四十一話「地下遺跡《6》」
前回のあらすじ
新装備を入手した紅月、エズへの殺意が上がる。
──遺跡ダンジョン4F──
扉を抜けた俺たちは階段をさらに降り細い一直線の道を進んでいた、戦闘からルルカ、俺、ウミさん、レナという順になっている。しかしあまりに道のりが長いため、俺たちは各々会話をしていた!その道中。
「お兄様が無事で良かったよ〜。」
っと落ち着いたルルカが改めてそう言う。
「別にそんなに気にしなくても、」
それに対して俺は少し軽めに返す。すると
「もー!お兄様がそう言って怪我しないならこっちも言わないよー!。」
ルルカが少しムクれた声でそう俺に向かって言う、まぁ、ごもっともな意見。成長した、、っと言うべきか言わないべきか、どちらにせよ自分を大切にしなければならないことが一心に伝わる言葉だ。
「、じゃあルルカも俺を守ってくれよ。」
「むー、もちろんだよ。」
ムクれた顔から笑顔になり俺はそう返す、頼られることが嬉しいらしい。、、兄としてはと酔ってもらいたい派だが…
「そういえばですけど、紅月様が戦っていたあの機械は一体なんだったのでしょう?。」
ウミさんが俺とルルカが話している中に入り、そう言う。俺も、「あー」っといい、なんだったのか改めて考えようとすると。
「ウミ、アレ新バージョンで追加された機械兵ってヤツじゃないかな、多分?。」
ルルカが口を開き俺たちにそう伝える。
「機械兵、って見た目どうりだな随分と、、。」
俺が苦笑いしながら運営のネーミングについて言う、
「お嬢様は見たことがあるのですか?。」
「あぁ、ぅ〜うん。別に見たことはないんだけど新バージョンになってから急に現れたモンスターだったし、それに運営から発表された新モンスターの中に機械兵って"名前だけ"の奴がいたから、ネットではソレなんじゃないかなって、。」
なるほど、いわば非公式の結びつき、でも理にかなったネーミングだ。。
「あんな化け物相手によく他のプレイヤーは戦えたな。」
俺はヤツの強さを頭の中で思い出しながらそう言う。
「そんなに強かったの?。」
「正直言って死ぬかと思った。」
ていうかオートマタっていう特殊な種族じゃなきゃ多分今この場にいない。これが生身だったとすると出血ダメージでとっくにタイムダウンしていた、そう考えてもオートマタの『核』を確実に壊さないと倒せないはある種有利な特性かもしれない、まぁ問題は相手がこっちの弱点を知ってる時点で攻防両方やらないといけないという難易度の高さだが…
「具体的にはどんな感じでしたか?。」
ウミさんが俺にそう聞いてくる。「えっ〜と。」っと俺は言いながらヤツの強さについて語る。
まず特筆すべき点は目から出るあの破壊光線みたいなヤツ、あの光線の一粒でも相当な火力があることを俺は、、俺の装甲は知っている。そのほかにも腕部の平手打ち、これ1発で壁まで吹っ飛ばされて背部がやられたところを考えるととんでもないアームパワーだ、、今でもなんか背中がすこし痛い気がする。
そして物理、魔法障壁が常に貼られている。それもゲィザーの高出力ビームをも受け止められるレベルの。
倒し方に関しても一応話した。最もかなりギリギリで戦略性のない戦いだったが…
「、、お兄様よく勝てたね。」
ルルカが若干引き気味のため息を吐いた、気がする。
「さすが紅月様、っと流石の私も。」
ウミさんも了承し難い顔でそう言う。
「いっておくが、嘘言ってるわけじゃないから、な。」
もしや嘘だと思われていると思い、俺は釘を刺すようにそう言う。
「もちろんです。ですが、、今回のは、、」
ウミさんが「そこではない」、っという顔をしてなんだが難しそうな顔をする。なんだか、俺が思っているより複雑そうな話になってきている気がする、、
「、、私が言う。」
ルルカが口を開きウミさんにそう言う。
それは俺に対して何かを「告白する」と「説明する」という二つの意味合いがあると俺はなんとなく察した。
…つまり長話が始まるのだ。
「お兄様、私の伝え方が悪かったんだけど。その、機械兵っていう敵は基本的に起動状態で見つかってないの。ほとんどの機械兵は発見されていたとしてもほぼ破壊された状態、つまり、機械兵だったものってこと、それが最近いろんなところで見つかって。。その、あんまり情報が少ないからどうか言えないんだけど、その〜。」
「…つまり?。」
俺は話がもっと長くなるかと思い、ルルカに率直に聞いた。
「つまり、。お兄様が初めて機械兵と戦ったプレイヤー、ってこと。。」
ルルカは詰まりながらも俺に真意を伝えてくれた。
整理するとこうか、ほとんどの機械兵は、破壊状態で見つかっていた。なのでプレイヤーはこう考えた、機械兵というのは亡骸系のモンスターまたは、俺と戦った奴ほどイカれ性能じゃない。
そして俺は恐らくオリジナルに近い奴と戦った。
「で、それって面倒か?。」
「一部界隈で〜。」
ルルカは目を逸らしながらそう言う。全然イメージがわかない。一体どんな…
「攻略班って人達が多分果てまで追いかけてくるかと。」
ウミさんがそう口にする。
「攻略班?。」
攻略班っていうと、あのよくゲームとかの攻略wikiを書いていたり、調べていたりする人たちのことだよな、それが今回とどう言った関係が、、。
「はい、ゲームの攻略法などを調べてまとめている人たちです。そしてこの【SAMONN】にももちろんいます、しかし噂では彼らは良い意味でも悪い意味でも仕事熱心らしく。」
「、、いわゆる仕事はできるんだがめんどくさいやつってところか?。」
ウミさんは頷く、なるほどゲームでもそういう奴はいるんだなぁ〜っと心底思う。
「私も、一回取材を受けたことあったけど、なんか良い気分はしなかったし。」
ルルカは、疲れたような顔をしていった。まるで今さっきの出来事のように…
「まぁ、みんなのためになってるんだから、邪険には扱わないが、、。」
…面倒くさそう。、その言葉が俺の中で大きく浮かぶ。
「まぁ、正直なところ黙っていればほとんど関わりはありませんし、もっと言えばゲレーム国内にいれば、基本的にオートマタ連れじゃないと入国できませんので。」
ウミさんが、少しくらがかってきた雰囲気を変えるようにそう言う。
しかし逆に言えば俺たちはずっとゲレームにいなければ攻略班から逃げられないという。
「、まぁそうだな。」
まぁ現在追われているわけじゃないしいいか。っと俺は割り切った。
「あ、機械兵で思い出したが。第二公式大会の最後で出てきたあのMA(モビルアー○ー)みたいなヤツ、あれがなんだかわかるか?ルルカ。」
そーいえば、的なニュアンスで俺はルルカに問う、機械兵のことを知っていたルルカなら、きっとあのバケモノもわかるはずだと思ったからだ。
「え、。あー、あれね。」
ルルカは俺の質問に対してなんだか、言いずらそうな雰囲気を出しながらそう言う。それに対して俺はもしかして複雑そうな話かな?っと心の中で思う。
「…良い機会だわ、情報共有とでもいきましょう。」
さっきまで黙っていたレナが口を開きそういう、俺の知らないところで各々考えをまとめてきた、という感じだ。例えでいえば「グループワークで俺だけ話を聞いていなかったせいで取り残される」みたいな感じだ。
「みんなはあの紅月が戦ったヤツにどんな印象を感じた?。」
レナが俺たちに向かってそう問う。
「MAみたいなヤツだった。」
俺は率直な感想をそのまま伝える。
「アンタのは知ってるわ。」
まぁそうだよな。って納得してしまう自分がいる。なんかムカつく、
「…正直言うと、エズが作っているんじゃないかって思った。」
ルルカがそう言った瞬間俺は思わず
「、、え?。『私もよ。』」
俺っと言った。しかしすぐにレナが俺に被せ気味に言ったせいでなんだか薄れた気がする。多分悪意はなく、俺の声が小さかったりレナがルルカの意見を待っていた、と言う感じがする。、、悪意ないよな。
「…………実のところ私も。(嘘ですごめんなさい、本当は"機械っぽいなぁ〜"くらいしか思っていませんでした。識者求めます。)」
ウミさんが恐る恐る手を上げながそう言う。マジか…
「、多分みんな思っていることだろうけど、あのMAみたいなやつ、どうやら人が乗っているっぽかったし、ゲレーム以外でそんな超兵器を作れる技術も場所もおそらく存在していないと思うわ、そしてそれからわかることは、、」
…、、話に追いついてきた。
「つまり、エズは戦争みたいなことがしたいと?」
レナは俺の一言に頷きはしなかった、しかし確かに息を詰まらせた気がした。
「戦争、、。」
ルルカはあまり実感がないのか、声のトーンに若干重みを感じない。実際のところ俺もそんなに明確なイメージができるわけじゃないが、好きな作品が好きなだけに、単純な戦争についてのイメージはついている。ただ、VRMMO RPGの戦争って、なんだよ。
「さぁ、わからないわ。」
レナはいきなり無責任っぽく話を捨てる。
「おい。」
それに対して俺はツッコミを入れる。
「でも、どっかで真意を確かめる価値は十分にあると言うことよ、、」
「…。」
俺は思うところがあった、。エズは確かに少しアホっぽいところはある、なんなら今回の装備に関しても、だが。決してバカではない、何を見ているか、何を目指しているか、俺にはアイツの心情を理解するだけの心はない。だが俺の勘は優秀だ、優秀すぎるが故に俺はレナの言葉を跳ね返したくてたまらなくなった。
「、別に吊し上げるつもりはないわ、だからその目をやめなさい紅月。」
「あ、」っと、俺は気を緩めた。今さっき俺はどんな目をしていたんだよ。
「。」
、、レナの言葉を最後に当たりはシーンと静まり返った。嵐の前の、いやこの場合何か、、この場で亀裂が入っている感覚。それはとても目に見えないもので、とても大きい。言葉でなんとでも言える、そんな雰囲気だ。
「ま、いつか聞いてみればいいじゃんね。お兄様、レナも、ほらウミも────。」
レナ、ルルカ。ウミさん。俺。それぞれを分けるような、心の壁が、、一気に崩れる。そう地面の亀裂にそっくりなように分けられている。
そうこんな感じの今にも崩れそうな…、、
(───ん、亀裂?。)
[ボカァァァァァン!!!!!!!]
(あぁクッソ、そういう感じか。)
俺たちが立っていた足場は一気に崩れ去り、不安定な地面は個々として割れ、俺たちを物理的に裂く。
そして下へ落下していく。バラバラとなった床の破片は小さいものから早く落ち、大きい破片は俺たちを重力の元、傾き落ちる。
「お兄様!!。」
ルルカがこっちに突っ込んできた。俺は跳んでくるルルカをうまく捕まえスラスターを使って、落下速度をうまく調整する。
「え、あ、飛べるんだ!。」
この間の第二公式大会でも結構飛んでいたはずだが、、まぁ忘れていたんだろう。
「じゃなきゃこのスラスター飾りだぞ。」
俺は冗談混じり気でそう言う。あとはゆっくり速度を落としつつ。
「ってあれ?ウミさんは?!」
「私が確保してるわよ、アンタがそっち行くってなんとなくわかっていたから。」
レナはウミさんをお姫様抱っこして、抱えている。…おかしいなレナは女のはずなのに不思議と男に見える。ちなみにウミさんがちょっとテンパってる。
「、、お兄様!私にもあれやって!!。」
「えぇ!?、ちょ。こら!!」
ルルカは俺が支えている中ジタバタとし、体の位置を変えようとする。しかし今は空中、さらにスラスターは基本的に本機用。バランスが崩れそうになってしまう。
「落ち着けるルルカ!、バランスが崩れて落っこちたらどうするんだ!?」
「大ジョーブ!私飛べるもん。」
ふふんっとルルカはドヤ顔を俺に見せる。
「そーいえば、飛べたな。じゃあ自分で飛んでくれないか?。俺のはレナと違って大型じゃないから、今この状態でも結構危ういんだが、、。」
レナはスラスター周りにも追加装備があるため、武装全部盛りでなければ今やってるようにウミさんを抱えながらゆっくり対空することをできる。
が、俺のスラスターはあくまで一人用それも高速戦闘用のヤツなため俺一人分の重量を考慮した設計になっている。
「えー、それとこれとはまた別だもん。」
ルルカは頰を膨らませ若干不機嫌気味に言った。
(、可愛い。)
じゃなくて。
「ルルカ、ほんとに危ないんだぞ。」
「、も、もし落っこちたら私がしっかり助けるから。」
ルルカは胸に手をポンっと当ててそう言う。
「それ、解決策になってないよな。」
俺がそう言うとルルカはギクッ、っとしその後は黙った。
正直黙らずに一人で飛んで欲しかったがそんなことを言う気分にも雰囲気にもならなかったので結局下まで俺が抱える形になった。
──遺跡ダンジョン・?F──
俺たちが降り立った場所はまさに暗闇、さっき落ちてきた穴の光すら届かない完全な深淵、そこにルルカは魔法を使いあたりを照らしていた、しかし一度魔法の範囲外に行けばまるで黒い霧が塗られているかのような真っ暗具合。
一体ここはどこなのか、全員がそう考えていた。
「わー、ここ何処なんだろう。」
ルルカが暗闇の世界を魔法で照らしながらそう言う。
「さぁ、でもめんどくさいことには変わりないかもよ。パターン的には紅月の時とよく似ているもの、」
レナが冷静に分析しながらキョロキョロと周りを索敵しながら言う。
「落とし穴好きですよねこのダンジョン」
「そのせい、っで、俺はめちゃくちゃ大変だったからな。」
俺はスラスターの調子を確認しながらそう言う。ルルカを抱えていたせいか若干出力が落ちたような、無理させすぎたか?
「お兄様何してるの?。」
「スラスターの点検、さっきのせいで少し悪くなったかもしれないから。」
、、ルルカさては自覚ないな。
「じゃあ、バカの点検終わったら先進みましょう。」
「バカいうな。」
ていうかバカの点検って、まるで俺が点検されるみたいな言い方で依然として腹が立つ。
ということで、俺ことバカの点検が終わったので、そのまま先に進んだ。
またまた遺跡という名前が似合わない洞窟の風景。、今度の洞窟は真っ暗、俺とレナはバイザーの機能によってかなりマシになっているが、ルルカ、ウミさんは魔法がなければかなりくらいことだろう。ので俺、レナが前衛、ルルカ、ウミさんが後衛という形をとっている。
敵性反応は一切感じられないが、「いきなり動き出しましたー」なんて冗談じゃない。用心には用心を重ねないといけない、ここがダンジョンという敵地であることに違いはないのだから。
「本当に道こっちであってるんでしょうよね?。」
「知らん。第一道という道なんてないだろ、こんな洞窟には。」
俺は落ちている石を適当に前方へ放り投げる。石はカンカンっと音を立てながら闇の中を進んでいく。俺はコウモリみたいに耳が良いわけじゃないが、音を聞く限りまだまだ続きそうだなっということがなんとなくわかった。
緊張感が漂う中で喋るヤツはこのチームにはいない。洞窟をマッピングしながらただただ進み続ける次第、モンスター1匹すら出ない。ゲームとしてはあまりに虚無に近くて気を抜いてしまいそうだが。難易度8という事実がそれを許してくれない。実際に俺は機械兵がのせいで警戒心が全然抜けない…ここで気を抜く理由になるものは
[グゥ〜]
空腹くらいだ。
『え』
「あ、。えっと。」
ルルカは頬を赤らめて今にも爆発しそうになる。、、そういえば休憩がまだだったなと俺は思う。
「、仕方ない休憩にするか。」
俺は固まっていた心をほぐしそう言う。オートマタである俺とレナは基本空腹にならないので忘れていたが、ダンジョンに潜ってからかなりの時間が経っていた。腹時計が鳴るのも仕方ないことか、、。って言っても俺は飯を持ってきてないんだがな、、
「言っておくけど私は食料持ってきてないわよ。」
レナが案の定そう言う。
「まぁ俺もだな必要ないって思ってたし。」
「私、一応保存食を持ってきましたのでそれでご飯にしましょうお嬢様。」
用意周到すぎるなウミさん。
そうして俺たちはウミさんが持ってきた保存食、(乾パン、とジャム。)で休憩をした。
乾パンは初めて食べたがなんだかパンというよりもビスケットみたいな感じだった。ジャムとの相性は悪くなかった。まぁまさか洞窟で乾パンを食べることになるとはしかおジャム付きで。
こういう、裕福じゃないけど便利で美味しい飯はなんか好きだ。、、というかレーションとか作ったら儲かるんじゃないか?。真意を確かめたあとエズに提案してもいいかもしれないな。
「、、これもしかしバフジャム?。」
レナがウミさんにそう質問する。
「はい、マスターメイドのスキルで試しに作ってみたんです。」
ウミさんは落ち着いた雰囲気で乾パンを食べながらそう答える。
「へ〜結構いい出来じゃない。」
レナはジャムをつけながらそう会話を終了する。
俺はバフジャムという新しく出た単語が気になったので。
「なぁルルカバフジャムってなんだ?。」
「ん?、ぶぁふじゅむっいふのはへ〜。」
ルルカは乾パンをリスのように頬に詰めながら答えている、しかしそのせいでまるで聞き取れない。
「こらこら、はしたないから口の中が空になったら言いなさいな。」
こういうところ、いつか治るのかぁ〜兄は心配だよ。まぁ可愛いからいいんだけど。
「ん、バフジャムっていうのはね。"作れるバフアイテム"の一つで、食べ物にAGIアップだとか、ダメージアップ、なんかの直接的なやつから間接的なバフまでつけられるシステム。ただ弱点として、空腹ゲージを空けてないと使えなかったり、オートマタの場合バフ効果が50%ダウンするんだよ、」
なるほどなぁ〜っといいなが聞く。
オートマタは空腹ゲージがない為、いくらでも料理が食べられる、それ故のデメリットか。
「そろそろ休憩終わりにするから、準備なさい。」
準備ができたレナが腰に手を当ててそう言う。
俺たちは各々準備し、先ほどのようにまたダンジョンの探索に戻っていった。
「、、。」
また話題のない虚無が始まった。このダンジョン、もしかして精神に対して難易度8なのだろうか?。っと冗談の一つも思いたくなるほどだ。
「ん?、なんか前にあるわ。」
「本当か?」
レナが急に止まり、そう言い出した為俺は少し期待を寄せながら聞いた。流石にこれ以上真っ暗闇一色の風景を見るのはキツイ、なんなら敵の一体でも出てきて欲しいくらいだ。
「敵性反応じゃなさそうだけど、信号系統は[Unknown]、つまり未確認反応よ。」
「Unknown、少なくとも機械兵とは違いそうだ、アイツの場合レーダー自体に反応していなかったからな。」
しかし、反応を出しているということは行動可能物体。用心するべきところだな、、
「二人はどう思う?。」
レナが振り返りウミさんやルルカに問う。前までチームプレイできなかったヤツが、大したもんだこと。
「私はどちらでも、ですがどのみち行き先はこちらなので。」
人に任せているのか、任せていないのか、。ウミさんはそう言う。
「私は行ったほうがいいと思う。魔法で破壊可能のギミックはここまで反応なかったから、このまま真っ直ぐしかないし。」
ルルカがそう告げる。にしても驚いたルルカがここまでの道中何もしていないと思っていたが、まさか探知魔法を使っていたとは、、。
どうりでお腹が空くわけだ。
「、、。」
レナは黙りながら俺を見る、多分反応を待っていると思うので。
「行くしかないだろ。殺風景な洞窟とはいい加減おさらばしたい。」
俺はレナにそう言う、どちらにせよ本当にここから先は行かなくてはいけない。
「わかったわ。くれぐれも気を抜かないように、、」
「おうとも。」
俺が気を抜くかっつーの。っと一言反論してやりたかったが、今はいがみ合う場じゃない。
それは互いに周知の事実だった。
「、、こっちも確認した。」
レーダーには確かに[Unknown]というのが表示された。レナのほうが追加装備によってレーダー索敵範囲が広い、そのため俺より早く気づいたのだろう。
まぁ今はそんなことどうでもよくて…
「この扉の先にあるっぽいわね。」
俺たちの前にあるのは不気味な模様を浮かべた大扉だった。バイザーのライトで気づけたが、こんな悪趣味な大扉が目の前に現れたら絶対声を上げてしまう、背中がゾワっとしてしまうレベルの扉なのだ。
「速戦即決っていうことでここは、ゲィザーで吹き飛ばすか?。」
「なんでよ、普通に開けるわ。」
そう言い、レナは扉に手をかけ押す。
すると扉は今も簡単に動き、大きな音を立てながら中の世界を見せる。
中はまさに黄金だった。金でできているかと思うほど眩い光で出迎える、、広い。とても広い部屋、壁にある装飾はまるで中世の劇場のようだ。
白黒はっきり分かれている金色のタイル床は足を踏み出すのにすら抵抗を覚えさせる。
中央天井から垂れ下がっている。巨大なシャンデリア、眩い光で単体であるにも関わらず部屋をくまなくてらし続ける。
そして、そのまま視点を下に降ろすと台座が一つ部屋に似つかわしくない、まるで異物のような感覚だ。
「、、見た感じアレかしら。」
レナが落ち着いた感じで目の前の台座に向かって言う。この部屋について多分思うことがあるだろうが、ほとんど大きな反応なしに目の前のことに取り組めるとかすごいなお前。
「あぁ、そうだな。多分そう、」
俺はそんなレナに応じるように俺はリアクションをせずそう返す。
「わぁぁ。」
ルルカはこの黄金部屋に見入っている。まぁ案の定のリアクション。まだまだ子供っぽいなぁ〜っと思う。
(紅月様とレナ様、二人ともこの部屋に驚かないなんて流石です。)
「どんな感じだ?。」
「、バリアが貼ってあるわ。真ん中のヤツを守るためでしょうね。」
近づいてみると、確かに薄いバリアのようなものが貼られていた。台座の上にある変な光で見えづらかったが…
「ルルカ。」
多分解除できるはず、バイザーでも魔力反応がアリと書いてある。
魔力に関しては俺やレナはからっきしだ。
「うん、このくらいなら。」
ルルカは杖をバリアへじっと向け、上の先から魔法陣が描き出され陣の端からバリアを削るための細いレーザーのようなものが出る。
すると、
「ッ!敵性反応!」
黄金の部屋の扉が一気に閉じ。敵性反応がいくつもあたりから見られる。
「防衛戦って感じか!。」
腰部にあるダブルビームサブマシンガンを取り出し、バイザーを下げ次々と現れる敵へと照準を向ける。
「お兄様!」
「わかってる、ルルカが解除終わるまで守るぞ!!。」
『topic』
魔法による魔力シールドの解除は時間がかかる。
そのため防衛戦もダンジョン内では珍しくない。




