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十七話「列車に乗ったらいざ行かん、ゲレーム!」

前回のあらすじ


劇、(みたいなこと)やって買い物して、エレベーターで降りて、集合して、列車に向かう。



 「すごい列だな、、。」


 「これだけ、列車が大きいといろんな人が乗れますからね。ほら、中には体が大きい種族の方もおりますから。」


 「なるほど、。」


道理でこんなに大きいわけだ。にしてもなぜ地下鉄なんだ?地上に作ってもなんら問題はないだろうに。

そんなことを思いながら、俺たちはウミさんを先頭に長蛇の列に並んだ、。


 「でもウミ、ゲレームに入る条件は1オートマタにつき、1種族なんでしょ?。どうしてそこまで大きい体じゃないオートマタが乗るためにこんなに大きいの?。」


ルルカがさっきの話の続きとしてウミさんに聞いてきた。


 「、、言われてみればそうですね、。この地下鉄はゲレームまでの直行しかありません。、」


 「もしかしたら『需要』を上げるためなんじゃないでしょうか?」


ナズナが俺たちの会話に顔をひょっこりと出しながらそう言った。


 「需要?、」


 「あの、少しばかり憶測になってしまうんですけど、オートマタって基本的に、お金を消費しないので、、。その、お金をこの列車によって得ようとしているのではないかと、、。」


 「なるほどね、さすがナズナちゃん。」


レナはそういうとナズナに抱きつきギューっとした


 「確かにそれなら納得がいきますね。」


 (、、もしかしてわからないの俺だけ?)


俺だけ今この空間での話についていけなくなっているところ、、


 「ウミどう言うこと?」


ルルカがちょうどいいタイミングで求めていた質問をしてくれた、利用するつもりはサラサラ無かったが今回ばかりは聞く耳を立てておこう。


 「えっとつまりですね。まず大前提として、オートマタは食事を取りません、ここまでよろしいですか?」


 「そのくらいは知ってるよ。」


 (そのくらいは知ってます。)


 「つまり、食事代が浮くことが多いと言うことです。お嬢様含めて、私は、料理などを食べないと最悪死んでしまう可能性があります、しかし紅月様、レナ様、オートマタは食事を摂る必要が基本ありません。そのためその分お金に余裕ができます。そして、食べ物に限らず飲み物も摂る必要がないため、ポーションなどの回復アイテムも必要ありません、、」


つまりは人間に必要不可欠な衣食住のうち食はほぼいらないに等しいのか、だとしたらさっき俺が食べたものとか食べた意味とかは一体どうなるんだ?っとまた別の疑問が俺に湧いてきた。


 「えっ!じゃあどうやって、お兄様は体力を回復すればいいの?!」


 「…。」


ウミさんは黙ってレナの方を向いたそしてその目にはどこか無の感情があるように感じた。


 「え、ぁ〜、宿屋よ、。」


ウミさんが黙ったことをよく確認したところでレナが口を開き、ルルカにさとす様に言った。


 「えぇ〜、。」


ルルカがあからさまに、「それはないでしょう」みたいな顔で返してきた。


 (、、失礼極まりないわね。)


っと、レナの表情からそのような言葉が想像できる。そして俺、若葉わかばあかつきは思う。瀕死の状態からHPヒットポイントMAXまで回復できる、宿屋とは一体なんなのだろうか。…、RPG脅威のメカニズムっといったところか、。


 「という感じで、オートマタはお金をここで使って、うまく種族間の金差を無くそうとしているのではないかとナズナ様は考えているのです。」


 「えっ!は、はい。(そこまで壮大じゃなかったのに、、)」


 「うぅ〜ん、なんとなくはわかったけど、それじゃあなんで、オートマタに良好な国がそんなことするの?別に他種族に恩をある必要とかないと思うけど。」


 「まぁ、普通はそういう考えになってもおかしくないんだが、そうだな。多分だがそうやってオートマタからお金を巻き上げていかないと均衡がたぶん保たれないんだよ。どこかの国が裕福になったらそのうち戦争が起こりかねない、そのために多く持っているオートマタから結構な金額をとっているのさ、それがたとえ寛容な国でもな。」


もっともこの世界がそれほど頭のいい方法をとっているかどうかは計り知れないしまず、本当にそうなのかどうかは知らない。ただ、


 「へぇー、お兄様賢ーい!」


 「いつかお前も習うから、しっかり勉強しなさい。」


俺はそう言い、ルルカの頭を帽子越しに撫でた。


 「〜〜っ、。」


ルルカは嬉しそうな声を出し、俺の撫でを喜ぶ。


 「はいそこ、イチャイチャしない。あまりの見苦しさに置いていくわよ。」


レナはそう言い、一気に進んだ列に着いて行く。


 『見苦しいとはなんだ!、』


俺とルルカは同時にそう言い、シンクロしたことをお互いの顔を見て確認し、少し笑い。レナの跡を追う。


そうこうあって、俺たちは列車の中に乗り込み、ウミを先頭とした車内移動をした。




  ──列車・廊下──




 「なんか内装は豪華客船みたいだな。」


 「船か列車か、どっちなのよ。」


 「あはは、。」


ナズナが俺の言葉とそれに対するレナのツッコミに苦笑した。

廊下を歩いている俺たち一行だが、廊下の時点で凄さが伝わってくる、レッドカーペットが弾かれた廊下は窓が多くあり、しっかりと手摺もある。しかも広い。普通の列車なら人がすれ違う程度の広さしかないものだが、この列車は4人横にならべるくらい広い、この時点でなんだろう、『凄み』を感じる。部屋の方は見ていないのだが、きっと廊下に引けを取らない素晴らしさだろう、一体いくらかけているのだろうか、、。


 「ねぇ〜、ウミまだぁ〜、。?」


 「もうすぐですよお嬢様、」


ウミさんは疲れルルカをなだめる


 「だってよルルカ、もう少し頑張ろ。」


 「うぅ〜ん。」


 「、、部屋に着いたらまたパン食べて良いから、。」


 「なら頑張る。」


 (ちょろい。)


ルルカのあまりのチョロさに俺はそう考えてしまった。


 「そういえばアンタたち何買ってきたの?。」


 「え〜っとな、まずサボテンパンだろ、それにサボテンステーキ、それと普通のケーキ、あとは〜、、」


俺はアイテムボックスを確認して買ってきたものを確認した、全部ルルカのお金で買ったものだから正直俺は複雑な気持ちになっていた。


 「結構買ってきたってことはわかったわ。それよりあんたその袋、さっさとアイテムボックスに入れたら?。」


 「…あっ!。」


 「あんたに効率性ってものないのかねぇ〜。」


レナが澄ました顔で俺に言ってきた、正直グーの根も出ない。あまりにリアルな体験だったので現実気分でいた自分が怖い、ゲームはほどほどにして後でプラモでも組み立てよう。


 「あっ、あそこの部屋ですよ。」


ウミさんが一旦立ち止まり、目の前の扉に向かってゆびを指し示した

黒扉でドアノブが金色の特徴的な扉だ、さっき通っていた通路にも同じような扉が並んでいたので、もしやと思ったがやはり客室だったのか、、一体いくらかけているのやら。


 「一応部屋は二つとっておきましたが、どちらがいいですか?。」


ウミさんが隣にあった客室も指を差しながらそう言った。


 「私お兄様と一緒の部屋がいい!─『ダメですよ』─えぇ、。」


ルルカが楽しそうに提案したが、ウミさんの一言で一気にテンションが下がった。


 「お嬢様、紅月様に迷惑をかけてはいけません。紅月様だって一応男性なのですよ!」


 (なぜ『一応』付けたし、。)「いやゲームなんだからそこ気にする必要ないのでは──。」


 「確かにそうですけれども、紅月様はそれでいいのですか?」


 「いや─、まぁ、。正直全員が楽しめるならそれでいい気がするし、それにどうして持って言うなら、『グとパー』で決めればいいし」


俺がそういうとウミさんは少し、不貞腐れたような表情でため息を吐き。


 「わかりました、。」


 「私はナズナちゃんと一緒なら誰と組んでもいいわ。できるんなら紅月とは居たくないけど。」


レナがサラッと酷い言葉を口から流してそう言った。別方向から言えば別に『グとパー』で決めてもいいということなのだろうが。


 「おい、言葉を慎めよ。言われた側それ傷つくんだぞ。」


 「ではそういうことで。」


ウミさんは俺たちのやりとりを観戦して、全員を一旦リセットさせる様に少し強めな声でそう言った。


 「やった──『【グとパー】で決めましょう。』ぇぇ。」


ルルカが喜びで溢れる寸前にウミさんはツッコミを入れルルカの勢いをかき消した、なんか今日のウミさんはルルカに少し冷たい気がする。


 「じゃ、『グッとパーで別れましょ!!』」




  ──部屋──




 「むふ〜、。お兄様と部屋一緒!」


ルルカがドヤ顔しながら俺の服の裾を掴みながら言った。


 「中は意外と広いんだな、。」


部屋の内装はベットが等間隔に3つ、セットでテーブルとランプがある。ベットの近くには窓がそれぞれついている、目覚めが良さそうだこと。

その他はトイレ、バスルーム、ちょっと大きい机と、椅子が4つ、ゴミ箱がある。

話は戻るが【グとパー】の結果は、俺、ルルカ、ウミが1部屋目。レナとナズナが2部屋目を使うことになった、うん。なんと言うか知ってた。


 「紅月様、此度は相部屋よろしくお願いします。」


 「あぁ、よろしくウミさん。、、なんでそんなにかしこまっているの?。」


 「すみません、なんか緊張してしまって、、。」


ウミさんが少し恥ずかしそうな、申し訳なさそうな感じで答えた。


 「はは、。」


俺もなんともいえない雰囲気のせいか苦笑いしてしまった。


 「ねぇウミ、いつこの列車は出発するの?」


ルルカがベットに膝だけで乗り、近くにあった窓を見ながら言った。その様子を見ながら俺は近くにある椅子に座った。


 (外にいる人でも見てんのかな、、)


そんなことを考えていると、、


 「えっとですね、どうやら5分後に出発するらしいですよ、。」


ウミさんがチケットをアイテムボックスから出し、確認しながら言った。そして俺同様に近くの椅子に綺麗な姿勢で座った。


 「何時間かかるの?」


ルルカは一瞬こっちを見てウミさんに言った。


 「そうですね、大体リアルタイムで1時間くらいですかね。」


 『えっ!そんなことある?!』


俺とルルカはシンクロ率100%で言った


 (ルルカから、リアタイで砂漠全体を横断するのに3日はかかるって聞いてたから、もっとかかると思っていたが、。)


 「私も最初聞いた時はびっくりしましたけど、本当に1時間で着くらしいですよ、。」


 「はえぇ〜もうなんでもありだなゲレーム、」


 「ねぇねぇ、もしそんなにすごい国ならお兄様の装備とか技術とか手伝ってくれる人もいるかな、?。」


 「おそらく少なくはないんじゃないでしょうか、こうも大きいものを1人で作ったとは到底思えませんので、紅月様の『同志』がいるかもしれませんね、」


 「プラモ仲間、、というよりも開発部門の方が多そうだがな、。」


 「どっちもおんなじじゃないの?。」


 「高校生にもなってその認識力はどうかと思うぞルルカ、」


 「お嬢様、流石にもう少し成長しましょうね。」


 「えぇ〜、。」


俺とウミさんは少し笑い気味で言った、それに対してルルカがあからさまにいやそうな顔をしてきた、俺が高校生の頃はもう少しこいつより理解力があった方だと思う。ルルカにはもっと賢くなって欲しいものだ。


 「ねぇ、そんなことよりもパン!。」


ルルカが俺とウミさんの表情を見て少しくれ気味で言ってきた。


 「はいはい。」


俺はそう言うと、アイテムボックスから、パン入りの袋を取り出しルルカの前に差し出した


 「どれがいい?」


 「。」


ルルカは無言で、袋の中にあった、いちごパンを取り、すぐさま口の中に含んだ、。


 (こりゃ悪いことをしたかな)


俺はそんなこと思いながら、隣の部屋にいる、堅物女とナズナにもお裾分けしに行こうと扉に向かおうとした時。


 「お兄様、ありがと。」


ルルカはボソッと。そう呟き、またパンを口に含んだ。


 「、どういたしまして。」


俺は少しホッとした気持ちになりながら扉に手をかけ、部屋を出た。

 

 [バタン]




 ──部屋──




 「、、。」


 「お嬢様は謝るのがまだ上手くないですね。」


 「うるさい、ウミもお兄様がいなくなったタイミングで、言うなんてちょっと。よくないよ。」


不貞腐れたご様子で私に言ったお嬢様は座っていたベットに横たわり、顔を埋めた。私はというとそんなお嬢様を見てお年頃だと感じる今日この頃、、。


 「ウミも気持ちを伝えるのが下手くそなくせに、」


お嬢様が埋めた状態からモゴモゴしながら言った。


 「、お互い様なのでは。」


 「〜、。お兄様どうしてあんなに鈍感なの、、。」


お嬢様が足をバタバタとベットでバタ足もするように足を動かしながらいった。

そんなお嬢様のくだけた姿を見て私は自然にお嬢様がいるベットと向き合う場所にある二つのうち1ベットに座った。そして私は自然に座ってしまったが、必然的に紅月様のベットが決定してしまったことを静かに感じていた。そして紅月様に対して心の中で謝った、。


 「紅月様は、、。」


これは言ってはいけないことでしたね。少なくとも疑いを持たれてはいけないのでした、しかし。


 「…どうしたの?。」


お嬢様は私が言うのをやめたのが気になり、首を私の方に向け聞いてきた。私はその自然な素ぶりに思わず口のチャックが緩みそうになった、しかし


 「いえ、なんでもありません。お嬢様。」


私はいつものようにルルカお嬢様に笑顔を見せ答えた。


 「──変なの。」


 [ブォーーーーーーン]


お嬢様がそう言った途端大きな音が列車中に響き渡った。お嬢様との話に一区切りをつけるという意味でも、お嬢様が私にいまどういう感情を向けていたのか、それを詮索するという意味でもこの音は私たちの中ではただただ大きかった。


 「出発の時間になったらしいですね。」


 「ねぇウミ、。」


 「なんでしょうかお嬢様?。」


 「…なんでもない。」


お嬢様はそう言うと、顔をまたベットに顔を埋めた。


 [ガチャ]




 ──部屋──




 「戻ったぞぉ〜。」


俺はそう部屋の中にいる二人に向かって言いながら、扉を開けた。


 (結構パン食われたなぁ〜、)


そんなことを考えながら俺は二人がいるであろうところまで歩いていく、



旅の始まりだ。




『topic』


列車の開発はゲレームの大型プロジェクトだったらしい。

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