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四十三話「カチカチゴーレム」

前回のあらすじ


べらぼうに固そうなゴーレム君登場。




 「っ!!戦闘体制!!。」


 [ドーーーンッ!!!]


俺がそう叫んだタイミングで、俺を含む他はすでに武器を構えた状態、そして声、というより気配がする方向からの攻撃に遅れて対応する形で散開し回避を成功させる。


 俺たちが各々回避した後に見た自分たちが立っていた場所には巨大な石が置いてあった。いや、あれは石じゃない手だ、巨大な手、青い炎が黒光の石製でできた手に反射し、まるで手の中に炎があるように見える。


そしてその手はゆっくりと炎達の中心へ戻って行く。


声を出したら死ぬ、というわけではないが出る覚悟で俺たちは敵の姿を確認する。


 「あわわわ。」


ヤツの姿を一瞬早く目視したルルカがそう震え声で言う。


それもそのはずだな、と達観しているつもりはないが俺も驚く。声に出なかったのが不思議なくらいだ、、


 「、。」


ウミさんは驚きはしたものの、すぐ現実を受け止め再びファイティングポーズを取り、警戒を始める。


 「は。防衛戦じゃないだけマシだと思ったけど、」


レナの声のトーンが明らかに低い、ルルカほどではないにしろ明らかに目の前の敵に対して恐怖心的な者はあるだろう。しかし似合わないジョークをレナが言ったおかげで俺自身目の前のヤツに対するコメントをする準備はできた。


 「冗談じゃないな、コイツは。」


明らかにサイズオーバーの体。

その肌は全部黒紫色に光って、あたりにある悪趣味な炎を取り込んだような見た目をしている。


わかっている、ガラスのように反射して見える光景、しかしそれでいて底が無いように黒い。

炎はあくまで表面で反射して俺たちにそう見せているだけ、だが。


 (心理戦も戦闘のうちだ、)


あせり、唾を飲んだ俺はそう思う。


 [地底大遺跡タルタベースの門番

  グランドオリハルコンゴーレム]


そしてそれに対応する様に名前だけが、俺の前に大きく表示される。いわゆるボスって感じか、、。


 


 [ゴオンッ!]


音が聞こえる、その音はまるで目の前のこいつから出ているような、そんな気がしてならない。


 そしておそらく次の瞬間は…


 「頭を下げろ!!」


 [ドシャーーン]


大きな平手が暗黒の中から現れるように出てき俺たちの体を掴む、いやおそらく蝿を叩くように振りかぶる。


レーダーを次に見た時には全員無事だった、俺の指令は届いていたらしい。


 (しかし決して安心してはいけない。ともかく、あの青白い炎だけじゃどうにも明るさが確保されない、どうするべきか。)


俺が次の攻撃を警戒しつつ案を考えていると、、


 [ピカーーン!]


一つの弾が空中に上がりあたりを照らす、白い炎だけだった部屋はゴーレムの姿が見れるくらい鮮明になっていた。

おそらく閃光弾だ、レナが撃ったんだろう。というか他に誰が撃つかって話なんだが,

閃光弾の明るさで目がやられそうになるがあいにく目はやられなかった、なぜならバイザーがあったからだ、しかしながらウミさん、ルルカはおそらく眩しいこと限りないだろう今のうちに体制を…


 [ゴオンッ!]


 「っ!」


俺は目を腕で隠しているルルカをスラスターを使い強引に引っ張り、近くの柱の影まで隠れる。


 「ぁ!」

ルルカがそう小声で言った瞬間。


 [ドドンッ!!]


ルルカがいた地面には大きな平手が置かれていた、後少しずれていたら大事なルルカがフレッシュトマトになるところだった。正直呼吸を荒くする以外、反応はできない。


 「ぁ、おにいさま。」


ルルカは目の前の光景から自分があのままいたらどうなっていたのか容易に想像したのだろう、まるで戦争が終わった放心した兵士のような声で答える。


 「っ、ルルカまだ戦闘は終わってない。構えろ!。」


強く言ってすまない、そんな気持ちで一杯にはなった。俺はお前の兄だ、守ることが仕事のようなものだ、今の瞬間もきっと怖かっただろう、手の震えが冷たい体を通して感じ取れる。


 「、、っうん!。」


ルルカは俺の言葉を遅れて理解し、杖を構える。本当に強い子だ、心底そう思う。


 (ウミさんは、、。)


そうだっと思い、俺はウミさんがいたところを見る。するとその奥でレナがウミさんと柱の奥で隠れているのが見てわかった。

どうやら考えていたことは同じなようだ、正直言ってあんまり嬉しくないが、、懸命な判断であることには変わりない。


 [ゴオン]


音を立てて、ハエ叩きした手をゴーレムは戻して行った。さてここからどうするか、まずヤツにこの場所はわかっているだろうな、


 (なら速戦即決だ)「っ!!」


 [ビビビビビビ!!]


俺はその刹那飛び出し、目の前のゴーレムに向かって二丁構えたビームサブマシンガンを撃ち、注意を引く。

ここでの俺の役割はおそらく高速軌道によりゴーレムのヘイトを買うのが妥当だろう。俺が注意を引いている隙に攻撃して貰えばっ!


 [ゴオン]


 (気づいた、。)


ビームサブマシンガンはヤツの表面装甲にあたってはいるものの、まるで水の玉が物体にあたったのかのようにビチビチビチっと音を立てて消えていく。効いている気はほとんどしないが、それでも注意を引くのは十分だと、俺の勘は告げていた。


 [シュン!!]


一つの人影が、ゴーレムの横顔を今にも殴らんとする勢いで飛びかかっていった。


 「フレイムッ!!!」


そして、ゴーレムが顔を動かす前に、その横顔にウミさんは。


 「フィストッ!!!」


 [ドォォォォンッッッッ!!!]


燃え盛る煉獄の炎がウミさんの右ストレートから吹き出し、ゴーレムの横顔半分を覆い尽くす勢いだった。それと同時に着弾時に小爆発が起こったようにゴーレムは首少しだけウミさんに傾けられた、


 (よしっ、まずは1発−。)


 [ゴオンッ!!]


しかし、ゴーレムは頭が傾くほどの衝撃を与えられたにもかかわらず右手を動かし、炎によって目立ってしまったウミさんを掴む、いやはたき落とす勢いで巨大な手を動かした。


 「っ!しま───。」


俺が気づいた時にはウミさんとゴーレムの手はほんの目と鼻の間まで迫っていた。、ここからスラスター仮に前回にして行ったとしてどうなる、、圧倒的に間に合わない。レナの場合機動力動向の前に、手のミサイルで1秒くらい止めれるはずだが、こうも近距離である以上ウミさんもフレンドリーファイヤーでモロにくらわせてしまう。


俺たちにはそれくらいしか考える余裕がなかった。体は動かない、いくら行動が早くても、追いつけまいと各々実感していたからだ。


 「攻撃被弾盾アタックダメージシールドッ!!」


 [クゴオォォォン!!]


ウミさんとゴーレムの手との間に、六角形状で構成された半透明の半円型の壁が現れ、ゴーレムの手を押し留める。


 「ウミ!!」


 「ッ!」


ウミさんは与えられたタイミングを逃さず、すぐさまバク宙で、ゴーレムから離れる。


 [パリンッ!!]


次の瞬間には魔法で生み出された盾は粉々に砕け散り、後には空を掴んだゴーレムの手と、ほぼ無傷なオリハルコンボディがあった。


 (っ、効いていないか。)


 「お嬢様!ありがとうございます。」


 「いいっ!集中して!!。」


ルルカさすがは俺の妹っと自慢したくなる兄の気持ち、本当にナイスな行動だった。

にしても本当に紙一重だった、あそこでウミさんがダウンしていたら、おそらく前線を支えるのがもっと困難になっていただろう。

にしても、オリハルコン、思っていた以上に強力だ。


単純な防御力でビーム攻撃を無効化する奴は初めてだが…。


 [ビビビッビビビビ!!]


 (今はそんなことよりも陽動に徹するか。)


 [ゴウンッ]


ゴーレムは攻撃された方向にドスンドスンと音を立てながら素直に向かっていく、つまるとところ俺の方に向かってきているということだ、。

攻撃射程内に入っていないからか、体を前のめりにして大きく攻撃!!っという手段をとってこないところを見ると、どうやら無理して攻撃するタイプではない。つまるところ迎撃用ではなく、その名の通り[門番]、いわば防衛タイプか、。


正直、この部屋の奥に広がるスペースを考えると、こいつ事態を無視して行っても問題なさそうだが、、どちらにせよこいつを倒さなければ後々面倒になることは明確だ、


 「ゲィザー!!」


 [フゥィッ!ッルルルルルーーーッ!!]


ガシャンっと音をたて、スラスターの青白い光を線から出しながら、ゲィザーは俺が思っていた方向に飛び立つ。

イメージしろ、どこに当てるか、どのくらいの威力で、どれだけ調整するか。


 [ビィィーッ!、ビーッ!!ビーッビー!!!]


ジィージジジッ!!っと音をたて表面装甲をまるで高圧レーザーカットのように削る音が聞こえる、しかし[音]が聞こえるということはオリハルコン自体は完璧に両断することはできないということだ、一点集中のレーザーを放ったはずだが、出力不足か、はたまたオリハルコンが異常に硬すぎるか。できれば答えは後者にして欲しいところだ。


 「魔力光線マジックレーザーッ!!」


ルルカが俺の攻撃地点に合わせるように自身の周りに多くの魔法陣を出し、総攻撃をする。数は多しだが攻撃力自体はかなり低いように見えるが、おそらくオリハルコンでできたあの体がただただ単に硬すぎるからだろう。


 [ゴオンッ!]


ゴーレムは再度動き出し、ルルカの方へ一直線に向かう、冷静に分析している場合じゃなかった。


、そう思った時には、すでに誰かは行動していた。


 「炎拳フレイムフィストーッ!!!」


迫り来る、拳に向かって、真正面から挑むようにウミさんは突っ込み、主の露払いをしようとする。


 [ピュンピュンッッ!!bbbbbbbb!!]


動かなかった堅物女レナも動き出し、全面に対して火力を集中させる。肩部に搭載されたミサイルを余すことなく顔に向け、視界を削ごうとしている、コイツに目という概念があるかは微妙なところだが…。


 [ググオンッ。]


ゴーレムは流石にめんどくさくなったのか、一旦引き火力に押し出されるように腕をガードにして引く、しかしその様は鬱陶しいハエに顔の周りを飛ばれ、不快にしている人間となんら変わりはない印象だった。


 「ちっ、。」

レナは持っていた大型ガトリングを見ながら、そう言う。どうやら弾数がそろそろ限界らしい、露骨な態度と仕留めきれなかったという惜しい気持ちがこもった舌打ちだったのでわかりやすかった。…


よくよく考えてみれば,俺たちもほとんど万全な状態じゃない、ウミさん、レナは合流のために雑兵に少しは持っていかれただろう。


ルルカに関してはまだまだ余裕なリソースがあると思うが、実際のところ、どのくらいかはわからない。


…正直消耗戦になる前になんとかしてカタをつけたいところだ。そのためにはピンポイントでの一点集中の攻撃によりオリハルコンを削りなんとかして、コアを破壊するしかない。


 「ルルカ!コアの場所、特定できるか?!」


 「っ!、やってみる。」


それまで可もなく不可も無く、なんとかして攻撃を耐え審美ながらルルカを守らないといけない、バイザーによる位置把握は、オリハルコンの密度が高すぎるせいか、入り込む隙がない。

そう考えるにおそらくこのゴーレム、かなりハイコストハイクオリティで作られていることがわかる。どんなに精巧に作られた素材であっても、どんなに密度が高くても、一点集中の攻撃による波紋の広がりを止めることは難しいはず。


無敵なように見えて、無敵じゃない。それがコイツ…


 「仕掛けるっ!」


覚悟を決めた俺はそう言い、ヤツに接近する。

近距離ならば命中率ともにヤツの動きに合わせて攻撃もできる。戻ってきゲィザーが次に冷えるまでの時間を攻め牽に使う、他に注意が向かせないようにする以上、こっちがヤツに近づかなければならない。結構危険な橋を渡ることになるがこれも倒すための作戦だ、


 (まぁ、できるんならヤツに傷一つでもつけたいところだがっ!)


 [ゴオンッ!!]


ヤツの体はゆっくり動き、今度は左拳を振り下ろしてくることがポーズでわかる。なら、あとはそこからどの地点に拳がちょうど落ちるか頭の中で予測して、、


 [ドーンッッッッ!!]


俺はヤツが左拳を振り下ろした瞬間、ギリギリのところで回避し、拳に素早く乗りる、。そしてそこから左腕を伝って攻撃した地点まで走っていく。スラスターを使っても良かったのだが、案外腕が安定していた、っということでケチっているわけじゃない、しっかり離脱用として考えなければ、ウミさんの二の舞になってしまうことは明確だ、、。


 少しでもダメージを与えるために、ビームサーベルで地面(腕)を切りながら前進する。

っと行ってもかなり気休め程度だ、なんなら音は派手だが聞いてる感触が全くしない、とてもじゃないが本当にやる気がなくなる。


 [ゴオンッ!]


 (近くにいるやつから攻撃する、単純なプロトコルだけど)


ゴーレムは左腕を伝って動いている俺を落とすように、右手の握り拳をグーにして殴ろうとする。

流石に単純すぎるぞプロトコル、落とすだけならグーパンチしなくてもちょっと腕を振れば落ちるだろうに…。


そう思っても、握り拳を緩めるどころか、逆にもっと閉めている音が、ゴリゴリゴリっと石と石がすり合わせられているような音が拳から聞こえてくる。いや殺意高すぎないか?!


 (ともあれ、ここで引くわけにはいかない。)


ここまで登ってきた以上、降りるという選択肢は無い、何ならまだ切り足りないくらいだ、もちろんただの切り裂き好きという意味じゃなく、単にこいつを倒すのにはこれくらいの攻撃じゃ足りないって意味だ。


 [ゴォォンッ!!]


拳が重々しい空気を切りながらこちらに向かってくる。しかしくるのがわかっているなら見切るのは簡単だ、


俺はスラスターで勢いをつけたジャンプで、軽々しくよけ、向かってきた拳の上に着地する。そしてその拳を伝って、また腕へ。


ちょっと面倒臭いジェットコースターみたいな道のりだが、こいつに少しでもダメージを与えるために、ビームサーベルで腕を切り付けながら確実に攻撃持続時間少しでも伸ばす。同時にビームサーベルの威力を少しずつ上昇していく、一気に上昇することもできなくは無いのだが、やるとオーバーヒートや最悪ビームサーベル自体が破損する可能性がある。それこそ、ゲィザーは耐えきれずぶっ壊れた理由でもある。改修型ゲィザーがどのくらいの対出力装甲を誇っているかどうかを正直なところ、もしも、のために知りたいところだが、やめておくのが吉だ、調べるくらいなら、後で時間はたっぷりある。今はこいつを倒すことだけに集中すればいい、


 (両手を使った以上、再度攻撃するには時間がかかる。)


頭からビーム砲が飛んで来ない限りは、、。


 [ガション]


 (勘弁してくれ。)


俺がそう思った時にはオリハルコンでできているゴーレムの表面にはさっきまでなかったはずのタレットがこちらに照準を向け、今にも攻撃する拍子だった。


俺が反応する前までは、、


 [ビビビビビビビッ!!]


ビームサブマシンガンでタレットをいち早く攻撃、ただのタレットしかもおそらくは-。


 [バババババッ!]


 「っ!?」


俺は命中したタレットが「ん?今何かしたか?」みたいなノリで動き出したせいか。大雑把な回避をしてしまい、体勢的にはかなり危険な状況だ。

体は横を向いていてスラスターのシュチュ力は右側(体が横なので上側)に集中している、なので斜め下に落下飛行中というわけだ。

 

間違いなく墜落コースだ。しかし仕事はしっかりするのが俺のタチ、


 「行けっ!ゲィザー!!」


[フゥィッ!ッルルルルルーーーッ!!]


応、っと言うかのようにゲィザーは俺を通り越して行く。イメージしろ、一点集中のイメージだ、あのオリハルコンを貫く一筋の光をイメージしろ!


ここでの問題はロックオンだ、バイザーによるメインカメラの安定性があるといってもそれは表向き、実際のところは俺の勘に全てがかかっている。


もちろん攻撃地点は一つ…!


 「お兄様!中心部!!。」


 「っ!、当たれぇーッ!」


さっき攻撃した場所は少なからずダメージが入っているはず、直接攻撃による傷口を作ることは願わながったが。


それでも他の場所よりは切り込みを入れやすいはず!


 そう思い、願い飛ばしたゲィザーは俺がイメージしていた場所、イメージしていた方向に確実に射口を向けていた。


あとはトリガーを引くのみ。


 [ゴオンッ!]


 


ゴーレムのタレットが動き、ゲィザーをゆっくり狙っているのが背を伝って通る感覚で理解できる。自身の死ではない死の感覚、まるで喉元、いや目に銃弾が刺さる本の一瞬前のような恐怖心。


しかし信じるしかない、俺の最高に可愛い妹を。


 「させないっ!」


 [キ!キ!キ!キ!キ!キ!キン!!]


タレットの一掃射はルルカが張った結界によってなんとか無傷で済んだ。


0.5秒ほどの短い時間、正確な方向転換とチャージ時間、微調整であったものの、それはとても大きい。


ほんの小さな一粒が、大きな波紋となって広がる。それはこの場において例外は無い、、




むしろこの波紋は水辺に落ちた小さい炎が。


 [キィィィィィィッッッッ!]


重力という、重しに乗っかり、加速、さらに加速、俺たちが想像を絶するほど、加速、


酸素を取り込み続けた炎がどうなるか、誰しもわかること、


そして水辺に着く頃にはその小さかった炎は、


 [フォォォォォォォッッーーーン!!!!]


太陽のように熱い、灼熱となり、一見無敵のように思える水を溶かすのだ。



 [ジジジジジュュュュュュッッッ!!!!]


光が裂ける音か、はたまた。完全無欠のように思えた黒光の金剛は太陽のように熱い灼熱によって、その大部分を消滅させられる。


 首から、心臓部に向かって放たれた一筋の光、それは誰も、どんなものも遮ることなく通していく。


 そこまでの火力を瞬間的に出すのはほぼ不可能だ、しかしできてしまった。なら、仕方がない、何が要因となり、トリガーっとなったか、俺自身、心当たりは全く無い。


強いて、最後に言うならば。

俺自身も覚悟が決まっていたというわけだ。


 「抗滅灼熱熱線イグニス・リパルサーッ!!!」


体がその言葉を発する。謎の高揚に満ちた心はそう叫ぶ、体を纏う力がこの戦いを終わらせようと力を貸してくれる。


それがなんなのかはわからない、使い方もわからない、しかしただ手を添えるだけでいい、ただ目の前の敵を殲滅すればいい、その願いは確かに力に届き、ゲィザーから放たれる一筋の光の道は目の前にある障害を全て焼き払う。


それはまるで何者をも寄せ付けぬ太陽が如く。


 [ブォォォォォォッッッッーーーン!!!]


大きな爆発音、中に浮いた体を吹き飛ばす圧倒的風圧、ただでさえバランスが取れない体がさらに舞い上がり、視点はメチャメチャになる。

しかし体に当たる熱と刹那に見える赤く、赤く、赤く、燃え盛るような炎の光景はしっかりと脳裏に焼きつく。


どこが地面なのか、降りてみなければわからない,しかしきっと降りる時は少し痛いのだろうと覚悟する。


 「危ないです!!」


投げられた体が降り立った場所は硬い地面ではなく、人肌の体温を兼ね備えた。


 「ふぅ。」


ウミさんだった。どうやら俺が地面に落ちる寸前のところでギリギリキャッチしたらしい、ファインプレーがすぎる。


 「あ、ありがとうウミさん。」


やばいなんだかすごく眠い、エネルギーを使いすぎたからか?、だがどちらにせよ。まだあいつの死体確認を…。


 そうして、俺は熱気がくる方を見る。すると,


 [ぐ、ごごごご、。オンッ!]


左部が全焼し、人としての原型を保てなくなったゴーレムがまだ足掻こうと、体を起こそうとする。顔の部分であったところは赤い瞳があった、きっとオリハルコンの中のそうなのだろうとわかるが、なぜ赤い瞳がそこにある?。


刹那の疑問、しかしそれを隠すように、、。



 [カシャ,]


一人の重装備少女が炎を光に当てられながら火の海を見る。

そしてこう言う…、


 「フルオープンアタック!!!!!!」


 [ガシャンガシャンキィィィィン!!]


次々と、装甲の部分が開き、目の前の敵を完全に屠る準備ができているような、いや屠る工程がすでに完了していた。


 「私がラストキラーよー!!!」


嘆き、ただそれだけのかんじょうが込められた無数の弾たち、あぁなんと可哀想なことか。

まるでそれは死体撃ちに使われる無益な弾、とまではいかないが、可哀想なことは限りない。


 目の前の火の海は多くの球の着弾と同時にまた勢いを増して熱化、部屋全体から空気が全て抜けるんじゃ無いかと思うくらいであった。


 「お兄様の仇ぃぃぃ!!!」


 [ピュンピュンビービービーッ!!]



…。


 [ブォバゴォーーーン!!!!!]


 

 一拍子おいた次の瞬間、滅亡の爆発がまた、広がる。あぁ、ここまで来るとゴーレムに同情したくなる。あと、ルルカお兄様を勝手に殺すな。。。



         【破壊完了】


『topic』


【歪裂】

世界にはたまに裂け目が存在する。それがどこに繋がっていて、何故あるのか?誰にもわからない。しかしその先にあるものは世界が決して許容しないもの…できないもの………すなわち"異生イレギュラー"である。

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