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百四十九話「第三回公式大会《18》」

前回のあらすじ


第三回公式大会のメインディッシュ。第三種目「クランバトルロワイヤル」がついに始まる。完全ランダムスポーンによってチームは分担され頼れるのは己の力のみ、殺し合いが明確な勝利条件となった今、タガが外れたプレイヤーたちの壮絶な戦いが始まる。







 試合開始から数分、広大なフィールドでは常に戦闘が繰り広げられている。一対一の凡庸な戦いから、天地を揺るがす戦争まで、この大地で起こらない戦いはない。そしてこの戦場では誰もが主人公であるのだ、戦いをしていない者にとって戦い続けるものはいつだって英雄である。


 「どぉぉん!!」


投擲される特注グレネードが密集地帯へと転がり落ち、その決め台詞と共に耳を突き刺す爆発音が大地に響く。


 「どぉん!!どぉぉん!!」


次々と投げられる爆発物に、プレイヤー達は恐怖し即座に逃げ惑う。しかし範囲の広さからその多くは炎の餌食となる。応戦しようとするものは誰一人いないまるでその様はまるで逃げ惑う小動物のようだ。


 「いやーこうして一気に潰す瞬間がたまらないよねー!」


 「そうだね。」


 「なぁーに?楽しくないみたいだけど。」


 「いや、目がっ」


 「あー、サングラスいる?」


 「いる。」


サングラスを受け取った。エンドはロケットランチャーを片手に射撃を開始した。彼女たちが通る道には硝煙の匂いと焼き尽くされた大地の身が残る。


 「っとこれ以上の快進撃はお断りなんだがっな!」


大地を浮かし草と土と石が混ざった塊を掘り投げる人影、破片のような雨となりポルマートとエンドへと降りかかる。


 「うわわああ。服が汚れるじゃん!」


 「……敵?」


 「攻撃したってことは敵、実にそのトーリ。」


土煙から姿を現すはカートンとペルシドの二人であった。偶然合流できた二人は、ネイムズのリーダー二人に立ち塞がる。


 「喧嘩売ってきたってこと?」


 「喧嘩っていうかな、俺とお前たちは違うクランだ。なら、戦う以外に選択肢があるのか?」


 「あるよー、アンタたちは逃げ惑うってこと?」


 「へぇ、後ろから突き刺すのか?」


 「うぅん、ぶっ飛ばす!」


ポルマーが連結手榴弾を放り投げ、二人を爆殺しようと試みる。投擲から爆発まで一秒もかからない。空気を破裂させる炎が広がる。しかし強靭な男であるペルシドは爆発をもろともせずに、ポルマーの元へステゴロで突っ込む。


 「ちょ?!」


 「うおらぁあああ!!」


強烈なラリアットが空を切る。ポルマーの回避はギリギリ間に合うも、彼女は生きている心地がしなかった。


 「残念相手はこっちだー!」


 「っポルマー!」


カートンがスキルの影響で地面から姿を現す。」そしてポルマーに追撃をしようとするところをエンドが合間に割って迎撃する。アサルトライフルにより性者であったがカートンは以上波のこなしによってそれらの銃弾を全て回避した。


 「っ!?」


 「ははは、考えが甘いね。一番地味なやつこそ一番気をつけなければデットエンド。隙アラバあの世行き確定だからお気をつけー!」


 「少女二人だからといって顔面狙わないとか考えんなよ、俺たちは平等主義者なんでな。」


 「っ、少しうまい具合には運んだくらいで言ってくれるじゃん!」


 「本当にね。喋れる余裕、無くしてあげるよ。」


二人二組同士の戦いが始まる。一方はペルシド、カートンのギルド組。一方はミリアリズムのリーダーポルマーと、エンド。両者ともに近遠中の得意分野が存在するものの腕前は同等クラスである。

ポルマーが爆弾を惜しみなく使い、エンドが射撃で牽制し続ける。対するペルシドはそれを真正面から受け止め、カートンが機会を狙って攻撃をし続ける。


 「地雷大会マインパーティーっ!!!」


ポルマーのスキルが発動され、草原には無数の地雷が仕掛けられる。これはポルマーだけが知覚できる地雷であり、通常は巧妙に偽装されている。しかしペルシドは経験からこれが一般的なスキルだと予想する。


 「大地転換ガイヤフォールッ」


大地を塊にし持ち上げポルマーとエンド元へと放り投げる。


 (地雷が爆発するのはおそらくスイッチが踏まれた時、それに敵味方がないなら!)


自爆する可能性だった皆無ではない。そう思ったペルシドの作戦である。それを阿吽の呼吸で理解したカートンが追撃の準備をする。ペルシドの予想が的中すればポルマーとエンドは自爆しこのまま決定打になる可能性がある。


 「高次元交転ハイトレード


エンドがその言葉をつぶやくとポルマーとエンドの位置が二人と入れ替わる。つまり持ち上げられた地面が向かっていくのはペルシドとカートンである。


 『!!』


 [ドグゥゥオオオオオン!!!]


持ち上げられた大地が衝撃と共に大爆発を起こす。ライオットシールドを展開した。ポルマーとエンドは風圧を感じながら地上で打ち上がった花火を見ていた。


 「ふふ、引っかかったね!」


 「近距離が不得意だから地形ごとなんとかする。悪くない考えだけど、対策してないわけじゃない。」


二人は爆発の光をずっと眺めている。狩人は同じ轍を踏まず、相手が確実に焼き殺されているのか見ているのだ。だがそんなことには簡単にはならない。炎の向こう側からは二つの人影が見えてくる。カートンとペルシドである。


 「ふぅ、ウミさんの炎に比べればなまっちょろかったな。」


 「いや、ちょと焦げましたけどねー。」


服についた火の粉を払いながら二人は随分と余裕そうな態度で現れる。その姿にポルマーは思わず引き、エンドは顔を顰める。


 「さて、まだまだやってくれるんだろうな?目と目があったら殺し合いがここのルールだって聞いたぜ。」


 「そんな地獄みたいなルール、ないですってー。あるのは死ぬかも死なないかですって。」


 「いや同じだろ。同じ。」


当の本人達はさっきの出来事を気にしていないかのように平和的な会話をする。その余裕っぷりがポルマーないしはエンドにとって遠回しの屈辱となるのだ。


 「エンド、本気でやっていい?」


 「ダメ。私たちの能力には回数的限度がある。パラディスと他の奴らとも合流しないといけないし。」


 「でも漁夫の利なんて狙えなくない?」


 「お?いま漁夫の利とか言ったか?残念だがむりだな!俺たちがここでお前達を倒す。ギルドマスターを舐めんじゃねぇぞ!」


 「ギルドマスターでもなんでもないただの付き添いですけど、舐められている気がするのでなんとか頑張るので対戦よろしくお願いしますワラ。」


 「はぁ、とりあえず突破することを優先ね。」


エンドは縦長の箱を背中から下ろすと、そこから武器を取り出す。武器はエンドの手に渡ると複雑にそのテクスチャをさまざまな武器種へと変形させていく。最後に彼女が願う通りのアサルトライフルへと切り替わるのだ。


 「フェーズ、アタック。」


 「はーい…っ!」


目の色が切り替わるとエンドの全身に黒鉄の備がまとわれる。同時にポルマーはバックパックから爆弾を複数個取り出しその指に揃える。どれも彩緑でカラフルだがそれこそ危険の象徴である。


 「面白くなってきそうだぞ。」


 「いやだー、貴方の面白いって絶対いたやつじゃないですかー。って、言っている暇ないかもですね、はい様子見ながら頑張ります。」


ペルシドとカートンの目つきも変わる。先ほどは戦いをそれなりにこなしているだけだったが、両者に緊張感が走る。プレッシャーが焼け野原になりかける草原の風に吹かれる、そして次の瞬間には一斉に動き出すのである。


 『!!』





『topic』


ミリアリズムは銃器を専門とした特殊部隊型のクラン。どうやらいずれも特殊な兵器を運用しているようだ。

紅月をリーダーである3人組はどこか敵視している。

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