二十三話「戦闘訓練、ってなんだよ。《1》」
前回のあらすじ
いよいよ,戦闘訓練!しかし事態は急変する。
「…。」
俺はこの時、ホッとしている部分があった。なぜかって?。行き過ぎた武装構成にして良かったと、心からそう思った。今更っ?と思うかもしれない、そう今更だ。
「キュゥウオォォォン!!」
この化け物相手にこのくらいでなくてはいや、これが及第点で挑まなくては普通勝てないのだ。いわばこれはエズが差し向けてきたテストプレイなし,現実世界のゲームで例えたらクソゲー確定。そんな理不尽な敵だ、なぜわかるかって?、いやもうなんだろう勘としかいえない。
「ふぅ〜、、こい。青じゃなくなった死神。」
そう、口と心同時に動いた時。目の前の怪物は動き出す。
その機体は大きくブーストを吹かし、左方向から接近してくる。手に持っているマシンガンの銃口をこちらに向けてくる。、マシンガンだからか、まだ発砲はしないもののそれも時期に終わるなぜなら,あとこっちの反応が1秒でも遅れていたら、確実に蜂の巣にされていたからだ。
「!っ。」
俺は反応が遅れたほうだった、しかしながらここで少し問題が頭の中を過ぎる。そう、どうやってスラスターを吹かすかだ。よくよく考えたらそこは十二分に準備不足だったのかもしれない、だが。この若葉暁、こんなところで倒れるわけには絶対にいかないのだ。目の前の化け物を本能が回避しろと叫んでいる。理性ではなく、感性で動く、そのせいか自然とスラスターは点火。右方向へブーストを吹かし、目の前の死神が1秒目前のところ即座に射程圏内から回避ができた、しかしそれだけだ、追従から逃れたわけではない、ならやるべきことは一つ回避応戦だ。もっともアレと応戦できる気が全くしない、そしてこれはゲームだ。本来命懸けのように取り組む必要はない、大人しくやられるのも手だろう。だが、、
(負けられない……っ!)
俺,若葉暁は死ぬほど負けず嫌いなのである。
──制御パネル付近──
「、、何じゃあれ。」
目の前にいるのは妾が作った、いや作ってしまった化け物。その名はBO
そのまんまだと運営に怒られるじゃろう。と言うことでコードネームを与えた、元をたどってブルー、そしてそれとは別の道を辿ったとしてオルタと言う名前をつけた。それを紅月は…
「お兄様がんばれぇっ!」
「、。」
「相変わらずの化け物っぷりね。」
妾は何が起こっているのかわからなかった、そして同時に感じた、この紅月という依頼者がどうして大会に参加しようと思ったのか,、どうして妾のあの脅しにも恐れずに言い返せたのか,、紅月の設計図はそれは良い出来だった、しかし良い装備で勝てるほどこのゲームは甘くない。いくらこのゲームでもトップを目指していくなら、ある程度のPSが必須になる。最初はただの自分の設計図に圧倒的信頼を抱いている馬鹿かと思っていた、だが違うやつは、そもそも装備なんぞいらない。やつは…
「。。。」
紅月がBOの攻撃範囲内から回避する、そして即座に左背部に搭載していたARを持ち照準を定め、打つ。しかしこれをBOは高速度から、なる華麗と言わんばかりのバレルロールによって左へ回避、紅月のスラスター進行方向へと先回りをしようとする。そして遅れて出る紅月を掃射。ここまでまくるとBOの勝ちだ。近接に持ち込んだ時の動きは達人を極める。最低限の射撃武装、防御武装によって近づきSの差を一気に埋め、スラスターがなせる高速機動よって相手の背後をとり、ビームソードで一撃。となるのが普通だ、人間の反応速度では到底負えない、機械の力。人は己をいくら鍛えたところで無駄とわかり、機械という新たな生物を造った、機械は修復能力がない代わりに全てにおいて凌駕する。人の時代の終わりを告げに来たのだ。そんな人と機械が戦ったのなら、結果は目前。
だが、この、紅月は何かがおかしかった。
紅月はBO射程圏内にいたしかし,ながら通常では反応できないはずの攻撃をまるで予測していたかのようにバク宙で自身の後方へ回避、それと同時にバズーカを持ち替えBOに打ち込む。バク宙時に地面から離れ、BOより少し高い場所にいたせいか,そのバズーカの軌道かなり鋭いものであった。しかしながら相手は機械、BOはこのバズーカの弾をソードで爆発する前に一瞬のうちに切り伏せ、紅月へ接近する。紅月も当たると信じていなかったのだろうかすぐさま、体を前へブーストを吹かしながらまた、鬼ごっこは始まった。攻守とも鉄壁とでも言いたいのか,紅月の動きは通常プレイヤーではほぼ真似できない。彼が使っている専用のVR機器のおかげも相まっているのかもしれない、しかしそれはそれとして反応速度というのは幾分か鍛えられなくもないが現代においてはそんなもの鍛えて何になる?というのがセオリーだ,よってこの紅月の反応は彼自身のそのままの動き、そのままの能力だ。そして紅月は初心者のハズ、だがこの一連の行動からはそれが全く感じられない。
紅月を盛大に過大評価しているルルカと紅月のことを盛大に嫌っているレナ、二人は慣れているせいかそこまで驚いていない様子だった、しかしウミとエズは違った二人ともこのゲーム内での戦闘というのは経験しているそれこそ対プレイヤー戦だってこなしている、だからこそ今の紅月の動きが信じられないのだ。まるで『相手がそこからくるのを誘い出し、うまく牽制している』という風にしか見えなかった。
何が言いたいかというと、あらゆる戦闘経験を積んでおり、その場その場であらゆる計算演算ができるBOと違い紅月は正真正銘人間だ、問題はその人間があたかも相手の動きをすでに見切っているような動きができるということ、、そしてこのゲームの戦闘に慣れていない、いわゆるルーキーがこんな自分にもできない芸当をやって退けていることに圧感しかできないのだ。
特にエズはこれを酷く感じている、なぜなら紅月自体を過大評価しておらず、なんなら今回のデモンストレーションでスラスターのいい練の駆動・動きに関して享受するつもりだった。しかしそれはBOという脅威が現れそれどころではなくなってしまった。もしここで彼に享受しようものなら、動きが止まった一瞬のうちに即死コンボが飛んでき、紅月は簡単に敗北してしまうだろう。そうBOが起動を開始し、一目散に紅月へ攻撃しようとする瞬間に思っていた、、。しかしその未来は見られなかった、この時のエズの心情はいわゆる、賭けで絶対に勝つ方に入れたはずなのに、、なぜか負けたという。まぁ漫画でよくある敗北を知った展開だった。しかしエズの場合これは敗北というよりかは、驚きが9割謎のショックが1割という単純な感じだった。
驚きに関してはウミと基本同じなのだが、彼女自身しか気がつけないところがあるそれはスラスターの問題、いや。ここにいる全員スラスターの扱いが簡単だとは微塵も思っていない(ルルカは、、知らん。)、紅月のまるで慣れたような動きをそのまま受け取るなら誰でも扱えるという印象を抱くだろう。しかしエズ自身これを簡単に作った覚えはない、それこそ慣れるまでかなりに時間がかかることが約束されているようなものだ……の筈だが目の前にいる紅月という客(人物)は何も学ばず、何も教わっていない状況でスラスターを点火、そしてまるでいつも使っているような感じでブーストを吹かし、BOの奇襲から逃れており、さらには今絶賛交戦中だ。アニメを見ている気になってしまうそれは奇しくも現実なのだ。エズはそれを受け入れるしかなかった。
──闘技場・戦闘エリア──
(、、そこっ!)
俺はそう心の中で確信し、ARを掃射。目の前の悪魔が通るであろう進行方向へと置き撃ちをする。
しかしこれも馬鹿げた反応速度で回避、悪魔は宙を舞い、とてつもない速度で接近してくる。牽制ではない確実に仕留める気でこっちに向かってくる、機械である相手からなぜか殺気が感じ取れる。どうやら相当に俺を殺したいらしい。
心の中で舌打ちしながら、武器を持ち替え、、は間に合わず。
(!!)
気づいた時には目の前に奴がいた、ARは見事な前蹴りによって蹴り飛ばされ上空でクルクルと音を立てている。一体どんな速度で蹴ったらそうなるのだろうか、、それは無しと考えを中断、、接近戦に持ち込まれたなら相手もこっちもやることは一つだ。
俺は背部に搭載していたビームソードを一瞬のうちに取り、相手からくるビームの刃を寸でのところで鍔迫り合いに持ち込んだ。、、目の前からバチバチバチと互いのソードの反発音が鳴る。相手はこれを薙ぎ払い、鍔迫り合いを自ずと解除、、そしてマシンガンを近距離から乱射。
[ババババババ!!]
鍔迫り合いを解いた時点から予想はしていたので俺は横へ、スラスターを全開にしながら回避。九死に一生、、と言ってもこれから十一死に一生とかふざけた数になるのは目に見えてわかることだ、少なくとも目の前の悪魔が動きを止めるまで続くだろう。本当に嫌な話だ。
ARという重要な中長距離武装を失ってしまったのは非常に痛いが想定していなかったわけでもない、まだチャンスはいくらでもある。だがそれも弾の問題だが。
あの悪魔はスラスターの冷却が終わったからか、マガジンを換装しながら動き出したそして換装したマシンガンをこちらに向けながら再び近づいてくる。と言ってもこの一連の動作わずか3秒程度の出来事。少しは俺に考える時間を設けさせてもいいんじゃないかと思う、跳んだ高難易度デモンストレーションだこと。
(しかし、そろそろ策を講じないと、、。)
俺はそう思い、目の前の槍岩が密集しているところに目をつけた。危険度は、、五分五分。だがやってみる価値はある。少なくともこの化け物の弱点をもっと露呈しなければいけないことに変わりはない。なら…今がチャンスだ!。
俺は前にある遮蔽物を一通り頭に叩き込む、そして後ろから近づいてくる殺気を頼りに俺は武器の換装を試みる今度の戦法で少しでも相手に怯んで欲しいものだと覚悟と願いを胸に俺はバズーカ、ASMを片手片手に持ち、体を相手側へ向け、通り過ぎた遮蔽物目掛けて、バズーカを2発打ち込む。こっちの射撃間隔と射線の問題で2発が限界だったが、狙いは定めてある。
ここで確認したいことは二つ、相手の動きと。バズーカの爆風範囲だ。
まず、相手の動き。こちらの方は少しだけ気掛かりだったものを確証させるため、続いてバズーカの爆風判定、さっきは避けられたか、いなされたのどちらかで爆発音が聞こえなかった。そのため、賭けありきとも言えるこの方法が有効的だと考え、この場で2発射出。段数は残念ながら無限ではないのでここで確証できなかったら損を追うのはこちらだ、。吉と出るか凶と出るか。ちなみに,ASMは最後の砦。
[ボゥーン!!ボゥーン!!]
二発の爆発音。俺はすぐさまバズーカを背部に戻し、ビームソードを取り出した。ASMはそのままに…爆風の関係で砂煙が立ち上がっている。
結果は。
[キュウィーン!!!]
その音と煙から出てきた悪魔はどことなく損傷を負っているように見えた。少なくともさっきまで新品だったボディが2〜3の傷と汚れがついていることはこちらとしてはとてもいい収穫だ。
「っ!(よしっ!。)」
そう心の中で思うと俺は次の策を考えながえらブーストを吹かし、遮蔽物ゾーンから抜け、荒野でのチェイスが始まった。正直ここからが正念場だ。
──制御パネル付近──
[ボゥーン!!ボゥーン!!]
二つのバズーカの弾があの機械を通りそうな岩に当たる。私はだんだんんと紅月のやっていることが読めてきた、。そして砂けむりから出てきたあの機械は損傷を負っている。ということは…
(なるほどあんたは実験しながら戦っているから、いつも。)
この時紅月が確かめようとしていたことは二つ、一つ目はあの機械の行動ルートについて、
あの機械は見ての通り、向けられた銃口からどこら辺を当ててくるか予想して回避し、逆に自分の射程圏内に入った瞬間掃射する。
一見普通のことで、簡単なように聞こえるこの行動は実はとても難しい。
人はゲームとかやっている時に、選択を迫られる機会がいくつかある、今回についてはFPSゲームの方が近いだろう。FPSゲームにおいて一番重要なのはたまを当てられるか当てられないかだ、、ある人は回避というのかもしれない、が実際のところ撃たれる前に打ってしまえばこちらが優位を採れることは違いない、そして問題はここからだ。そう、『いつ撃つかだ』、、誰しも人に弾を撃つ際はしっかりと安全を確認した上でこちらに優位な状況がいつでもとれるとわかってないとそうそう打てない。
FPSゲームにおいて一瞬が命取りだ、こちらが撃った弾が外れることはこちらの場所を相手に露呈してしまう可能性があるため、慎重な人ほど打つのをためらる。しかしこれは別に悪いことではないし、誰しもこのパターンを望んでいる。そう考えるとこの機会の異常性がわかる、こいつはその時そのタイミングで最優の判断をしている、それすなわち、こっちの弾が現在進行形当たる確立が一番高い瞬間しか打っていない。いわばなんの躊躇もせずに打ってくる。それゆえこの機会と退治したやつは高確率で叩きのめされる。人は相手と対峙している時無意識に相手のことを探り、そして相手がこのタイミングで打つのではないかと頭の中で想定している。その結果、想定していた方は自分が望んだとうりに相手を動かし、勝利することができる。いわば心理戦という感じだろう、実際にゲームになれた私はこの芸当ができる。慣れの問題なことに違いはないのだが、、そしてそれがこの戦いにおいてなんの意味があるのかとすれば、、答えは一つ、全く相手が読めない。
『相手が次こう来そう』そう思うのは相手をこちらが知っているからだ、人間誰しも癖や身についた感は消せない。それこそ対人戦においては相手も先に読んだようが勝ちとなる。しかし、この機械は癖が存在しない、なぜなら、、その時その瞬間で最善な行動をしているだけなのだから、、。ただそれだけ、しかしそれゆえ癖が見当たらない、つまりは読むこと自体不可能であるオートエイムを避けろと言っているようなものだ。つまりあの機械は完全無欠、いわゆる最凶という名がふさわしいと、、普通に考えたらそうなるのだろう。だが………
紅月はあの機械の行動を読み当てた。なぜそれができたのか、、それは簡単なことだった。相手が機械だからだ、、機械は誰もがよく知っている通りプログラムでできている。ということはどこかしらに小さな穴があるはずだ、これがAIだったら、結果は大きく違っただろう。おそらく紅月が確かめたかったのはあの機械の行動ルート、そして私から見た主観だが、あの機械は追従している時『紅月が通ったルートを絶対に通る。』ということだ、ここで勘違いしないでほしいのが追従時にこの行動をしているのであって、追従以外では紅月と違う行動をしているということだ、話を戻すと暁がなぜバズーカを放ったか、それはこの理論にいくつくために仕掛けた罠というわけだ。紅月はおそらくいつも通りイかれた勘と脳みそも用いてこの仮説にたどり着きそして実行し、証明した。これにより紅月は相手より優位性がかなり高くなった。まぁ実際のところ追従モードがどの辺で発揮されているかなんて、わからないため。これでもまだ機械が有りっちゃ有利なわけだが、、
(補足すると、プログラムだと『行け』『戻れ』二つの行動しかできない機械があったとする、しかし細かい『しゃがめ』『ジャンプしろ』ができないとなると、人間がジャンプできるのはその機械より有利であり、上をとれる一つの技でもある。そしてプログラムを組んでいるのはあくまで人間、ということはそのプログラムを組んでいる人やその関係者が想定できないことが機械にできるはずがない。要は生みの親ができないは子もできないということだ。この場合、BOの開発者たちがプログラムにしていないことを紅月ができたとするならそれはかなりのアドバンテージになる。まぁ問題はその弱点に気づけるか、気付けないか、また、その弱点をどう有効に活用できるかできないかなどの些細な違いによってこの弱点はどうとでも埋められる。それが今紅月と対峙しているBOというわけだ。)
そして二つ目は言ったて単純バズーカの爆発範囲についてだ、これは正直かなり重要だ。某どっかのゲームではこの爆発範囲にもしっかりとダメージがあり、相手のよろけを狙う際の一つのテクニックとしてあるほどだ、
そしてこの爆風がどのくらいか、初弾を打った段階で気づけなかった紅月にとってはかなり心残りだったはずだ。そして爆風がわかれば、BOにダメージを与えるチャンスが増えるというもの、なぜ?と思うかもしれないので説明を入れよう。どんなに優れた機械であろうと爆風範囲の対処ができるプログラムを組んでいる機械はそうそうないのだ、なぜかといえば、非常にめんどくさいからだ、爆風が起きる武装かどうか?、爆風がどのくらい広がるのか?(具体的には何フレーム?)、自身の当たり判定とどのくらい離れていれば無効なのか?どのような対処法があるのだろうか?、どのような対処方法が優先されるのだろうか?以上。
これだけでもプログラマー殺しである。そうなると、なぜ、BOは初弾を切り伏せ、鮮やかなまでに追従していったか、、答えは単純、紅月の放ったバズーカが鋭すぎたからだ、おそらくあのBOは『追従モードではない時に正面に障害物もしくは自身にダメージを与える物質が現れた際は切るか、回避する』というプログラムが組まれている、可能性が高い。そのため、紅月の渾身の射撃を見事に交わすことができた。だがそうなると『切る』というプログラムが入っているか否かになってくる。それを証明するかどうか、もしくは頭に入っているかどうかは紅月だけが知っていること、、。私の主観で語るなら入っていると思う。なぜかって?それはまぁエズが作っているからでしょ…、。
『topic』
※作者からのメッセージ…今回中に終わらなくてごめんね。もしかしたらもっと長くなるかも、、




