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四十二話「新世界」

前回のあらすじ


閉じ込められたんだYO

 



ルルカが解除を始めて早数分、防衛戦はなんとか保っている。が、


 「そこっ!」


ビームサブマシンガンを片手に確実にヘッドショットを決めていく、しかし若干の冷静さがかけていることは自分自身がわかっていた。


 「ちっ、数がさっきよりも多くなってきたわね。」


レナがガトリングを掃射しながらそう言う。敵はパリンパリンと次々に消えていく、その分増えていっている。


 「、さっきの2倍くらいは………!!」


ウミさんも同様に言う、そう俺たちは[なんとか]保っているのである。つまりそこに余裕はほとんどない、逆に今も増え続ける敵に防戦一方、お得意の高速戦闘をやるほどの余裕すらない。


 「ごめん!、後1分!!。」


ルルカが声を張り上げてそう言う。気がついた時には自身の真後ろに敵がいてもおかしくない数、相手のヘイトを引ける盾役がいない今、ルルカに向かって一直線に敵が行く。


一人120°の割合で敵を食い止めているが、如何せん敵が多い、敵自体はそんなに強くない。

一斉に来るわけでもない、しかしリスポーンからの攻撃開始速度が異様に速い、生まれた赤子がいきなり走り出しているような感じだ。


そんな中、手も足もそれぞれ二つ。カバーできる範囲も手数も限界がある、前に出て一気に片付けようものなら、リスポーン速度に対応できなくなる。こっちはこっちで俺とルルカの間に敵が出た場合、ルルカを撃ち抜かずに敵だけ撃つという難しい状況になる。



ウミさんは遠距離自体がかなり難しく、確実に拳で殴れば片付くほどの耐久であっても毎度のこと、動かなければならない以上、息が切れてきてることがひしひしと伝わる。


 レナは大型ガトリングを使いうまく片付けているように見えるが、それ即ち弾の消費量は尋常ではない。弾切れになるのももはや時間の問題、ミサイルポットで潰すにしても、ミサイルはまっすぐしにしか行かない。敵を通り過ぎたり当たらなかった場合にはかなるずといっていいほど爆発による煙幕で対応がさらに難しくなったりする。そのため、ガトリングによる対応とサブアームによる武装回転でなんとか補ているのが現状。旋回速度も限りがある、ガトリングを回すより早く敵を撃たなければならない以上難易度は俺より上だろう。


 かくいう俺も元々進撃用の装備、完全に防衛において真価を発揮するのは難しい。射撃は得意でも不得意でもないのだが、とにかく忙しい。

ゲィザーで60°くらいをカバーしてもらっているが、エネルギーに限界があるのでどうしようもなくなった時用だ、

ライトアーマ自体は速度的に問題はない、旋回も事足りてる、しかしやはり体が若干反応に追いついていない気がしてならない。

そしてこちらはレナと違ってカートリッジ式、リロード時間も頭に入れなければならない、それこそタイミングもだ、少しずれただけで防衛戦を突破されることだってある。

ビームサブマシンガン、ゲィザー、そして。


 「おらっ!」


 [パリン]


足、この三つをうまく活用しながら抑える。

サブマシンガンをリロードしている時、ゲィザーだけで殲滅することは一時的なもの、それもリロードが完了するわずか0.5秒以内のうちに敵はルルカの方へ一直線だ。そんな時リロードしながら足で一番近いヤツをぶっ飛ばす、スラスターの駆動を活かせば頭を飛ばせることだってできなくない。

ビームダガーもあるにはあるのだが、正直いってビームサブマシンガンの方がもっぱら取り回しが良い。ちなみに、某なんちゃらエボリューションのエクシアくんみたいにダガーを飛ばして攻撃に使うなんてことはもちろんしない。物理法則無視でまっすぐ飛ぶとかよくよく考えてみたらおかしすぎる話だ。


 「させるかっ!!」


 [ビビビビビビビッ!!]


危ない危ない、ちょっと考え事していただけでこれだ、でもそれももう終わる。


 「できたっ!!」


 [パリーーーーンッ!!!]


ルルカの魔法によってバリアは砕かれ、部屋中に広がる。無重力のように空中は広がっていく破片たちはとても幻想的だ、

バリアが割れたと同時にその場にいた魔物たちも同時にパリーンっと音を立てて退去していく。


 「よいしょ。」


ルルカがバリアによって守られていた球体を取り、俺たちに見えるように、こちらまで近づく。


 「何かしらこれ?。」


レナが上がったバイザーをもう一度かけ、スキャン機能で調べようとする。


 「見たことありませんね。」


ウミさんがそう一言いう。つまり通常のダンジョンの代物ではないということか…。


 「あ、お兄様ダンジョンは一応これでクリアっぽい。」


ルルカが、そう一言告げる。


 「そうなのか?、なら余計にこれは、、。」


 「ダメだわ、鑑定不可能よ。それに図鑑にも載ってない、、わかることは使用できるってことくらいよ。」

レナがバイザーを取り、そう言う。鑑定不可、っとくると通常のアイテムじゃない、それこそ説明文がない謎のものみたいな感じだろう。そして図鑑にもないとなると前例なし、、


 「、、多分このダンジョンで使うものなんだと思うけど…。」


ルルカが、頭を少しかきながらそう言う。


 「問題はどこで使うかってところか。、ルルカ、そのまんま使用できないか?。」


俺はルルカに問う。まずこれ自体の用途がわからない以上手当たり次第みたいな感じだ、、


 「うぅん。使えない、」


 「となると鍵系統でしょうか?、」


ウミさんが冷静に答える。


 「でも、仮に鍵系統だとして、私たちが探索してない場所、しかも鍵付きの扉はなかったはずよ。」


レナがウミさんの考えに添えるように言う。確かに、って俺は別ルートでの行動だったせいで正確にはわからないが…。レナが言っているということはそういうことなんだろう。


 「ちなみに俺も心当たりがない。」


 「でしょうね。」


レナが相変わらずの態度で俺にそう言ってくる。なんだが情報を交換したのにこの態度は…。


 「、、。あ、」


ルルカが何かを閃いたような顔でそう言う、しかし次には口を閉じていた。


 「お嬢様、心当たりが?。」


 「うん、ないってわけじゃないんだけど、、。私たち、まだいってないところあるでしょ?。、」


ルルカがなんだが言いにくそうな雰囲気を出しながらそう言う。


 「…あ。」


俺はわかった。確かにあそこだけはまだ行っていない。


 「あ、。私もわかりました。」


続いてウミさんも手をポンっと叩きそう言う。


 「え?、なんでノーヒントなのにわかんのよ。」


レナはあまり勘がよろしくないようで、、。。


 「いやいや、考えてみろよ。俺たち落とし穴に落ちる前は元々どう進む予定だったんだ?。」


仕方ないと思い俺はレナに助け舟を出す。これで気づけなかったら知らん…


 「あ、あー。…失念してたわ。」


めっちゃ長かったな。


っと俺は思いながら、目的地に向かった。


場所はそう俺たち全員が落ちる穴のところ、、


 


 ──遺跡ダンジョン・3.5F──




 「まさか、降りるだけじゃなくて登る羽目になるとは、、。。」


俺はトホホとしながらそう言う。


 「あんたスラスターも何も使ってないじゃない。」


レナが鋭いツッコミを入れる、確かにそうなのだが問題は精神的な面であって、、っと弁解したくなったが堅物にはきっとわかるまいと思い、ため息だけ出して終わった。


 「えへへ、お兄様。」


一方こちらは我が妹、現在俺を抱き抱えながら魔法で上へ上昇中。魔法で全員上に上げること自体はできるし、なんなら今よりスピードアップできるはずだ。しかしルルカが俺と一緒にいたいという願望がためか、飛行魔法は数段遅く、スローフライトとなっている。


 (まぁこれはこれで悪くはないんだが、。)


俺は手に持っていた金色の球体を出し、じっと見ながらこう思う。


 (早くこいつの謎を解きたいな。)


正直ワクワクしている自分がいる、新しい体験だからか?それとも初めてのダンジョン攻略だからか?。頭の中で詮索したが、そのうち面倒になってやめた。


 [到着]


 「とーちゃく!」


ルルカは鳥のように手を広げながら、ググーっと伸びをしてそう言う。


実際に長いフライトだったのでそうもなる。まぁ自分でそうしたんだが…。


 「なんだか眠くなりそうですね。ふぁ。」


ウミさんが小さくあくびをしながら眠そうにそう言う。


 「まぁね、誰かさんのおかげでスローフライトだったせいでだけど、、。」


レナはルルカに対して少し嫌味気味に言った、しかしルルカは。


 「うん、結構快適だったでしょ?。」


ニコッと笑いながら純粋無垢な顔で返す。これにはレナも、あ、やばい結構やばい顔になってる。


 「えぇ、そうね、、。後でよかったらコツとか教わろうかしら。」


怒りをギリギリで抑えているレナ。

おま,短気すぎんか、、。…いや元からか。


 変に納得した俺は、会話を無視して、本来行くべきだった方向へ向かう。


 「あ、お兄様待ってー。」


ルルカから俺の方へついていくと、残りのウミさん、レナも一緒についてくる。

全員いるな、、っと思いながら、俺は先へ進んでいく。


 バイザーを下げ、暗闇になっている道をただただ進んでいく。


暗闇のせいか、なんだが体全身に緊張感が走る、そして俺の勘が告げている。


この先だと、、


ただそれだけ、危険があるのか、はたまた安全があるのか、そこまで詳しく読み取ることはできないが、何か、決定的なものがあるのだと言うこと。それだけしかわからなかった。


 「なんか怖い。」


ルルカが俺に少し寄りながらそう言う。


 「大丈夫だ、何があっても廃車にしてやる。」


※廃車:機械が戦闘不能になり使えなくなった状態に対する隠語。


 「もしかしたら、あんたが廃車になるかもよ。」


 「…冗談いうな。」


レナのブラックジョークに正直いい気分はしない、逆に俺まで怖くなってきた気がする。


 「ん、近いな。」


レーダーに反応が出た、おそらくこの先に何かがある。


 「そうね、気を引き締めなさい前衛。」


 「しっかり狙えよ後衛。」


そう気を引き締めると、俺たちに待っていたのは。


 「また扉だね。」


そうだなっと言いたくなるが、よく観察してみる。

そうすると分かるように目立った丸い窪みと四角い窪みを俺は見つけた、もしやと思い、先ほど手に入れた球体型のアイテムと元々持っていた石板を差し込む。


 [カチャ]


 『はまった。』


いや、ハモった。


 [ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ]


先はど宝箱から出たあの石の石板はこのために使うのか。っと正直感心する、もし回収できてなかったらあそこの地点からやり直しとかそういうのだったのか?っと少し考え方を変えてみると面倒臭いことこの上なしだっただろう。


音を立てながら、古臭い扉はゆっくりと奥へと開いていく。

開いた扉の先に待っていたのは、同じく暗闇。


 「、、。」


行ってみないことにはっと思い俺は開いた扉に進んでみるすると、


 [ボウッ。]


青白い炎のようなものが、暗い部屋についていく。


そして連動するかのように周りにもどんどん青白い炎が現れ、いつしか部屋を照らす。


 [─ッ─]


 「っ!!戦闘体制!!。」


 [ドーーーンッ!!!]


大きな音と共に、こちらに向かってきた大岩は扉に思いっきりぶつかり、あたりを揺らす。扉は大岩によって塞がれ、俺たちはまた八方塞がりになった。


 「は。防衛戦じゃないだけマシだと思ったけど、」


レナが強がるようにそう言う、しかし目の前の現実を重く受け止めている声のトーン。


 「あわわわ。」


ルルカはあわわわしている。


 「、。」


ウミさんは、覚悟を決めて目の前の現実と向き合う。


 「冗談じゃないな。こいつは…」



 [地底大遺跡タルタベースの門番 グランドオリハルコンゴーレム]


 


古びた歴史書 三ページ目


はるか昔にはタルタベースという場所が存在し、高度な技術の全てが内蔵された空間だと教えられているしかし、−で−−あ−−以上−に−険−−−力で−る。



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