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三十七話「地底遺跡《2》」

前回のあらすじ


ダンジョンに入ったぞ!

 




 「魔力砲マジックカノン!!」


私は杖を前に向け、空中に描かれていく魔法陣に叫ぶ、魔力を含んだ一粒の球体は形を変え、砲形となり目の前の{リザーン}に撃ち込んでいく。


直撃時に装備特性によって魔力が爆発し、前方の大衆を吹き飛ばす、通常の魔力砲なら光線だけだけど私の場合特性で射出型魔法なら全て着弾時に爆発を起こすことができる、おかげでモンスターハウス自体そんなに脅威じゃない、


 「けど、お兄様大丈夫かな。」


ため息を一つつく頃にはもう1発敵に向かって魔力砲を放っていた、、。お兄様の装備は今回大会みたいに万全じゃないし、、何より大会最後みたいになったら、。


私は嫌な想像を続けようとしてが、


 (いや!いつもピンチを乗り切れるお兄様だもん!それに私がお兄様を信じなかったら、きっとお兄様も悲しむもん!!)


そう心に思うとお兄様のあの凄い動きが目の前にあるかのように浮かぶ、そのことを頭に入れ直すと一気に安心感が増した。


 (お兄様のあのスラスターを使った動き、いつ思い出しても…)


チート級、その言葉がぴったりだ。でもお兄様に対してはなんだかもう少し相応しい言葉が、、っと思う。


空を飛べる種族は基本的にシステム側のサポートがあるとフレンドが言っていたことを今思い出す、そのことを考えるとやっぱり私のお兄様は

凄いと胸を張りたくなってくる。

そして空を飛べる種族ということであのお兄様と親しげにしていた天使族を思い浮かべる。天使族はメジャーな種族であるものの通常あそこまで能力を引き出せるないはず、それこそ[主神穿槍]、ロン・ギヌスなんてもってのほか、


 「伝説の武器の一つ。」


最後の一撃として放ったあのスキルからして確実だ、


伝説装備とはこの【SAMONN】内にあるその名の通り伝説の装備、現実の逸話や実話をもとに作られた武器であり、【SAMONN】の中でも少数しかない、それこそ初心者が手にしても最強になれるぶっちぎりのチート装備、[主神穿槍]も確認自体はされていた武器の一つ、その性能は謎、運営からはただ単に実装武器の一つとして提示されたのみ、。


 「だけど、伝説装備。」


現在、伝説装備所有している人は冒険者ならSSSランク、そうでなくても

この【SAMONN】内で絶大な影響力を持っていることには違いない強さがある。


そのせいか、他の伝説装備より貧弱に見えたあの[主神穿槍]の警戒を解くことはできない、あのプレイヤーはお兄様を狙っていた、この先対面することも。


杖を軽く握りしめる、不安を消そうとして切り出した話題はまたもやお兄様の障害になりかねない内容だった。

その分お兄様が評価されていて、お兄様がそれだけ高いレベルにいるのだと思うと、、少し不安になりもするけど、ちょっと嬉しい。


 真っ直ぐに前を向き、私は首を振り、考えていたことを流す。


 (お兄様なら大丈夫!、早く合流して…)


ふと、ここの敵を倒し尽くせばお兄様は褒めてくれるかな?っと思う私、


 ─妄想中─


 『お兄様!私いっぱい倒したよー!』


 『おぉっ!凄いな、さすが俺の妹だな。』


 ─妄想終了─


 「えへへ〜。」



そんなお決まりの完璧ルートを思うと一気にやる気が上がる、絶対褒めてくれる!!!


 「いーっぱい!褒めてもらお!!!」


 《P−ッjon&_&s?!?!》


爆発音と混じる敵の声、たくさんの敵がパリンパリンっと音を立てながら崩れていく中で私は、お兄様にこの活躍を伝えるべく足を前へ前へと跳ねながら動かし、進む。


後に残ったのは亡骸なき爆発後、これがSSランク、上位級トッププレイヤー《全知の魔女》ルルカである。




 ──遺跡ダンジョン1F・???──




 「ハァァッ!!」

目の前にいる{リザーン}に大きく右フックが大きく刺さる。鈍い音と共に顔が歪んで行き、仲間の元へと吹き飛ばされる。


 《PYUIIIIII!!!》


パリンっと音を立て、消えゆく仲間を見てリザーンは警戒し尽くす。


 「早く、紅月様とお嬢様とレナ様っに!!合流しなくてはいけないのに!。」

恐れ知らずか、次々とくる雑兵を殴り潰す勢いでカウンターを決めていく。



 「はぁ、はぁ、休む暇もありませんね。」

こうなったらっと、私は拳には力を込め、敵群の真ん中へと飛び込みます。


 「炎拳フレイムフィストっ!!!」


そう叫ぶと技能スキルが発動し、拳には炎が纏われ、私にも若干の熱が届きます。


熱のこもった拳を重く、早く、強く、地面へと叩きつける!!


 [ド、ド、ド、バァァーーーーーン!!!]


叩いた地面から吹き出す火柱が自身を中心にX字を描き、辺りの敵を一掃していく、。


断末魔が聞こえてき、ワタクシはようやく一呼吸置く。


少々感情的になってしまったと、自分を反省、しかしながらお嬢様、紅月様、(レナ様)が心配なせいで思った以上に空気が…あ、これ燃え滓の臭いですね、どうりで空気が悪いわけです。

 それをやったのは紛れもない自分なのですが、それもこれも心が乱れているせい、そう!乱れているせいなので、落ち着いて深呼吸、


 「すぅ〜、、はぁー。」


ところどころ熱気が襲ってくるせいでやっぱり完璧には落ち着けませんが、少しは冷静さを取り戻した感じがする。


 「…メイド服はワタクシのアイデンティティ。」


ゆえにこんな暑い、狭い、悪臭、の不快要素三姉妹(兄弟でも可)が集まった場所でも脱ぐことはできません。職業柄マスターメイド故に脱げないと言うこともありますが…。


※マスターメイドは通常防具よりメイド服を着ている方が防御値が格段に高い故、メイド服なしではかなり弱い。


 「それはともかく、難易度8にしてはこのダンジョンかなり、、」


弱いというか、なんだか理不尽さに欠けている気がする。前に難易度8をやった時は理不尽の連続、おかげで若干トラウマ気味ですが…主人を危険な目に合わせまいと私のメイド魂に火が付き、今回参加したわけです。

蓋を開けてみればなんとやら、もしかしたらこの前挑んだのは単純にワタクシと相性が悪かったと言うことでしょうか?。


 「だとしたら尚更のこと、紅月様あたりが心配です。」


紅月様は今回初ダンジョン、対人最強クラスの紅月様でもモンスター相手は不慣れなはず、すぐさま合流しなければ、


 ワタクシは足を少し速めて、モンスター群を押し通って行く。


しかしやはり敵が弱いことも相まって順調の勢い、少しは考えることに脳のリソースを使えるレベルだったので、第二公式大会の紅月様の行動を頭で再生させる。


 (いつか、あの動きの攻略ができることを目的にですが、、)


 《PYUIIIIII!!!》


 「少し黙っていてください!!」

ワタクシは愚かにも向かってきた{リザーン}をドンッ!小クレーターができるくらいにまで地面に叩きつける。

いけないいけない。戦闘中に他のこと考えるなんて、紅月様に怒られても無理ないですね。


それでも考えてしまうワタクシを許してください。なぜかって?、それはもちろんラストバトルのあの化け物との戦い、紅月様のことはそれはもう二十分にじゅうぶんに心配をしていました。第一、あんな化け物が出てくること自体想定に入れていなかったのですから。


これを詰めの甘さと言うのであればご自由に、そんな批判など、ワタクシの紅月様への想いに比べたら!!


 「・・・・・・/////〜。」


何を思っているのでしょうか〜!!ワタクシハァ!!!!!!!


 [ドゴォォォォッーー!!!]


勢いよく叩いた地面はその場でこう着状態にあった{リザーン}に恐怖を詰め込ませる。

それは傷口に塩を塗るというよりかは海水をぶっかける並みの衝撃だった。


ガクブルと震える敵は、これからウミさんに鉄拳制裁をもらう、何故確定しているのか?、もちろん敵だからだ、容赦なくするのは当たり前。


これに関しては紅月の敵に容赦するな思考が影響しているので間接的に紅月のせいだ、


最も、それを一番高めているのはウミ本人自身なのだが…、。




 ──遺跡ダンジョン1F・???──




 「ふ、ふふふ。アハハハハハ!!!!!!」


 [bbbbbbbbbb!!!]


私は大型のガトリングを目の前の虫ケラどもに斉射する、ガラスが砕ける音がまるで音ゲーをやっているかのように聞こえてくる。

あぁ、素晴らしいこれが私の力なのだと、


 「これならっ!!奴に紅月に勝てるわー!!」


───




        レナ(マルチガンナータイプ) 

   種族 オートマタ


   [HP]45000(体力)

   [E]50000(バックパック貯蔵)

   [A]40000(障壁耐久値)


  [STR] 7000(アームパワー)

  [VIT] 11000(魔法物理共通)

  [AGI] 400 (通常歩行)

  [LUK] 100(運)      

  [DEX] 5000(器用さ)   

               

  [スキル]           [称号]

                 ・永遠の採掘者

                 ・マイスター

                 ・全身武器庫


 [身体構造(内)] 

 

 [頭] アームズ    [胴体] アームズ


 [左腕] アロ合金   [右腕] アロ合金


 [左脚] ベントス   [右脚] ベントス


 [身体] ケイトス駆動 [内部] ケイトス駆動


 [劣化部位] ーー [修復部位] 外部・シールド装甲

 結果 安定


  コア:ベルタンクトコア-アレンジ



 [身体構造(外)]

 

 [頭]ザィクスファイプ [胴体]ザィクスファイプ

 [左腕]ザィクスファイプ[右腕]ザィクスファイプ 

 [左脚] ケーコント  [右脚]  ケーコント


 表面状態 コーティング常時展開(100%) 



 [装備]


 ・マルチガンナー専用装甲

【詳細】物理特化の障壁を常時展開、魔法攻撃にも多少効果がある。

内部火器に影響を与えないために、衝撃にとても強く調整されている。

機体重量に耐えるために、かなり駆動性が良い。それと一つ一つがとてもでかい。


 ・長砲塔大型ガトリング

【詳細】全長4メートルの大型ガトリング、30mm口径採用型、エネルギー動力は本体紐付け式、射速毎分2000発、装填数5000発、のとんでも兵装。残弾数-96540、

 

 ・両脚部、両肩部、大型背部ユニット内蔵マイクロミサイル

【詳細】全弾総数50発、大型背部ユニットは自動装填。両脚部はパージ可能。



 ・バイザー式頭部ユニット・改

【詳細】経費がなかったのでバイザー式、ではなく小型化に成功している。以前Aアーマに付けられる予定で開発が進行していたが難航したため凍結予定になっているところをデータアップデートによる改修、改善によって完成した。[自動照準機能・ASL]がついているため射撃をある程度サポートする機能がついている。

他にもAアーマと同等の機能が装備してあり、暗視・サーモグラフィー、等の複合センサーも搭載、こちらも同様にパワーアップしている。

外見は両側についている2本のレーダーアンテナ、モノアイが特徴的なカメラ、対面時はかなり怖い。また、バイザー表面が破損した場合、パージすることによ全面モニター式に切り替わる、なお命中率は低下する。




 ・背部搭載複合大型ウェポンラック

【詳細】総長3m×3mの大型ウェポンラック、内容はガトリング砲の残弾、ミサイルポッドの搭載及び残弾管理、自動援護システムAI、ロケットバズーカ×2及び残弾複数、ビームサブマシンガン×2及び残弾複数、AI専用作業用サブアーム、リペアトーチ×2(100%)、狙撃用ビームライフル及び残弾複数。

など最終兵器動く武器庫、等のあだ名がつけられそうだが実はこれは追加ユニット、通常はかなり安定性が効いたスリムな装備、しかしたちまち追加装甲をつければ別物と変わり果てる、開発者の意図が読める。

パージが可能な他、全ての追加ユニットを搭載した場合の大きさなので、個々として使い分けることもできなくはない。

またかなりの積荷なので全て搭載している時はスラスターが吹けないという欠点付き、完全にやられる前にやれを体現した装備である。

ちなみにデカすぎるせいで、狭い場所での戦闘は想定されておらず完っ全に白兵戦向きである。



 ・脚部位専用特殊外部装甲

【詳細】装甲、と書いてあるがその実態は背部の大型ウェポンラックの重荷を軽減ためだけの目的に作られた専用外骨格。

これのおかげで装備者は足を骨折しなくて済むようになっている。



 ・自動援護サポートシステムAI

【詳細】ウェポンラックパーツの一部であり、あまりにデカすぎるコンテナないから専用のサブアームを使って、弾切れ時のリロード効率を早めてくれる。会場は円状の薄い板のような形をしている、センサーも内蔵しているためある程度戦局によってAI自身が仕事をしてくれることが、、なくもないが期待しないほうが吉かもしれない。

ちなみに、サブアームとセットなのでサブアームがなかった場合ただの的と化す。




───



高々と笑いながら私は一人そう言う。観客は今から私に皆殺しにされる方々、名前なんて覚える必要はない。なぜなら覚えたって私は堅物な為、すぐ忘れるから!!


 [bbbbbbbbbb!!!]


にしても素晴らしい力,エズの技術力を甘くみていたわけじゃないけど,まさかこれほどとは。基礎設計した私がいうのもなんだけど、

ていうか、追加装甲が勝手に入ってたからつけたけど、、


 「デカすぎるわねコレ。」


いってしまえばい相撲が余裕でできそうなレベル。しかししそれを差し引いても、、


シューっとなりガトリングが自動的にリロードされる。その音を聞き、感じることはひとつ。


 「快っ感!!」


今まで私は食物連鎖の下にいた、理由はもちろん生産職だからだ、生産職になるため、ステータス調整や、改造の方向性を決めたのももちろん私だ。


だが、そんな私は今や影の薄い採掘者ではない!!


 「何にも臆せず、敵を殲滅する!戦闘者よ!!!」


両肩部に装備されたミサイルポットが開き、マイクロミサイルが敵に向かって飛んでいく、目の前が爆発の嵐と化し、若干眩しい。だけどすごく楽しい、別のゲームをやっている感じがする。




 (…別のゲームといえば、第二大会のあのデカブツ、)


ふと、話題がそっちになる。特に違和感なく私は事を考え続ける。

最初見た時から感じていた、アレはエズが作ったものに似ていると、。(今私が背負っているもの含め、)


私たちを売ったという表現は少し違うか、大体あいつは元からそういう奴だ。あのバカ(紅月)とルルカとウミさんは気づいていなさそうだけど。


 (まぁ、エズは《やりやがった》ってことだと思うげどね〜。)


あのバカ(紅月)も深くは考えていない様子だったし、おそらくどっかの地点で勘づいているってところかしら、アイツ感だけは鋭いから。


BOという最大戦力が消えた今、紅月のデータをいったい誰が測れるのか…、エズもやっていること倫理観ないわよねぇ〜、ま、ここはゲームって言ったらそれまでなんでしょうけど。


 「、リロード。」


実弾兵装がかなり多い気がする。まぁ結構短時間で仕上げてくれたのだから文句は一つもないのだけれど、それに火力はどれも十分それに加えて、まだまだ武装は充実している。先ほど難易度8と聞いて内心臆していた自分が少し情けない。

 私にはこの超火力超装甲超範囲装備があるのだから、何も臆することなく、自分をただただ信じればいいだけだったのだ。


 「、奇しくもアイツに言われたことなんて。」


そういえばさっきの紅月はなんだか変な感じがした。まるでいつもの馬鹿じゃないみたいな感じだ…


 「はぁ〜。」


いったい何考えてんだか私。




 ──遺跡ダンジョン1F・???──




 [パリン─]


 「─────ふぅ」


やっと倒し終わったかな?。っと思い俺はビームサブマシンガンのリロードをする。しかし油断はできない、なんせこっちも正直結構痛手を食らった。といってもダメージの問題ではなくて補給の問題だ、主兵装である以上もっぱら弾を消費する、おかげでマガジンも残り数個。


なんなら敵がまだそこらへんに隠れていてもいい気がする。


 《PYUIIIIII!!!》


 (ほらっな!)


近くの石と同化し隠れていた爬虫類がガバッと、時を狙っていたかのように起き上がり、俺に向けて一太刀入れようと襲いかかるが、それを自分で言うのもなんだが巧みなカウンターで落とし切る。


首が転がっていったあたりでパリンと割れる。


、、なぜこうも奇襲が多いのか。レーダーがこっちにはあるので正直意味ないんだが…、

そしてなくなった敵性反応。


 (そう考えると、レーダーって革新的な発明だなぁ〜。…あれ?前もこんなこと思わなかったっけ?。)


そう考えると俺はいち早く合流すべく、歩き始める。バイザーの暗視を切り,ライト機能に切り替える、実のところさっきまで暗視とサーモグラフィーで戦っていたのでダンジョンの構造などは気に留めていなかったわけだが、、


 「洞窟、、かと思っていたが、、」


俺はじっと壁を見る、よーく観察すればわかることなのだが、ところどころ石レンガになっている。発掘された壁という言い方が一番わかりやすいかもしれない、ダンジョン入り口まわりと同じだ。

変なところに気を止めながら俺はどんどん奥へと進んでいく、その間敵との接触はゼロ、さっきの感じ的にまだいそうと警戒していたが、


 「正直ここからの戦闘は少し安心性に欠けるな。」


弾の問題、それが一番俺を悩ませている原因だ、いくらゲィザーがあったとしてもリチャージのことを含め、その間を埋める兵装が足りない。

…恐らくレナの方は十二分に充実していると思うが…。こっちの装備も充実して欲しいもんだ、エズの奴。


そう愚痴を考えながら、歩いていると。


 「ぉ?、なんだあれ?。」


目の前に無駄に装飾が凝っている箱が見える。変だ、周りは薄汚くて不規則な壁と床と天井のはずなのに、こんな綺麗な箱があるのは。


 「もしや、新手のトラップか?。」


アリエルっと、俺はバイザーを下げ、ビームマシンガンで標準をつけながらゆっくり忍足で箱に近づく。いったいどんなトラップだ?、近づいたら入り口まで戻される?それともさっき殺したやつが全員復活するとかかか?、クソっ、もう少し魔法についてルルカに習っとけばよかった、こういうテンプレーションに俺はめっぽう弱いんだ。

※紅月は魔法のできる範疇、いわゆる基準がわからないので魔法=全てできると錯覚しています。


 「…。」


俺はレーダーを見る、どうやら敵ではないようだ、なぜならレーダーは嘘をつかない。

大会の時に幻術使いと対峙した時も魔法の影響を受けてなかったことが証明できたからだ、ただしそれだけで危険かどうか判断するのは得策じゃない、こういう時は…


俺はそこらへんにある、石をポンっと箱に投げる、コンッと音を立て石は箱の蓋から転がり地面に落ちる。


 「接触型じゃないのか?、いや、プレイヤーが触ったら的なやつか?だとしたら突破口がないな。」


ルルカだったらなんとかぁ〜できなくもなさそうだが、あいにく俺はこの剣と魔法の世界ではイレギュラー、どう足掻いても対応できない。


 「!、そうだ。」


別に中身がなんであれ問題ない方法がある。問題は俺の手腕にかかっているといったところから。

俺はゲィザーを起動させ、箱に狙いをつける。

狙うは蓋、蓋までいっぱいに中身が入っていたらそれはそれ、しかし中身の大部分がもらえるんなら十分だ。


そう、俺たちオートマタというイレギュラーがやれることは一つ、対応できなかったら対応させればいい、どうやって?、


 「撃て!!」


もちろん物理で、


 [ビュィーーーッ!!]


ゲィザーから放たれた一筋の光は蓋をに直撃、暗くなっていた部屋が一気に閃光で満たされる。、俺はバイザーを下げていたとはいえ、腕を前に出し身を守った、撃ち終わり、ゲィザーが戻ってきたことを確認すると俺はもう一度箱を確認する。


 「なっ!?」


そこにあったのは、傷一つなくさきほど以前変わらない姿をした箱だった。


バカな、直撃のはずだ。金属製品を余裕で溶かすほどの威力を持つゲィザーが、まさかたかが箱に破れようとは、いったい誰が想像できたことか、


 (ど、どうする。どうすればコイツは死ぬ?ビームサブマシンガンを撃つか?、いやダメだ敵性反応でない以上ここでマガジンを無駄にするわけには…、となるとビームサーベル。)


俺はサーベルを抜き、ゆっくりと近づく、おそらく大丈夫なはずだゲィザーで一撃入れたのに反応がないということは近くにトラップはない、問題は箱の中か…。


 (ゲィザーのは一撃、しかしこっちはビームの形成剣、これならやれるはずだ。)


いつだって、ライフルよりサーベルの方がダメージは高い、今までやってきたガン○ムゲーがそれを証明してくれる。

※主にバトオペ2とか。


 [ザジュウッ!!!]


俺はサーベルを振り、一思いに切り込む。しかし


 [ジジジジジジ!!!]


 「な!鍔迫り合い。」


なんとサーベルと箱はお互いが反発し合うが如く、見事な鍔迫り合い状態になった。この時俺の頭は理解が追いついていなかった、たかだか箱が、このビームサーベルと互角に渡り合うとは…いったい誰が予測できるのだろうか?、いやかの有名なエジソンでさえ予測できないだろうというか、ここまできたら絶対に予測できない。


 「くっ!。」


俺はサーベルの出力を上げ、箱に向かって突き刺そうとする。切ってダメなら刺してみろ、誰かが言っていた気がする!


 [ジッージジジジジ!!]


 「これもっ!?」


出力を上げ、接触面積を一点集中にしたはず、それなのにコイツは?!いったいどういう仕組みなんだ?こんなものがこの世に存在していたのか?!、だとしたら俺は正気の発見者だ、コイツを加工すれば恐らく最強の武器に!って今はそんなことを考えている場合じゃないというかどうやって加工すんだこんなもん!!ビームの刃ですら切れないものだぞ!

はっ!もしやこの箱いつぞやの車みたいに変形するのか?いや,何をいっているだ。そんなの考えたって仕方ない、あるのは切れない、壊せないの最強の箱。


……、、ダメだ、もう策が、思いつかない。…俺はこんな箱に負けて終わるのか…


 「くっ、。」


俺は箱の前で膝をつき、サーベルをオフにする。



こうして俺の【SAMONN】は終了したのだった。



 【VR MMO RPGって何?〜ほのぼに理想を目指してプレーしていたら、死神扱いされた?!〜】 


        《完》

 

 制作 ハンブンシタイ


 監督 ハンブンシタイ

 

 

 
























 「お兄様?…お兄様?!!」


後ろから懐かしい声が聞こえてきた、膝をつき俯いていた俺はその声に導かれるままに後ろを向く、そこにいたのはルルカだった。まっすぐこちらに向かって、


 (タックルしようとしてry)


 [ゴォッン!!]


 「ごハァ!!」


 「お兄様ァァァァ゛ー!!!!!!無゛事゛でよ゛がっ゛だよ゛ー!!」

ルルカはズサーっと、俺を吹き飛ばし壁にぶつける。そこから俺の体に向かって泣き顔を押し付ける、


 「ぐっ、。」


おかしい鉄でできているはずの体が今めちゃくちゃ痛い、というかなんでルルカの頭無事なんだ…絶対、大丈夫じゃないのそっちだろ。

ガクッ。


 「お、お兄様あー!!!!!!」



・・・



 「ご、ごめんなさい。」


落ち着いた、ルルカがまず最初にやってきたのは謝罪だった。杖を手に持ち、頭をこちらに下げる。かぶっていた魔女帽子が落ちそうになるレベルで、


 「いや、だ、大丈夫。」


本当はダイジョバないが、まぁルルカの前だしっということで少し強がりに出る俺。


 「にしてたって、そんなに心配しなくても。」


 「うぅ、だって。お兄様が、もし、もし、酷い目に………あっていたらと思うとぉ〜〜ぅぅ〜〜」



 「ああー!あー!悪かった!悪かった俺が浅はかだった!!ルルカごめんな、心配させて。」


いきなり涙目になるルルカに困惑した俺は勢いで、抱きしめる。ルルカはさっきほどではないが少し泣き始める。乙女心、いや、妹心って複雑なんだなぁ〜っと正直なところ思う俺。にしてもこれはこちらも十二分いや、十三分に悪い、この物理法則を全て捻じ曲げてくる箱に気を取られて、大事な大事な妹をほったらかすなんて……兄として風上にも置けないなぁ〜。


 「うぅ〜。」


そう、ルルカのことを放っておいたのは本当に悪かったと思う、しかしあの箱ぉぉぉ。、気になって仕方がない。ここはゲームに詳しいルルカに聞いてみるのも、アリだ、ていうか他に方法ない。


 「なぁ、ルルカ、こんな兄で申し訳ないんだが…あそこにある箱って───」


俺は箱に向かって指を指しルルカの注目を向ける。



 「ん、?、、あ!宝箱だ!!しかもランク5の!!??」


瞬間ルルカの涙腺はなくなり、まるで新しいおもちゃを見つけた子供の用に箱のそばに寄りに行く。


 「…、タカラバコ???」


俺は新品のノートみたいに頭が真っ白となり、ルルカの言った言葉をリピートした。現状が把握できなかったのでそのまま棒立ち状態でその場に残される俺。


 「うん、ちょっと待って、。罠がないか調べてみる。」


ルルカがそういうと、背中に背負っていた杖を宝箱に向けた。な、そうか、魔法ならしらべられるのか、。と俺は遅く理解する。


 「『宝物鑑定トレジャーサーチ』。…大丈夫そう!、お兄様!開けてみて。」


ルルカがそう言い放つと、だんだんと頭が働き、理解が追いついてきた。俺は足をゆっくりとルルカと宝箱の方に運ぶ。


…宝箱、そういえばルルカが前に言っていた気がする、RPGゲームの醍醐味で、中には色々な便利アイテムだったり装備だったりが入っているって、確か【SAMONN】では5段階に分けられていて,5ランクが最高だった気がする。…なんで忘れていたんだろうか、。


 少し後悔、というか脱帽した俺は宝箱を開ける。


 「中身は中身はー!」


ルルカがワクワクした様子を見せながら俺にせがんでから。

俺は箱の中に入っていたものを取り出す。


 「なんだ、この…石の?、石板??」


 「だね?、なんかに使うのかな?。」


俺たち二人は頭に?マークを浮かべてその場で少し考えるしかし


 「とりあえず、しまっとくか。」


 「うん。」


めんどくさくなったか,はたまた無理だと判断したからか,俺達はそっとアイテムボックスに入れた。その後は二人で先に進んだ。





『topic』


【解説】ゲィザー

紅月がダンジョン探索で使用している装置の一つ、いつぞやのSFでよくある遠隔攻撃ができる優れもの、また威力はかなり高い。

ちなみに、紅月曰く装備欄にあった名前だったから読んでいる、


 紅月「どうせ名付けはエズだと思うが、、。」

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