二十四話「戦闘訓練、ってなんだよ。《2》」
前回のあらすじ
手違いによって放たれたBOは紅月をただただ追従。得意な近接に戦うため、紅月の攻撃を見事なまでに躱し、追い詰めていく。
紅月は中遠距離武器をBOに蹴飛ばされ、一気に距離を詰められるもの、回避に成功。咄嗟に浮かんだ検証案を元にBOに仕掛け、なんとかしてダメージを与えるも、明確な決定打にならず。
今10分の時が経過する。
[…、ババババババ!!]
(っぶな!、もう射程範囲内か!)
俺は後方からの射撃に即座に判断し、右回転にバレルロール。そのまま体を一瞬振り返り様にこちらのASMを照準どうりに当てにいく。バックブーストをしていたら間違いなく先にこちらが蜂の巣になることを視野に入れていたため牽制はこの程度にした。だが正直バズーカを使っておけばよかったかもしれない、残弾が残り2発だがいつ当てられるかもわからない、それに今撃った弾、、着弾音からして地面。案の定、躱わされたってことだ。
(さっきからこれの繰り返しだ、早いとこ策を練らないと…弾数的に結構跡がないな。)
牽制に使っていたASMの最後のマガジンのリロードをしながら、俺は焦りを感じていた。戦闘から約10分、、ステージに存在する岩を用いた射撃、、地雷を使った置き戦術、近距離に詰め寄られた際の牽制腕ミサからの格闘、、バズーカを用いた爆風攻撃、正直残っている武装は残弾2のバズーカ、ビームマグナム、マガジン1のASM、スモークグレネード、何の役に立つかわからないダミー、、ビームソード×2、、結構きつい。そしてそんな俺の状態もお構いなしにこの死神は、-
「キュイイイィン!!」
(あぁ、はいはいわかりましたよ。、)
…普通のやつならこんなの一瞬でやられている、だけど…
俺は一瞬、会場を見ているルルカに目を止めた。
(…せっかく妹も見ていることだ、この若葉暁もう少しばかり頑張るとしますかな、、)
。作戦が一つ、、いつものプラモデルを作っている感覚で思いつく、いつも通り完璧とはいかずともいい作戦だ、そしてなんせやる気が湧いてくる。こうゆう感覚になった時が…
一番。
楽しい。
ルルカ(あ、お兄様が一瞬笑った?。)
「っ!、」
俺は一瞬スラスターを吹かすのをやめ。腰に持っていたスモークグレネード振り向きざまに相手がこちらに向かってくる地面に投げる。[ボンッ!]っと音を立て一瞬のうちに広がるスモーク、、俺とヤツは濃い霧の中へと身を隠す。しかしこれでは望みは薄い後一手必要だ。
そう考える俺は無意識にレーダーを見る。、迷わず追って来る死神の反応、目と鼻の先までくるのに後2秒程度しかないだろう。スモークの効果時間は4秒。やるなら一瞬。実質賭けのような時間を過ごすこととなる一瞬。そのたった一瞬で、、確実に仕留める。
──制御パネル付近──
「む、スモーク。この場でか、、?。」
身を前へ乗り出し、妾はじっとステージに目を凝らして彼奴が何をするか、、この先どのような動きをするか捉える
「…、、。」
「───?。」
「。」
全員に緊張が走る 皆感覚でわかった。これが確実に戦状において決定打になると、、スモークに元々あった一つの影、、そこにもう一つ…誰もが見てしまう。その姿を、、
この場の全員が紅月が起こそうとする事実を予想できない。
だが、それはいかなる被弾をも最小限に抑えていたBOも決して例外ではない。
…、。誰しもスモークを生かした戦術、、という議題が上がれば「奇襲」と言うだろう、しかしこの冷徹なる死神に奇襲は通用しない、仮に通用したとしても相手が一枚上手だろう。相手は高速演算による超反応によってこちらの行動を理解し、打開策を光のスピードで出し、結果は虚しく終わる。
スモークの中で一つ、棒状に光るものがある。それも二つ。この時紅月を除く者は思った。
『これは死んだな』と…。
超反応がゆえに目視で確認できる事項をあの死神がわからないはずはない、、死神の影からも棒状に輝く光が見えたそしてそのまま…剣は相手を通すように光る棒は真ん中で非自然に途切れる。と言うわけで紅月は「ミイラ取りがミイラ」になりましたとさ、、。めでたしめでたし。
「─────ッ!!!」
まぁ、ならないんですけどね。
「!、お兄様!!」
私はそういうと指を差し、いつの間にか上空へ上がっていた姿を、みんなに教えた。
「嘘っ!?。」
レナは失礼にそう言い放ちお兄様を見る。
この時のレナのセリフで私も不自然に気ずく、お兄様はいつの間にか上空へ、なら、下にいる機会が刺した人影は?
そう思った瞬間。スモークがだんだんと晴れる
「な!あれは!?」
ウミの驚きにすぐさま反応し、私は明けたスモークを見る。そこには…
真っ白な人型をしたダミーを突き刺している。機械の姿だった。機械はそのままダミーを見つめたまま動かない。
「囮として使ったのか?!、命綱の近接武装まで捨ててッ!!」
そうだ、お兄様には近接が無い、つまりトドメは銃撃だけしかない。
[ボォーン!!] [ボォーン!!]
二発の弾砲が聞こえた、そして直ぐに。
[ドォーン!!!ドォーーン!!]大きな音が聞こえた。
一発目目より二発目目の方が大きな音がした。爆発物が誘爆した音、だけど聞き覚えはあった、、魔力の爆発音だ。
──闘技場・戦闘エリア──
「───ッ!!」
着弾から上がる爆発、それに伴った煙を確認して俺は手に持っていたバズーカを空中で放り投げ背中に搭載していた、最終兵器を持ち出す。できるだけ被弾を正面に受けておいてよかったと、心底思っている。なぜなら
(こいつを爆破されたらたまったもんじゃなかったからな───っ!!!)
そう心から叫び、全エネルギーを銃口へ集中。ジジジジジっと音を立て、チャージする。相手が真っ直ぐ来るであろう場所に狙いを定める。これがラストシューティングだ、スラスターによる着地はできない。この滞空に使ってしまっているからである。よって、予想だけの作戦。いや、作戦は元々予想を大雑把に形にしたものだ…、だとしても、これはいささか確率が低い。
どんな馬鹿だったらこの作戦を思いつくのだろう。
『ン〜?プラモ馬鹿??。』
「!!ッ」
そう、優しくて楽しそうな声が、、走馬灯のように俺の耳を通り抜けた時。
「キュゥゥゥウウウウン!!」
死神は煙幕から姿を現し、こちらに接近してくる。左腕はなくなり、全身の装甲はところどころ露出している、これが人体だったのなら間違いなく致命傷だろう、しかし死神は最後に残った右手にソードを構え真っ直ぐに来る、、それはさながら狂気そのもの、自分の身がどうなろうと考えることを放棄した死の神の目、、『こいつだけは、こいつだけは殺す』と、、全身を持って伝えてくる、ただの機械が持っていい物ではなかった、そしてそれが今、目の前に御敵を倒そうと向かって来る!。……
が、。
どうしたことだろうか、、死神はある一定の高さまで言ったら自然と自由落下し始めた。
なんとを憐れ、死を送ることでしか産まれられなかったこの死神は、、目の前の敵に初めて届かなかったのだ。
(っやっぱり俺はツいている!!。)
おそらくさっきの爆発によってスラスター部分に損傷を負ったのだろう。死神はもう、回避することはできない。このまま自由落下を続けて地面に叩きつけられることだろう、だがそんな真似はしない、そう。下手に動くから…
「当たるんだよぉ───っ!!!」
[シュッジュゥゥゥゥゥゥ バデュゥゥゥゥン!!]
これまでにないほどの大きな発射音。その音から繰り出される高面積の光線は、落下していたBOの全体を消し去るのには十分な威力だった。
[ッッッヅゥボオォォォォォォーーーーーン!!!]
余波により、一時『ゲレームMK~Ⅱ』(エズ命名)システムが落ちた。そして通常三発打てるビームマグナムの威力を間近で感じた紅月は、、
「!!。」
希望があった。
できるだけ、凄みのある内容にしたかったんですが、、まぁ。これが限界でした、長くしたくせにすみません。、次回はしっかり戦闘後を描きます。
第二十五話「後始末、これ基本。」をお楽しみに。
※ちなみに土曜日0時投稿予定です。




