二十五話「後始末、これ基本。」
前回のあらすじ
迫り来るBOを牽制、あわよくば撃破まで持っていきたいものの、次々と失敗を繰り返し数分。
弾数的にもチャンスが少ない状況下、一種の賭けに出る紅月、思考と緊張が走る中、、、BOの恐ろしさを改めて体験しながら撃破。
ビームマグナムによる超火力の光を見た紅月は自身の戦闘からから気持ちを心に感じていた。
「ほんっと申し訳ないっ!」
エズは俺たちに向かって、大きく頭を下げる。
そして,その礼があまりに直角だったため,俺(達)は言葉が詰まる。
「、、まぁ結構きつかったけど、死ななかったから良いわ」
正直、こういう風に頭を下げられたら許す他ない。鷹橋と違って悪ノリする雰囲気じゃないし、なんなら俺に悪ノリするほどの気力が残ってない、
本当にどっと疲れた感じだ。
「むぅ、お兄様は良くても私は全然良くないの。」
ルルカが唐突に俺に向かってそう言い放った。
この感じからあの化け物と戦っている間ルルカは結構心配していたように見える、っていうか側から見たさっきの戦いってどんな感じなんだ?、、このゲームをこれからやっていく上で最低限きちんとした戦い方ってものを知りたい。
「あ、言っておくけど紅月、ルルカは戦っているあなたを心配している感じしてなかったわよ。」
レナがルルカの発言に意を唱える形で言った。
「…。ウミさん?。」
「。」
俺はウミさんに問う。しかし彼女は首を少し下に向け、ただただ申し訳そうに黙る。
「───し、心配"も"してたんだよ!」
(認めてんじゃん)
ルルカ、俺はお前が時々わからないよ。
俺ははぁ〜ッとため息をついて許してっと目で訴えかけてくるルルカをじっと見て処遇を考えようとしていた、、が視界内に入った人影に思わず視線が行った。
「」
「おい、どこに行く話は終わってないからな。」
そろ〜りとその場を後にしようとするエズの方をガシッと掴み俺は逃亡を阻止する。こいつには色々聞きたいこと基、落とし前をつけさせなきゃならん。
「ぁ、いいいやぁ〜。実は執務があったのを思い出し──」
「今日あんた時間あったから来てんでしょ、、。」
「…」
「。。。」
無言の風が流れる、俺はジーッとエズの目を見る。おそらく他の皆も同じような気持ちだろう。
「………、話します。ので手を離してください。」
長い溜めの末エズはそう言い、肩に乗ってガシッと掴んでいる俺の手と俺をちょこちょこ見て訴える。
((逃げる気だな))
なんだろう、こう言う感じどこか、でって思ったけど。あぁ〜こいつ逃げ方とかがルルカそっくりだわ、
っと心の中で勝手に自己完結する俺。そう思ったのも束の間、エズは俺の緩んでいる力を一瞬にして見逃さず全速力で逃げる。、、そしてこういうことの次に待っているのが大抵これだ。
「逃げられませんよっ!」
「n。なぁぁぁぁ!!」
エズはウミさんの目にも止まらぬ捕獲術によって意図も容易くゲットされた。そしていつもルルカを運んでいる時のような雑な持ち方をし、エズを地面から引き剥がす。
「デジャブだな〜。」
俺はそう呟き、エズへ近づく。エズはそれに気づきバタバタと両手を動かすが抵抗虚しく全く振り解けない。経験の差がよくわかる戦い(?)だった。
「くうぅ。」
エズは悔しそうな声をして、ブラーんと抵抗をやめ、ウミさんに体を預けている。
「、それじゃあせっかくだからその状態で全部やっちゃいましょうか。」
「な、なんでぇ!?」
と言うことで、ここからは要約して説明する。
エズは今回のことは決してわざとではないと主張、最初に謝罪を織り込んできたのをそれで納得だった。しかしなぜルルカが問い詰められている中で逃げ出そうとしたのか、、質問してみると。
「、、わ、妾も。不覚…、そう!ふ・か・く・にもそう思ってしまって…」
逃げたらしい、。この人最初は威厳タップリだった気がするが実際のところルルカと同レベルだと再認識した。
そして次、あの化け物はなんなのか?
「あれはBO紅月はわかっていたと思うが元システム機を基準にしてそれをこのゲームにも活かせられるレベルに底上げした、いわゆるキリングマシーン。正直これが壊されるのは夢にも思わなかったよ妾。」
そこはエズが最初に言っていたため、わかっていた。問題はどうしてソイツがいたのか?
「えっと、まぁ妾たちの目的があって、、そのためにもBO必要不可欠じゃった、そうすると次やることはBOの実戦データ集めじゃ、それをここで行っていたんじゃが、、(BOを)ガレージにしまい忘れちゃった職員がいたらしく、、ごめんちゃい。」
その『ごめんちゃい』でこっちは死ぬ気で取り組む羽目になったんだから考えもんだ。だがそんなことはこの際どうでも良くなった、、
なんで実戦データなんか欲していたのか?、なぜ、BOを作ったのか?、俺たちはその二つにしか興味がつきなかった、だが実際のところ悪い雰囲気はしていた、エズはかなり軽々しく悟られずに言ったつもりだったが、どうにもその二つの問いは気になって仕方がなかった。
「、、秘密じゃ、いくらなんでもそこまでお主らには教えられん。もし知りたかったら、、知る覚悟があるならここに正式に加われ。」
エズの気迫はすごかった、正直先人が地獄から帰ってきたようなアドバイスだ、これ以上は聞き出せないとその場にいる全員が悟った。
ので次、落とし前をどうつけてくれる?。
「…えぇっと、、〜!お、お主が撃ったマグナムのせいでできた損害を全部チャラにするのはどうか?しょ、しょしょ正直言ってかなりの作業効率低下になったんじゃ〜。」
なっるほどそれはすまなかった。確かにいかんせんオーバーキルなところがあったことは認める、が。こっちの気持ちを考えてほしいが本音、、あんな危機迫った状況で右腕無くなっても襲い掛かってくる怪物相手にあのくらいオーバーなキルしないと安心できない俺の気持ちを…、。それは後々怖さをルルカに伝えるとして、、何%くらい低下した?。
「…1%未満。」
…、ふぅ〜。で、どう落とし前をつけてくれるんだ?(Take2)
「えぇっ!?ぇ〜っと、、。」
[ジーーーー。]
「、ぅ。ぇ、、」
『ジーーーーーーーーーーーーー。』
「ヌァあァッ!!そのジト目をやめい!、わかった。!今度からお主らの装備の制作を全部こっちの仕事にする、これでいいか?!?!」
…こいつ交渉下手くそだろ。と盛大に心の中で思った。
「よし、これにて閉廷。」
「ぬぅ〜ン。」
エズは疲れた様子で、端末付近にいるスタッフの元に向かっていった。
にしてもこいつから結構有利ポジショニングが取れたな、てかなんで『お主ら』って言っちゃったんだろう。
「なぁレナ、つかぬことを聞くがこいつにアシスタントって、、〜。」
「、、一応いるらしいわ、でもほとんど執務を任せっきりなんだとか、。」
絶対そいつと交代したほうがいいだろ、だってこんな交渉ひとつできないやつでも執務は真っ当にこなせるんだし、。
「すごい忠誠心ですねぇ〜。」
ウミさんがエズを遠目で見ながらそう言う。ウミさんも大概すごいと思うが、、。
「にしてもこれでしばらく物資は安泰ねぇ〜。少し借りパクするつもりが結果こんなに大きくなるなんて、正直エズをみくびっていたわ(残念な意味で)」
「あぁ〜、、お主ら。今日中にシステムをアップグレードするので、今日からの予定は全て中止じゃ、」
それは助かった、。早速ログアウトしてプラモでも作ろう。
「なんで今回のところは紅月以外は解散でよしじゃ。」
「え、なんで?」
俺は唐突に言い渡された言葉にびっくりするぐらい素に反応した。
「えぇ〜?なんでお兄様だけ?」
そう、全くそのとうりだ。なんで俺だけ?
「それは簡単、この後紅月には装備関連云々について相談もとい検討すべきことがあるからじゃ、。まぁどうしても退屈しているなら街でも回るといい。そこまでかからない予定じゃが、あくまで予定なのでな。」
エズは俺にヤレヤレだと言った感情を向けながらルルカに言った。それは子供に期待させない親のような感じだった。
「じゃぁ、。」
ルルカはしょんぼりし、悩む。おそらくどこへ行くのかを今考え中なのだろうが、俺がいる時と居ない時でここまで大きく変わるものなんだな、テンションが。
「では洋服店に私寄りたいのですが、、?」
「よし、なら地図を渡そう。」
エズはそういうと、ウミさんに地図を送った、。実はこのゲーム最初の街以外の街は大雑把にしかマップに記載されていないのである。そのため、大きな街に行く際はその街の構図を手に入れなければ話が始まらないという、リアルをここまで追求しにきている。尚、地図さえ手に入れればそなあとはマップが自動的に更新されるため、地図を渡す→捨てる、という行動をしても全く問題ないのである。なぜここだけゲームにしたのか俺は知りたい。
「ウミさんが行くなら私も行くわ、いい服を見繕ってもらいたいし、、」
「任せてください!。、、お嬢様も一緒に行きませんか?」
「無理じゃない、だってルルカはファッションセンスなさそうだし、。」
おおっとこの堅物女天然ディスを、、。まぁ実際、ルルカのセンスは誉められたものではないのだが、、
「な!?、私だってセンスあるもん。ね!お兄様。」
うぉ、こっちに飛んできた?!。
\\\\\\\\\\\
1『そうだな、ルルカのファッションセンスは結構優秀だぞ』
2『…、。』
3『いいや、正直言って壊滅的だ。』
4『一種の芸術としてみればアリかも、、』
【 、、ここはお世辞でも1。】
「そうだな、ルルカのファッションセンスは結構優秀だぞ」
「でしょっ!!、さっすがお兄様!私のこと一番わかってる〜。」
ルルカはその場でエズにも負けないドヤ顔を見せ、調子に乗った。
ウミ(紅月様、申し訳ございません。)
レな「、はぁ仲がいいこと、先行ってるわ。」
レナは呆れた表情で通路の方へ歩いて行く、それに続いて二人も歩いていく
【 、、2しとくか、。】
「…、」
「お兄様、。えっとその?なにその顔??」
ルルカの見せたことのないような顔を見て、なんとも言えない返答をしている。
「、、。お嬢様、紅月様はきっとお嬢様ならできると言っているのですよ。」
「ウミ、それ遠回しに私にできないって言ってない?。」
「はいはい、。紅月の面白くない顔も見れたことだし行くわよ
堅物女はふざけたことを抜かしながら通路の方へ歩いて行く、それに続いて二人も歩いていく
【 、、正直に伝えるべきだな。3】
「いいや、正直言って壊滅的だ。」
「なはぁ!?お・に・い・さ・まぁ〜〜!!」
ルルカは今までで聞いたことのないようなダメージボイスを流し、俺に注意深く言った。
「…。」
ウミさんは申し訳なさそうな疲れているような、残念なような顔をし、よく感情が読み取れない。
「ww。と、とにかくいきましょ、。」
「むー。」
レナは笑いそうな心を我慢しながら通路の方へ歩いて行く、それに続いて不貞腐れたルルカとよくわからないウミさんも歩いていく
【 、、ちょっとボケるか4】
「一種の芸術としてみればアリかも、、」
「、、お兄様。それ褒めてる?」
ルルカがマジレスで反応。まずい雰囲気かもしれない。
「褒めていると思いますよ。」
そこにすかさずウミさん、カバーを入れる。流れるような誘導、素晴らしい。
「とにかくいきましょ、もういいわ。」
レナは冷めた雰囲気を纏ったまま通路の方へ歩いて行く、それに続いて二人も歩いていく
\\\\\\\\\\\
※結局結末は変わりません。
「、お主らっていつもあんな感じなのか?」
「、、。見なかったことにしてくれ、それで装備についてなんだっけ?」
俺はエズを本来の目的に戻す。 さっきの出来事についてはノーコメント一択だ。
「あぁ、そうじゃったな。すまんがここから移動する。」
エズはスタッフから渡された端末も見ながら俺にハンドシグナルで誘導する。
「はいはい。」
俺はエズが方向音痴なのではないかと、、少しの疑念を胸に付いていく。
『topic』
【ゲレームの形~1】
ゲレームの特徴といえば大きな王城、それと地下に存在している巨大な坑道だろう。一説によれば地上に突出している山を全て削り、その素材を城壁にあてているらしい。山を削った後でもその地下にはまだまだ鉱石があるため現在では街の下に続く形となっている。
坑道では現在も大量の鉱石が手に入りゲレームの国力を上げつつある。しかしそれをよく思わない国があることはまた別の話。




