九十一話「来るなら、来るな。」
前回のあらすじ
装備が完成した紅月は日の出と共にウミさんと魔法国へ旅立つ、道中何気ない会話の中で"世界崩壊戦争"について触れる、しかしその時誰も予測しない介入が二人を襲う。
「───────、天使族」
土煙漂うクレーターの中からバサっと翼を大きく広げ、その神々しいであろう姿を俺たちへと見せる。そして感じる敵意にも似た視線、間違いなく相手は俺たちを狙って突撃したきた。
「────紅月様。」
「………ウミさん、ここは俺が出ます。手は出さないでください!!」
それだけ言うと、目の前の天使族が間髪入れてずに手に携えた槍を構えてこちらへと挑んでくる。相手が向かってくるのとほぼ同時のタイミングで圧縮状態であったスラスター出力を瞬発的に解放させ、同時に腕部に格納してあったビームサーベル二振りを射出と同時に両手で構える。
相手の槍とこちらのサーベルがほぼ同じ力とスピードでぶつかり合い、鍔迫り合いを一瞬起こす。しかし両者共に蓄えたスピードにそれぞれの武器は置いていかれ、結果無傷のすれ違いが起こる。続けて相手がこちらに向かってくることを予測しスラスターを急速展開、勢いを殺さず振り返り敵である天使族に向かってビームサーベルを振りかざす。
槍で軽く受け止められ、切り払われた隙に腹部を狙う一線が槍から放たれる。瞬間的なバレルロールと相手の槍の軌道をずらすためにサーベルで打ち切りをし、直撃をなんとか避けきる。
背後に回った俺は無茶苦茶な姿勢バランスの中、その翼を切りにかかる。しかしお見通しのように背後から光球のようなものが突然浮かび上がる。嫌な予感がしサーベルを引っ込め咄嗟にビームシールドを構える。
背後から放たれる光線は俺のシールドに吸い込まれるような形で奴と俺との距離を離す。
照射型であったからか、相手が打ち終わるまで俺はビームシールドを引っ込めるわけにはいかず、両者一定の距離感となった。
(さすがエクストラタイプ、一筋縄じゃ行かないか。だが………!)
相手が俺に向かって光線を放ち、遠距離戦に徹しようとする。回避運動を織り交ぜながらシールドで自分の身を守りつつ、もう片方の腕にビームマグナムを構える。ビームの収束から発射までの間隔は今回の改修で解決済みだったため、引き金引くと同時に高威力の一撃が相手へと放たれる。
相手はそれをすかさず盾でガードするも、反動が大きいからか少しの隙が生まれる、その隙を見逃さずナパーム弾を発射する。ビームマグナムよりも速い射速だったため相手はガードする暇なくそれの直撃を受ける。青色の爆炎が目の前で広がり武装の強力性を再認識する。
(終わりか………)
そう思ったのも束の間、先ほどよりもはるかに早く太い光線が煙の中からこちらに向かって一直線に放たれる。ビームシールドの展開をギリギリに間に合わせ、直撃を避けるも、
(押し切られるっ)
そう感じた通りに、ビームシールドはオーバーヒートを起こし、俺は空中でのバランスをモロに崩す。そして槍を携えた天使族が一点突破でこちらに向かって突撃してくる。流石にまずいと感じる、
「─────魔力放衣!」
ビームサーベルを引き抜き、魔力放衣で腕からサーベルを纏う。部分的に纏うのはいまだに慣れてはいないが、ここでやらなくては確実に負けると感じた俺の決死の成功だ。
サーベルは内部魔力の容量を大きく超え、通常時よりも2、3倍ほど巨大化する。差し詰めハイパービームサーベルのようだ、
そして巨大化したサーベルを突撃してくる天使族の槍に向かって切り合わせる。鍔迫り合いのようになった武器と武器の間には稲妻のような閃光がほとばしる。やはりただの武器ではない、ビームサーベルと互角に斬り合っている時点で予想はついていたが相手の武器は確実にただの鉱石では構成されていない、少なくともビームサーベルは魔力砲と同じく魔力を圧縮し熱源に変える形で顕現している。
高熱帯と鍔迫り合いを行える武器の方が指で数える程度だ。にも関わらずこの結果、
「──────っ!!」
少し力任せに俺は相手の槍を押し返し、切り払った。天使族は少しヨロケを見せるだけで特に動じた動きはない、そればかりか一種の無機物のようにこちらに殺意を抱いたまま武器を構える。
だが今の俺にはもはやここで戦う理由はないと察していた。
「お前、鷹橋だろ。」
最初から予想はしていた。天使族がそんなホイホイそこら辺にいる存在なのかということ、俺に向かって一直線に突撃してきた理由、そして何も言わずにすぐ交戦に入るところ、
これが鷹橋だったらという理由なら全てが片付く。
「………はぁ、まバレるよなそりゃ。」
鷹橋はそう言うと、ゆっくりと地面に降下しながら自分の素顔をすぐに俺に見せた。
顔を見ずともすでに答えを得ていた俺は色々と納得しながら鷹橋と同じように地面に降り立ちに行く。
「なんでバレたか聞きたいか?」
「いや、言われなくてももうなんとなく俺もわかってるよ。」
戦いをやめた俺たちにウミさんは少し警戒しながらもゆっくりと近づいてきた。
「た、鷹橋様。」
「よ、久しぶりウミさん。」
驚くウミさんに鷹橋はまるで何事もなかったかのように軽く挨拶をした。
「で、なんで俺たちを攻撃したのか…もちろん聞かせてくれるよな?」
俺は紅月の肩をガシッと掴み、少し怒りの感情を露わにしながら鷹橋にそう言った。別に俺は鷹橋だったから交戦した理由に納得しただけであって、鷹橋が交戦する理由に納得したわけではない、差し詰め力試しとか次の瞬間コイツは言うだろうが、
「………………ちょっと通りすがったから。」
「で、本音は?」
「力試ししてぇなぁ……って。」
ほらみろ。
「相変わらずの戦闘狂、、というか競争意識だな。」
コイツは実のところ昔から他人と競い合うのが一番楽しいっと感じる部類の人間、殺し合いが好きなわけではない、ただただ純粋に切磋琢磨し合う関係が心地いいと感じる人間だった、鷹橋は今まで多くの好敵手を自分から作り、そして負かしてきた。その最後で現在が俺だということ、
「そりゃあ、お前をいつ超えれるかわからないからな。」
好きあらば対決、コイツの頭にはそれしかない。ここ【SAMONN】であるならばいつ勝負を仕掛けてきても文句はない。ここはそういう世界であり鷹橋にとってまさに楽園のような世界なのだ。
(やられている側からしたらたまったもんじゃないけどな。)
「まぁ、今は興醒めてるからやらないけどな。」
「それは、よかったです。」
ウミさんが安心したようなそれでいて微妙そうな表情をする。本人からしたら突然闘いに巻き込まれているのでもっともな反応と思いつつ。
「ほら、謝れ。ウミさん動揺しきってるだろ、」
俺は鷹橋の頭を掴み45度に頭を下げさせる。
「ぅぐ。す、すみません。」
「ウミさん、コイツは昔からこういうやつなのでどうか許してやってください。」
「え、ええ。はい。」
ウミさんの言葉を聞き入れると俺もやれやれと思いながら鷹橋の頭を元の位置に戻した。本来ならもう少しまともな謝罪をさせた方がいいのだが、、
「じゃ。ケンカだけしにきたのならここでさよならだな残念ながら俺たちは今依頼を受けててな、」
俺はそれだけ言うと鷹橋を置いていくように続く公道に進路を合わせる。ウミさんも少し様子を見つつ、俺の後についていく。
「あぁ魔法国いくんだろ、俺もついていくぞ。」
「…………、はぁお前なんで。」
どうしてついていくのか、よりも俺はなんで知っているという気持ち強めで鷹橋にそう言った。鷹橋少し得意な顔になりつつ次のように語った。
「俺も上からの命令でな。核魔力結晶の行方を追えっていう。」
「────紅月様!!」
その言葉に一番早く反応したのはウミさんだった。すぐさま俺の前に立ち、鷹橋に対して警戒心を向ける、無論俺も一歩遅れだが、その言葉に大きく反応し鷹橋を見る目を変える、
「紅月様、この依頼は文字通り機密です。ですが盗賊の件を思えば……」
ウミさんは俺がギリギリ聞き取れるレベルの小言を落ち着いた声で言った。内容に対しては俺も同感だった、が。
「少し俺に考えがあります。手は出さないでください、」
俺はウミさんの少し前にでながら彼女にそう言った。聞き入れたウミさんは少し不服そうな顔をしながら一歩後ろに下がる戦闘の構えをやめ手は横につけてはいるが、彼女自身の警戒心がさらに高まっているのを感じた。
「随分と露骨な反応するんだな、それじゃ持ってるって言ってるようなものだぞ。」
「お前こそ、持ってることを確信して言ったろ。」
「違いねぇ。」
鷹橋はバカじゃない。脳筋という意味ではそうだが、コイツは意外と計算高く、そして騙されてしまうほど狡猾なやつだ。こと会話においては核心をつくのがうまく、それでいて何も考えていなさそうな態度と顔からは正反対のことを常に考えている。
「で、お前の言葉をそのまま受け取るなら、今回は不干渉ってことでいいんだよな?」
言葉を見ればそんな意味を含んでいるようには取れないが、鷹橋のことだ。どうせやれと言われたらそのままやるというやつだ。行方を追うなんていう抽象的な言葉を使うということはコイツに少なくとも攻撃的な意は含まれていないはずだ。
「あぁ、曰くただ見届けろって感じだな。」
(やっぱりか。だが)
次に上がる問題はこいつが嘘をついていないかどうかだ。二度目になるが鷹橋はバカじゃない、それ故にゲームとかではコイツが嘘をついているかいないかが重要になる。
無論目標達成には嘘をつくようなやつなので俺は今一番警戒している。
(しかし嘘をついているようには見えない。)
ゲームはゲームでも下手すれば殺し合いに発展する空気だ。そんなシリアスじみた空気感でもコイツが嘘をいえるほどの余裕があるかないかで言えば絶対ある。しかし言うか言わないかで言えばまず絶対あり得ない。
「見届けろって、何が目的なんだ?」
「俺に聞くなよ、俺だって上の命令がなんなのかたまにわかんねぇんだから。」
らしい、鷹橋らしい回答だ。だが本当にそれとは別に鷹橋についての情報が出てこないことに違和感を感じる。いや所属の秘匿は至極当然なのだが、あえて言わないようにしている感じもあるかないかで言えばありそう。
(考えたって仕方ないのはそうだが。)
「………まぁただこれだけは言ってやる、俺は絶対にお前達に危害を加えることがない。」
「──────言ったな。」
「あぁ。約束するよ、」
まさか本人の口からそれが聞けるとは思わなかった。しかも約束付きで、俺は納得というか理解するまで少し時間を要したが結果的にこの言葉を信じることにした。理由はまぁ鷹橋だからだ。
「で、これで信用してくれるよな?」
「、するとも。今のところはな」
「へいへい」
鷹橋は俺にゆっくりと近づき手を差し出す。握手だ。次の瞬間殺し合いをする雰囲気にはならなさそうだなっと思った俺はその握手に答える。
「お前、考えすぎだったぞ。」
「こっちはしてもおかしくない状況なんだよ。察しろ」
俺は片手で手招きをしてウミさんを呼ぶ。ウミさんからは警戒が少し飛んだ状態でこちらに向かってくる。
「で、お前核魔力結晶について誰から知った?」
「上から。としか言いようがないなそれも、」
「………仕方がないか。」
核魔力結晶を知っているような口ぶりで鷹橋は少し困り気味にそう言った。コイツも今は雇われの身というのだからそう言った意味では仕方がないのかもしれない。そういう意味を含ませながら俺は小さくつぶやいた。
「ウミさん、少し危ういですがコイツも連れて行きます。構いませんね、」
「はい、紅月様が大丈夫という私は元々。」
「うっし、それじゃあ行くかー!」
2人旅が3人旅、旅は道連れという言葉があるがまさにそういうことだ。ま、三人目に当たる人物が鷹橋でよかったなと俺は思う。
「そういえば、紅月。お前俺のこと本名で呼んでるけど一応フライっていう名前あるんだからな?」
「あれ、そうだっけか?。」
「いや、第二回公式大会でも同じこと言ったからな。」
「まぁ………めんどくさいし鷹橋でいいよな?」
「よくねぇよ!なに何事もなかったかのような顔してんだよ、個人情報漏洩もいいとこだわ!!」
「──鷹橋って苗字多いと思うぞ、」
「急にマジレスするなよ!、自分で考えててもそうだったけどさぁッ!!!」
息切れしながら鷹橋は俺にひたすらツッコミを入れる。あぁやっぱ鷹橋は鷹橋だ。一生俺は多分フライという名前を覚えられないだろうなっと思う。それと同時にコイツで遊ぶの楽しいっと絶対本人の前では言えないようなことを思った。
「何わろてんねん!!」
そうして仲良く三人(主に仲が良い二人)で何子供なく道を進んでいき、気づいたら夜になっていた。公道のど真ん中でテントを張るというのもいかがなものなので、少し外れた森の中で一晩過ごすことにした。
「そういえば鷹橋、お前キャンプ道具持ってきているのか?」
今更ながら薪を前にして俺は鷹橋にそう質問する。
「ない。俺の翼なら本気出して1時間で着くからな。」
「そうだろうな。」
レーダーに感知と同時に接触してきたやつだ。まずスピードという概念で差がありすぎる。俺のスラスターも推進剤や燃費の問題で重力圏だとそこまで効力を発揮できない。シュミレーションや理論的にいえば宇宙で使う用の装備でだからだ、超速移動するならこの世界由来の飛行能力持ちの方がよっぽど早い。(翼とか魔法とかetc)
「…でもお前核魔力結晶持ち探す予定じゃなかったのかよ?」
「門で張ってれば良いんだから、そうでもない。魔法国に行くっていう報告も聞いてたし」
「そこまでバレているのか。」
鷹橋は上から聞いたんだろう。しかしもはやこれでは漏洩も何もあったもんじゃない、普通に掲示板にはっつけてあるのと同じだ。誰がこんなことをっと正直思う、盗賊と鷹橋じゃパイプライン的におかしいわけだし。
「そういえば、お前どこ出身なんだ?サイモンにはいないだろうし…」
「俺は聖帝国インディアリアってところだ、聞いたことないか?」
「ない」
「───言うと思った」
鷹橋はハァっとため息をつきながら、目を瞑りまいったような態度をとる。まるでこちらの無知を遠回しに呆れているようだ。
「聖帝国インディアリア、世界的有名な宗教であり、永紳リアを崇拝し信仰している大規模な国です。所属している人の半分以上は教徒であり、現実の宗教と同じような天使や神聖属性を使用する種族を神の使いとし、同じく崇拝される立場にあります。普通に宗教都で構成された大国のような見方で大丈夫です。ですが、宗教主義なので一部過激な考え方を持つ方もいるので取り扱いには注意が必要です。」
「ありがとうウミさん。」
鷹橋が口を開くまもなくウミさんが料理を作る片手間で淡々と解説を始める。鷹橋は気が抜けたように口を開き歯にしながら止まっていた。まるで出番をちょうどとられて残り物を任された哀れな人のように。
「全部言われた………」
「そりゃそうよ。だってウミさんだぞ?」
「はい、私ですので!」
ウミさんは鷹橋にも見せるようにドヤッとする。意外とこういうところがあるのがウミさんが慕われる、慕う理由になるのだと俺は全く別のことを思う。
「もういいや。」
「ていうか、鷹橋も天使ってことは…なに?、お前崇拝対象なの…」
少し面白がるように諦めたばっかりの鷹橋にそう言う。
「ああそうだよ、悪いかよ!崇拝されなさそう柄で悪かったな!!」
「落ち着け、今のじゃただの自虐だ!」
「知ってるわ!!、わざわざ追撃すんな!」
やっぱり鷹橋をいじるのは楽しい、人をおちょくる趣味はないと個人的に思っていてもこいつといる時はなぜかものすごく自分の言動がおかしくなっている気がする。こいつには人のバランスを崩す能力でもあるのだろうか………気になる。
「あの、聖帝国は天使族でも冒険者をやるのでしょうか?」
「いや、やりませんよ。やったら普通に教徒たちに殺されます。」
「そこまですんのか………?」
少し意外というか、わざわざ反応するために俺はしれっと口が出る。それに対して鷹橋はすぐにこちらを睨みつき
「お前少し黙ってろ。」
っと言った。
「それで話の続きですけど、まぁ殺されるので基本は俺は聖調聖天っていうところに所属してます。」
「聖調聖天……確か聖帝国にある国家中央派閥の一つですよね?」
「そうですねー。聖調聖天は"神に遣える"ってあってはいますけど、結構そうじゃない人もいたりして主にモンスター退治とか、なんか国民のお願いなんかを聞いたりしていたらとりあえずなんでもやってる感じです。」
「なら、基本冒険者と同じことやってるってことか。」
「まぁそれとも少し違うんだがもうそれでいいや、」
だんだん鷹橋が俺に対しての扱いが適当になっているような気がする。
「結構機密事項が多いんでこの話はおしまいに。そろそろお腹が減ってきたもんで」
なんと図々しい。しかも話をうまい具合に区切って語れることを少し語って終わりにしやがった。
「もうご飯ができるので、少し待っててください。」
「いやー、やっぱり誰かにご飯作ってもらのはいいなぁ。紅月が羨ましいよ、」
「心にも思ってないこというな、俺の食生活知ってるだろ。」
「あぁもちろん。」
やられた返しのように鷹橋はニヤニヤしながら俺にそう言った。言われる側はこんな感じなのか、っと思うがそれで反撃をやめる理由にはならないため、ウミさんが料理を作り終えるまで俺と鷹橋はそれぞれ言い争いをしていた。しかし一度食事の時間が始まるとそれぞれ黙々と食事を続ける。一周回って不思議だ
「ふぅ、ご馳走様でした。テントの班分けどうする?」
「いきなりだな、ていうかどうするもなにも決まってるだろ。」
「はい、決まっています。」
少し息を吸って、頭に考えてあることをそのまま口にする。テントは二つ、使い方は明白だ。
「俺と鷹橋。ウミさんで分ける」
「私と紅月様で残りの一つをフライ様に」
『…………え』
互いに顔を見合わせて、異なる意見に驚く。言っている言葉が被ってこともあってか、俺も自分がどう言ったのかウミさんがなんて言っていたのか最終的にはわからなくなっていた。
「おうおうおう、しっかり別れたな。聞きまちがかもしれないからもっかい言ってくれ、はい紅月。」
「俺と鷹橋。ウミさんで分ける」
俺は止まっていた頭をもう一度動かし自分の口から言った言葉を再度口から出す。
「でウミさんは……?」
「。。。。」
「ウミ、さん…………?」
俺は顔を隠したウミさんに対して不思議そうに問いかけた。しかし本人のちっとも動かない。
「私は………あ、紅月様と一緒に、残りはフライ様にと。」
『────────』
俺たちはなにも言わなかった。ウミさんが顔を隠しながら恥ずかしそうに語る言葉に普通ならば「いやそれはないでしょう。」っと言うところなのだが、そんな言葉が咄嗟に出ないくらいには俺たちは驚いていたし、同時にそれを真偽かとも疑った。
「………俺のプランで行くか。」
「ウミさんがそれでいいならだけどな。」
「────、、、」
ウミさんは顔を隠しながらコクコクと頷いた。俺はというか多分鷹橋も思っただろう、この話は忘れようっと。
そうして俺たちはその後特に面白い話もなく就寝して、次の日に移った。ウミさんが持ってきてくれた充電器は鷹橋との戦いで消費した分を満タンになるまで回復できたため、持ってきてもらってよかったと思った。
ウミさんは何事もなかくいつものテンションでいたが、なんだか少し眠そうではあった。それが特に気がかりだったとかそうではなく、なんとなく気付いただけ。
そして昨日のように公道を歩きいていく。
「もうすぐ魔法国ですね。」
「ですね、どんな国なのやら。」
「っても紅月は留守番だからな。」
「あぁ…………っぁああ?!」
俺はしれっと流した言葉を拾い直してそう少し大声で叫んだ。
「なに驚いてんだよ、流石に知ってるだろオートマタ立ち入り禁止くらい。」
「いや初耳だが!、ていうかダメなのか!?」
「はい、そう言ったつもりでお伝えしたのですが。」
私はしっかり伝えましたが、のようにも聞こえるその言葉はまるで俺だけ取り残されていることを補足するような言い方にも聞こえた。
「魔法国と練鉱国は仲が悪いのは知ってるだろ?」
「知ってるけど………」
「そのせいで、魔法国はオートマタの入国を基本禁止にしてる。正直やりすぎだと毎回思うけどな。」
まじかーっという感じだ。鷹橋の説明はもっともだし今までの小さな違和感を拾っていけばオートマタが魔法国に入れないという事実も信じられない領分ではない。
「一応偽装用のアイテムも持ってきましたが………」
ウミさんがアイテムボックスから、布切れのようなものを取り出す…
「あー悪くはないんですが、ちょっとこれだと最悪ってこともありますかね。」
っと冷静に鷹橋は返す。二人がどういった次元の話が頭で進んでいるかわからないが、兎にも角にも俺が待っていなければならないということはわかった。
「じゃあ俺本当にどうしてればいいんだよ、ウミさんを一人で行かせるわけにもいかないだろ?」
「、どうしてだ?」
「え、、っと。」
どうしてかと聞かれれば危険だからという理由だが、ウミさんは少なくとも戦闘面で弱いわけではない。しかしそれでも俺の中やルルカが言った言葉を取り消せるわけではない、
「……ともかくだ。明確な理由ってわけじゃないが、」
「────なるほど、お前のいつものか……それじゃ俺も文句は言えないな。よし、じゃ俺がいく。」
「フライ様が……ですか?」
「………いいのか?」
「いいとも、俺もちょうど今気になることができた。別に任務中に寄り道するなんか言われてないからな。」
鷹橋は俺の話を軽く納得し、いつものような頼もしい一面を俺に見せた。
「…………紅月様を近くに待機させておいてもよろしいでしょうかフライ様、」
「もちろん、第一こいつの"ソレ"はもう未来予知とかと同じで、いい場合は特に良い。だが悪い場合には天災が起こってもおかしくないからな、ないかあった時は遠慮なく呼ばせてもらうぞ。」
「あぁ、外で待っているだけなんて申し訳が立たないからな。」
「ではいきましょうか、検問所はすぐそこです。」
『topic』
サイモンの図書館は攻略班のせいで大陸一の図書館と呼ばれるようになってしまった。




