百三十二話「第三回公式大会《0》」
前回のあらすじ
なんやかんやで巻き込まれた紅月はレナと(その他クランとかと)共にファランクス・スコーピオンを討伐し目的のパルチドラを入手した。
そしてついに第三回公式大会が始まる。
──第三回公式大会観客会場──
「みっなさぁぁぁーーーん、こんにちはー!!」
『『────ッ!!!!』』
会場上部に設置された画面に1人の美少女が映し出される挨拶を始める。会場は言葉に呼応して大きな声で歓声やら挨拶などを返す。
「はぁーーい!いい応答をもらえました!さて本日は第三回公式大会にご来場いただきありがとうございまーす!たとえ、本戦に参加できなくてもここには私がいまっす!思いっきり楽しみましょー!!」
『『──────ッ!!!』』
「すごい歓声だ。あ、どうも──この娘以外にも私もいるからね。」
「おおっとそうでした!!ていうか、まず自己紹介が遅れてましたね!本日、この第三回公式大会の実況を務めさせていただきます、アイドル系プレイヤーのMYYちゃんでーす!!そして!」
「どうもみなさん初めまして。顔は出さない方だけど、いつもみなさんが使っていることは知っているよ。攻略班の統括リーダーをやっている、カイだ。本日は解説役としてよろしく。」
『『────────ッッッ!!!!』』
「おぉっと、かなりみなさんびっくりされてますね。具体的には攻略班のリーダーとか本当か?とか、こんなイケメンあり得るのか?っていう感じのご様子!」
「はっはっは。別に裏技とかハックとかしてないから、素でこの顔なんだ。メンバーからもよくいじられるよ。」
「らしいです!!っとと、さて話はこの辺にして、意外と登場を早くしたのはもちろん理由があります、なんてったって今日は第三回公式大会です!大会自体が本格的に始まる前に、今日まで隠されてきた大会の明確な種目、そして順番!そしてそしてそれに対しての話をカイさんにしていただきたいと思いまーす!!」
「別に私も、運営側の人間ってわけじゃないんだけどね。なんならDMでやってくれ、って感じに言われちゃったから来ただけっていうか……!」
「私も同じでーす!はい、ということで………今日の予定に関して説明していきまーす!スライドをどうぞ!!」
MMYが手をカメラに向かって差し出すと画面が切り替わり、大会の種目と順番が表示される。観客は全員目を凝らしてその種目についてザワザワし始める。
「さて、順に説明していきましょー!まず事前情報にもあった通り、この大会は三つの種目が存在します!一つ目!!モンスタースコアアタック"!」
「ルールはシンプル、制限時間内にモンスターを倒してポイントを稼ぐ。という奴だね。あ、この大会ポイント最終決算で一番多かったチームの勝ちだから、その辺よろしく。」
「おおっと、基本的な解説が私の役目だったのに、取られてしまいました!ですがこれは私がいけませんね!では、カイさん引き続き解説をお願いします!!」
「はいはい。んじゃ細く説明に移るね、"モンスタースコアアタック"はモンスターに応じてポイントが振り分けられている、モンスターは毎分リスポーンして狩り尽くされるという心配はないね。そしてレアなモンスターほどポイントが多い傾向にある。効率を目指すにはここを押さえておくべきだろうね。」
「なるほど!!」
「でも気をつけて、こういうゲームルールには大抵キルパクという文化があるから。この種目というか今回の大会通してなんだけど、プレイヤー同士の攻撃は互いに当たるから、邪魔されないように気をつけて。」
「ひぇぇ、相変わらず【SAMONN】はドSですねー!」
「MMYちゃん、そんなこと言ってたらBANされちゃうから。」
「おっと、失言失言気をつけます。大会中に実況がいなくなるなんてダメですからねー!」
「それで話を戻すけど。この種目には一定時間毎に大型モンスターが現れる、ランクはレイド級で獲得できるポイントはもちろん破格。レアモンスターを狩るよりそっちの方がいいけど………」
「いいけど?」
「まぁここは始まってからのお楽しみってことで。」
「おぉっとお預けをくらってしまいましたー!どうしても解説してくれなさそうな雰囲気を出しているので次に行きまーす!二つ目の種目は"クランデストラクション"では、お願いします!」
「はいはい!"クランデストラクション"はそれぞれのクランが自分たちの拠点を守って攻めるゲームルールだね。拠点には体力ゲージがあってこれが終了までに何%残っているかによって最終的なポイントの割り振りが異なるよ。ちなみに敵拠点を攻撃することによってもポイントは獲得できるから、ただ守っているだけじゃなくて攻撃にもしっかり力を入れないといけないから、大変っちゃ大変だね。」
「攻撃をして、そして自分たちのクランの拠点を守る!厳重な役割分担が鍵になりそうですね!」
「そうだね。ちなみにサラッと説明したけど、拠点を強化する方法ももちろん存在しているから、単調にもならない。ただ単騎で突っ込んでデスルーラーを繰り返しながら攻撃するのは流石につまらないからね。」
「なるほど!これは2回目が楽しみになりますねぇ!」
「それじゃあ、時間もそこそこ残っていることだし。最後の種目"クランバトルロワイヤル"について話していこうか。」
「おっと、いいんですか?これカンペだと最後始まった時に伝えると書いてありますが!」
大きな台本を指差しながらMMYはカイに聞くがカイはその質問に笑い飛ばす。
「だって、なんの説明にもなってないじゃんこれ!」
「……まぁ確かにそうですね!!」
「あー、えっと皆さんごめんね。私の口から改めて説明するよ。最後の種目"クランバトルロワイヤル"はクランチーム同士が激しく殺し合いをするという奴だ。リスポーン不可、隙を見せたらやられるって感じのね。ルールは単純で純粋だけど、それゆえにクランの実力が直に出てくる訳でもあるから、この後私の部下が作るかもしれない"最強クラン"って書かれた攻略記事に順位が載るかもしれないね。」
「ちょっっと!番宣じゃないですか今のは!?」
「いや、アイツなら書きそうだなって感じのニュアンスだから!」
「あ、ちなみにこれにはポイントあるんですか?」
「もちろんあるよ、一位から最下位まで順位ごとにポイントが割り振られている、だから実質的に長く生き残った方が勝ちになるんだけど、この参加クランの魔境具合を見ていると、隠れてやり過ごすなんてよっぽどのアホじゃなきゃやんないと思うんだけどね。」
「だ、そうです!あ参加クランの情報については後ほど開示いたしますので、皆様。席を立たずにお待ちくださいねー!」
「ていう感じかな。あとは試合中にでもちょくちょく語るとするよ。」
「はい!カイさんルール説明ありがとうございました!!それでは皆様、大会開始まで後10分ありますので、その間にポップコーンとか、お手洗いとかしっかり済ませてくださーい!実況は私、MMYと!」
「解説の私、カイでお送りしましたー。」
『topic』
【SAMONN】の攻略班は公式ではないものの、データベースの管理は公式のホームページを凌駕するほどである。ちなみに攻略サイトを作っているのは有志で集まった人達ではなくれっきとした会社らしい。




