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【7章開幕】“VR MMO RPGってなに?”〜ほのぼの理想を目指してプレイしていたら『死神』扱いされた?!〜  作者: ハンブンシタイ
6章 プラモ好きが妹と始める最初の町編 中級
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八十八話「素材集め2(?):モンスターの素材」

前回のあらすじ


 紅月は装備の大部分の素材を入手するために鉱石店へ向かう。しかしそこで現れたのは犬猿の仲であるレナだった、いきなり喧嘩腰のレナを落ち着かせ、必要素材の購入に紅月は移行する。しかし素材が足りないというレナに紅月は半無理やりに鉱山へと連れていかれる。

不利な装備で苦戦を強いられつつもレナのために鉱山内のモンスターと戦う紅月、鉱石を取る関係上、たまにしか戦わないレナ。2人は大収穫の末、店へと戻り紅月は不満を垂れ流しながらレナの鉱石の購入に成功する。



 「よーいしょっと。」


俺はレナから買い占めた鉱石を一つ一つ加工し終え、近くの机の上に並べる。机の上には今自分が置いたパーツのようなパーツ達が綺麗に整頓されている。これがルルカだったらおそらく


 (山積みのようにして後に回すだろうな。)


っと本当だが本人の前では言ってはいけない言葉を考える。ともかく鉱石類はこれで問題なし、正直予備分を買うような余裕はなかったため一発勝負のようなものだが、アズサのところで鍛造のなんたるかを学んでいたおかげで特に苦戦はしなかった。縁は大事だなっと思いつつ俺はレシピを開く。


 「次はその他の魔物類。っと言っても重要部分は鉱石の方との合成だし、錬金術とか胡散臭いやつはどれも初歩的なやつで済む。高位の素材なんかも今ではコレで済むからな。」


俺はポーチから金色のメダルを取り出し、指で上へと弾く。一度やってみたかったはさておき、このメダルは


 『冒険者ランクが上がるともらえるメダルで、いっぱい集めたら私の隣のあの紫の子に話しかけてください。いいことが起きますよ!』


っとあの受付さんは言っていた。まぁいいことがなんなのかは見当もつかない俺なので聞く前に調べた、なんというか何も知らずというのも時にはなぁっと思ったからだ。

自分で調べるほうがあながちしれることも多いし、


それで結果はというとこのメダルを数個消費することによって魔物の素材と交換が可能、特にレアドロップと呼ばれるものですら一度狩っていれば問答無用で取り寄せが可能なそうだ、(攻略サイト曰く)でまぁただじゃあるまい。ましてや"ちいさなメダル"なんかのように一定数交換なんてそんなシステムでもない。

ただ単純に交換、素材に対して要求されるだけのメダル…じゃなかったメダルを渡す、それだけだ。


幸い、冒険者クエストをランク高い順であれど、こまめにこなしながら得たためメダルの貯蔵は十分。計算ができない俺でもあるまい、必要数やり大幅に余裕があるため、今回はただのお使いだけで済みそうである。


 「よし、パッパと行ってパッパと帰るか。」


そう年甲斐もなく内心ルンルンしながら俺は冒険者ギルドへと向かった。当たり前だ、前回はやらなくていい(やらなければならない)労働をしてクタクタでベットに体を落とした手前、簡単に済むのであればどれほど嬉しいことか。

今回は面倒なレナにも遭遇しないわけだし、もしかしたら思った以上に早く終わるかもしれない。


 

 っと(今思えば)浅はかにも俺はこう思っていた。考えてみろよ若葉暁、今までのことを考えれば少しは予想できただろう、俺に限って変に楽な話なんてあるわけないと。



 「申し訳ありません!!ただ今ギルドへと運ばれる重要物がとある盗賊に襲撃を受けまして、現在メダル交換受付はご利用できません!。」


 「………………………そうですか。タイヘンデスネ、」


そう言いながら俺はカウンターを離れ、大きな掲示板に一生懸命に緊急依頼書を貼る受付嬢を見た。そしてその緊急依頼書の一枚目を貼った瞬間にそれを奪うように掲示板から剥がし取り。


 (──────、盗賊めぇッ!!!!)


うちにこもった怒りを抱きながら、俺はいつのまにかギルドを飛び出し。町を飛び出し、公道をブーストダッシュで走り続けていた。無論、行き先はわかっている、受付嬢さんが涙を少し浮かべながら俺へと教えてくれた、我ながら酷いことをしてしまったと思ったが今はそんなことを気にしていられるほど冷静ではなかった。


公道をまっすぐ進んでいくと、生体反応が先にレーダーに引っかかった。何人かの冒険者が盗賊相手に振り回されながら苦戦を強いられていた。だが荷物自体は無事だということがわかると俺はついに我慢しきれなくなり突撃していった。



 「くそ、こいつらしぶといっ!!」


 「援軍は……まだなのか、」


 「へへっ!くる前にお前たちを八つ裂きにしてや───[ビィィィン!!!!]───」


なんかしょうもない茶番劇みたいなことをしている盗賊の頭をビームライフルで撃ち抜く。盗賊はパリンっという音と共にガラスの破片のように砕け散った。


 「な、なんだぁ?!」


 「あっちからだぞ、まさかきやがったってのか?!、この距離をッ!!」


盗賊が呆気に取られて動きが止まっている、なら格好の的だ。俺はビームライフルの冷却を確認し、もう一撃を盗賊の頭に向けて放つ。

命中。続けて2射するも、流石に警戒され始め回避された。


 (大人しく当たってくれれば、早く済んだものをッ!!)


対人刀を引き抜き、白兵戦の準備をする。狙うは全員。無論盗賊と思わしき奴らだ、こっちは装甲が薄くて、まともな武器が対人刀しかなくてビームライフルの残弾も(作ってないから)ほとんどない中の戦闘。一個人いちこじんの意思が8割を覆い尽くしてはいたが武装的な意味でも俺は早期に片付けようとかなり躍起なっていた。


 「くそっ!なんだかしらねぇがくだばれェ!」


1人の大盗賊がこちらに向かい武器を振り下ろす。一撃で倒せるとでも思ったのだろう、あまりに隙が大きすぎる一撃を盾で受け流し腹部に蹴りを入れ、トドメを刺すように対人刀で頭部を潰した。


 「ひっ!」


俺が次の敵を見るとそいつは瞬間的に怯え始めた。今更何を、と憤りを感じつつゆっくりとそいつへと迫る。


 「隙ありっ!!」


背後から、隠れていた盗賊がまた一体姿を現した。スキル持ちだったのか随分の自信ありげに体を晒していた。しかしこちらは根本的に探知方法が違う、レーダーは生物が発する固有の生体反応を軸にして戦う。それつまりいくらスキルで姿が見えなかろうが、いくらスキルで魔力を遮断していようが問答無用で探知できる。


 奇襲のことはもちろんわかっていたので、対人刀で飛びかかってくる盗賊の腹へと迎えてやった。熱したバターを切るより容易く盗賊は上半身と下半身を分けるように一刀両断され、地面へと体を打ちつけ、消えた。


 「まだいるのか。」


しかし盗賊が飛び出してきた方向の奥を見ると、またゾロゾロとこちらに向かってくる悪い顔をした奴らがいた。おそらく増援だろう、いったいどれほど大切なものをこんな軽率に運んでいたのやらっと思いつつ俺はすぐにでも片付けたい気分なので、盗賊の中へと突貫した。


 「あぁん?、1人かよ。これなら俺でも……」


そう言った盗賊は頭に対人刀を差し込まれ、呆気なく倒され。


 「兄貴の仇ぃ!」


そう言って背後から飛びかかってきた盗賊は頑強な装甲を貫けるだけの武器がなく、逆に強固なシールドによって頭部を潰されることになった。


 「このスピードについてこ─────…」


そう言いながら今にも走り出そうとしていたやつは、対人刀によって自身のスピードの勢いのまま体が真っ二つになった。


 「こうなりゃ格闘戦ダァ!!」


っと言って、シールドに体当たりした奴は全身の骨がズタボロになり勝手に再起不能になった。


 「俺の回避率は93%、当てられるものなら当てて────…」


っと言っていた奴は頭部をとりあえず放っておいたら、いつのまにか死んでいた。多分対人刀で次から次へと切っている最中にたまたま当たってしまったのだろう。


 「ふ、奴は四天王の中でも最強……つまり俺の敗北だ。」


とか言った奴はかなり潔かった。一周回って手間が省けたので楽だった。


随分の愉快でそれでいて俺に疲れさせる要素を持った盗賊たちは1匹残らず俺が掃討した。

余った臆病そうなやつに本拠地も聞き、森の奥にある洞窟の中にありいかにもなところであったしトラップなども人数などももちろん多かったが全て怒りのままに破壊して回った。

途中から魔力放衣を全開にして、多人数を相手取りながらも全く引けを取らなく、それでいて最高効率の速度で盗賊たちを滅殺。


 「、全員か。」


レーダーに反応なし。とみなした俺はふと我に帰ったように自分の血まみれの格好を見ながら元いた場所へと戻りはじめた。


 (なんで【SAMONN】って消え終える寸前まで血とかが起こるんだろう。血生臭いわけじゃないが、ルルカが見たらというか見られたら確実に嫌な顔される。)


帰ったら装備を洗おうと考えながら、俺は森を出て公道に出た。


 ふと何やら騒ぎのような声が聞こえたので振り向いて見ると、森の前で何やら屯っている人々が大勢いた。なんのことだろうと考えて見るものの少し疲れたので考えはそれっきり、俺は特に急ぐわけでもなく町へと戻っていった。

町までの道中すれ違う人々の視線が痛くはあったが、野外で装備を外すわけにもいかなかったため装備は町に入る直前で外すことにした。


 (疲れたなぁ)


っと思いつつ、これでギルドは安定に入ったバスだと認識した俺は落ち着いたギルドの風景を頭に思い浮かべつつ、扉を開けた。


 [ザワザワザワザワ]


俺の予想を裏切るかのように、ギルドはざわめいていた。遠足前の集合で皆自身の思いを語りながら待っているかのような雰囲気であり、後から加わった赤の他人である俺のことなんか見向きもしなかった。変にちょっかい出されたりする方が面倒だと感じていた俺は好都合と思い、メダル交換カウンターへと足を運んでいった。


 「あの。」


 「あ、はい!。」


慌ただしくしていながら、こちらの声に気がついた職員は受付に立った。奥にいる人達が書類やらなんやらを持ちながら随分と慌ただしくしているのが見えたので、俺は少し心配になり


 「忙しそうですね。」


っと軽い言葉をかけた。


 「はぃ。実はまた問題が発生してしまって、、ですがメダル交換は問題なく行えます、こちらのラインナップからお選びください。」


俺はカウンターに出されたりラインナップを手に取り、確認した。攻略サイトに書かれていたことと全く同じのラインナップ、そこまで深く見ることもなく俺は集まったメダルを取り出しながら、受付に声をかけようとした。


 「あ、ギルマスだ!」


1人の冒険者の声でザワザワしていた会場一気に静かになった。そして2階にいるいかにも厳格で偉そうな人に俺も含めてこの場の全員が視線を向けた。


 「ん゛ん。先ほど緊急クエストとしてギルドが依頼した『ギルド職員含む冒険者の救出』はすでに達成された。それも、驚くべきスピードでな、」


また周りがザワザワし始める。他人事ではないないので俺も耳だけ傾けながら、ラインナップに目を通すフリをした。


 「今回の緊急クエストは下手をすれば国家間の問題にもなりうる話ではあったが、ある一人の勇敢な冒険者によってその危機は脱された。」


………そうなのかぁ。


 「あ、すみませんではホワイトブルーの胸骨を六つ、それとレイズドラゴンの血色角を二つ、それと………」


 「目撃者の証言からして、その人物は"鉄血の死神"と呼ばれているようだ。」


 (わざわざその名前で呼ぶかなぁ)「あ、はい。149個ですね、持ってます」


俺はメダルを受付の人に渡し、そそくさ帰ろうとする、目的は達成したわけだから今すぐにでもここを離れたい。と思い振り返ってみると、ある一定人の人が俺の方を向いている、あ…そういえば知らない間に俺の顔を知っている人増えたんだったと思った。


 「本人に確認を取りたい故、見つけ次第私の部屋まで届けてくれ。」


面倒ごとが始まりそうだなと思った俺はまずいと感じ、そのままギルドから逃げるように扉に手をかけた。


 「ちなみに届けてくれたら飯を奢るぞ。」


その瞬間、この場にいる全員が獲物を見つけたかのような視線を俺の背中に飛ばしていることが瞬時に分かった。お前らはそんなにも単純でそんなにもわかりやすい奴らだったのかっと、思った途端扉を突き動かし、ギルドから飛び出した。


 (絶対追ってきている…!)


振り返りはしない、ただ俺の背後集まる視線だけで察することができた。数はいくつかはわからない、非装備状態の俺はレーダーが使えない、かといってここで装備したら余計に騒ぎを広げるだけだ。装備も洗えていない状態でしかも"鉄血の死神"としての装備、騒ぎを大きくすることは日を見るより明らかだ!!


 (だが無論、装備なければの俺だ。スピードじゃあっちが確実に上。)


捕まるのはもはや時間の問題、ルルカの工房に行ったとしてもそれは根本的な解決にはならない、言い方は悪いが犯罪者が他人の家に立てこもっているのと同じだ。


しかし面倒ごとは是が非でも嫌だ。想像できる、あの普通の話し声が爆音レベルのギルドマスターにその他諸々面倒なことを聞かれる未来がっ!!


 「待ってくださーい、何も悪いことはしませんよーー!!」


 (絶対嘘だろそれ!!)


猛獣を手懐ける時の定型文のような恐怖を感じる、人間不信ではないがこれほど信用してはいけない用語はない。


 「どうしたら止まってくれますかー!」


そう言いながらこちらを追ってくる人物。細い道に入って、撒こうとしても異常な追従性能でこちらを追ってくる。根強いファンか何かっか?!っと思わず小声で口に出してしまう。


 「金で買収できるならしてみればどうだ!?」


余計なことをっと、俺は思った。確かにこの先金欠になることが多い気がしていた俺からしたらその提案はとても魅力的だ、しかしただ一人のオートマタを捕まえるがためにそんなことをする奴はまさか………


 「わかりましたー、お金はありませんがメダルはあります!!ざっと300枚は渡せますよ!!」


ほらな!!金は無理だと。だがしかしそれよりもいい価値しているメダルを渡すとは、本当だったら止まる理由にもなりうる。


 「うーん、仕方ありません。最終手段です、彼女に連絡を。」


そう聞こえたところで奴らは追撃をやめた。そこら辺に隠れてもいいが、何やら変な違和感を感じつつ俺はとにかく移動を続けた。かなりの遠回りになったが最終的には町の門前までつくことができた。


しかし門の前には誰もいない。というか住人が人っ子一人いない、まるで俺だけ別のところに来てしまったようだ。だがそんなことはまずない、俺の直感がそう言っている。


 「………来たかッ!」


そう思い、少し後ろにステップを踏む。そしてそこに何かが落ちてき、町の床のタイルを粉砕した。


 砂煙が立ち込め、周りには人の気配が一斉に来た。やはりと思いながら俺は周りに目を配る。これは曰く待ち伏せだ。


 「さすがですね、紅月様。」


その聞き覚えがある声を聞いた瞬間、俺はもう一度大きく後ろへと後退した。


 「"決闘"」


その言葉と共に、俺は赤い半透明な壁い背をつけてしまった。


 (決闘システムここまでやるか)


そう思いながら、俺は目の前の相手の顔を見た。そうだろうなと思いつつ、心底今会いたくない人物だと俺は思った。


 「お久しぶりです。紅月様、」


 「あぁ、久しぶりですねウミさん。」


なんでこうなるのか…っと心底思うよ、本当に。


『topic』


ウミさんはたまにギルドからの直属の依頼が来るほど案外有名人。

ルルカで霞んでしまうが、本人もかなりの実力者、それでいて人当たりがよく冒険者の大半からはとても評判がいい。しかしその年齢に関しては禁句とされている。

※本人あまり気にしなしていないつもりだが周りからは焼き殺されると何故か勘違いされている。


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