百六話「正体不明団体の鎮圧。付属記録:メイビス」
前回のあらすじ
フォズと訓練を続ける紅月はエズにサンドワームについての話で呼び出された。サンドワームの体についていた謎の印のようなものについて話を進めつつ、近頃大きな作戦を実行すると紅月に伝える。しかし話している最中にフォズは上位部隊と交戦、あと一歩のところで死にかけるも紅月がこれを救助しことなきを得ることに。
フォズが医療室へと入ってから数日が経過した。105部隊のあいつらは毎日フォズへと見舞いをするために通っている。当然俺も毎日とまではいかないがそこそこの頻度で顔を見せに行っている。
だが当のフォズは。
「あいつらがきてくれんのは嬉しいけどさ。スッゲェ気疲れするんだよ、、」
愚痴をこぼすかのように、言うフォズ。彼女のため息の長さからはなんだか傷のダメージよりもそちらの方が深刻のように見えた。一難さってまた一難とはまさにこういう時に使う言葉なんだろう、
「……わかった。俺から言い聞かせておくよ、あんまり高頻度にこられてもフォズが疲れるってな、」
病人への接し方についてはこちらが教育してなかったのが悪いのでコレは仕方がない。アイツらには俺たち人間にとってある普通の常識が生まれた時から備わってないのだから、、まぁフォズもそうなんだがこの様子だと知るより早く理解したと見れる。
「サンキュー。でもまぁ、心配してくれるのはなんだかんだでちょっと嬉しかったりもするんだけどな、」
近くの机にある大量の見舞いの品々。中にはフルーツや花なんかが添えられており、見るだけで部隊のみんながフォズを大切にしていることがわかる。が、数や量がすごくかなり広い机だと思うが今にも溢れ出しそうなくらいだった。
(────いや、やりすぎだなコレ。)
前言を撤回したくなる、ただ言い聞かせるだけでなんとかならない場合の対策を立てた方が良さそうだ。それは置いておいて
「ともかくお前は回復を専念しろ、今回の戦闘で内部の方もだいぶやられたんだろ。」
「平気だって確かにコアにヒビは入ったけどさ、」
オートマタからしたらそれは重症案件で普通なら平気なんて言葉いえないはずなんだが、っと頭を少しかきながら俺が思っていると突然着信が入ってきた。フォズに断りを入れてメッセージを読む、差出人はエズからだった。
内容を簡単にようやくすると、、また急いで来て欲しいだとか言っている。こっち教え子との面会中だってのになんて考えなしの用をよこしてきたんだと思い、断るメッセージを送ろうとした時、
「行ってこいよ、教官。エズ様からなんだろ?」
フォズは俺の素振りで理解したのか遠慮なしの気を遣った言葉をくれる。勘が鋭くなったのか、はたまた気遣い上手になったのか、どちらにせよ後で駄々をこねるエズの姿を思い浮かべて、めんどくさいとも思ったし、加えてこの好意を無碍にすることはなんだか申し訳なくも感じたので
「あぁ、それじゃ……また来る、」
俺はそう言い残し椅子から立ち上がり、部屋から退出しようとする。今更なのだが、部隊のあいつらがいっぱい来た後に俺が来たってフォズはあんまり楽しくないはずだ、ならば今の気遣いも一種のフォズからあっちに行けというメッセージただしたら本心だとしたら納得がいく。なんだか少し寂しい気もするものだが、言っている場合じゃない。
「あ、教官!」
部屋から出るため扉を開けるところでフォズから言い止められる。何か言い残したことでもあったのだあろうか、っと振り返ってみると。
「この間はありがとうな、助けてくれて……」
俺は驚いた。彼女の言葉は紛れもなく本心だったからだ、今さっき俺が思考のうちに入れたフォズの心情とは真逆、それどころかもっと良い風にも聞こえる。
おかげで俺は返事のタイミングを見失って、その場に本の一瞬立ち止まってしまった。
「そ、それだけだっ……早く行ってこいよ!」
俺が黙っているとフォズが大きな声で叫ぶ。我に返った俺は頭を回し最後の言葉フォズに伝える。
「あぁ。それじゃあ行ってくる。」
部屋を出てエズの元へと向かう。見舞いに来たつもりだったか、なんだか少し救われたような気持ちになった。
いつも通りエズに指定された空き会議室へと入室する。そしてドアを開けて聞こえるのはエズの声、
「遅かったぞぉ、紅月ィ!」
「────唐突に言われてみろ、それこそ迷惑って、メイビス…?」
文句の一つでも言いたくなる気持ちだったので、言葉をならば始めるが俺の視線はエズから隣にいるメイビスへと移っていってそのまま彼女の名前を口に出す。
「こんにちは、紅月教官。」
返事を返された俺は、「おう、」っとあまり使わない単語を発する。座っているエズの隣に立つ彼女の姿はまさに秘書官とでもいうべきか………いやそんなことよりも、なぜメイビスがここに?っと疑問が上がる。どちらにせよ理由を聞くよりも早く俺は自分を自身を落ち着かせるために椅子に座る。
「それで、なんでメイビス?」
「まぁまぁ、それは話を聞いてからで良いじゃろう。」
フォズが適当にはぐらかす。いやよくないが、話よりもなんでメイビスがここにいるのかについての方が気になって仕方がない。だが、ここはメリハリをつけるが如くエズの今から説明する内容に目を向ける。
「さて、今回の依頼じゃ。」
(──やっぱり依頼かよ。)
来るんじゃなかったと思わなくはいないが、そんなことなら早く来いだとか言うな。こっちだって暇じゃないんだぞ、
「実は最近巷のバスク砂漠で謎の団体が悪さをしていてな、まぁありていに言って宗教の押し売りみたいなことをしておるんじゃが、どこぞの環境活動家達みたいにめんどくさい奴らじゃからなんとかしてほしいのじゃ。」
「えー。つまり懲らしめてこいってことか?」
今回のエズの説明はこれでもかというほどにテキトウだ。それとどこぞの環境活動家達って誰のことだよ、いやなんとなく人物想像がつくけどさ。
「そういうことじゃな、だがここからが少し問題じゃ。あやつらどこから仕入れたのか知らんが新環装甲を使っておる。」
言葉が部屋に響き渡る。大きな声で言っているつもりじゃなくさして強調するわけでもないただ普通の発言に聞こえるその重要内容に俺の頭と部屋はフリーズした。
「────はぁっ?!!」
理解した俺は久しぶりに取り乱して大きな声で驚いた。座っていた椅子を乱暴に立ち上がり、次に考えられる理由を、どうしてそうなったかを高速で考え始める、冷静なときとはまた違った思考の加速に体はそのまま制止し続ける。
「え、おま!俺売ってないからな!!」
色々考えて絞り出した最初の言葉は身の潔白を証明することだった。若干混乱していた俺の脳はどうやらエズが俺を弾糾することを想像に入れていたらしい。
「そんなことは当に検討付いておる。ちなみにレナにも聞いてみたが知らんようじゃったしなんならお主と似たようなこと言っておったしな。」
クククっと随分と余裕そうな表情で浮かべるエズに対してなぜだか苛立ちたくなる。まるで必死こいて考えていた先ほどまでの自分がエズの手のひらの上で踊らされているような感覚に嫌気を感じたからだ。
加えてレナの話が出たことで思わず"あいつと一緒にするな"とか言いそうにもなったが、そんなこと言っている場合じゃないことくらい俺は理解している。なのでため息一回をして、頭を落ち着かせる。
こういう時に取り乱したら、いけないことを危うく忘れるところだった。
「………で、どうするんだよ。」
「もちろん、それをなんとかするためのお主じゃ…でも今回は相手が相手というわけでメイビスをつけさせる。後方支援ならお主も納得じゃろう?」
「そういうことか。」
それと差し詰め、メイビスの経験値稼ぎという面もあるだろう。まったく、よく考えている配役だと心底思う。
「懲らしめるついでに、しっかり出所を吐かせろって言いたそうだよなお前。」
「当たり前じゃ、技術を勝手に持ち出されるとか冗談ではない。まぁそも痕跡がないからこれもほぼ憶測でしかないのじゃながな。」
さっきから、なんだかエズの言葉が変だ。新環装甲は間違いなく俺たちの技術だというのに、エズの発言から感じるのはそうであってそうじゃない、まるで新環装甲をていの良い表現の一つとしていっているような感じであった。
「聞いていいか、技術が流出したわけなんだよな?」
「いいやそんなことありえん………はず。」
「おい、自信持てよ。少なくとも俺が思うにここのセキュリティはかなり完成度高いぞ。」
「そんなことわかっておる!のじゃが、でもほら億が一あるじゃろ?妾とて人間だし……」
変なところで自己分析しているなこのオートマタは、っと俺は思う。まぁ確かにエズのことだからそんなことがあってもおかしくないと思えてしまうのはもはや本人の問題なんだろう。そして少し悩んだ後、これ以上考えても仕方がないと思った俺は、
「とりあえず、相手はこっちと同じ新環装甲……みたいなやつを使っていて、手強いからメイビスを連れて行け、そしてあわよくばそいつらから聞き出せってこどだろ?」
「うぅむ、そういうこと!」
「返事だけは良いよな、お前。」
こんな簡単に言われたら、本当にこいつの危機管理能力を疑いたくなる。飛び火が来そうな話題だってことをもう少し自覚して欲しいが、やめた。だってこいつエズだもん。
「くれぐれも気をつけてな。」
「はいはい。行くぞメイビス、」
「あ、はい!」
メイビスを連れて部屋から退出する。エズから車の利用許可はとうの昔に降りていたため、メイビスを後部座席に座らせ、ゲレームから目撃情報があった方面へと車を走らせていく。
「メイビス、エズから何か伝言みたいなのとか言われなかったか?」
「え。あ、はいあります!!」
メイビスはバックパックから、写真を取り出して俺へと手渡してきた。俺は片手でハンドルを握りながら、写真を見る。そこに写っているのは今回の標的であろう団体のオートマタであった、確かにエズの適当な説明と同じくなんだか民族っていうか宗教チックなペイントを機体に施している奴がいる。
「予想はしていたけどやっぱオートマタか。」
「はい、エズ様曰く。ゲレーム所属のオートマタではないそうです、」
「……………二択だな。」
ただの野良NPCか、それとも俺と同じようなリアルロボット好きなSFオタクか。ぶっちゃく後者だったらわかりやすいし道理にかなっているとは思う一方で、前者のNPCだったらめんどくさくなりそうだなと思う。どこでこいつらがこんな高度な技術を入手できたのか、そこまで色々と詰めないといけないからだ。
「えっと、何がです?」
「いや、こっちの話だ。それよりもメイビス、エズなんか近頃大きな予定とかあったりするのか?」
「えっと、確かに"正規軍のお披露目会"に向けて色々と慌ただしい様子でしたけど。」
メイビスがこんなところで冗談を言うタイプじゃないことは俺がわかっている、だからこそこう思うのだ。そのネーミングなんとかならないのかよ、っと。またエズがやけに適当だったのはそれが理由だったのかと納得する一方で、なんでも噛んでも時間がないからを言い訳にメイビス任せにしたり、唐突に人を呼び出したりするあいつには不満が募るものだ。
「────はぁ。」
「あの、紅月教官とエズ様はどういったご関係なんでしょうか?」
「どういったっていっても、うーん。」
ビジネスパートナーはなんか違う。友人というのもなんか変で違う気がする。とすれば親友もまずありえないし、っと俺が唸りながら考えていると。
「もしかして恋b───」
「──いいやそれは断じてない!!」
メイビスの発言に被せるように言葉を返す。あいつとそんな関係とか胃袋が100個あったとしても足りないだろう。楽しくはありそうかもしれないが。ていうかまず俺はあいつを女として見れない、なんでかって言われたら魅力を感じないからといか答えられない。カリスマはあるんだがなー
「もうなんか、腐れ縁みたいなやつだよ。深い理由はない。」
「そうですか……」
なぜだか残念そうにするメイビスに、俺はメイビスってこんなやつだっけと思う。新しいことに触れさせ過ぎたからか、最近の105は人格的変化が大きいというか、現代に染まってきている気がする。悪い気はしないが心臓に悪かったりするのでどこかでまともな情操教育を施したいとすら思う今日この頃。
そして軽く会話をしているうちに、目標範囲内へと近づいてきた思った以上に早く見つかれば良いのだが、っと思う。
「あ、教官!10時の方から戦闘が行われているようです。」
車の屋根から索敵を行なっていたメイビスが俺に知らせてくる。暇持て余していた頭を再度動かし始め、ハンドルを握りアクセルペダルを踏み込む。
「よし、詳しい特定を頼む。」
「はい!」
メイビスは車にワイヤーをくっつくけていたので、振り落とされることはない。それがわかっていたので少し乱暴だができるだけ急ぎで車を運転して砂漠をかけながら、戦闘が行われている場所へと向かう。
[ボーン!!]
大きな砂煙が砂丘の向こう側で打ち上がる。音から推測して爆発物であることは明白、ならば魔法か、それとも…
「メイビス、魔力探知も使え!それで相手の戦力が少しくらいは測れるはずだ。」
「───了解ですっ!」
相手が爆発物を保有していることがわかったのなら後は種類だ。魔力性の爆発ならば魔法か魔力を採用した兵器に当たる。しかしそれ以外の特殊な攻撃方法による爆発ならばこっちは警戒度を高くしないといけない。常に自分たちが相手を上回るなんて考えていたら敗北ルートまっしぐらだ。
「出ました!魔力波形C型、グレネードタイプだと推測、」
「上々だ。」
魔法の方が良かったが、少なくとも魔力という既存の規格に収まっている分まだマシだ。爆発物でそれということは基本戦闘装備もそれ以下だと考える方が妥当。
「メイビス、免許持ってるか?」
「えっと、なんのです!?」
「あ、そういえばそんなのないのか。じゃあ運転できるか?!」
「すみません、まだ教習中でして!」
「偉い!でも仕方ないからALD頼む。」
[────了解。]
「メイビス、俺は出る。観測を続けてくれ、」
「え……えっ!?」
高性能サポートAIのALDに運転を任せて俺は、後部座席へと移る。理解が追いつかないメイビスを尻目にトランクに置いていたAW、そのショルダーストラップを掴み、車の後部から飛び出す。スラスターでバックブーストを吹かし、すぐさま方向転換を織り交ぜながら戦闘区域へと突入する。
「教官、左側が敵です!!」
メイビスの言葉を聞いたシステムは敵ロックオンをつける。ほぼほぼ乱戦状態に近いものの彼らの身につけている装備を見ればどちらがどちらの勢力なのかは一目瞭然。
俺はAWを腕部に装着して戦場のど真ん中のところに大雑把に着陸した。着陸の瞬間に、AWにためていたエネルギーを地面に向けて放ち、周囲に衝撃波を放つ。
「な、なんだぁ?!」
「こんどは一体なんだよ!!」
左右から困惑の声が聞こえてくる。このままではもちろん所属不明のオートマタなので、
「練鉱国ゲレームからの依頼で来た冒険者だ。そこの所属不明のオートマタ全員をこれから掃討する!」
両者にも聞こえるようなスピーカー音量でその場を一瞬沈黙させる。被害者であるオートマタ、人間達は救援に喜びの声をあげる。
対してもう片方の所属不明の陣営は敵意をこちらに向けてくるが、
「ま、まさか…鉄血の死神か、本物のっ?!」
「バカな、あのイレギュラーを退けた奴が……!」
どうやら俺の名前は思った以上に知られているらしい、自己紹介の手間がかなり省けたしなんなら力ずくで強さを証明しなくても済みそうだ。
「狼狽えるな、どっちにしろ相手は一人だけ、数で押せ!!」
(っともいかないよなぁ。)
やっぱり、手っ取り早く終わらせるかっと考え始めるとスラスターに火をつける。幸いにも105部隊と戦いを続けているおかげで手加減には慣れているはずなので、すぐに終わらせる。
相手は実弾銃やらグレネードやらをこちらに投げつけてくる、エズから聞いていた情報の新環装甲持ちの敵は姿形すらなかった。出し惜しみをしているのかもしれないが、もう少し団体全員が使っているようなのをイメージしていたからか、拍子抜けな気分であった。
元から技量が格別高いというわけでもなかったので、当てる気のない弾を避けつつ近接戦闘を仕掛け、AWで腹部頭部腕部などの致命傷になりづらい部分を適切な力量で殴り無力化していく、攻撃は遅すぎて、というよりも碌に訓練を受けていない素人の動きだったので当たらなかった。
「クソ、おいあれを出せ!!」
リーダーらしきオートマタが部下が持ってきた大きなアーマーユニットに乗り込む。そして起動を無事完了すると部下達は次っきと離れていき、リーダーのオートマタは不敵に笑った。
「こいつがあれば、お前なんぞには負けん。我ら"超越者たる機械生命体に栄光あれ!"」
そう言い放つと相手は再び襲いかかってきた。
(まさか、これがエズの言っていた新環装甲なのか?だとしたら少しガッカリだ。)
こんなのただの時代遅れのコピー品だ。大体人が乗り込む時点でヒットボックスが大きいし、持っている武装は確かに近未来的な感じはするが、それもこちらのビーム兵器に勝るものでもない、その気になれば素人でも作れるただのオモチャ。
(まぁでも、意外な自爆装置とかがあるかもしれない……少し遊んでやるか。)
全体を覆うアーマーユニットに興味が湧いた俺は少し攻撃を見てやろうと思い、相手の繰り出す攻撃をAWを耐えてみせる。先ほどの部活とかが持っていたマシンガンより強力なガトリング砲球数が多いだけで、大した問題ではなく翻弄しているようにみせているのか奴のスラスター機動は思いの外遅く。
そして、、
「オラァァ!!!」
レーザーブレイドを発生させ、こちらへと切りかかってくる。やつが使ってきた武装の中では一番テンションが上がったものだったのでAWのビームエッジを展開させ出力比べをするも、敵の青白いレーザーブレイドは最も簡単にこちらのビームエッジに切り伏せられ、敵のアーマーユニットに大きな傷を作った。
(えっ、弱ッ?!)
「ば、バカなぁっ!!」
そんな断末魔と共に機体が爆発、一瞬にして使い物にならなくなる。俺はなんだがあっけないような気持ちとなり、こんなものかと言いながら周りへ話しかける。
「全員投降しろ、そしてら命は助けてやる。」
そう言うと部下達はゾロゾロと隠れていた遮蔽物から身を出して、こちらの指示に従った。メイビスに身柄の拘束を任せて、俺は襲われていた方の話を聞いて情報を整理していた。
「教官、こちらは終わりました。」
「こっちも終わってる。情報を共有するぞ、」
「こちらのほうは拘束中に聞いてみたのですが、中々まとまりませんでした。なんというか全員"超越者たる機械生命体に栄光あれ!"としか言わない人だったりぶつぶつ何かを言っていたりしてました。」
「なるほど、後で俺からもやっておくよ。あの被害者の人たちはどうやら、オアシスに行く予定だったらしいけど、途中でそいつらに襲われたらしい。食料を運んでたようだったから、間違いなく強奪を目的とした感じだろうな。」
「襲われた人たちは、災難でしたね。」
「だな、ともかくこいつらをゲレームに連行しよう。簡単には口を割らないだろうし、全員を持って帰るのも時間がかかるからな。」
「そうですね。」
「にしても、なんだか身構えていた自分が嫌いになるよ。あんなのにビビっていたなんて。」
黒焦げになったアーマユニットをみながら俺はため息をつく。フォズの言う気疲れっていうのがなんだかんだでよくわかった気がする。
「………なんというか、こちらのはやとたりみたいな感じでしたね。」
その日の依頼はそれで終わった。結局のところ分からずじまいであったため、俺はなんだかんだで腑に落ちずまたゲレームでの滞在期間を延ばすのであった。
『topic』
・新環装甲
紅月、およびエズ(ゲレーム)が開発したオートマタの次世代型装備。従来の装備とは違いSFに近い近未来的な武装、装甲が特徴的であり、戦闘能力も桁違いに高くなる。
ゲーム内においてはオートマタという不遇種族のレッテルを剥がすだけではなく、多種族を凌駕する可能性を見せた。
しかしながら、この新環装甲を採用しているところは組織的にはゲレーム、個人所有であるならば紅月、レナといった少数にて運用されている。理由はまだ試験的な要素が強いため、簡単には表に出せないからである。
※紅月は技術を独占したいと考えているため、大っぴらに技術を流したいとは考えていない。




