二十八話「第二回公式大会《1》」
前回のあらすじ
紅月はエズと共に装備の開発、制作などを行う。
無論、大会まである程度の模擬戦まで行った後の話。
いよいよ第二公式大会!!
「今日がいよいよ、第二大会。」
俺は部屋にある時計を見て思いながら馬鹿みたいに部屋のスペースを取っている、VRの機械に入る。
なぜだろうか、今までで一番感覚が違う。きっと緊張しているんだろう。たかがゲームって言っても若干本気になてしまう自分がいるんだな、、今日もいつも通りにやってやろう。
「!、お兄様ー。」
ルルカはいつも通りに満面の笑みで迎えてくれる。昨日ちょうど最終調整が終わったところなので3人とはログアウト場所が違った。そのため、俺はエズと工房の方から合流する。
「、、でどう?仕上がりは?」
レナが来た俺を唐突に無視し,エズに問う。
「うぅむ!、実にいい出来じゃ。しかし結果的にはオールラウンダー的な形になってしまったな。」
エズが苦笑いしながら手を頭の後ろに申し訳そうに言う。
実際当初の予定ならば完全近接寄りに作るはずだったが、、結果、中近距離での戦闘特化型になってしまった。その分武装は結構充実できている。全レンジ対応ではないが近距離は正直ウミさんとの模擬戦によってかなり鍛えられたので近距離は一番こなせる自信がある。
「紅月様の戦闘スタイルでしたら、武装回しが得意なので手数が申し分ないなら問題にはならないはずです。大丈夫なのでは、、?」
ウミさんがフォロー、、というよりかは補足を入れるように言う。ウミさんが言いたいことは恐らく「オールラウンダーの性能でもいいのでは?、むしろどちらかといえば紅月様はオールラウダーの方が適しているので、問題ないのでは?」
っと言っているのだろう、なんとなくそんな気がする。エズが苦笑いしたことが引っ掛かったためこう言ったのだろうか、。
「うぅむ?、もちろんそれは承知しておる、コイツは何を扱おうが一流。気にしているのはそこじゃなく技術者としてのけじめに対してじゃ。まぁ、、妾がややこしくしただけじゃ!もうよい!この話終了。」
全くもってその通り。っと思ってしまった。エズはたまに変な癖がある、それを理解するには時間がかかることは間違いのない事実だ。俺ですら理解するのには時間がかかったものだ。
「肝心の装備は?」
ルルカが俺の体の周りを少しばかりうろちょろしながら言う?。
「大丈夫しっかり持っている。」
俺の一言でルルカは落ち着いた。
体についていないことがそんなに不思議だったのか,だとしたら今からつけたほうがいいのかもしれない、
「ちなみに、お披露目はまだ先じゃぞ、。」
俺がそう考えていたところにエズが一言、考えをかき消す。そしてそれと同時に俺は思わず「えっ」と思った。
「えぇー、、。」
ルルカは期待していたのか、結構がっかりしている。わかる、わかるぞその気持ち
「ま、戦闘機は戦闘の時に輝いてナンボ、、結局そうなるわよね。」
レナは納得したように言う、実際に俺もレナの言っていることがわかる、プラモデルも普通にただ置き物として置くよりかはポージングを決めた方が現実味を帯びていてより良いということだろう。まるで原作さながら…。そしてレナの言っていたことは正直(嫌いなので)わかりたくないかった、と思う。
「ま、いいや。それなら早く行こ!会場に。」
ルルカが気を取り直したように言う。
そして俺は思う、会場にどうやっていくんだ?っと、しかしそんな疑問は一瞬のうちに消える。
「忘れ物はないぞ!。」
エズが突然元気よく言う、まるで遠足へ向かう前の子供のように、実年齢は本当に何歳なのだろう。
「OK!、なら行こ行こ!。」
ルルカは紙切れを使用する、すると持っていた紙切れは光り始めた。
[対象人数を確認・・・・・転送開始します。よき世界を。]
紙切れから機械音的な声が流れる、そうすると自分達の場所を包むように地面に円状の魔法陣が展開され回転する。眩しさから俺は目を瞑った、そして開けた瞬間。
──第二回公式大会会場・メインエントランスホール──
「、、おおォォォお!。」
広がる世界に興奮した、さっきいたゲレームMK~Ⅱとは打って変わった驚きだ。SFっぽさがあるようでない、ぎりぎりのラインを攻めながら会場全体が美しく彩られている。
「おぉぉぉ!実際に見ると違うのぉ。まぁ!妾の方がすごいがな!。」
エズは目の前の光景に感動しつつも決してマウントどりをやめない。言ってしまえば少し見苦しい。…あれ今の自分とほぼ変わらないのでは、、。
「すごい人数ですね。」
ウミさんが周りをキョロキョロしながら言う、確かに周りには人族初め、人ぽいけどなんか違う種族、もしくは完全に人じゃない種族までいる。いずれもすごい人数だ、オートマタもちょくちょく見られる。何故だろう、戦うのだろうか?。
「観戦しに来る人はいるもんね〜、前の公式大会ではそのチケットすら手に入れられなかったけど…。」
なるほどソシャゲの闇だなそりゃ。っとソシャゲのソの字くらいしかない俺が思う。そしてオートマタが何故いるのかもその一言で解決した。観戦しに来たのだと、
「今回は出場者がいたからそれの付き添いとして観戦できるからな。」
なるほど、観戦者と違って出場者は一定の人数連れて行けるってことか、観戦者はチケットを人数分買わないといけないのに対して出場者が有利になっている。会場を盛り上げてくれるから〜、って言う理由だろうか、、。
「ほら、あんたはボッーっとしていないでさっさと、出場受付に行きなさい。」
レナが俺をあしらうように言ってくる,失礼な。っと思いつつ
「、言われなくても。」
そう言い俺は受付の方へ向かった、ちなみに決して同意してしまったわけじゃない。
そしてルルカから半分だけ渡されたチケット。つまるところ付き添いか、選手を判断するための形だろう。人数分だからか,先ほどルルカが使っていた時の4分の一程度の大きさになっている
そう考えながら俺は受付にチケット出す、ちなみに無人だった。すると次の瞬間にはガラス越しの部屋に移動していた、画面には参加人数と、装備の装着を促すテキストが表示されていた。ちなみにマップ全体が映し出されている画面もある、しかし小文字で《開始時にはこのマップを使用できません》っと書いてあった、おそらくここで暗記しとけて話だろう、暗記はそこそこ得意なので装備している時間や待ち時間にでも見ておこう。
──第二回公式大会・観客席──
「あ!、ここだよ。」
ルルカが席を指差す、自分が持っていたチケットと同じ番号が振られているのを確認し妾は座った。
「マップはまだ表示されていないようね。」
レナがそうつぶやく、確かにマップが映し出さられる部分はホワイト一面。
「紅月が心配か?」
妾は何かを感じ取って、レナの言葉に反応してやった。
「、、別に。あいつならどうせ上手くやるわよ。」
レナが強気に言う、しかし妾にはわかるゾォ。どこか不安なんだなぁ〜ここは慰めもとい安心の一言を。
「。まぁ、紅月の方ではマップが表示されているはずだ。妾たちは観戦者、その名のとうり見守るまでよ、、まそれとは別に妾は〜…。」
大きなバックの中を漁り始め、一つの大きい端末を取り出す。
そしてそれを奇妙に見るレナの視線が刺さってくる。
「、一応聞くけどそれは?」
レナがしれっと言う。あれま、驚かないんじゃな。もう少し期待していたのじゃがもっとこう、「えっ?!なにそれ。」とかってこれはどちらかと言うとレナではなくルルカか、、
「む?、ただの計測器じゃが??、紅月の。」
考えをやめてレナの問いに余裕の表情で答える妾。すると
「なんでよ。」
レナがそう聞いてくる、しかも真顔でなんか怖いぞ。
「なんでよって、ここなら戦闘データが山ほど取れると思ってな。それで」
それで紅月にぶっ壊されたBOを復活させる!のが今回の目標じゃ。といえたらどんなに楽か,いやはや客と店の関係は思ってたよりも楽ではない、毎度のことそう思う。
「…はぁ〜あんたが一番怖いわ。」
レナは疲れた声を出し、なんだか察した様子で頭に手を置く。なんか呆れられた妾?。
「試合まで残り3分ですね。」
ウミがつぶやく、落ち着いたように見えて内心ドキドキしているのか少し落ち着きが足りないように見える。のは気のせいだろうか??。まぁこの際どちらでも良い、妾はその奥でさっき売店で買ったポップコーンを貪っているルルカの方が気になって仕方ない。
「まぁ紅月のことは端末でわかる。準備はできているようじゃ。」
妾は端末をじっと見る、今回のために製作した装備が画面には表示されている。
──第二回公式大会・控室──
紅月
種族 オートマタ
[HP]50000(体力)
[E]200000(バックパック貯蔵)
[A]50000 (障壁耐久値)
[STR] 3000(アームパワー)
[VIT] 8000(魔法物理共通)
[AGI] 600 (通常歩行)
[LUK] 50(運)
[DEX] 8000(器用さ)
[スキル] [称号]
・無限のエネルギー
[身体構造(内)]
[頭] イズニュウム [胴体] イズニュウム
[左腕] アリカタン合金 [右腕] アリカタン合金
[左脚] ベーオス [右脚] ベーオス
[身体] Aアーマー [内部] Aアーマー機動
[劣化部位] ーー [修復部位] ーー
結果 安定
コア:アスンベルクコアMK~4
[身体構造(外)]
[頭]アンチディマイション [胴体]アンチディマイション
[左腕]アンチディマイション[右腕]アンチディマイション
[左脚] ベルセン [右脚] ベルセン
表面状態 コーティング常時展開(100%)
[装備]
・Aアーマー『AK』
【詳細】マジックコーティングが常時展開されるアーマーまた物理攻撃にも耐久がある。
耐久:100%
・AMS
【詳細】コーティングおよび無効化性能がついているシールド、長方形の縦長い箱の形をしている箱状になっているところからマジックミサイル(実)が搭載されている、他にビームネイルを展開でき、ソードも収納している。また特殊干渉合金《ベリトリス複合干渉合金》を素材として使っているため、通常のシールドより取り回しが良くなっている。小型スラスターが内蔵されており、攻め守りにおいて万能な盾。
効果:威力3000以下の魔法攻撃を無力化 耐久:100%
サブ:マジックミサイル(実)EM技術の応用によって誕生したミサイル。爆発性は魔力を基準としているためかなりいい性能をしている。
・AMAM
【詳細】魔法攻撃を吸収する、また以下の威力を超える魔法の場合ダメージを50%カットして耐久が減る。
魔法を吸収した場合、耐久が1%回復する。実質攻撃にはめっぽう弱い。
効果:威力900以下の魔法攻撃を無効化および吸収、900を超える場合は威力をカットする 耐久:100%
・ビームマルチアサルト
【詳細】ビームマシンガン、ビームマグナム、ビームアサルト、ビームロングサーベルの複合兵装、使用者の意思で切替ができる。また射撃間隔の調整もできる。射撃間隔が早いとオーバーヒートも早まるため、気をつけなければならない。またサブで小型グレネードがついている。
また従来のビーム兵装と違い有線式ではなく赤外線式の自動エネルギー供給が可能となった、
効果:ビーム属性の攻撃を与える。ビームマグナムはシールドおよび《装甲貫通》
サブ:グレネード
・頭部複合拡張センサーEZ
【詳細】頭部のツインカメラおよび内部に搭載してあるセンサー、サーモグラフィ機能とマップ自動製作機能がある。また相手の戦闘数値を簡略化して装備者に表示できる。他にも[自動照準機能・ASL]がついているため射撃をある程度サポートする機能がついている。
・ビームサーベル・ビームダガー・ヒートブレイド複合武装バックパック
【詳細】バックパックに3種の武装が積んである。ビームサーベルは中距離、ビームダガーは近距離、ヒートブレイドは長距離〜近距離までこなせる。
またヒートブレイドは実斬刀剣にエネルギーウェーブを纏わせ切れ味耐久ともに大幅増加する。刀剣内にはビームランチャー内蔵されていることもあり射撃としても利用できる。しかしビームランチャー自体エネルギー消費が大きい。
他にも残弾パックも付属しているため、弾切れを減らす。
・両足内臓エネルギー貯蔵タンク
【詳細】エネルギー容量拡張と、エネルギー貯蔵タンクが同時に内蔵されている。そのせいか両足脚部位は特に装甲が厚い、またスラスターも内臓しているため、小時間ではあるがホバー走行ができる。
・ベリトリス複合干渉装甲
【詳細】ベリトリス複合干渉装甲が全身装甲の一部取り込まれている。シールド同様、実弾実斬魔法攻撃に圧倒的な耐性を誇る。
「さて、準備は万端。」
俺はマップの暗記は一通り終えた状態、そして開始まで1分を切っていた。少ないこの時間でやることといえばいいとこ心の準備だろう。
今日までの経験を思い出せ。BOとの戦闘、大量の模擬戦、特殊合金の製作からデザイン部門との口論、装備の厳選、開発から合成。シュミレーション、装備のデータとり。結構色々なことがあった。
だが忘れてはいけない、このゲームはまだ始まったばかりだと言うこと、目指すは景品である《永久の結晶》。
再度俺は開始時間を確認する、まだ20秒ある。
「案外、長いもんだな。」
そう口にしながら覚悟を決める。俺の目標はただ一つ。それに向かってただ全力を出せばいい話、ここでは終わらせない、混ぜならまだ始まったばかりだから。
[……第二回公式大会───始め!!]
電子の声が聞こえてくると同時に目の前は真っ白になり謎の浮遊感が襲う。それは真っ直ぐ地面に落ちていくような感覚だ。さて、やってみせるか。
──第二回公式大会・観客席──
「。。」
マップが解禁され、実況が開始され、開始1分前になった。実況者の二人はマップの特性からどのようにこの大会が選手たちに影響するだとかを互いに喋り合っている。
しかし私はただ祈る。お兄様の勝利だけを祈って。
──第二回公式大会・森林ステージ──
ジジジっという音が聞こえ、目の前の光景が顕になった、森だ。ゲレームに向かう最中に通った場所に非常に似ている。もっとも俺は森についての違いがわからない人だが。
さて、ただ置かれている鉄の塊に息を吹き込むか。
「システムオールグリーン、アーマードシステム起動。」
《承認》
目の前に広がる画面に増えていく機能たち。ツインカメラを通して出る風景は現実で見るより明るく感じる。暗視機能、連動マップ、そして残りエネルギー量まで性格に書いてある。感覚的には戦場の絆やっている感じだ。あっちより操作は全く簡単じゃなく尚且つわかりにくい模造品だけど。
さて、アーマード大地に立ちます(立っているけど)
大きく、足を踏み出す。感覚的には宇宙飛行士の一歩と同じくらい緊張興奮が自分にはある。
できるだけ、戦闘したくないという気持ちがある。BFシリーズ見ている方ならわかるあの感覚だ。自分の物を粗末にしたくないという感覚、でも俺は正直思う早く試したいと…しかしこの大会の目的を忘れてはいけない。
(兎に角、この森を出なければ)流石にこのアーマーじゃ、狭いところは苦手だ。)
っと思い、スラスターを噴射。前にブーストしながら状況確認を怠らずにしている。しばらくブーストを吹いているが敵の姿が見当たらないことを考える。いや身を隠しているかの??。そうか!罠!!物理感知起動。
(ビンゴ、やっぱ糸張っている、つか糸とか原始的だな。次、サーモグラフィ。)
そうすると真っ青な世界の中で黄色になっている部分がある、拡大してみるとわかる人の手だ、始まったばっかりで罠となるとやっぱり人的だな。もし設置型だとしても時間がかかる。さて、ここはわざと引っ掛かろう。幸い魔力反応はない。ただの糸程度で止まるほどこいつもやわに造られていない。やってやるか。ミイラ取りをミイラにしてやる。
にしても自分の勘がこれほど頼りになるとは、
──同ステージ・別視点──
「なぁ?これで引っ掻かんのか本当に?。それにチーミングって禁止行為なんじゃ…。」
「第一大会でチーミングは禁止じゃなかった。それに今回もだ、なら勝つ確率が高い方を選ぶのは自然だろ。」
二組のプレイヤーは今回初出場、チーミングというプレイヤーシップにちっとも乗っ取らない方法で行く気らしい。
「あっ!おい、静かにしろ、なんかきたぞ。」
「なんだあれ?!、新手の風魔法か???でもなんか違うような。」
「おい!顔隠せ,あの速度なら気づいた時にはこっちのモンだ!。」
二人は隠れる、目の前から向かってきている奴は、顔まで隠れるマントのせいで全体は見えないものの所々から見える情報から男だと理解した。そしてそんな男が今から自分たちの罠にハマると考えれば今にも笑い出しそうだ。
しかし現実はそうはいかないのが常。
糸が今にも切れそうな音が鳴り二人は飛び出す、『チャンスだ!!!!!!』っとしかし両者に待っていたのは銃口と今にも光を発する棒だった。
一人は至近距離のビームマシンガンによって蜂の巣、もう一人はビームサーベルで頭を真ん中から溶解。身体中が焼け穴だらけになったプレイヤーと頭を真ん中から最後まで溶かされているプレイヤーのみ。
二人に返事も次の行動も許されなかった。
「二騎撃退完了。」
『topic』
大会のオートマタ出場者は紅月のみ。
次回の更新は2月4日を予定
(書き方変えてみました。)




