九・五話「記憶が抜け落ちるほど楽しんだ。」
前回のあらすじ
宿敵と出会った。
「で、どうすんの今日は。ルルカの説教で結構時間使った(って聞いた)けど」
本当にそこは申し訳ないと思っているよ堅物女。
「うぅ〜ん正直(活動できる)時間ないから、明日に回したいと俺は思っている。」
「私も(※今日お兄様が泊まるから)今日は無理かも〜」
今ルルカの言葉に裏を感じた。気がするような、、。
「私は特には、、。」
ウミさんはルルカのことを頼まれてきているからな、、ゲームの中で来るなんて、すごい人だほんと。愛を感じる。
「じゃあ、今日はもう解散でいいか?。」
『賛成』
俺たちはレナとその場で解散。ルルカとウミさんも解散しようとしてた時、。
「ルルカ、俺まだ少しやることがあるから、ログアウト少し遅れる。それと工房使っていいか?。」
「うん?まぁいいけどちゃんと鍵閉めてねお兄様。」
ルルカが当たり前のことを言って俺の手に鍵を渡してくる。
「流石にそこまで世間知らずじゃないぞ俺は、、。」
そう言うとルルカはまぁね、みたいな顔をしてウミと一緒にログアウトしていった。
──ルルカの工房──
さて、ここから俺が何をするかというと、、
「試作品を増やさないとな、、。」
そう独り言を呟くと、設計図に書いてある素材、その他試作に使えそうなのを工房の中から見つけ、半オートで型を作っていく。手順は今までと同じ、型を使って溶解した素材をそこに流し込む。
ビームライフル、いやビームマグナムの試作だ。この間撃った時のあの威力はまさしくビームマグナム、かすっただけで瞬溶けする威力だ。しかし、安全性が保証されているわけではない、なので今俺はこうしていろんな素材を使って型を作っている。できたやつは前のように試し打ちをする。もちろん近くの森にでだ、自然には悪いが実験台になってもらう。
この時注意することは人目につかないようにすることだ、なぜならこんな超兵器の作り方が世に出回ったら一年戦争が始まりかねない。そして何より単純に誰かに見られたく無い、見て納得して把握できるほどこの仕組みは単純では無いが、それでも万が一っていうこともあるし、仮に、本当に理解されて真似でもされたら心から嫌だからだ。
「ありていに言ってしまえば俺以外に触れさせないってっっっね!」
そう言いなが俺はビームマグナムの引き金を引く。銃口にエネルギーの収束を一度行い、溜まり切った質量をそのまま目の前に発射する。
[バデュゥゥゥゥン!!]
とてつもない音とともに目の前のきが爆散。そしてこの間のようにドロドロと着弾点が溶けている。しかし、成果はあった。
「よし!。ライフルは無事だ!。なら次はどれだけ打てるかだな。」
排熱機能をより効率化させたことによって内部の温度で誘爆を防ぐことに成功した。そして俺は言葉で発した通りに新しい弾を装填しニ射目三射目を放つ。
[バデュゥゥゥゥン!!]
[バデュゥゥゥゥン!!]
[ドッーーーーン!!]
「う〜んもって3発か、進歩って言ったら進歩だが、、。」
俺は目の前の溶岩湖をみながらそう呟き、画面内にある時計を見た。先ほどルルカ達との解散から既に1時間が経過している、正直今日中に量産までさせたいところだが。しかし時間は嘘をつかない。あまり時間をかければルルカに何かをされてもおかしくはないという思考がよぎったところで俺は自分の行動の放棄を決意した。
「ルルカに(現実で)悪戯されたり、(ルルカに)泣かれたりしたら文句言えないしな。」
答えは次の瞬間口から出た、余計に危機感を覚えた自分はその場を後にし、すぐにログアウトした。
・・・
「でさぁ〜、、え?えっ!?」
「なんだあれ、、。」
二人は目を見開き目の前に広がる溶岩湖をじっと見つめた。
「…ここって地獄じゃないよな。」
「あぁ森の中だ、。」
二人は当たり前だが驚いていた。無座なら目の前にあるのは溶岩湖、しかし火花が散っているわけではない。つまり近くの木々に発火していていない。このリアルなゲームにおいて、この現象がどれだけ不思議なことか、、。
「とりあえず、人呼ぶか、、水魔法使えるやつ。」
「あぁ」
二人はそう言葉を交わすと一人が人を呼びに、もう一人は溶岩湖の観察にあたった。
数時間後この出来事はニュースになり『SAMONN』の中でちょっとした怪事件として扱われる。まぁ当の本人はそんなこと知ったことではないのだが、、。
──ルカの部屋──
「、、。やべぇ遅くなった。って、あれ部屋の電気は?」
自身のでかい機械の灯りだけ部屋の中は真っ暗だったた。、明らかな意図生が感じられるこの行動はルカで間違いないだろう、もっとも自分が100悪いのだが、、。
そう心の中で状況確認とルカへの考えを確認しながら自分の手元にあったスマホのライトを使い、部屋の電気をつける。
「、、そういえばここルカの部屋だったな。…、このデカい機械俺(家)の部屋に運んでもらうか、─絶対ルカは反対するけど。」
『やだぁーっ!私はお兄様の部屋にずっといるのーっ!』
とか言いそう。いや言う。でもいつまでもこの部屋に置いておくのも流石に気が引ける。そんな子供っぽいルカのことを想像しながら俺は部屋を出てとりあえず廊下を彷徨う。
「…。ルカのやつどこにいるんだ?」
そう口にしてあてもなく歩いていると、
「あっ!若葉様、ログアウトしたのですね。」
曲がり角でナミさんと遭遇。何やら少し急いでいる様子だった、忙しい彼女を引き止めるのはいささか気が引けるものだが、背に腹は変えられないルカの厄介さは無駄に取引がうまいところにある、彼女のことだルカに関する話を持っていることは確実で、聞くこともまた悪いことではない。っと考えるがもしそうだとしても俺は遅れた身、まず礼儀というものが存在するだろう。
「すみません、遅くなってしまって。」
「いえ、お嬢様なら食卓にいらっしゃいますよ、今から夕食なので若葉様も。」
やはりすごいなナミさんは、こっちの言いたいことがわかっているかのように話す。しかも状況が掴めない俺に最優先事項を伝える。完璧人間てこういう人のこと言うんだなぁ。っと心から感心する俺はすぐに感謝の言葉を口に出す。
「、ありがとうナミさん、早速行ってくるよ。」
「はい。お嬢様も大変首を長くしておまちになっていましたよ。」
(ぁぁ〜、やっぱりか、。)
俺の早く行こうとする気持ちはそこで抑えられる。そして振り返りナミさんに自分の不満がこもった言葉をそのまま伝える。
「───もしかして俺、夕食遅れ気味ですか?」
「いえ、夕食は全員が集まって初めてするものです。なので遅れることはありませんよ。お嬢様の場合のみ例外ですが。」
ナミさんは若干目をすぐ近くの窓に逸らしながらそう言った。その言動に俺は全てを感じ取った気になった。
(多分『お兄様と一緒がいいの!』とか駄々こねて何もやらなかったんだなぁ、、)
もしかしたら今夜はただ泊まること以上に何かする必要があるかもしれない。もっともあまり考えたく無いが…。
「──。急いで悪いことはないと思いますよ。」
ナミさんが俺の顔を覗くようにしてそう言った、同意というかなんというか生暖かい感じの目をしていた。
そして勘付かれたということに俺自身ちょっと恥ずかしい。
「、そうですね、行ってきます。」
俺はナミさんにそう告げ、廊下を早歩きし、食卓へ向かう。
「はい。行ってらっしゃいませ。」
──食卓──
ガチャっとドアノブを捻り、中へ入る。そこにいたのはご当主様とルカの二人だ。
「、、。」
ルカはジト目で剥れたような顔で俺を見ている。やはり俺は時間をかけすぎたらしい。そのことを表明するようにルカのテンションは火を見るより明らかでとても低い。
「若葉くん。娘のことは気にしないでくれ、さっきからこの調子なんだ。」
正面の椅子に座っているご当主が俺をフォローするような形でそう言ってくれた。顔には苦労人と書かれたようだった、、
「そのまぁ、遅れてすいません。」
俺はご当主の諦め顔に申し訳なさを感じ少し頭を下げた。
いや普通に申し訳ないし全力の謝罪をしたいがそれは後の話だ、とりあえず椅子に座ってルカの機嫌を直す方法を考えなくては、、
「いやいや、食事は全員来てナンボだ。それに今日は泊まってくれてありがとう。」
いつもと変わらない優しいご当主は本当に良い人だ。ここまで心が広い人は滅多にいないだろう。、、なんでこんな良い人とうちの親が知り合いなのが不思議なくらいだ。いや本当に…
そして俺が椅子に座ると
「コホン。お父様、お兄様も来たことですし。お食事にしましょ。」
ルカがまるで着地狩りを狙うかのようにそう言った。そしてその瞬間食卓の雰囲気が180度回転する。一気に変わる雰囲気と謎の感触を背中からゾワゾワ〜っと感じた、気持ち悪さというより一種の不愉快や恐怖を含むとても言語化が難しい感覚であることには違いなかった。ご当主も同じなのだろうか、少し顔(色)が悪くなったような。
(───る、ルカが丁寧語、。)
違和感の正体は紛れもなくからだろう、普段その口から発せられる言葉では無いとまで思えてくる違和感が、今のルカからは放たれている。お淑やかさを地獄においてきたようないつもの態度と比べればこの事態はまさに神も予想だにしなかったイレギュラーと言えるだろう。
「ルカ、あんまり悪ふざけはよしてくれ。なんだかこう…………"感じ"が。」
(これを悪ふざけで行っているなら行っているで相当性格が悪いと思うが。)
「フフっ、"感じ"がどうかしたのでしょうかお父様?」
「うッ、、。」
やばい、いろんな意味で本当に気持ち悪い。そしてご当主がルカに負けた(いつものことだが)。こうなれば必然的に生き残っているのは俺、そしてこのルカを止めるのも俺。
ご当主が死体打ちされる前になんとか自体を変えなければ、
「ルカ!その喋り方を止める代わりに、何が…………欲しい?」
俺は気持ち悪さを胸に目の前にいるルカと交渉開始する、正直ポテンシャルがない、もはやルカがどんな要求をするかで手が震えそうなくらいには、、
「。。。今夜…」
「今夜…?」
俺は唾を飲む。一体どんな要求なのだろうか、一緒に寝る?いやもっとやばい気がする、今すぐこの場から退却したい。直感がつげてくるしかし退く訳には行かない。この先ルカがこの喋り方をずっとするのと、今夜いないで終わるお願い、この二つを天秤にかけた時どちらが重いかは明らだ。
「今夜…。」
(今夜…?)
「───────、」
ご当主はちらっとルカの方を向いてコップに注がれていた水を飲む。
「お兄様とお風呂に入りr『ゴホッゴホッゴホ!!!!』」
ルカがそう口にすると同時にご当主様が咽せた。うんこりゃやばいないろんな意味で。意外だとか理解だとかそういう次元の話を差し置いてもはや真っ向から否定したくなる言葉に俺は衝動的に反応した。
「────ルカ!、一緒に寝るじゃダメ……か?」
「、この前寝たから。」
しれっと答えるルカに俺は確かにそうだと納得しながら。そういう問題じゃない、この高校生なんにも理解できていない。それと自覚がない!!っと心の中で忙しい日々を送っている全てはこの義妹のせいだが……
「ルカ、お前が若葉くんと風呂に入ることはできん!!」
流石にまずいと感じたのか回復したご当主が大きく拒否。真っ向から言ってくれたご当主には一周回って感謝している、だが俺は彼がこの盤面を覆せるとは微塵も思っていない。なぜなら簡単にある問題として
「えぇー。昔はよかったじゃん!!」
ご当主の言葉はルカにあんまり効いていないっということだ。
「昔って言っても小学生だったけどなお前はっ!それにあの頃は……。─────兎に角ダメだダメ!!」
理由を言ったらこの場はさらに混沌を極めるだろう。地雷に地雷を重ねたら二乗になるのと同じだ。しかしもはや切れる手札はあまり残っていない。となると問題はこれでルカが納得してくれるかどうかにある。
「ムーっなら私今夜はお風呂入らない!!」
「ダーっもう。。。」
こいつは本当にわからん。どうしたらこんな結論に行き着くんだか、、。心の中でそう怒りながら俺はご当主の顔を見た、この状況を何か打破できると思ったからだ、先ほどのように俺に助け舟を。
そうして見たご当主の顔そしてそこから感じ取れる答えは『若葉くん頼む』という言葉を含んでいるような救いを求める目だった。
(救いが欲しいのはこっちなんですがー!!)
という目で返すも、ご当主は知らんぷりんをして気まずそうにそっぽをゆっくりと向いた。俺はこれが敗北ルートの流れであることを瞬時に察した、そしてもう少し頑張ってくれたらなんとかなったのだろうか…っと俺はもはやルカにこれ以上何かを返す気にはなれなかった。
「っはぁー。わかった入ってやるよ、だからちゃんとお風呂に入りなさい。」
「やったーー!!!」
今回も押し負けてしまった、くそう。くそうっ!!こいつの将来が本気で心配だ!!ちゃんとお嫁にいけんのかお前はぁー!!。
頭を抱え、俺はそう心の中で嘆く。しかし現実は変わらない、こんなことで挫けたらいけないのだ、なぜならここからが地獄だからだ。
──食事終了──
「お風呂行ってきまぁーす!。」
ルカはご機嫌な様子で、部屋を出る鼻歌をフンフフーっと歌いながら…はぁ〜。
「ご当主様、いくら俺を信用していても。こればっかりはどうなるかわかりません、いざとなったら。」
「─────。」
黙るご当主、俺は心に覚悟を決め、こう言う。
「俺を警察に突き出してください。」
苦汁が今にも出そうな声で俺はご当主にそう言った。
「、。君が自分にそう下すなら私は何も言わないが全力のサポートをしよう。それがこちらとしてのある種ケジメだ」
ご当主はそれに対して肩をポンっと叩き、俺を通り過ぎるようにそう言った。
「すみません、そして感謝します。」
俺はご当主に一礼した。本当にこの人はいい親御さんだ…、その親御さんの気持ちを理解してほしいもんだなぁルカには。だがご当主が俺を捨てたこの日のことは未来永劫忘れることのできない記憶となることはもはや確定事項。いつかなんらかの形で仮を返させて差し上げよう。
そうして俺は決戦の地へと赴く。そこは地獄、いや魔境と言いっても差し支えない場所。こんなに危険なところはおそらく存在しないだろう。
「、、あれは。ナミさん。」
ナミさんが風呂場の前でじっと待機している。
「、、若葉様、お嬢様にはしっかりとタオルをつけました。中に入って外す可能性が0ではないのでそうなった時は私をお呼びください。それとお嬢様は既にお風呂場に入れました。」
「、、頼む。そして連絡ありがとう。」
俺は脱衣所に入り、服を脱ぐ。そして、出た後着る服の上にあったタオルをt…、ない!!!!
「ナミさん!!そのままで聞いてほしい!俺のタオルはっ!!??」
「えっ!!しっかりと寝着の上に…っお嬢様が!!」
「くっ!あいつぅ〜。まさかここまでするとは…。」
俺は複雑な感情に飲まれた。
「兎に角!変えを持ってきます、少々お待ちください。」
「あぁ、たのm!!!!」
俺はそう言いかけた時風呂のドアが開こうとしていることを瞬時に察知した。そして風呂のドアをしっかりと引っ張る。
「ウオォォォ!!あぶねぇぇぇ!!」
「くっ惜しい。」
そう、ルカが扉を開けようとしていたのだ、なんて危険なやつ!!
「このっルカいい加減にしろ。何が惜しいだ!ギャグ漫画じゃないんだぞこれは!!」
「んん〜?なんのことぉ?」
こいつ…。
俺がそう思った瞬間俺の中にあった糸(怒り)が切れた。
「暁様!タオル持ってきました。」
ナミさんが扉を少し開け、俺に配慮する形でタオルを渡す。
「サンキュナミさん。」
俺はそういうとタオルを身につけ、風呂場のドアを開けた。
「お兄様ぁー ムギュ。」
俺は飛び掛かってきたルカの顔を手でキャッチほっぺを掴むそして思いっきり横に伸ばす。そうあの時と同じに。
「ルカぁーどうなるかわかっていらっしゃるんですよね〜。。。」
「ヒッ!!!」
──数分後──
「…、。」
俺とルカは風呂を出た、言葉だけ見ればやばいのだがルカは意気消沈しており一目で何が起きたか理解はできる。目の前にあるウミさんがなんとなくを察したような顔をしているのがその証拠だ。
「暁様お疲れさまでした。お嬢様はこちらでお預かりしますね。」
「頼む」
俺が傍に抱え荷物持ちにしているルカをナミさんは丁寧に受け取り運んでいく。恐らく寝室にだろう…
はぁ、風呂入ったはずなのにルカの説教のせいでめっちゃ疲れた。何か飲みに行こう。
そうして俺は寝る前に水でも飲もうと食卓を通してキッチンに向かうとき、。
「……………若葉くん、娘が迷惑をかけたようだね。」
ご当主と会った。偶然というのにはあまりにもタイミングよく、そして全てを知っていたかのように話す。
相も変わらず話が早い人だ。そのかえりみの早さに逆に感心してしまう、、
「これに懲りてやめて欲しい限りですねぇ〜。本当自覚して欲しいですよ。」
コップいっぱいの水を口に流し、俺はそう言った。コップを置いた音が静かな部屋の中に響く。
「すまないな、私の教育不足で。詫びと言ってはなんだがいい酒が入ったんだ、一緒にどうかね?」
ご当主は誰もいないことを確認するように周りを見る。そして俺の行動が終わったことを機にそう言った。
「。俺、めちゃくちゃ弱いですよ。」
※暁は20歳です。
「あぁ知っている。だが一人よりかは楽しいと思わないかね?」
この誘いは断れないなぁ、っと心の中で思う。なんやかんやルカがこの人の娘ということに合点がいくだって手口が本当にうまいんだから、、
「……一理ありますね。ではご一緒させていただきます。」
「あぁそれがいい。」
そして俺は後当主と一緒にお酒を飲んで〜、、すぐダウンしてしまったようだ。
『topic』
暁の両親は酒にとても強いらしい。当の暁は弱いが、、。




