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三十九話「地下遺跡《4》」

前回のあらすじ


またはぐれた紅月。




 [ビュィィィィン!!!ビュィーーー!!]


自身の軌道後をなぞるように、レーザーは常に俺の足元をかすっていく、相手が人間だったら偏差撃ちされているところだ。全く冗談じゃない!


さっきから横移動ばかりを繰り返している。理由は単純でありレーザーがめちゃくちゃ怖いからだ、言っておくが俺にも怖いものがある。ていうか確実に殺しに来ている音がするレーザーに恐怖しないのが逆に無理、うん。


なんとかタイミングを見つけて攻撃したいところだが、、


 (こいつ、主兵装が目玉レーザーだけあって、射角が広い………!)


かれこれ20秒くらいレーザーとの鬼ごっこ状態、隙を見つけようにも、変に動こうものなら、焼きとうもろこしにされても文句は言えない状況だ。

ゲィザーをなんとかかんとか入れたいが、、。入れられるほどの容量も、恐怖と打開策考案の影響で今の俺の頭には無い。

攻略法は理解しているのに、相手がそれの対策してきてるみたいなもんだ、正直言って、、やっていることは正しい!そう、正しいのだが!!


 (ゲームとしてそれはナイだろう。っと!!)


っというのが俺の意見。、いつから【SANONN】は鬼畜ゲーになったのやら、いやはやダンジョンデビューとしては最悪だ。


ちなみにレーザーに今のところ当たってはいない、なぜかというと当たった時点で終わりそうだから。相手の武装火力を確かめるという観点だとしたら間違いなく赤点だ、しかしそんなこと確認しなくてもわかる、レーザーの火花がたまにこっちに飛んでくることがあるが、火花だけで溶けそうなくらい熱い、というか溶けてる気がする。なんで気がするのかというと、確認してたら焼きとうもろこしになるから、ってそういうことだ。


 (そんなどうでもいいことさておき、本当に長いなアイツのレーザー、発射口が焼ききれてないのが不思議なくらい、いやそれも鑑みるべきか。)


威力は十分ということは次は装甲問題、結界が全面に張られているのでさっきから俺の攻撃はソレで無効化されている、それ即ち相手の装甲についての明確なデータがない。

だがよくよく考えれば、型落ちとはいえ、こっちの最新装甲を過去の産物が溶かしに来れるレベル、そんなレーザーを数十秒連続的に撃ててなお溶けない発射口を見るに相手はこっちの装甲を遥かに上回る硬さを備えていると見るべきか、それとも発射口だけすごく硬く作られているのか?、


、、こいつがワンオフだったら前者、考えたくないが量産型だったら後者といったところだな。


いや、マジでふざけてるなコイツ。


 (製作者、もとい設計者の顔が見たいもんだ、見れたら見れたで歪むまで殴りたい気分だが…)


それはそれとしてそろそろ仕掛けないとな。どう足掻いたってシールドを壊すのは決定事項だし。


覚悟を決め、俺は奴が放ってくるレーザーの下を潜るように避け、接近する。正確に狙ってくるレーザー、も間一髪被弾しないレベルでの神回避、針の穴、今回の場合レーザーの穴を縫うように敵との距離が縮まる中、、俺は頭で考える。もちろん戦略(これからの行動)を、だ。


 相手はレーザーでの攻撃は当てづらいレンジにきたと判断したからか、発射体形を解除しする。

しかし解除するタイミングを見逃す俺ではない、一瞬の隙も見逃さずゲィザーを飛ばし、背後に回らせる、一方俺はビームサブマシンガンの照準を発射口に向ける。


ゲィザーが攻撃可能タイミングに入った瞬間、俺とゲィザーの両者で同時攻撃、いくら全体に結界が展開していたとしても、さっきまで攻撃状態だった部位にまで完璧に結界が張られることは難しい、。

前にルルカと模擬戦を行ったことがあるが、その時もルルカは杖からによる直接的な発射ではなく、周りに展開した魔法陣によって攻撃していた、そこを突いて俺が倒したのは別として、今はその情報が何よりも頼りだ。仮にこれが防がれたり、逆に反撃をもらったとしても二手に分かれた攻撃を同時に防ぐことは至難の技なはず、なんせヤツのとっておきはおそらく目のレーザー、それ以外はコイツについている手足、っとあと少量の武装と見るのが現実的だ。


 いきなり背中から、変なものが飛び出してゲィザーのビームや、俺の自身の攻撃を受け止めてくるわけでもあるまいし、。


 そのことだけを信じて俺は、攻撃を開始する。


 [ピピピピッ!!!]


 [ビュバァァァァーン!!]


前方からくる高出力のゲィザービーム、敵が影になるほどの眩い光で背後を攻撃する、予想通り奴は結界を展開させており背後を守った。しかしそのゲィザーの高出力ビームを防いでいる結界は今、ヤツだけではなく俺を守っている、、もちろんこっちだって見惚れているわけじゃない、奴の目に確実に照準をつけた数撃をくれてやる。


 ビームサブマシンガンの数撃は奴の目にクリーンヒットする。


 (やっぱりか、コイツ。いくら全面といっても回せるだけのエネルギーに限界がある。)


ゲィザーの高出力ビームから本体を守るために、一点集中の結界を現在展開してしまったのだろう、そのせいで今俺が攻撃した部分には結界が張られていない、コイツは万能に見えて全能じゃない。ルルカの時と同じだ。


 (アナログな防御設定を恨むんだなっ!)


攻撃が通ると分かって仕舞えば、もっと攻撃性の高い武装で攻撃するまでだ!!


 俺はビームサーベルを逆手で素早く抜き、体の捻りとスラスターを使って切り付ける。


 [ビジュュュュュッ!!]


表面装甲、いや内部装甲までもが溶け落ちる音が手応えと耳を通して感じる。


 [グオンっ!!]


 「!!ッ」


左から来る、奴の巨大な手に俺の体は反応が追いつかず、吹き飛ばされる。平手打ちを食らった感じだしかし自身の胴体部位とほぼ同等の大きさを誇っていた手から繰り出される平手打ちは、顔面に叩かれるただの平手打ちよりよっぽど衝撃が強く、めっちゃ飛ぶ!。


 [ドォッン!!!]


壁に思いっきり打ち付けられ、それと同時に色々な音が耳に響く、それは身につけていた装備が砕ける音のようだった。


 「あ゛っ!」


ッッっ。、めっちゃ痛い。冗談じゃない、


壁に叩きつけられた時になったのは単純な衝突音それ即ち、装甲は…、


 (今ので、逝ったか。)


装甲だけじゃない、内部回路までイカれた気がする。

もし、装甲で守られていたなら普通はガコンッ!といった金属衝撃音が鳴るはずだ。それを通り越してのマジの破壊音、アイツのアームパワーどうなってやがるんだ。


 (、起き上がるまで。。。)


なんか、声が出ねぇ。本当に痛い時は声が出ないってやつと同じか、、


 (っ、腕に力がはいらねぇ。)


腕部の方に効いたのは誤算だ、さっさと立ち上がって、交戦を開始したいところが、。結果敵を視認できない…


 (め、メインカメラもか。軽装備で作んな!エズ。)


八つ当たりを心の中でかましながら、ボロボロな機械音がキイキイ音を立てて、起き上がる。


敵をなんとか、目視する。


ボロボロのメインカメラに映し出される敵の光景。相手の鈍った動きと、刺さり続けたビームサーベルが、火花を散らしながら苦しませ続けている様に俺は少し安心した。


 (、、相手もこっちも満身創痍、)


戦う意志を無くしてはいけない、まだ戦いは終わっていない。


俺はそう心にし使える武器を探す。ビームサーベルはアイツの懐を、ビームサブマシンガンは…、、。


首が回る範囲には落ちていなかった。


 ふと、足に違和感を覚え下を見る。


長い有線、ゲィザーのものだ、攻撃端末もある。

その様はまるで蛇が死体そのもの、満身創痍だったせいか変に一瞬そう見える。


 (そうか、背部がやられたなら、必然的に、ゲィザーも。)


元々背部に装備されていたゲィザー装置は、さっきの衝突によっておそらく自律管制機能が壊れてしまったのだろう。


そんな亡骸を俺は興味本位、いや武装として使えるかもしれないという思考から手に持ち、壊れかけているバイザーで状態を確認する。


 [状態:微損傷-自律管制機能-停止。]


 (まだ動くか?。)


 [考案-…可能。]


 (なら十分だ。)


自律管制機能がいくらなくたって、コイツはまだ使える。そう、有線ビームサーベル代わりくらいには。


 [ビーッジュジジジジ!]


今にもキレそうなビームの刃が音を立てて、ゲィザーから形を作られる。自律管制機能の他にも安定機能が外れているせいで、本来の出力の10%も、今のコイツは現在出せてない。


 「。。。」


呼吸は安定している、問題は目だ。


背部がやられているという事実は案外俺にとって重く、それはスラスターが使えないということにもなっている。背部のスラスターは基本的なバランスをとる意味でもかなり重要だ、故に今ホバー走行でもしようものなら絶対に転ぶ。


 だから俺は歩くしかない、、


と言っても走れるわけじゃなく、普通に歩くよりも遅い、右脚も調子が悪いため若干引きずり気味だ。


 [ドスン。…、ドスン。]


相手も、状況整理が済んだからか、痛々しい見た目をこちらに見せながら、足掻こうとこっちに向かって前進してきている。


 しかし、その歩みは俺と同等レベルで遅い。


歩幅や足の大きさはあっちの方が大きいはずだ。そこからわかる通り俺はそこそこ仕事はできた、


 (だから止めまでも指してやる。)


相手をよく見ろ、下手な心理戦や下手な探り合いよりもよっぽどマシで、単純でシンプルな、刺しあいだ。


次のセリフも、次の行動も考えなくていいのは、どこか楽な気がして…とても重いそう感じた。


 [ドスン。…、ドスン。]


 [キン、。、ギィ〜、、。キン、。ギィ〜、、。]


二つの千切れそうな足音が近づいていく、どちらかが敗れどちらかが勝つ。


 なんてシンプルだろう。


 「ッ!!!!」


俺は有線で繋がれた。ゲィザーを投げ、奴の頭に命中させる。ガシャンっと、ビーム安定形成版が奴の装甲に当たり、裂けながら割れていく。


 奴はそれをお構いなしにさっきと同様右手を振るい、こっちにめちゃくそ痛い平手打ちをお見舞いしようとしてくる。


 「読んでるんだよ───ッ!!」


そのアナログ式の動きがお前を自身を殺す、。大かぶりに腕を振ろうとしてくるその動きは一言で言えば無駄そのもの、しかしコイツはそんなことは微塵も思っていない、なぜなら開発者がコイツにとって全て正しいからだ。



 「おおぉぉぉぉ!!!!」



俺に当たるまでの約1秒もない時間。

脚部のスラスターに一気に火をつけ、前へ、前へ乗り出す!。バランスは劣悪だ、それこそ、方向違えば俺は確実にゲームオーバー、だが、俺は賭けてみる。


 (なぜなら俺の勘がそう告げてくるから!)


 「とった!!」


何を?、。…、奴の懐に刺さり続けているビームサーベルを…だ!!


 (出力最大ッ!!)


ビームの刃は再び光だし、全く別物かというほどの色彩を放ちながら、奴の心臓部へをまっすぐ突っ切っていく。


 それと同時に、奴の目玉に差し込んでいたゲィザーもビームの刃を完全に形成、いや高出力になり、今俺が差し込んでいる方向とは別方向で、中心核へと向かって、内部装甲を突っ切って行っている。


ひどい賭けだ、目玉が核かと思えば平手打ちを食らった。


最後に信じられるアイツの動力源はやはり心臓部、胴体部のちょうど真ん中、装甲が妙に厚い部分。

そこに核があると睨んだ、ビームサーベルによって切り裂かれた部分はただの被害甚大による、動きの鈍さに見えた。よって中央部に核があることなんて当の俺の頭には入っていない、このダブルアタックも結局のところは、行動不能状態に陥らせるのが目的だった。


二つのサーベルは核へ向かって、直進し今にも核を焼き切ろうとしている。答えは単純だ。

 [バジィ!!ッッッッン!!!!]


俺の勘の鋭さがもたらした。


 [ギィュイ-。ギィュゥイ。ギィュゥゥゥゥイ。-。、-…、ドスン!!!!]


 勝利だ。



 

 ──遺跡ダンジョン2F──




 「うぅ〜ぅ。」


お嬢様は私に抱っこされながら、そう言葉を漏らし続ける。紅月様とはぐれてからずっとこの調子です。


 [bbbbbbbbbb〜、、。]


 「敵、掃討できたわよ。」

レナ様は重装甲を見に纏い、私に気をかけながらそう言います。


 「ありがとうございます。レナ様」

お嬢様を少し気にかけながら私はレナ様へお礼を言います。


 「いいってことよ。それよりさっさとその最高戦力を使えるようにしなさい、」

レナ様は言葉では少し強めであるものの、優しい声で私たちにそう言いかけます。


お嬢様が泣き出してしばらく経って、今私たちはダンジョンを先へと進んでいます。本来ならお嬢様を泣き止ませてからいくつもりでしたが、これがなかなか泣き止まなく、。

紅月様を連れてくるといっても、お嬢様を一人にしておくのは難しく、現状のお嬢様は歩くこともままならく。、、結果私が抱っこし、レナ様には敵の掃討をお願いし、紅月様との合流を目指して進んでいます。


 (お嬢様、無理が来てしまったのでしょうか?。)


元々お嬢様はソロプレイをしていたので単騎での状況には慣れているはずですが、、紅月様が一緒にやることになってからは、ことあるごとに紅月様がいないとどこか元気がなかったりしていました。、、もしかしたら紅月様が居るという環境に慣れてしまったのかもしれません。

それが今回連続して離れ離れになったことによって、かなり負担が大きかったのでしょうか?。

例をあげるなら、昨日まで自分の部屋で寝ていた人が次の日全く別の部屋で寝ようと思っても寝れない。

いわばホームシックのような…。


つまりこれは、そう!紅月様ショック!!、


 「、、いまなんか変なこと考えてなかった?。」

レナ様が首だけこちらに向かせ、目を細めて若干引き気味で聞いてきました。


 「、?。いいえ。」

別にお嬢様のことは変ではありませんし。


 「そう、ならいいわ。(気のせいからしら)」


レナ様はそう言うと、どこかスッキリしなさそうな顔でまた歩みを始めます。

もちろん私はそれについていきます、何せ私は今戦えませんから。


 「…。あのレナ様?。」


 「?、どうかした?。」


私の声にレナ様は反応し、こちらに顔を向けます、わざわざ足をお止めになって。


 「いえ、そのままで結構なのですが、。今日はどことなく装備がいっぱいありますね。、」

良い言い回しが見つからない私は変な言い方で今のレナ様の形状を問いてしまった。しかし個人的にこの言い方が一番しっくり来ていると思います(現時点で)、なぜなら、、大きい、だけではきっと通じませんし…太い、これはきっと誰しも逆鱗します。しかし大きくて太いだと、なんかニュアンスが違う気がしますし、、。しかしながら今のレナ様の装備を表現するためにはその二つ以外なかなかいい言葉が出れ来ません、それとえっと、何でしたっけ紅月様がいつも言っている、、じゅ、、重、、何とか。その言葉が出てこなかったため、私は「どことなく装備がいっぱいある」という言葉に行き着いてしまったのです、正直私もこっち方面ではまだまだ表現不足の身。

いつかの機会に紅月様にご教授願いたい次第だと思います。


※重装甲


 「え、あぁ〜。うんエズのせいとでも思って、、」


レナ様再び歩き出しながらどことなく少し呆れ顔で何となく「察して」と言っているような感じで私に言いました。私はまぁ、その何となくでそのことを察して、無言で理解しました。


 「多分あのバカの分も含んでいると思うけど、ならそっちにつけろっていうね。」


バカというのはおそらく紅月様のこと、正直にいうとこちらとしては何だかその言い方に慣れない感じですが、当の紅月様が無理に嫌っているというわけでもなさそうなので、私も黙認。

話に戻ると…


 「最初から紅月様に装備を待たせておけばいいということでしょうか?。」


 「えぇ。あいつの装備、見るからに貧弱そうだったでしょう?あのエズのことだわ、きっと私に貢ぎ過ぎたのよ。正直嬉しいと言いたいけど…、嬉しいって言いたいけど!…少しは紅月に分けてやってもいい気がするわ。」


レナ様は途中嬉しそうな気持ちを抑えつつも、どこか心配な気を出しながら紅月様の状況を正しく読んで言いました。

事は全くその通りで紅月様の装備は必要最低限。一方レナ様は大きな荷物を背にできるほど装備が充実、その差はアリと象…、、っと言ったら失礼でしょうか?、(ちなみに紅月様がアリです、多分羽アリでしょうけど…)。ともあれ素人の私から見れば外側だけでもそのくらいの差が感じられるくらいあると思います。

ならエズ様はなぜ、、


 「ま、どっちにしろ私と紅月のを併用して作っている感じだし、さっさと合流してルルカを起こすわよ。」


 「はい!。」




 ──ゲレームMk ~Ⅱ・工場こうば休憩スペース──




 「ふふん、。ふふふ、、」


その頃エズは一人、コーヒー片手に椅子に座りクルクルしながら、どことなく不敵な笑みを浮かべてご機嫌にしている。


 「どうしたんですかエズ様?。」


アンジュはエズの甲高い声に導かれる、またそのテンションに心配になる気持ちを含みながらシンプルな問いを並べる。


 「ふふふ、アンジュよ。紅月とレナは知っているな。」


 「!。はい!!。紅月さんは〜、ご存じなのですが、。レナ様というと、この間も紅月様と言い争いをしていた人で…すか?。」

アンジュは目をキラキラさせ、紅月について話そうとするが話の趣旨を変えそうになるところを抑え、エズの問いに考えながら答える。


 「うぅむ!。、何なら今日もうるさくしておったぞ。しかしな、妾は前々からあの二人を何とかしたおと思っていた、ので!今回行動を起こした!!。」


エズは片手にあったコーヒーがこぼれかかるほどの勢いをつけて椅子から立ち上がり、堂々とそう言う。正直言ってこぼれたコーヒーが自分にかかるのがオチだがなぜかそうにならない。


 「それはどういった?、、」


アンジュは興味本位で聞く。


 「それは!、レナのアイテムボックスに紅月の追加武装をまぎらせたのじゃ!!。」


のじゃー、のじゃー、のじゃー。っと工場こうばに響き渡るエズの声、もちろん部屋の中にはアンジュの他にも何人かのスタッフがいた、しかしいつものことだろうと1秒意識を向けるが大半は作業に戻る。一方この声にびっくりした新人はこの空気が慣れていない、ので先輩たちが叩き、説明するや、仕事に戻らせるや、していた。


 「…え、えぇぇえ!?!」


もちろんこれに対してアンジュはびっくりしていた。なぜなら普通、追加装備はその装備者に向けて作られるもの、しかし全く別のしかも犬猿の仲に渡す、それは基本的に考えてイレギュラーなことに違いなかった。


 「あ、妾はもちろんバカじゃないから、両者ともに装備できるように改造しておいたぞ。」


エズはテンションをすぐに戻し、椅子にどかっと座る。そしてこぼれかけたコーヒーを一口のみ、「うまい!」っと声を漏らす。


 「エズ様、そう言う問題じゃありませんよ!。それに少し聞きかじった情報ですが、紅月さんの装備ってあの時のプロトタイプに少し付け足した程度ですよね?!、逆にレナ様は、かなり充実しているって聞きましたし!。」


アンジュはもちろんそれは焦りながら正論を並べ、エズの行動を真っ向から言いました。

紅月を尊敬しているからそう言うのか、はたまた一般常識からきている意見なのか、エズは両者だととっくに気づいた。


 「まぁまぁそう、うるさく言うな。別に妾とて死んで欲しいわけではあるまいというか、死んでしまったら顧客が減るじゃろうが。」


エズは目を細めて冷静に言い返す、王者の風格とでも言うべきか?。


 「エズ様──ッ!!」


アンジュからしたらその言い方はやめてほしいらしく、喝を入れるように上司に言う。


 「あー!あー!、妾が悪かったのじゃ。しかしいい機会だとは思わんか?、」


エズは全く反省していない風に謝罪、かろうじた謝罪にアンジュは少し不服ながらも態度を改める。


 「何がです?。」


 「あーほら!、よく言うじゃろ!不仲でもピンチなら協力し合うって、それを今回利用しているのじゃ!何じゃったかー?、、吊り橋効果??」


 「、、エズ様それは違います、正しくは呉越同舟ごえつどうしゅうです。それに、事がそんなにうまく運ぶとは思いません。」


アンジュは少し呆れながら現状をおおむね想定しながら言う。正直言ってもっともな意見だ。


呉越同舟ごえつどうしゅう:本来は、仲の悪い者同士でも同じ災難や利害が一致すれば、協力したり助け合ったりするたとえ。


 「まー、難易度8だし。、、あり得なくないか……??」


エズは最も意見に足掻きが通用しなくなったか、適当なことで流そうとする。


 「否定はしませんけど、次からは気をつけて、、というかやらないでください。」


アンジュさんは一瞬流されそうになるが、じっと耐え、意見を述べる。


 「へい…なのじゃ。」


エズは「妾、上司なのに」っと思った。





『topic』


・とある研究ニュース記事の一文。


“鉱山地帯の一角でバラバラになってパーツが発見された、構造は複雑化しており正方形のキューブ型になる説と人型形態になる説、この二つのどちらかが有力だと考えられている。”

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