音が聞こえてくる。


その音を聞き、私は


 「ウミさん!!」

瞬間にビームスナイパーライフルで紅月の腕を壁から覗き込むような形で捉えていた。

無意識だった、動けなかった体は誰かが苦しむのをよしとしないように自然と動き、自然とソイツを敵だと認識した。


 「はいッ!!!」

ビームサーベルでグローブと相殺状態にあるものの、ビームサーベル自体は物理ではないのでウミさんのグローブを表面上から焼くようにしている、まるで人間がアツアツの鉄板を砕きに行って火傷しているような感じだ。足掻きに蹴った前蹴りを腕部についているシールドで受け止められて。まさに身動きが取れない状況のウミさんに対して、私はそう呼びかける。

ウミさんは瞬時に私がやろうとしたことを理解したらしく。体をうまく捻り、ビームサーベルにギリギリ当たらない形で、状況を脱し。

私の射線を確実に開けてくれる。


 「ッ。」

今が撃つべき時だ、ビームスナイパーライフル、技術的に言えばそんじょそこらの装甲を余裕で貫通できるレベルの武装、掠っただけでもその威力は計り知れないだろう。


これを確実に撃てるタイミングが、今なのだ、そう、今なのだ。しかし指は、いや体は震えていた。

紅月を仲間だと思った事はなかった、しかし知り合いを撃つだけの作業、これはゲームだ、死んだらもう一度生き返る事だってできる。


しかし私の精神はそれを拒み、二度と生き返れないという信号を意味不明に出す。


 「あああァァっ!!!!!!」

叫ぶ,そして一秒が経過する。私の指は引き金を引いていて、発射された青白い閃光は紅月に向かって直進する。

反動によって私はバランスを崩し、地面に倒れようとするが、ギリギリのところで止まる。


最後にソイツの死に様を見たいから、。いや違う、最後に…ソイツの最後を意味もなくただただ重圧感がよぶ何かに流されるまま見る。

 

 しかし結果は残念、放たれた閃光は一秒遅かった。、紅月はその間に回避行動をすでにとっており、打ち出された閃光は紅月がいた虚空をすり抜け、ずっと続く病棟の闇へと消えていった。


忘れていたわけじゃないはずだ、紅月という人物は正真正銘の化け物だということを。。。


 目という概念が存在しないソイツはどこを向いてどこを見ているかわからない、が。


 (ー。)

なぜだろうか、私はソイツに見られていることを理解していた。

瞬間、私は蛇に丸呑みにされた感覚に陥る。ガクンと体が今にも落ちそうになり、まさに終わりを迎えた体っと表解するのが正しいように…


ソイツの殺意は本物だった。


 真っ黒なだけで、表情も何もわからないはずのソイツからはオーラと呼ばれるに匹敵する殺意が確実に私に込められていた。


回避行動をとったソイツは、おそらく流れるようなままで、私の元へとブーストを使って詰め寄り、身体中に穴という穴を明けに来るということがわかる。

想像しただけでも気を失いそうな未来。


しかし取れる選択肢は無い!スナイパーライフルは連射がきない都合上、後2秒は必要だ、、。ウミさんは、距離的に間に合わない…


体をギリギリ躱して回避するか、いやそれでは確実に紅月に先読みで捉えられる。さらにすぐ近くにはルルカが居る。


壁に隠れようものなら弾がルルカに当たる。

ビームに対して幾分か耐性を持っている私なら耐えられないこともないだろう。


しかしルルカの場合、ゲーム状の装備、いわゆるエズ製では無い以上、いくら総合的に防御値がまさっていたとしても、あの兵装の前には無力だ。


 (でも、死にたく無い。)


その感情が心の底から湧き上がってくる。一時的に固まった決意は粉砕機にいれられたかのようにズタボロとなり、再起不可能な器となっていた。


 

 相手は待ってはくれない。今こうしている隙にソイツは両手に持った武器をこちらに構えながら、ブーストを吹かそうとする。


 (死にたく無い。)


もやはそれしか考えられない。ただ何もできずに立ち尽くし、自分の終わりを悟る。


 [カチャ──]


ゆっくりと見える世界で銃口は私に向けられる。高速の筈が何倍にも遅くなった世界で、ソイツが引き金を引く瞬間が見える。


 (あぁ、これで。)


そっと目を閉じた。どうにかしようだなどと思える気にもなれなかった、一度動いた体も二度とは動かなかった。


紅月に勝てるやつはきっと、対人戦において存在する事はないのだろう。


紅月がそれなりの装備を所有していた、という暫定条件に限るが…、。


 「ダメェぇぇ!!!!!!」


 「っ?!」

その声が私の背後から聞こえてくる。


体が動かなく、ただ頭でしか考えられず、ただ声でしか表現できない。不自由なルルカがそこには居た。


それはただただ私を守るという気持ち、いや、もっと言えば「あなたはそんなことをしてはダメ」っと黒くなった殺戮マシーンにそう言ったように聞こえた。


しかし今更無駄だ、機械に無理が通用しないように、この黒くなった紅月も


 「ー。」


銃声が来ない、引き金を引いていた指はそのまま止まっており、加速の勢いは止まっていた。

時が止まったが如く。


 [ドンッ!!]


 「ごめんなさい!紅月様!!。」

視界外からきた蹴りは紅月の横っ腹を思いっきり蹴る。ルルカの声がなかったらおそらく蹴りは間に合っていなかった。


まさにギリギリ、しかし


 [ドドン!]


壁に打ち付けられた紅月は。すぐにバランスを整え、定位置に戻るかのように私たちから一定の距離を置く…、


 「ー。」


何も言わないソイツは、私達のことを待っているかのように見えた。だから、


 「装填」


 《装填を開始します。》


私は弾の装填をする。ウミさんはポケットに入っていた赤い小瓶を容易く飲み、自身にバフをかける。


 「全甲防御壁オールシールド範囲増加エリアアップ自動反撃オートバック魔力加速マジックブースト飛翔フライズ加速飛翔ブーストフライズ追撃アシスト、。」


詠唱の掛け声が後ろから聞こえる。カタカタと不規則なリズムを刻みながら、その少女は立ち上がる。


 「ルルカ───。」

私はどうしたらいいのかわからない、るるかになんて声をかければいいかも、、しかしそれでも私は心配をするようにルルカの名前を呼ぶ。


 「大丈夫…。アレはお兄様じゃ無い、。…」

目で訴えかけてきている。、アレはお兄様じゃ無いと思わせて。っと、嘘を本当だと思い込み、戦いに臨むその姿勢は、現実を受け入れるのではなく、ただただ偽りであっても自分にできることをやろうとする意思、形に縛られないルルカ特有の物だと私は勝手に感じ、その心意気と展開された魔法に、何も言わずに戦力として迎える。


 『ー。』


この黒くなった紅月を取り戻す為に。



 [カチャ!。]


 [ビュゥーン]


私は紅月が武器をこちらに構えた瞬間に、ビームスナイパーライフルで武器だけを狙い撃つ。

紅月なら次にそうすると睨んでいたので、あらかじめ構えておいて良かった。っと安心したいが安心している場合じゃ無い、なんならこいつに安心してはいけないのだ普通は、


 吹き飛んだ武器は紅月の後ろに行くが当の本人は何にも気にしていないように,ブーストを吹かしこちらに接近する。


 「させまっーーせん!!」


ウミさんが私と紅月の間に割り込み、腕を思いっきり、構え。スラスターの感性により止まらない紅月に一発お見舞いするが如く殴りかかっていく、。


 しかしそれをも反応し、体を屈め、ウミさんの拳の下を先ほどよりも早い動きで通り、私に向かってくる。


手に持っているのはビームサブマシンガン一丁と肩にマウントしてある最高火力武器ゲィザー、ガシャンっという音ともにこちらに狙いをつけている事は砲口を見れば一目瞭然だった。


 「!。」

私はすぐにスナイパーライフルを持ち,紅月の胸部に狙いを定め始める。


わかっている、こっちが狙う前に相手がこっちに撃ってくることくらい、


 [pppppppppー!!]


でも,こっちには魔法のスペシャリストがいる。


 [キィキィキィキィキィッ!!!]

黄緑色の無数のたまは私へ到達する前に、半透明の薄オレンジ色の障壁によって弾かれ、到達する事はなかった。


 「そこッ!!!」

次の瞬間には私は紅月の胸部である黒い部分に向かって一撃を放っていた。

正直これで当たってくれなかったら、困るしか無い。


 [ッーイィン!!]


青白い一撃は紅月にヒットしていた。しかしそれは表面装甲を削る程度で止まり、いつも通りの超反応によって体の軸を少しだけずらされていた。


鋼鉄が抉れ、弾く音が耳鳴りのようにその場に広がった。


紅月に決定打を与えられなかった事はとても残念だが、それでもバランスを崩すことくらいは成功していた。しかしながら先ほども言ったように紅月には隙が少なすぎる。バランスを崩しこのまま地面へ、、落下せずにブーストをまた蒸し、


攻撃ではなく安全策をとるように回避行動へ、私からみて右側へズザザーっと足音をたてながら、勢いを殺してまた私たちと向き合う形となる。


 「ッ」

私は着地を狩るように一寸遅れてビームスナイパーライフルで胸部を必要に撃ち抜きにいく。

胴体ならば右に避けようが左に避けようが、どちらも同じ。1番当てやすい場所だ、、しかしそれは通常ならばの話、、コイツの場合、ドットサイトがあろうがなかろうが銃口の位置で場所をある程度把握してくるし、それに加えて人知を声た直感がある。まともに当てるのは不可能に近い、先ほどの回避不可能に見えた一撃も超反応によって体を無理に逸らすという形で回避している、それに加えリカバーも十二分にできているところを見ると、。


 (死んでも相手にしたくない)


特にこのVRゲームモーションに制限がほとんどない、つまるところ紅月を縛る行動パターンというものは散財しない、[回避ならば回避ボタンを押す。]が[回避だから最低限の動きで回避して攻めよう]とかいう思考に切り替わる、それゆえ暁には統一性がないそのばの柔軟な対応力が攻防共に展開されるこのゲームにおいて、紅月のPSは、、個人的にSSSに匹敵するほどだ。


何ならコイツは装備があればSSSに余裕で到達する。ステータスや、圧倒的攻撃力などでは到底及ばない、生まれ持った能力。


私はそれが


 (死に程気に食わない。)


 [ビュゥーン!ビュゥーン!!]


紅月はスラスターを巧みに扱い、私の弾を確実に避けて行く。そして次の瞬間には攻撃に転じ、ゲィザーをこちらに射出、接近を許してしまった以上発射されるのは当然のことだった。


 [ビュゥイィィィィン!!!]熱戦が私たちに向けられ、次の日には地面から炎が噴き出していた。しかしながらルルカが張った魔法によって辛うじて無傷、爆風ダメージだけで済み、私の装甲は熱い熱に焼かれるだけとなっていた。


炎の海が一瞬にして形成される中、紅月は先ほどまでいた場所を離れこちらに向かってビームサーベル逆手持ちに突っ込んでくる。


 「させまー。」

ウミさんが右ストレートを突っ込んでくる紅月に打とうとした時。


 [ガション]

まるでその攻撃を待っていたかのようにゲィザーの影はウミさんに照準を向けていた。


 [ビュゥイィィィィン!!]


そのままウミさんの顔面に向けて発射される。


これはまずい、流石に焼けた後から生首ひとつすら残らず出てくるのか、それとも焼け落ちてドロドロになった頭部だったものが出てくるのか、どちらにしても規制がかかってしまう。

つまるとことルルカの教育に悪い。


 (それはそれとして!!)

ルルカの結界先ほどのを見れば耐久的には十二分だが、近距離の、しかも先ほどより出力が明確に上がっている一線掃射にルルカの結界が耐え切れる可能性は低い。

故にウミさんはここでリタイアと考える方が…。


 「っー!捕まえました!!。」


熱線から顔を強引に出して、少し焦げた顔を見せながらウミさんは紅月に腕をガシッと掴んでいた。頭につけていた髪留めは外れ、ウミさんの元々長い髪の毛がハラリっと落ちる。


 そして腕を掴んだウミさんがした行動は、、


 「はぁぁぁっ!!!」


 [ゴチンッ!!]


実際にそんな音が鳴ったというわけじゃ無いが、鳴ってもおかしく無い感じに、ウミさんは紅月の頭をバイザー越しに思いっきり頭突きをかました。正直言って痛そうな一言に尽きる。


 「、、っく。」

ウミさん自分が攻撃されたみたいな顔をしているけど頭突きをしたのあなたですよね、って正直なところ思った。ウミさんの頭突きによってさっきまであった緊張感がぶち壊しだ、。

しかし、この行動(頭突きではなく、紅月の腕を掴む)は紅月の動きを動きを大幅に制限することができる。ウミさんのステータスであれば、紅月の推力を持ってしても打ち破るのは困難なはず…。


 そして私はその時ウミさんがどうしてあの硬直した空間の中でAIを除き、動けたのか理解した。

ウミさんは最初から紅月を助けるために戦っているのだ、それはメイドという経験が培った能力かのように、ウミさんは一人のメイドとして、紅月についている泥を落とすために戦っている。それはメイドさんが汚れている部分を落とし、本来あるべき姿に戻す、『掃除』かのように。

ウミさんの行動は確かに戦う姿勢だ、しかしどうしてそこまで紅月を信用できるのか?、、。


私には全くわからない、だから。


 「ッ」

今は私のやり方でアンタを止める。ビームスナイパーライフルでアンタのコアを撃ち抜いて、その泥を堕とす。

照準を構え、紅月の心臓部を狙う、あいつがいくら体を振って抵抗したところで支点がブレるわけじゃない。

何なら今の紅月はスタン(頭突き)によって体制を整えるのに時間がかかっているはず、、故に今ほどいいタイミングは存在しない。


 [ビビ!。]

バイザーに搭載されたロックオンシステムが赤く表示され。あとは引き金を引くだけの作業、。

ごめんっと死んでも言いたくはないが、思ってはおこう。私はアンタがやりそうな最善策で、あんたを撃つのだから。


 [ビュゥーーン-!!]


私が放った一撃は確実に泥を抜け、紅月のコアにダメージを与える。

スナイパーライフルの一撃、どんなゲームでも、どんな媒体でも一撃必殺として扱われてきた。故にこれも例外ではなく。紅月を一撃で止めるのには十二分に通用するはz-。


 『ドスッ!!』


 「ぇ」

これは正解ではない、故に罰を与える。そう言葉が聞こえた気がする、きっと幻聴だろう。


 (ァ、視界が。)


そう、幻聴だ。だがもしこの幻聴が本当なら、、私は紅月を…、どうすればよかったのだろう。


 

・・・

 



 「レナ、、。」

お兄様もどきから伸びた黒いものがレナの心臓部を突き刺し、次の瞬間にはレナがバタンとまるで生きていないように倒れた。、その光景を見た私はドクンと何かが外れたように鼓動が深く鳴った。


 「レナ様っーく、!!」


 「反射障壁カウンターシールド!!」


 [キン!!]

お兄様もどきは腕から剣のような鋭利なものを出し、ウミの顔に向かって一直線に刺そうとする。しかし私の障壁が間に合い、刃が当たる前によって弾かれる。ウミは回避行動を取ってはいたが、それでもお兄様もどきの反応は早かった。。


ウミが回避したその後を見計らっていたように、刃が一直線へと向かっていた。もし確実に当たっていたなら私がお兄様もどきと『本気』で戦わなくてはならなかったかもしれない…


 「っ!もう片方も!!」

ウミはお兄様のもう片方の腕を強引に掴み、お兄様に両手を完全に拘束する。


 ウミがやろうとしていた事は理解していた、だから私も最大限それを可能にする。


 「審判のジャッチメントチェイン!!」

審判のジャッチメントチェインは相手を100%の確率で『封印』状態にする魔法、本来ならば対大型の魔物に使うのがセオリーだけど、ウミが死ぬ気で行ったこの行動を無碍にすることなんて私には到底できなかった。


魔力の消費がかなり多いので、障壁を張るにしても、攻撃をやるにしても後一回が限界。


元々私は二重で障壁を張るのが得意じゃない。

やられる前にやるというストロングスタイルでトップへ登って行った人間だ…。

詰まるところ守りより攻撃を優先した構成になっている。もちろん万能にこなせるようにある程度はスキルを組んでいるけど、それも限度がある。


ダンジョンに入ってから、十分に魔力回復ができていなかった為、いくら豊富に魔力があろうとも、次が最後の魔法になる。


 でも、審判のジャッチメントチェインによってお兄様の動きは制限される。

魔物用のを人に撃つのだからおそらく逃げ出す事は難しい…、。


その隙にお兄様もどきから!お兄様を取り上げる。


 「お嬢様!ナイスで−。」


 [ビュゥィィィィィィィ!!!!!!]


ウミが魔法の成功を確認して、こちらに顔を向けた瞬間、お兄様もどきの方から発射される熱線にウミは直撃をもらった。


先ほどの攻撃では私のバックアップがあった。しかし今は、魔力が枯渇してウミへ障壁を維持できるだけの魔力を回せない。


詰まるところ、私はウミを


 「ぁぁあ、!。」


見殺しにしたのだ。、、


 「ー。」

原型は保っているものの、皮膚の至る所や、メイド服をも焦がされたウミがバタンっと目を瞑りながら倒れた。


 「っ!。」

審判のジャッチメントチェインの影響で攻撃ができないはず、しかしお兄様もどきはウミヘ一撃必殺の兵装を至近距離で当ててきた。


私はそのどうしようもない事実に打ちひしがれる。お兄様もどきをどうすることもできないと思ってきてしまった…。


2人とも、手酷くやられて残ったのは私。お兄様もどきは下手をすれば私を殺しにくる、、ここで全滅するわけにはいかないし、ウミが命を張った行動も無駄にはできない。


 私重圧がのっかかる。


こんな時お兄様ならなんていうんだろう、


 [ギリギリギリギリ]


時間がない、お兄様もどきは今にも弾き飛ばす勢いで身体中に巻き付いている鎖を取り外そうとする。


 「っ、。」


私はお兄様もどきに歩き出す。、、食うなら食えっと言っているようなものだ、でも今の私には食われる覚悟なんて一切ないし、負ける覚悟なんかもない。、


覚悟を決めて踏み出した心には明確にやることがある。お兄様もどきはお兄様もどきだ、私は私だ、ならこの選択もきっとお兄様なら許してくれる。


だから私はそっと、最後時を過ごす相手を見つけたかのように、


 「、お兄様。」


 [パリンッ]


鎖から解き放たれたお兄様をギュッと抱きしめる。


 「ー。」

これで治って、となんて望まない。ただただ私がギュッとすべきだったと、そう望んでいたからら。


 [ドスッ!!!]


 「ぁ。」


やっぱり遠いな、お兄様は…。


意識が遠のき、お兄様から体が離れる瞬間まで私そう思っていた。




 ──???──




 『ねぇ、許してよお兄ちゃん。』


気持ち悪い、うるさい、黙ってくれ、お前は『お前』じゃない。


 『ねぇ、何で許してくれないの?』


許す必要がないからだ、悪いのは俺だ、だから目の前から消えてくれ。


 『…何であなたが生きているの?。』



 「っぅ、おえぇぇぇぇー!!!」


俺は腹に入っている黒い泥を吐き続ける。さっきからこの調子でずっと泥を吐き続けている。

失われてきた記憶はもう元の状態に戻っていた。


しかしながらこの呪詛のような言葉、


 『なんで?』


 「おぇぇぇぇぇぇ!!!」


 『何で?』


 「おえっげほッ、おえぇぇ!!!。」


 『何で?!』


とても頭や、心に刺さる。それはまるでチェーンソーでハラワタをミンチにされているが如く。


口から出せるものがないのに、強要され、黒い泥を出す尽くす。、気持ち悪いったらありゃしない。


 『何で?!』


 「黙れ。、偽物」


 『?』


俺が殺したのは、お前みたいに呪詛を永遠と語るやつじゃない。俺が殺したのは、見殺しにしたのはただ1人だ。


それ以上でもなく、それ以下でもない。


だから終われない、迎えを待つ奴がいる限り。


 「お前は所詮、紛い物でしかないんだよ。」


 『。。。、なら死ね。』


目をカット開き、こちらをじっと見つめてくる。視界は揺らぎ精神はまたも闇へ堕ちていく感覚が、体と心に貫かれ通す。


 (大丈夫。、俺は帰る。)

気を抜いたら精神持ってかれそうだ、だがこんな時にこそ自分を落ち着かせる。、、


大丈夫、大丈夫、俺は必ず帰る。ルルカの元へ必ず帰る。決してこんなやつに道を阻まれない。


覚悟を決め、目の前の強大な気に心を潰されながら前へ、一歩踏み出す。


 「っ!!」

黒い鞭のような針のようなものが俺のいたところに放たれ、俺が回避前までいた何もない時空につきさし、ヒビが入る。

瞬間のうちに回避していなければおそらく、確実にやられていた。


だが


 (、、体が動く。)


 「、、通してくれないなら。」

スゥ〜っと体の空気を入れ替え,深呼吸。心、体にくる重心は以前として変わらずだが、、体が動くだけ全然違う。、少なくとも動けない状態からの串刺しに遭わずに済むということだ…


 (それにしても、。)


姿形はルルカそっくりだが、俺はどうにもこうにも気に入らなく、逆に殺意しか湧いてこなくなる。


なら、その気持ちを今下郎を見るかのような目をしているこのわからずやに叩き込めばいい。


 「、ー。」


俺は両腰のビームサブマシンガンを手早く取り出し、ルルカの姿をした偉そうなやつに二丁の照準を合わせる。


もう一度深呼吸をして、心と体を整える。


 (コイツはルルカじゃない。)


そう思い、目を開け。


次の瞬間には俺は飛び出していた。


しかし相手は一瞬にして俺と間合いを開け、は無数の虚空から捻じ曲がった黒針鞭を飛ばしてくる。


相手のこちらの距離が離れる時、まるで俺とアイツの間にある時空が意図的に、『延ばされる』感覚がした。ただ見ていた距離が遠くなったというよりも、理屈的に説明不可能な現象によって距離が延ばされる感覚。


 (この世界は私のものだってやつか

っっ。)


そう脳裏で理解しながら、俺はこちらに向かってくる黒針鞭を持ち前の反応速度と勘で避けていく。


 (まさに針の穴を縫うというのはこういうことだ。)


皮肉を言っている場合じゃないぞ若葉暁。こちらは確かに回避ができているが、攻撃に転じる隙が十二分にあるわけじゃない,何ならニ分あるかどうかといったところ。


 (とりあえずだ、今は何とかやつに近づいて足りない命中率を確実に上げていく。攻撃は近づいてからでも十分だ。)


 近づいていくにつれ、避けるのがだんだんと難しくなっていく黒針鞭。相手との距離は後数メートル弱、装甲に黒針鞭が掠る音もだんだんと増えてきている。


 (そろそろ頃合いか、)

そう思い俺はまず腰部に搭載されてあるプラズマミサイルを射出、陽動もとい攻撃だ。

運良く当たってくれればそれでよし、運悪く撃ち落とされてもそれはそれでこちらに向く攻撃の手数が落ちるので問題はない。


 プラズマミサイルは不規則な軌道を取り、俺より早く標的に向かっていく。


 「ー!。」

相手はそれがやっと理解できたらしく、今更になって迎撃を始めた。こちらに来ていた途中の黒針鞭ですら出動させ、自衛に徹する。


おかげさまで俺は完全ドフリー、今のうちにやらせてもらう。


 (ゲィザー!!)


ケーブルが引かれる音が背後からしながらゲィザーもミサイルの後を追うように早く、標的に向かっていく。

タイミングを合わせての攻撃が効果的だということは見なくてもわかることだった。


ビームサブマシンガンを二丁から一丁に連結させ、照準を付け、正しく狙う。


 「今だっ!!」

その掛け声と同時に俺は引き金を引く。

ゲィザーは引き金を引いたタイミングで同じように高出力のビームを目の前に放射する。


 「ー!。」

気づいた時にはもう遅く、黒針鞭と共にそいつは煉獄の中へ一瞬にして放り込まれたのだ。


流石にこちらに対して無反応ではないということは、確実に効く攻撃だったということだろう。、


 [シュン!]


しかし、煉獄の中からは次の瞬間、黒針鞭が音速を越えるかのような速度でこちらに向かってきた。俺は反応できた、できたはずだ、しかし何をとち狂ったか、体は動かず。


 ドスっと思い音を腹から聞くととなる。


 「がっ?!。」


次に俺が思った言葉一つだけ、「しくじった」。体が動かなかったはほぼ言い訳みたいなものだ、正確には俺が動けなかった。

勘や、感覚頼りに体を動かしていたせいか、ここぞという時に『心』が動かなかっただなんて。


 (情けねぇ。)


 「ー、口ほどにもなかったな。」

ルルカの姿をしたヤツはそう言いながら、また空間を操り一瞬で俺の元へと近づく。刺さっている黒針鞭を巧みに動かし、俺を空中に吊り上げる。


 「、言ってろ。プラズマミサイルにビビってたくせに。」

精一杯の減らず口、しかし体はもうかなり感覚がない。「いや機械に感覚って」っとツッコミたいならどうぞご自由に、だが実際に俺の手足は動かない。


おそらくだが、この黒針鞭、対象のエネルギーを吸い取る能力がある。

掠った時にもおそらく幾分か取られていた、そのせいかどうかはわからないが体はさっき動かなかった。


 (まさか反応速度まで影響するとは。)

完全に相手の力量を見誤った。焦っていたからという理由で許してもらえるならありがたい限りだ事。


 「ふん、負けた分際で。いいだろう貴様にはたっぷりと地獄を味わってもらう。」


そう言い、ルルカの姿をしたヤツは俺の頭を手で思いっきり掴み、今にも握りつぶそうとする勢いだ。鉄が歪んでいくような音が脳に響き渡る、それと同時に俺の視覚にはある光景が映し出されていった。


 俺がルルカ、ウミさん、レナ、全員を殺す勢いで薙ぎ倒していった。光景…、


ざっくりいっているが、実際はこの説明の100倍ほど酷い。ルルカ達が受けた傷がそのまま俺の体にフィードされるような形で伝わってくる。


そして、自分自身がそれをやっているような感覚に陥るため、必然的にメンタルへダメージが行く。いわゆる催眠術にかかり、意識だけ起きている状態、、やりたくないのにやらされている感の完全上位互換。


吐きたくなるほどの思いや情報が頭の中へ無数に入っていく。


 「ぇ、お。げぇ、、ぁ、」

何も入っていない胃から出せと何度も強要される。吐き気、、意識は蚊帳の外でひたすら操られた肉体の苦しみだけが、ひしひしと伝わってくる、、


これを拷問と言わずして何というか、。


 「まだ、終わらせない。私には向かった罪を思い知れ。」


 「あ、ぁっ!?ぁぁあああああ!!」



    [数分後]



 「、、。」


 「死にましたか?。」


ルルカもどきが俺へとそう問いかける。あぁ、確かに死にかけそうだ、、正直何で自分が生きているのかすら謎だ。


俺は仲間を傷つけて、倒して、一体何がしたいのか…。正直…


 「このまま消えてしまいたいと思いませんか?。」


 「…思う。」


 「ふっ。」


 「だけどダメだ。」

俺がそう口にすると、今にも高笑いをしそうになっていたルルカもどきは、その声を止め。

ただひたすらに沈黙の時間が続く…


 「は?、」


 「俺は、まだ止まらない。」

少なくともお前のようなやつでは止められない。俺を止めることは絶対にない。


 「なぜ?、貴方は全てを失ったんですよ?。」


 「、、は、。たとえ全てを失っても、」

そう、言い続けろ。決して止まるな、俺が止まる時はない、まだやり残したことがある。まだルルカにしっかりとお別れの挨拶もできていない、鷹橋とはぜんぜんプレーできてないし、プラモデルも、後何十年も続くのに、作れない。


それが約3割の原動力、そして俺のいちばんの原動力。


 「俺はまだ、自分の…。」


今なら使える。使い方がわかる。コイツに吐き出せと勘がそう命令を下せるようになった。

ならやるべきことは一つ…。


 「自分の責任を終わらせてない!。」



   《−、、能力解禁──魔力放衣》


 「?!っ。」

 青白いオーラが俺の身の回りにまとりつく。

瞬間、ルルカもどきは体を一気に引き、空間を延ばすのではなく。体で後方へと飛んだ。

バリバリバリっという音と共に、自分の胸に引っかかっている何かが外れ、体が大きく軽くなる。


 黒針鞭がバラバラとまるで壊れた砂のように消えていき。俺は釣り上げられた状態から地面に立つ…


 「そんな、ありえない。なぜ?。」


ルルカもどきは初めての経験らしく、俺に距離を取りつつも、こちらを凝視して観察している。


 「さぁ、詳しくはメカニックにでも聞いとけ。」


体と繋がっている。他の感覚、これがおそらく魔力…エズの言った通り俺は魔力がある。


だが今は感心して色々試すときではない。


 「っ!!」

俺はブーストを吹かし、より早く前へ飛び出していく。、


 (ヤツが止まっている隙に叩く!!)


攻撃方法が、わかる。


 「くっ!!」


回避方法がわかる。


 「あたれ!あたれ!!」


だから、お前殺す方法だってわかる。


黒針鞭が無数に飛んでき、俺を刺しにくる。しかし魔力で纏われたオーラは全てを防ぐように、黒針鞭が当たった瞬間、バラバラと壊れ始める。


 故ににあいつにとって今の俺は天敵以外の何者でもない。


 (これで、決める!。)


 「ま、まて!!」

俺はブーストを限界まで吹かし、一瞬で詰め寄り…、高く飛び上がる。


 「最大級全魔力破壊拳フルマジックバースト!!!」

そう叫び,無数に目の前を塞ぐ黒針鞭をバリバリバリバリっと質量を無視して、全てを砕いていく。


 「貴様は、何者だ?!」


 [ド──────ン。]


気がついた時には、俺はルルカもどきの心臓を貫き、ヤツの背後にまわっていた。


 「、、冥土の土産に教えてやる。俺は若葉暁…。お前を倒したヤツの名前だ。もう二度と会いたく無いけどな、お前みたいなヤツ……」


 「…。」


ルルカのもどきの幻影が、消えるところを見届けると。目の前が真っ白になった。


これで終わったと見ていいか、どちらにせよ。ルルカ達を助けてから考えよう。


そうして俺の意識も一緒に飛ぶ。




『topic』


タルタベースは元々生体研究所、故に今もまだ、未確認の生物が多くいる可能性が高い。中には"異生イレギュラー"の成り損ないがいたりする。

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