隠話「聖徒聖帝」
前回のあらすじ
神を信仰するものによって成り立ち、今では聖魔法や様々な神職者たちの集まり場所である聖帝国インディアリア、そのとある話である。
魔法国の貴族の一件後、鷹橋ことフライは聖帝国インディアリアへと戻っていた。いつもと変わらないような日々を過ごしながら、武器の手入れをしていた彼は上司であるケルストからの呼び出しをくらう。
──聖帝国インディアリア──
綺麗に整えられた渡り廊下、一歩一歩と歩くだけでコツンと華麗な音が鳴る床。幻想的な中庭が右隣には見えており、小鳥が囀り、蝶が飛んでいる。ある人はここを完璧な空間と評し、ある人はここを地獄のような場所と評する。
正直俺からすればどっちもおんなじだと思う、なぜかって?それはじきにわかることだからだ、戦ってるだけで済むならそれでよかったんだが、どうして俺はここにいるのか……無論上司からの命令だ。逆にそれくらいしか俺を呼び出せる手段なんてない。
(はぁぁ〜めんどくっせ、)
今にも口に出そうになる程の心の声をとどめて、白い聖衣を身につけたゲートキーパーが二人いる扉の前へと立ち止まる。
(偉い人が話す会場に、よくこんな金かけられるよな。)
でかい扉を目の前にしてそう思い。ゲートキーパーに声をかける。
「ケルスト様からの命で参上した。聖調聖天所属、原典大天使族のフライだ。」
『お待ちしておりました。フライ様、どうぞ中へ、』
ゲートキーパーの息のあった言葉によって見るからに重そうな白の両扉は音を立てて開く。
中には無駄にでかい円卓、そしてそこに3人の天使がそれぞれ一定の距離を保ち椅子に座っている。
「原典大天使族のフライ、ただいま着命いたしました。」
「ご苦労様、こっちですよフライ。」
礼儀正しい礼を気に求めず、俺に手招きをする者。そのものこそが俺をここに呼び出した全ての元凶と考えるとため息が出そうになるが、グッと堪えて、そいつの座っている場所の方へ向かう。
「─────ふんっ。」
聞こえないとでも思っているのか、やや老い気味の偉そうな天使が(まぁ実際偉いんだが、、)俺に対して嫌悪を混じらせた視線を送る。
これだからここに来たくないんだ。っと改めて思う俺は、その場から逃げたい気持ちも抑えて手招きしていた糸目の上司が座る椅子、その一歩後ろに付き従える。
(嫌われてますね。)
(うっせ、)
わざわざ捻話で会話してくる上司にすぐさま悪態をつく、お前が呼ばなきゃこんなふうにならなかったつーの案件だ。声に出して言いたいほどだが、部屋内の空気感が一気に変わったことを察して捻話を切る俺。
座っている3人が互いに互いを見合わせて、アイコンタクトで何やら確認作業を終える。おそらく"話し合い"が始まるのだろう、それも穏やかじゃないやつが。
それこそ今のこの空気感、いわゆる嵐の前の異様な静けさこそがそれの表明であったりする。
「それでは、派閥間定例会議を始めましょう。本日の議題です。」
随分と消極的な態度をとる俺から見て左手にいるやつが、上司の前に魔法で紙を出す。紙には本日の進行表がびっしりと書かれていようだった。みるだけで頭が痛くなりそうな内容のてんこ盛りだったのはいうまでもない。
「まず始めに────」
「ちょっと待った。」
「どうしました?アグラー何か問題でも?」
「おおありだ。そこのケルスト、の後ろにいる大天使についてだ。この会議は我ら三大派閥のトップのみが行う機密性が高い会議だ。だがそいつはあくまでお前の部下であり、新しい派閥のトップというわけでもない。なら、この場所にいるのはいささか場違いだと思うんだが………」
俺の顔をじっと見ながら渋い声で語る天使、聖護聖天派閥のトップ、アグラーは随分と俺のことが気に入らないようだ。
「……確かにこの会議のルール上はそう言わざる終えません。ですが、あなたも彼のことはよーく知っているはずです、主神穿槍をその手に携え、加えて原典大天使という純聖の大天使、ルールはそうでも……私は彼がこの会議に参加する条件を満たしていると思います。」
「それが貴様の言い分かケルスト…まぁ聖調聖天の性格を反映したような言葉並べだな。」
「お褒めに与り光栄です。聖護聖天のアグラーさん。」
二人の間で見えない火花が散りつつある。こう言った言葉での皮肉の言い合いがどうしても苦手だから、俺はここには居たくなかったんだけどなぁ……
「静粛に。異論がないなら、アグラーも今回のことを容認しているという意味と捉えても?」
堂々とした態度、常に上から目線な話し方。そしてこの場で話の軸を取っている聖命聖天のトップ、ライヴォルトは毅然とした態度でアグラーに強く問いかける。
「…………」
肩をすくめるアグラー、言いたいことはないようだった。
「それでは本題に戻る、初めに────」
会議は続いて俺はその間、ただ話を聞きながらへーそうなのかと思うばかりであった。こんなお偉い方が語っている話なんて俺からしたら微塵も興味はない、そんなことより戦いたいと、、親戚の集まりの子供みたいなことを考えている合間に、会議は終わっていた。
渡り廊下を歩く頃には誰も自分たちを注目していない、肩に凝り固まった重荷をほぐしてうーんと体を伸ばす。
「んー!疲れたぁ。」
「何もしてませんでしたけどね。」
俺の上司ケルストはチクチク言葉を放つ。仕事してないみたいに言われるのは正直心外だ、あの場所あの時で俺は逆になんて話に参加すればいいんだと言いたくなる。
「いやいや、それにしてもお前よくあいつらの面倒な話聞けるよな、飽きないのかよ?」
「意外と飽きませんよ。」
フフフと笑いながら答えるケルスト、そうこいつは俺と同じプレイヤーだ。ゲーム内で俺が天使族になりたての頃散々にモンスター狩りを嗜んでいた頃にこいつと出会い、そして聖帝国所属の天使となった。人間からの天使族というエクストラタイプへの移行はどうやらこいつからすると大変珍しいようで、、、まぁそっから色々あった交渉の末にこいつの傘下となった、俺が来た頃にはこいつは派閥のトップとなっていたこいつで、そこそこの付き合いになるはずなんだが、全く裏側が見えてこない。
「じゃあ楽しいのかよ?」
「楽しくは───、、まぁ五分五分ですかね?仕事と一緒です。」
普通ゲームを楽しむだけなら、モンスターを狩るだとか、依頼を受けるだとか、家を買うだとか、クランを作るだとか、の楽しむ要素はいくらでもあるはずなのに、あんなため息が出そうな会議を毎日こなすこの役職を何気に楽しんでいる、こいつは正直頭おかしいと言わざる負えない。もちろん俺の主観からくるものでプレイスタイルは人それぞれって言ったらそれまでなんだが、
「ですが、社会勉強みたいで意外といいものですよ?」
「それって後で感想書かされるやつじゃないか、」
「あぁ〜それは嫌ですね。筆者の感情を読み取れと同じくらいイヤです。」
たまにこんな冗談を言うんだから余計に感情というかこいつの情緒がわからん。自分とは全く別の人って存在するんだなぁっとこの歳で自覚するよほんと。
「そう思うなら次からは俺を呼ぶなよ、お前らの言っていることちんぷんかんぷんすぎる。」
「……そうですね。貴方はめんどくさいことが嫌いでした、次は外で戦闘訓練でもしててください、」
呆れた態度で言われたが俺からすれば、あんな会議に出るほうが嫌なのでよっしゃと素直に喜ぶ。
「ですがあなたも、意外に立場が立場な人なんですからしっかりしててくださいよ。まぁ私と違って実績じゃなく原典側の方なんですけど、、」
「いい武器扱えんのはいいけど、デメリットが大きすぎるだろコレェ。」
槍を試しにひと回しするとケルストから、やめてくださいね。っと念押しされる、そうだったこの伝説装備でもぶっちゃけ、ゲームの奴らからすれば国宝に近いものだった。誰かに見られて助走をつけて殴られても文句は言えない。
(でも武器は武器の気がするんだが………)
と内心思う。
「普通なら政治の道で永遠苦労するところを何とか私の権力でマシにしてることお忘れですか?」
「いーやそれに関してはまじ感謝してる。俺からしたら、原典大天使なんて称号、武器を使うだけでいいんだよ。」
「はぁ、全く貴方は………」
大きなため息を吐く、ケルストを見ていると何だかやってやった感を感じるのは気のせいだろうか、どちらにせよこの何考えているかわからない糸目に一杯食わせられたのは気分がいい。
「あ、思い出しました。貴方に話したいことがあるんですよ。」
「なんだよ、まためんどくさいこととか勘弁だぞ。」
「いえいえ、すぐ終わりますし何せ、貴方に関係…というよりも国に関係することなので…」
雰囲気が変わったと思った俺は、流石におちゃらけモードを解除する。ケルストに連れられてとある一室へと招かれる、どうしてこうしてこの国ではいらない空き部屋がこんなに多いのかと毎回思う。
「………密理静寂。」
音を遮断するタイプの聖魔法をケルストが唱える。部屋の中でも聞こえていた外の鳥の声はその瞬間から、聞こえなくなった。
「おい、そんなにかよ。」
「えぇそんなにです。」
全く変わらない声色で口にするケルストだが、その糸目の奥に隠れる瞳は嘘をついていない、詰まるところ笑って話せる内容ではないということだ。。
黙って椅子に座ってケルストが話し始める。
「貴方がこの間討伐した、アークデーモンのこと覚えていますか?」
「あぁ、あの手強かったやつか。」
て言っても、通常攻撃をただかわせた程度で本命の主神穿槍の突撃刺突は回避できずに一瞬にして殺した記憶しかないんだが、、
「えぇ。そのアークデーモン、少しばかり気になって解剖してみたんですよ?」
「え、自ら?」
「まさか…。ていうか話を逸らさないでください、」
「悪い悪い、」
解剖している姿があまりに似合いそうだなぁ〜とかいう興味本位で口走ったことは死んでも言えない。糸目、腹黒、これだけでマッドサイエンティストしてる姿がどれだけ想像つくかと言われたら、、いややっぱりやめておこう。
「それで、そのアークデーモンなんですけど。通常個体にはみられなかったモノがありましてね?」
「ふーん、進化個体とか希少個体とかの?」
「いいえ、そういった類では有りません。」
「随分と断言できるんだな。てことは少なくとも確信があるってことか、」
「………こちらを。」
ケルストから、画像が送られてくる。それを閲覧しようとファイルを開けた途端。
「うお、」
っと声が漏れる。よくもまぁこんな写真を平然と送ってこれるものだ。
写真に映るアークデーモンは背中が解剖されており背骨が砕かれ、脊髄が血まみれの状態で露出していた、人外だとしてもこれはこれでだいぶショッキングだ、もし人だったら紅月には見せられないだろう。
「気持ちはわかりますが、しっかり見てくださいね。脊髄のところ何かあるでしょう?」
「あ、確かに。」
よく見れば細い紫色の怪しい動脈みたいなものが脊髄を伝って侵食している。そしてその動脈を辿れば背中の筋肉に張り付いているエックス字の何かへと辿り着いている。その見た目はまるで機械に寄生された生物のようだった。
「で、これ………」
「調べたところ、新しいモンスターではないようでした。なので聖魔法でこれの内部構造、あ…こっちの肉に張り付いてる方ですからね。」
「いや、わかるからな。」
「それは結構。で、調べたところどうやら見たことのない構造原理をしていたんですよ。」
ケルストは参考写真をまた送ってくれる。どれどれっと俺はまたファイルを解き、自分の手元に写真を出す。
「これは…………!」
「そう、明らかに有機生命体じゃないんですよ…これには生命体に不可欠な大脳と呼ばれる部分が存在してなく───」
「違う、これは間違いなく機械だ。」
「───なんですって?」
何度見直しても、大学でよく見る機械の内部構造と同じような仕組みをしている。というよりかはそれに似通っている、本来細かな精密機器で構成されるソレがまるで生物で代用されたような不気味さがその断面図からにじみ出ていた。狂気の産物というタイトルがあまりにも似合うほどだ
「いや、正確に言えば機械生命体……ってところだな名付すんならだけど。」
「どういうことです?」
「俺はエンジニアとかそっち系の知識があるんだけどさ、こいつの断面図……あまりにも機械に似通ってるんだよ。それも現実のやつとかに、」
「じゃあ、どういうものかは?」
「いや、わかんねぇな。この配列見たって現実のやつとはまた違うやつがあるし、内部構造を見たからってこれの用途がわかるわけでもねェ。けど、部品一つ一つに目を向ければわかる、こいつの目的は………生物への寄生だな、差し詰め。」
「生物への寄生…!?」
相手に張り付いて取れないようにするためのハリネズミのような針、そして針の間に明確な空間、周りの配線にも似た触手はこの機械生命体の中心部分に繋がっていることから、直接的な指示を受け付けて行動する役割を持っている。流石に紅月ほどとはいかないけれども、観察眼は俺にだってある。
こっからよりメチャクチャな想定を始めんのが紅月だが、本人はいない。
「何でって言われても俺はこいつの作者じゃねぇからわかんないけど、多分……あいつなら、こう言うな。生物を実験体にしているやつ、もしくはこんなやつを複数体作って軍団にしようとしているやつがいるってところだな。あくまで仮説だけど、」
「………なるほど、確かに仮説のうちとしてはだいぶ的を射ていますね。」
ゲームでも現実でもいえることだが、寄生型の生物は基本的に数多くいるのがセオリーだ。なぜならそいつ単体じゃ何の役に立てない以上、数打ちゃ当たる理論でその生態を維持しようとするからだ。ここまでは基本的に寄生生物の行動だが、こっからまたこいつの機械部分の話に映る。
こいつは他者に寄生する能力はあるが、ケルストが言った通りモンスターではない、となるとすると人工的に作り出された可能性が高い、では誰がこれを作った?何のために?と考えると俺が言った二つの仮説に行き着くのだ。
「でも、貴方のその仮説にも問題はあります。これはどうやって作られたんでしょうか?」
「そうだよな、俺もそこが引っかかってる、、こんな気色悪い技術初めて見たぞ。」
作った人物の気はしれても、どうやって?とくれば話は大きく変わる。もちろん犯人追及の手立てとして必要な情報である以上、韻がえない手段はないのだが……
「機械といえば、ゲレームが、、」
「いいや、ないね。っとは言い切れないけど、少なくとも確率は低いと思う。」
「理由を聞いても?」
「まず、俺ですら知らないのに紅月が知ってるわけないからだ。確かにアイツとの知識には結構差があることは認めるけどさ、流石に現実で同じ所属なのにここまで曲がった技術を習得できる環境ではないはずだ。何なら生物を機械化なんて論文、見たことすらないからな……」
「なるほど、貴方が何を仕事にしてるか知りたいですけど、そこまで言うなら私も信じましょう。ですがゲレームが一人歩きしていると言う可能性が拭い切れてませんよ。」
ケルストが納得したそぶりを見せたと思ったらこれだ。だが、不愉快ではない、俺もその子tについてちょうど考えていた頃だったし、でもやっぱり答えはこうだ。
「………無理だな。」
「無理?、できるできないじゃなく?」
そう、普通そっちだ。できるかできないかっていう観点で物事を見るのは正しい。可能性が0じゃない以上はそう言う考え方の方が合理的で正しいのはわかってるんだけど、それでも無理と断言できる理由はある、それは、、
「………アイツらの技術力を前に見たことあんだけどさ、紅月の技術力より10年くらい前なんだよあそこ、とにかく進行速度が悪い。」
「組織なのにですか?」
「あぁ、紅月が愚痴をこぼす程度には。加えてさ、10年も差があるとなると、流石に考えずらいんだよそんな技術水準でこんなもの作れるかっていうの、まぁ俺の勘だけどさ。」
「確かに、10年は大きいですからね。ガラケーとスマートフォンくらい違いますし、、」
「そうなんだよ。だから無理って感じ。プログラムちょっと触った程度のやつがAI作れるかってこと………」
我ながらのいい例えで、ケルストはだいぶ納得した様子だ。他にも技術の毛色が違うなんか言えることはあったけどどれも根拠性のないものばっかりだったし、、これくらいが言える限界だと俺は思った。
そう、結局これだけの言葉を並べても最後に決定するのはケルスト自身だ、俺じゃない。俺はハナからこの件に関しては意見を言えるだけの立場なんだから。
「……………では、この技術を保有しているものはまた別のものと考えて、捜査を始めましょう。全くもってブラックボックスだらけですが、」
「それはよかった。」
心の底から安堵して、言葉を漏らす。何も良くはないがという視線を向けてくるケルスト、わかっている。だが紅月が面倒な目に遭うのは俺としても不本意、あっちに矢が飛んでいかなかっただけで個人的にはマシだ。大変なのはここからだ、
「一応釘打っておいてくださいね、その人に…まだこれは仮段階の決定なんですから。まぁ結局誰が、なんのために、どんな技術で作り出したか、わからずじまいですけどね………」
「どちらにしたってかなりのやり手だろうな……こんな大々的にアークデーモンに貼り付けておいて回収する気がないってことは、よほど自信があるのか、はたまたそんな必要ないのかって所だし。」
「いっそのこと、魔法国の古代技術とでもいえばよかったんですけど。」
「流石に私情だろって門前払いされる未来見えるぞー。」
「ですよねー。はぁ、頭が痛いです。」
「あ………そーいえば、国の問題って最初に言ってたけどあれは?」
今更感がすごいが、俺は思い出してしまったので聞かない訳にはいかなかった。
「あぁそれ大事でした。────実は最近このアークデーモンしかり、背中に"ついている"モンスターが増えてきましてね。」
「それだけ?」
「ならわざわざ言いません。そいつらが、実は行動パターンにない群れでの行動を始めまして、定期的に国の周りで暴れているんですよ。」
「はぁ?そんなに大事なことなんでさっきの会議で出ないんだよ?!」
何のための定例会議だっと言わんばかりの勢いで言うも、ケルストは首を振りながらこう言った。
「あっちは、NPCなので行動パターンだとか言っても聞きませんし、それにこの情報は不明点が多いので取り上げる訳にもいかなく………」
大きなため息をつきながらそう言われれば、流石に俺も非情には言えない。そっかーっと悔しいながらも納得して何とも言えないもどかしさを感じる。やっぱり話し合いの世界は苦手だ。
「ですが、対策は立ててますよ。そのための聖調聖天です、遠征部隊の編成はすでに完了してます。」
「さっすがぁ!……あ、上にはなんて言った?」
「貴方が行きたいからと言っておきました……なので武装はご自由に。アグラーには文句を言われましたがね。」
「よっしゃー!!、長期遠征じゃねぇーかいい報告待ってろよ、3日で戻る!!」
「伝えておきます。」
俺はそのまま勢いのまま、扉を壊す勢いでいつもの部隊宿舎に行った。そういえばこんな性格だからか紅月からバトルジャンキーと最近言われるようになった、全く何もわかってない。俺は戦うのが好きなんじゃなくて本気で競って勝つのが好きだって言うのに。
『topic』
聖帝国には三大派閥が存在し、調和の名の元に聖帝国の中で新たな風を吹かせている聖調聖天。ルールに重んじルールに従い、聖帝国に仇なすものを罰する厳格な保守派の聖護聖天。神を信仰し聖帝国内で一番古くからある由緒正しき聖命聖天。この三つの派閥が国の首脳であり、国を管理する大組織である。
聖帝国にも貴族という存在はいるものの、それすらも派閥に吸収されている形であるため基本的に資本の独占がなく、比較的に穏やかな日々が続いている。
三大派閥間での抗争は全くといっていいほどなく、逆にそれぞれがこの三大派閥の体制をとっているからこそ穏やかな形でいられることを理解しているため、互いに真っ当な協力関係で日々を仕事に励んでいる。




